退職代行とは?サービス概要やトラブル事例の対処法を紹介

2022年8月23日

2024年9月5日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

退職代行は2010年代後半に登場した、退職希望者の代わりに会社へ退職の意向を伝える新しいサービスです。例年5月のGW明けに退職代行サービスへの依頼が増える傾向があり、20代~30代が主な利用層です。本記事では、退職代行サービスの概要やトラブル事例の対処法などをご紹介しています。
退職代行業者が対応できる範囲とできない範囲をしっかり把握しておかないと、後々トラブルになる可能性が高くなります。退職代行サービスの利用を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

退職代行とは

退職代行とは、労働者に代わって退職したい旨を企業に伝えてくれるサービスです。退職の意向を企業に伝えたもののスムーズに辞めることができなかった人や、自分から退職したいと言い出しづらい職場環境に勤めている人が主に利用しています。利用する年代はさまざまですが、20代が比較的多く、女性より男性の利用割合が高い点が特徴です。

退職代行は違法?

退職代行サービスは違法なのではないか?と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
実際には、違法になるケースと違法にならないケースが存在します。第三者である退職代行業者によって、本人に代わって企業に退職の意向を伝える行為は違法ではありません。
退職代行が違法となるのは「非弁行為」に該当した場合です。「非弁行為」とは、弁護士のみに認められている行為をそれ以外の者が行うことを指します。弁護士法によって「弁護士以外が報酬を得る目的で法律事務を取り扱ってはならない」と定められています。
下記の業務が法律事務にあたる内容です。

  • 法律相談
  • 示談交渉
  • 借金の整理
  • ネット誹謗中傷対策

例えば、退職代行サービス業者が退職届を企業に届けるだけなら問題ありませんが、弁護士資格を持たない業者が退職日や退職金などの交渉や調整を行うと、非弁行為に該当する可能性が高くなります。一方、弁護士資格を持っている退職代行業者であれば、違法性は低くなるでしょう。

また、弁護士資格を持っていなくても、労働組合では退職における交渉や調整を行うことができます。労働組合とは、労働者が主体となり、労働条件の維持・改善・経済的地位の向上を目的として結成された団体のことです。労働者の権利は労働組合法により保証されており、労働組合には団体交渉が認められています。原則、雇用主や企業は労働組合の団体交渉を拒むことができません。
そのため、労働組合では弁護士資格を持たなくても退職に関する交渉が可能です。

退職代行を使われた場合

退職代行を使われた場合、企業は退職の意向を受け入れる必要があります。原則として、退職代行を使用したかどうかに関わらず、企業は労働者の退職を拒む権利はありません。民法第627条では、労働契約の解約は「退職をしたい」と伝えた日から2週間を経過すれば終了すると定められています。労働者の退職に対して説得することはできても、退職を阻止または拒否することは不可能です。

対応までの流れ

ここでは、企業が退職代行を使われた際の対応の流れをご紹介します。

退職代行サービス業者から連絡を受けたら、まずは業者の身元確認と、本当に本人からの依頼かどうかを確認しましょう。連絡を受けた退職代行業者は実在しているのか、法律上に問題はないのかを調査することをおすすめします。

特に重要なのが、本当に本人が退職代行を依頼しているかどうかです。本人の意志ではなく、第三者からのいやがらせの可能性も否定できません。また、本人が何かしらのトラブルに遭っているケースなども考えられます。
退職代行業者から連絡を受けた場合は、あとから大きなトラブルにならないよう本人確認を徹底しましょう。

しかし、退職代行を使ってまで退職を希望する労働者とは、直接連絡がつかないことも少なくありません。そのため、退職に関するやりとりは退職代行業者と行うケースが一般的です。
退職代行業者を経由して本人の意志を確認する際は、下記を提出してもらうようにしてください。

  • 本人記入の退職届
    退職届のフォーマットはパソコンで作成したものでも可能です。
    ただし、本人の直筆サインや捺印が入ったものを受け取るようにしてください。
  • 委任状
    退職代行業に本人が委任したことを確認するための書類です。
    退職代行業者の情報や、担当者氏名などに間違いがないか注意してください。
  • 実印、印鑑証明など
    退職届や委任状に実印を押してもらい、印鑑証明を添付してもらうと確実性が増します。

退職代行業者から連絡があったからといって、すぐ退職の手続きを進めてしまうことは危険です。上記の内容をしっかり確認しておきましょう。

退職代行のトラブル事例

退職代行サービスは便利な反面、さまざまなトラブルが伴う場合があります。ここでは、退職代行の代表的なトラブル事例を3つご紹介します。

非弁行為を行う違反業者

退職代行サービスを利用する場合、非弁行為を行う違反業者に注意が必要です。退職に関する交渉や調整は法律事務にあたり、弁護士や労働組合しか行うことができません。交渉が必要な退職を依頼する際は、弁護士や労働組合が運営している退職代行業者を選びましょう。

