慶弔休暇(けいちょうきゅうか)は、葬儀や結婚式などの際に取得できる休暇です。法律で定められた休暇ではなく、会社が独自に定めるもののため、勤務先の方針によって取得できる条件や日数などが異なります。ここでは、慶弔休暇とは何か、取得条件や日数、起算日、取得の際のマナーなどについて詳しく解説します。
慶弔休暇とは
慶弔休暇とは、慶事や弔事の際に休暇を取得できる制度で、福利厚生のひとつとして多くの企業が導入しています。慶弔休暇は労働基準法で定められている法定休暇ではなく、会社が独自に定める法定外休暇です。そのため、会社によって取得条件や日数などが異なります。すべての会社で慶弔休暇を取得できるわけではなく、事前に規定を確認しておく必要があります。
慶事とは
慶事とは、結婚や出産などの祝い事のことを指します。一般的には、本人や子どもの結婚、配偶者の出産などの際に1~2日程度の慶弔休暇を取得できます。また最近では、本人や家族の誕生日、結婚記念日など、さまざまな「慶(よろこ)びごと」の際に特別な休暇を取得できる制度を設けている企業も少なくありません。
弔事とは
弔事とは、葬儀や通夜など「お悔やみごと」のことです。一般的に、お悔やみごとによる休暇は「忌引き」と呼ばれています。対象は家族や親族の葬儀や通夜ですが、3親等程度までと定めている企業がほとんどです。結婚式などの慶事は土日祝日に行われることが多く、予定もあらかじめわかっているため、参列のために休暇取得が必要ないこともあります。しかし、弔事は突然に起きるため、忌引きは多くの企業で導入されています。
慶弔休暇は有給扱いになる?
慶弔休暇は法定外休暇のため、有給扱いとするかどうかは各企業がそれぞれ決めています。就業規則の慶弔休暇の項目を確認しておきましょう。会社側としては、一般的には慶弔休暇を有給とする企業が多いため、無給とする場合はその旨を就業規則に記載し、周知徹底することが大切です。
慶弔休暇の日数
慶弔休暇の日数は、取得事由によって異なることが一般的です。例えば、本人の結婚式では3~5日程度、配偶者の出産では1~3日程度とする企業が多いでしょう。また、家族や親族が亡くなった場合は、実父母や配偶者、子どものケースで5~7日、祖父母や義父母、兄弟姉妹で2~3日、それ以上遠い親族の場合は1日程度とする傾向にあります。
起算日
慶弔休暇の起算日は、就業規則に明記する必要があります。亡くなってから葬儀までに期間が空く場合、起算日によっては葬儀までに慶弔休暇が終了してしまう場合もあります。臨機応変な対応ができるように、就業規則には「責任者の承認のもとで例外を認める」といった事項を盛り込むことがポイントです。
従業員側としても、慶弔休暇の起算日や例外を認めてもらう必要があるかどうかを確認しておきましょう。
有効期限
慶弔休暇は、事由が発生してから一定期間以内に付与することが望ましいため、有効期限を定めることが重要です。例えば、家族や親族が亡くなった日から1週間以内程度を有効期限とすれば、葬儀を迎える前に慶弔休暇が終わってしまう事態を防げるでしょう。
また、結婚式や出産の場合は、式の日程や出産日が大幅に変更になることもあります。半年から1年程度と長く設定すれば、日程が変わっても安心して慶弔休暇を取得できます。
分割取得について
慶弔休暇は、会社側が認めれば分割取得が可能なケースもあります。この場合、葬儀のために実家に戻り、一度会社に戻って働いて、少ししてから再び実家に戻るという方法を選択できます。通常、起算日から連続して慶弔休暇を取得することが一般的ですが、従業員満足度の向上を狙うのであれば分割取得の導入も検討しましょう。
休日の取り扱い
慶弔休暇中に土日祝などの休日がある場合、日数に含めるかどうかは企業側が判断できます。ただし、休日の取り扱いについては就業規則に明記しておかなくてはなりません。その時々の忙しさや状況によって扱いを変えることはできないため注意しましょう。
慶弔休暇の対象にならないケース
慶弔休暇は、すべての慶事・弔事が対象になるわけではありません。就業規則で慶弔休暇の取得条件を定める際は、慎重に対象を決める必要があります。一般的には、次のケースを慶弔休暇の対象外とします。
3親等以上の親族の慶事・弔事
3親等以上の親族の結婚式や葬儀などは、慶弔休暇の対象外とする企業が多くなっています。対象にした場合も、1~2日と比較的短い日数のみを付与する傾向にあります。一般的には3親等以上は遠い親戚と考えられているため、慶弔休暇の対象外になることが多いのでしょう。また、あまりにも遠方の親族の慶事・弔事まで対象にすると、頻繁に慶弔休暇を取得することになります。業務に大きな支障をきたしかねないため、リスク排除の観点から対象を3親等までと定めているのです。
遠方の葬儀に列席する場合
遠方の葬儀に列席する場合、交通の便によっては慶弔休暇をより長く付与する必要があります。業務への支障を考えて、遠方の葬儀に列席する場合は慶弔休暇の対象外とすることもあります。ただし、遠方だからといって2親等以下の親族の慶事・弔事に参加できないのは、従業員から不満の声が生まれる可能性があります。そのため、3親等の親族の場合にのみ適用するなど、細かな条件を定めるのもひとつの方法です。
慶弔休暇の就業規則への記載方法
慶弔休暇の取得条件や日数など、休暇に少しでも関連する事項は就業規則にすべて記載する必要があります。次の事項を記載しましょう。
・対象者
・日数
・起算日
・有効期限
・休日の扱い
・分割取得
・各項目における例外の規定
慶弔休暇を取得するときのマナー
慶弔休暇は会社が定めていれば問題なく取得できるものですが、周りの人に負担をかけないためにも次のマナーを守ることが大切です。
慶弔休暇の条件を把握しておく
慶弔休暇の取得条件や日数などは企業によって異なるため、事前に就業規則を確認しておくことが大切です。慶事・弔事が生じた際に慶弔休暇の対象外だと知り、慌てることがないようにしましょう。
なるべく早く伝える
慶弔休暇を取得すること自体は問題ありませんが、同僚や上司に業務上の負担がかかる可能性があるため、なるべく早く伝えるようにしましょう。報告先は直属の上司ですが、自分の業務に関わる人全員に連絡が必要です。電話で伝えることがマナーですが、なるべく早く伝えるために、必要に応じてメールも使いましょう。
まとめ
慶弔休暇は法定外休暇のため、会社によって扱いが異なります。本人、配偶者、義父母、兄弟姉妹の順に取得日数が少なくなることが一般的です。また、分割取得や有効期限など、細かな規定も確認しておくことで、より良い形で慶弔休暇を取得することができます。慶弔休暇を取得する際は、周りの人への負担を考えて、なるべく早く伝えましょう。