BCP(事業継続計画)とは?従業員の安否確認を正しく行うためのプロセスを解説

2022年10月24日

2024年3月8日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

災害などの被害を最小限に留め、事業の早期復旧や継続を図るための計画を指すBCP(事業継続計画)。施策としての概要を理解しきれていない、もしくは実施できていないという企業も多いのではないでしょうか。
今回はBCPについて、基本情報や注目されている理由などを中心に解説します。またこのほかにも、BCPを実施するうえで決めておくべき項目や実行プロセス、効果的に機能させるための要素にも触れています。身近なBCPの事例も交えながら解説するので、自社でBCPを実施する際の参考にしてください。

BCP(事業継続計画)とは

BCP(Business Continuity Plan)とは、企業災害をはじめとした緊急事態が起こったときに損害を最小限に抑え、事業を継続するための計画のことです。「事業継続計画」とも呼ばれています。
日本全国に甚大な被害を与えた東日本大震災や、未だ感染力の強い新型コロナウイルスなども、企業災害に該当します。BCPは災害から企業を守り、継続させていくためだけではなく、顧客や投資家から評価を得るためにも重要な要素です。

なぜBCPが注目されているのか

BCPは、災害時における従業員の安否を確認する意味で重要視されています。それは東日本大震災の際、従業員の安否確認が取れなかった企業が多かったためでしょう。
災害による企業経営への悪影響を軽減することで、従業員が安心感を持って働ける点もBCPが注目される理由です。またBCPは、顧客や投資家から高い評価を得るための指標でもあります。多くの企業では大規模な自然災害や感染症により、緊急時における体制づくりが課題となっています。そのためBCPを通じて緊急時の対策をとっているかを、評価基準としている顧客や投資家も多いのです。
このようにBCPは、従業員の安全や企業運営の継続はもちろん、外部からの評価を上げる効果もあります。そのためさまざまな企業で注目され、自社ならではの方法でBCPを実施する企業も増加しています。

BCMや防災との違い

BCPと混在しやすい言葉に、BCMや防災があります。それぞれの違いを以下にまとめました。

BCMの意味とBCPとの違い

  • BCMは「事業継続マネジメント」を意味する
  • 事業継続における計画がBCPなのに対し、BCMはそれを実施する体制のこと

防災の意味とBCPとの違い

  • 建物・資産・人材などに影響する災害そのものの防止
  • BCPは災害に遭った場合の復旧・継続を目的としている

安否確認前に決めておきたい項目

ここでは、安否確認における重要な項目について解説します。より効果的にBCPを実施するためにも、以下で紹介する項目は必ず押さえておきましょう。

対象者

自社におけるBCPの対象範囲は、事前に決めておきましょう。正社員はもちろん、アルバイト・パート・派遣スタッフも安否確認の対象としている企業がほとんどです。
また、従業員の家族を対象範囲として認識している企業もあります。安否確認の対象者を事前に定めておくことで、全従業員が業務を再開できるタイミングを把握できます。

担当部署

BCPの実施内容を定めるだけでは、実際に災害が発生した際に情報や連絡が混乱するでしょう。安否確認の体制を構築するには、実際に従業員へ連絡する担当者、もしくは担当部署を決めておくことが大切です。あらかじめ担当する部署が決まっていれば、実際に災害が発生しても混乱を防止できるでしょう。

確認内容

従業員に連絡がついた際に、確認しておくべき項目を決めておきましょう。主な項目は以下の通りです。

  • 従業員本人の安否
  • 家族の安否
  • 自宅の被害状況
  • 避難所の有無
  • 避難状況
  • 職場への復帰目処

ツール

安否確認の際に、どのツールを活用するのか決めておくことも大切です。安否確認用のツールを選定する際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • 従業員が使い慣れている、もしくは簡単に使える
  • 外出時の災害発生を想定し、自宅以外でも使える
  • 画像送信ができる(視覚で被害状況を把握するため)
  • インターネットを経由できる(Twitter・Facebookなど)

BCPにおける安否確認のプロセス

実際に安否確認をする際は、以下の手順で行います。

  1. 被害状況を確認する
  2. 代替手段で応急処置をする
  3. 復旧作業を実施する

以降で災害発生時を想定した、それぞれのプロセスについて見てみましょう。

被害状況を確認する

災害によりどのような被害があったか、安否確認を通じて把握しましょう。従業員本人や家族、自宅など、さまざまな視点で被害状況を確認してください。被害状況を把握しないことには、今後の対策を検討・実施することは困難です。