会社と交渉をしてくれない

退職代行業者と会社のやり取りがうまくいかず、退職手続きのために結局会社へ出向く必要が発生したケースも少なくありません。
会社との連絡は基本的に退職代行業者がおこない、会社から本人に連絡をしないよう伝えられます。しかし、弁護士資格を持たない業者や労働組合ではない業者の場合、対応できる範囲は本人の意思を「伝えるだけ」に限定されます。そのため、会社が「返還物は本人が直接持ってきてほしい」と希望した場合、退職代行業者によっては交渉できないことがあるため注意が必要です。
また退職代行業者によっては、退職の意志を伝えるだけで具体的な交渉をしてくれないことがあります。せっかく退職代行サービスを利用していても、スムーズに退職できなかったり、退職日や有給消化などの条件が希望どおりにならなかったりしては意味がありません。信頼できる退職代行サービスを選ぶことが重要です。

退職代行はなぜ使われる?利用者の本音とは

退職代行サービスが登場した背景には、転職者数の増加や退職の意思表示をしても会社側から執拗な引き留めに遭いやすいことが挙げられます。ここでは、退職代行を利用する人の本音をご紹介します。

怒られそうで言い出せない

会社に退職の意向を伝えたくても、怒られそうと感じて直接言い出せずに退職代行を使う人は少なくありません。特に、上司や先輩が怖い・苦手と感じている若手社員に多い傾向にあります。会社側に本心を伝えることができない・自分の意思をうまく表明できない人は退職代行業者の利用を考えやすくなるでしょう。

出勤が辛い

職場の人間関係に悩んでいたり、仕事にやりがいを持てなかったりと出勤することが辛いと感じる時に「即日退職可能」がウリの退職代行業者を利用するケースも多く存在しています。従来考えられていた「同じ仕事を長く続けることが正しい」という概念が薄れてきて、「我慢してまで仕事を続ける必要はない」と考える人が増えたことも退職代行業者への依頼が増えた要因のひとつです。

有給取得や残業代請求を行いたい

有給取得や残業代などの請求を行いたい場合にも、退職代行サービスを使おうと考える人は多くなります。特に、会社とスムーズに交渉できる自信がない方が利用する傾向にあります。トラブルを避けるためにも、退職代行業者に依頼するケースは少なくありません。

退職代行を利用する場合の流れ

ここでは、退職代行を利用する場合の流れを解説していきます。業者によって申込方法が異なることがあるため、実際に利用をする際は退職代行業者のWebサイトなどを確認するようにしてください。

相談・申込み

ここまで解説してきた内容を参考に、退職代行業者を選定して相談や申込みを行いましょう。
業者との連絡方法は電話・メール・LINEが一般的です。申込時に「退職代行希望日」を聞かれる場合もあります。申し込んだ後は折り返しの連絡が来るのを待ちましょう。

登録者の情報共有

依頼者本人の情報を登録・共有します。氏名・住所・生年月日・電話番号などのプロフィール情報の他に、雇用形態の記載や社員証や身分証などの提示が求められる場合があります。また、勤務先の会社名・電話番号・部署名なども必要です。

利用者と担当者の打ち合わせ

情報共有が完了したら、担当者との打ち合わせに入ります。料金は打ち合わせ前の先払いになることが一般的です。
打ち合わせでは、より詳細な情報を退職代行業者と共有します。退職代行を利用する日程・退職希望日・退職理由などを中心に、有給休暇の消化や職場に置いてある私物の返却・処分などの希望を伝えることになるため、抜け・漏れがないように気をつけましょう。ここで不備があると、後で二度手間になってしまったり、トラブルになってしまったりする場合があります。

進捗・結果報告

打ち合わせが済んだら、後は退職代行業者に一任して進捗状況の共有を受けるだけになります。依頼者から会社へ返還するものなど、退職に関する手続きについては退職代行業者から伝えられます。会社とのやり取りは原則発生しません。

利用後のフォロー

代行業者によっては、利用後のフォローとして退職後の失業給付申請や転職サポートを行っていることもあります。これらのサービスを希望する場合は相談してみて下さい。

まとめ

本記事では、退職代行サービスの概要やトラブル事例の対処法をご紹介してきました。退職代行を利用する際は、非弁行為を行わない業者かどうかを確認することが大切です。また、退職代行を使われた会社側は、退職代行業者の身元調査や本当に本人からの退職依頼かどうかを確認する必要があります。
退職を検討している方はぜひ参考にしてください。

監修者・中田 潤一

中田 潤一

株式会社キーエンス株入社後、サントリー株式会社→アリババ株式会社→株式会社リクルート住まいカンパニー リクルート在籍時に株式会社Izulを立ち上げ、現在に至る。株式会社Izulを含め4社の代表取締役を勤める。スキルシェアサービス「タイムチケット」では就職・転職カテゴリーで46ヶ月連続1位獲得、年間アワードを3年連続受賞。

著者プロフィール

Izul広報チーム

Izul広報チーム

株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

x

Facebook

LINE