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あなたが退職を考えている理由はなんですか?もっとスキルを身につけたい、もっと社会貢献できるような仕事がしたい、そんなポジティブな理由がたくさんあると思います。
一方で
年収が低い、パワハラ・セクハラがある、人間関係が悪い、そんなネガティブな理由がきっかけとなっている方も、きっと多いと思います。
でも転職活動でネガティブな理由を伝えるのって、なんとなくタブーな気がしませんか?では、どうやって退職理由を伝えるべきなのでしょう。
今回ご紹介するのは、事情があって新卒1年目で離職することになってしまったHさんです。Izulに出会って退職理由の伝え方が変わり、面接官の反応も変わったと語るHさんの転職活動を、弊社コンサルタントの渡邊と振り返ります。

「まさかこんなことになるなんて」新卒1年目で対峙することになった転職活動

―Hさんのこれまでのキャリアについて教えてください。

大学を卒業したあと、新卒で地方銀行に総合職として入行しました。入行後1ヶ月は本社や教育センターでの研修を受け、5月からは市内の大きめの支店に配属されました。荷電セールスやカウンター対応、伝票起票などの基本業務を学びながら働いていましたが、半年後の9月末に退職することを決めました。
―新卒から半年で退職というのは少し早めですよね。退職を決意された理由はなんだったのでしょうか?

当時職場での人間関係に不安を抱えている状態でした。心身ともにこのまま働き続けるのは難しいと判断したのが理由です。
―それはとても大変でしたね・・・。転職活動は退職してから始められたんですよね?

はい。退職後の3ヶ月間、他社転職エージェントを通して活動していましたが、なかなか納得できる方向に進められませんでした。転職エージェントは5社ほどに相談し、15〜20社に応募しました。面接まで進んだのは10社弱くらいです。
選考を受けたものの決めきれずにいた状況で、年が明けて退職期間の長さに対する焦りがピークに達した頃、偶然Izulさんを知って「最後の賭け」という気持ちで連絡を取りました。
―退職期間が長引いて焦りを感じられている中での出会いだったんですね。Izulでの初回面談で印象に残っていることはありますか?

「選考に入る前に、時間をかけて準備をする」という方針が印象的でした。自己分析や面接対策に丁寧に取り組むという姿勢が、自分の課題に合っていると感じたので、思い切って他社転職エージェントは整理してIzulに一本化しました。
―Hさん自身がIzulに会うまではそうであったように、転職エージェントは複数社並行で使われることも多いと思いますが、Izulに一本化しようと思ってくださったのはなぜでしたか?

元々転職活動をしている中で、自己分析や面接対策に課題があるなということは自分自身感じていて。そこをしっかり対策していく必要があるなと思っていました。
そんな中で、初回面談後に送られてきた自己分析シートの内容がとても充実していて「これは本気だ」と感じました。私も本気で向き合う必要があると感じたので、思い切って他社転職エージェントは断りました。

初めてHさんにお会いしたとき、「目標を見失い、焦りだけが先行している」と感じました。実は当時すでに他社から内定を得ていたものの、「本当にそこで良いのか」と悩まれて最終的には辞退されていたんですよね。
そうした背景も踏まえると、単に次の仕事を決めるというよりも、まずは 「自分の価値観や優先したいことを整理し直すこと」が必要だと感じました。
そのため、Hさんには一度立ち止まって、自分自身の軸や方向性を見つめ直していくことが、何よりも大切だとお伝えしたんです。
―元々必要性を感じていた自己分析を実際に経験してみて、どんな気づきがありましたか?

正直、これまでの自己分析は全然自己分析じゃなかったんだと痛感しました。自分に対する理解が甘く、「そりゃ通らないよな」とこれまでを反省すると同時に、自分のことを「ちゃんと頑張ってきてたんだ」と認めることもできました。

Hさんは、環境に対してしっかり応えようとする力があるんですよね。Hさんは早期離職こそ経験していますが、厳しい環境でも自分なりに努力を積み重ねてきたタイプだなという印象でした。
ただ一方で、「何をやりたいか」を自分自身で決める場面になると、少し立ち止まってしまう傾向があるかなとも感じましたね。就職活動のように「正解がない選択肢の中から、自分の意思で決める必要がある場面」では、そのあたりがうまく噛み合わずに、結果としてうまく進まなかったのかもしれないなと捉えていました。
難しかった「退職理由」の言語化と前向きな伝え方

―自己分析のあとは仕事の棚卸しに進まれたと思うんですが、やってみていかがでしたか?