代替手段で応急処置をする

災害の被害で業務がストップしないように、応急処置となる代替手段を用意しましょう。災害時は一時的な人材不足や設備を利用できない事態が発生します。こういった場合でもある程度業務を進められるように、簡易的な業務環境を整えましょう。被害状況を確認したうえで、どの程度の設備が必要か判断しましょう。

復旧作業を実施する

簡易的な労働環境で業務を進めながら、環境を災害前の状態に戻していきましょう。特にハードウェアやソフト面の復旧には時間がかかるため、最優先で進めてください。また、復旧作業がスムーズに進むように、リモートでアクセス可能なサーバーを維持したり、バックアップ回線の確保も有効です。

身近なBCPの取り組み事例

災害時の対応をイメージすると、大規模な対策を取らないといけないのでは?と考える人もいるでしょう。しかしBCPは、小さなことから実施可能です。本章では、すぐに実施できるBCPの取り組み事例を紹介します。

リモートツールの活用

災害時には、電話回線が混雑してしまいます。電話以外で連絡を取り合えるツールを用意しておくことで、災害時の安否確認がスムーズになるでしょう。
オンラインでの会議システムやチャットツールを普段から使用しておくことで、災害時でも混乱なく連絡を取り合うことができます。TwitterやFacebookなどのメッセージ機能を利用することもおすすめです。

テレワーク

新型コロナウイルスの感染拡大により浸透したテレワークも、災害時の対策として注目されています。普段からテレワークを取り入れていれば、災害時でも自宅で業務を遂行できます。
復旧作業や代替手段にかかるコストも削減できるため、すぐに実施できるBCPの取り組みとして検討しましょう。

時差出勤

テレワークの導入が困難な場合は、時差出勤の導入がおすすめです。時差出勤により、災害発生時のリスクを分散できます。業務内容によってはテレワークに適していない場合もあるため、BCPの取り組みとして時差出勤を実施しましょう。

BCPを効果的に機能させるための要素

BCPは、策定しただけでは意味を持ちません。効果的に機能できる環境を整えることが重要です。ここでは、BCPを効果的に機能させるうえで必要な5つの要素を解説します。

設備

災害時でも普段通りの業務ができるように、内部設備に目を向けておくことが大切です。従業員の安否が確認できても、設備が破損していては業務がストップしてしまいます。代替手段の用意と合わせて、設備における災害対策を進めておきましょう。

リソース

災害発生後、通常業務に従事する人材を確保できるかどうかは重要です。安否確認やテレワークへの移行などを実施し、災害時でも業務が遂行できるよう人的リソースを確保しておきましょう。

資金

災害時に業務がストップすると、少なからず損害を被ります。業務ができない期間でもある程度企業の形を保てるように、キャッシュフローを確保しておくことが大切です。

体制

災害発生時から平常時の運営に戻すためには、時間がかかります。一度にすべてを元に戻すのではなく、優先順位を決めたうえで正常化していくことが大切です。そのため、正常化に向けた計画や、指揮者をあらかじめ決めておく必要があります。

情報

災害をきっかけに重要な情報を紛失しないためにも、定期的にバックアップをとっておきましょう。業務に関する情報やデータが失われると、事業の継続が難しくなります。復旧作業と日常業務を滞りなく進めるためにも、普段から情報を保護する体制の構築は必須です。

まとめ

今回は、災害時におけるリスクを最小限に留めるBCP(事業継続計画)について紹介しました。
東日本大震災や新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業がBCPの重要性に注目しています。災害が起きても影響を最小限に抑えられるように、安否確認の項目や方法を決めることはもちろん、災害時における応急処置や連絡手段を用意しておくことが大切です。
また、テレワークや時差出勤など、災害時のリスクを回避するための体制づくりを進めておくこともおすすめです。いつ来るかわからない災害に備え、まずはBCPの重要性を企業全体で共有・把握しておきましょう。

監修者・續 慶一

續 慶一

同志社大学を卒業後、教員兼某大学サッカー部監督を経て、大手外資系金融機関へ転職。その後、国内大手人材会社の人事を経て、起業。現在は人事コンサルティング、採用コンサルティングを自身が経営する会社で行いつつ、株式会社Izulには1人目の社員として入社し、現在は執行役員として従事。また九州大学の起業部にて事務局長を務める。
現在は、急成長のベンチャー企業、第二創業期に入っている企業など、様々な企業の役員や人事責任者とやりとりを行いコネクションを築いており、また自らキャリアセミナーや人事交流会などを積極的に開催しております。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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