事実として半年しか企業に在籍しておらず、5ヶ月の配属期間ではアピールできる仕事を探すのが本当に大変でした。
ただ、渡邊さんに手伝ってもらって、企業に伝えられる成果を一つ見つけてからは、言語化の進むスピードが変わって驚きましたね。
―その「アピールできる仕事」は、どうやって見つけていったんですか?

「5ヶ月で何をしていたのか」を整理していく中で、数字を追っていた業務があったんです。それを軸にして、企業にきちんと伝えられるように仕事の棚卸しを通して言語化を行っていきました。

事実として期間は短いので、仕事内容そのものよりも「定量的成果」と「思考のプロセス」に注目しました。たとえ小さな成果でも、どう考えて動いていたかを深掘りすることで、ポテンシャルは十分に伝えられると思ったんです。
―短い期間でもポテンシャルを的確に伝えるために必要な仕事の棚卸しができたんですね。それを企業に伝えるための面接対策はどのように進めたのですか?

言語化が苦手だったので、最初は本当にひどかったと思います。ただ、渡邊さんが拙い表現をうまく言い換えてくださったので、それを自分の中で落とし込んでいく形で改善していきました。

週5ペースで、全部で20回ほど対策しましたよね。基本は1時間、状況に応じて2〜3時間かけて深掘りすることもありました。
―かなり短期集中でみっちりやっていたんですね。面接対策を振り返って、最も難しかった点はどこでしたか?

やっぱり、退職理由ですね。直接的なきっかけはネガティブなものなので、当初は曖昧に話していたんですが、伝え方を明確にしてから面接官の反応が変わったと感じています。
Izulで対策する前の面接では、退職理由をかなりぼかして伝えていて。たとえば「人々に豊かな生活を提供できるような仕事がしたい」といった抽象的な表現を使っていたり、前職の銀行の社風に対する不満を「年功序列の文化に違和感を覚えた」といったニュアンスで話しており、実際にどんな出来事があったかについてはあまり触れていなかったんです。
―退職を考えた直接的なきっかけがネガティブなものだと、やはり企業への伝え方は迷いますよね。渡邊はここに対してどういう伝え方にしようと意識していたのでしょう?

退職理由は本当に難しいポイントなので、面接で差が出るところなんですよね。
今回Hさんには、基本的に「ストレートに伝える」ことを意識するようにお伝えしていました。中途半端にぼかすよりも、最初にきちんとすべて言い切ってしまった方が、後から変に詮索されたり、印象がブレるリスクを減らせると思ったんです。
その上で、相手のせいにするのではなくて、反省も込めるようにしていました。たとえば「人間関係に不安があった」という事実は伝えながらも、「自分自身にも業界研究や企業理解の不足があった」とか、「今だったらもう少し耐え方や向き合い方があったかもしれない」というような、学びや後悔も添えるように意識してもらいました。
そうすることで、単なる被害者的な話ではなくて、次の環境ではより良い働き方をしたいという前向きな意欲に変換できますし、「この人にもう一度チャンスを与えてもいいかな」と思ってもらえるような構成になるよう心がけていました。
―もともと、退職理由をうまく言語化できていなかった3ヶ月間と、伝え方を整理してからの期間で、面接官の反応に違いがあったと仰っていましたが、具体的にはどんな違いが置きましたか?

以前は「年功序列が合わなかった」「風土に違和感があった」と曖昧に伝えていたため、面接官にも軽く流されることが多かったんです。
退職理由を整理し、自分の言葉で納得感を持って話せるようになってからは、「そんな会社まだあるんですね」と驚かれたり、「うちは安心して働ける環境です」と声をかけてもらえることも増えました。
伝え方ひとつで、受け取られ方が大きく変わると実感しました。
社会人として、一からリスタート

―転職理由、今後の方向性についてはどのように伝えていたのでしょうか。

自己分析をやり直したことで、「目標に向かって高め合える環境」と「困っている人に寄り添い、解決策を提案できる仕事」の2つを転職軸として明確に伝えられるようになっていました。その軸をもとに、業界を問わず課題解決型の営業職を中心に志望し、企業ごとに具体的な志望理由を伝えるようにしていました。

過去に本人が意欲的に取り組めていたバスケ部での経験をもとに、「仲間と切磋琢磨できる関係性」が重要な価値観だと整理しました。最初は「支え合う」といった表現でしたが、より熱意が伝わるよう「鼓舞し合える環境」と言い換え、言語化の精度を高めました。
―面接を受けていくなかで、うまくいかなかったことも多かったとお聞きしました。その中での心境はどのようなものでしたか?

正直、離職期間もあったので「落ちても仕方ない」と思っていました。ただ一次面接で落ちるとやっぱり悔しさも出てくるので、「企業との相性が合わなかっただけ」と前向きに捉えるようにしていました。
渡邊さんから具体的なフィードバックをもらえていたので、落ちた理由がはっきりしていて納得感があり、気持ちを切り替えやすかったです。他社ではそこまでのサポートがなかったので、落ち込まずに次に進めたのはIzulの支援のおかげだと思います。

最初の頃はまだ言語化の精度や自己理解が不十分な部分もあって、面接でも思うように評価されない場面が続いていました。たとえば最終面接まで進んでも、「考えが浅い」といった理由でお見送りになってしまうケースもありました。
そうしたフィードバックを受けて、再度模擬面接などを行いながら「ここはこう伝えた方がいい」と一つひとつ丁寧に修正していきました。選考を受けながら、その都度改善を繰り返すことで、面接の質もどんどん上がっていったと思います。
実際、取り組みの姿勢や吸収の早さはHさんの強みで、僕としても一緒に伴走しながら「ちゃんと伸びていってるな」と実感できましたし、その粘り強さには本当に感心させられました。
―数十回と対策をする中で、たくさん宿題もあったと思います。焦りもある中で、モチベーションの維持はどうされていましたか?

自己分析に棚卸し、面接対策と、本当に多くのサポートをしていただきました。ここまで時間を割いてくださっているからこそ、「渡邊さんにしっかり応えないといけない」という気持ちが一番大きかったですね。

嬉しいですね。初回面談の時点で、Hさんの「本当はちゃんとできる人だな」という部分は感じていました。だからこそ、1社目でつまずいたことがすべてではなく、もともと持っているものをきちんと面接官に伝えられるように整えていけば、必ず道は開けると思っていました。
他社エージェントの提案内容を見ていると、わりと厳しい働き方が必要な会社が多く提案されていた印象でした。でも、Hさんにはもっと自分らしく働ける道があると信じていたので、次のキャリアが前向きに捉えられるように、選択肢を一緒に広げていくことを意識していました。
もちろん途中で「今つらいんだろうな」と感じる時もあったんですが、Hさんは決して途中で投げ出さず、最後まで粘り強くやり切ってくれました。その姿勢には本当に感心しましたし、「やっぱりそういう人なんだな」と改めて思わされましたね。

今回すごくありがたかったのは、目先の転職先だけじゃなく、自分の年齢や経験もきちんと踏まえたうえで、将来のキャリアの選択肢が広がるようにサポートしていただけたことです。単に「就職先を見つける」だけでなく、その先を見据えた提案をしてもらえたのは、自分にとって本当に嬉しいことでした。
そもそも私自身、今回の転職では「社会人として一からリスタートしたい」という気持ちが強くて。その思いをしっかり汲み取って支援してくださったのは、心から感謝しています。
―最後に、Izulからの支援を振り返っていかがでしたでしょうか?

正直、転職エージェントの立場からすると、私は扱いづらい求職者だったと思います。新卒で入った会社を半年で辞めていますし、特別な経歴があるわけでもない。大手企業にいたわけでも、学歴が飛び抜けているわけでもない。それなのに、こんなに丁寧にサポートしていただけたというのは、本当に驚きでしたし、ありがたかったです。
最初の頃は、「なんでこんな自分にここまでしてくれるんだろう」と不思議なくらいでした。でも、その支援があったからこそ、自分もちゃんと向き合わなきゃと思えましたし、結果として人生で一番成長できた時間になったと感じています。本当にありがたい時間だったなと思っています。
―Hさんにとって転機の転職活動となったことがすごく嬉しいですね。本日はお話聞かせていただきありがとうございました!