残業時間とは?計算方法や上限を超えないための対策を解説

2022年9月3日

2024年2月16日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

残業時間は、いわゆる時間外労働と認識されていることが多く、明確な定義を理解していない企業もあるかもしれません。今回は残業時間の定義について触れたうえで、仕組みやルール、上限規制について解説します。残業時間の多い・少ないの判断基準や減らすための対策についても解説しているので、参考にしてください。

残業時間とは

普段何気なく使っている「残業時間」という言葉ですが、法定内残業と時間外労働に分けられることをご存じでしょうか。
法定内残業とは、所定の労働時間は超えているものの、法定労働時間内には収まっている残業のことです。法定内残業として定められているのは、1日8時間・週40時間の一般的な勤務時間です。対して、法定労働時間を超えて勤務した時間のことを時間外労働といいます。「残業時間」に該当するのは、この時間外労働です。では、両者をどのように残業時間の定義に当てはめるのか、まとめてみましょう。

 1:勤務時間のシフトが9〜16時(休憩1時間を除いて6時間)
 2:実際の勤務時間は9〜19時(休憩1時間を除いて9時間)

上記の場合、シフト上の時間で見ると3時間残業したと捉えられます。しかし、8時間までは法定内残業に該当するため、実質の残業時間は1時間です。このように、残業時間は法定内残業・時間外労働の定義を覚えておかなければ、正確な時間数が判断できません。

法定労働時間・所定労働時間の違い

法定労働時間が労働基準法を遵守した労働時間なのに対し、所定労働時間は企業が定めた労働時間です。上記で挙げた例でいうと「1」が該当します。一般的には8時間の勤務時間を設定している企業が多いため混同しがちですが、意味が異なるため注意しましょう。

残業時間の仕組みと運用ルール

残業時間に対して、きちんと残業代が支払われていないなどのトラブルを回避するためには、仕組み・運用ルールを覚えておく必要があるでしょう。以下では、最低限覚えておきたい3つの項目について解説します。

上限規制がある

残業時間は、特別な条項がない場合は月45時間・年360時間が上限です。業務の進行具合に応じて条項をつければ、月100時間未満・年720時間以内にまで限度を引き上げられます。ただし、特別条項を適用させる場合は、2〜6ヶ月の残業時間を平均80時間以内に収めましょう。上限規制を守らず残業時間を超過すると法律違反になるため注意してください。

割増賃金が加算される

所定の時間を超えて労働した時間には25%以上の割増賃金を適用させなければいけません。ただし、法定時間内であれば割増は不要です。1時間あたりの賃金に残業時間と割増率を掛け合わせた金額が、残業時間分の賃金として適用されます。

36協定の締結が必要

残業に関する合意事項をまとめたものを36協定といいます。36協定を結ばずに残業させることは、刑事罰の対象とされるため注意しましょう。ただし、36協定を締結したからといって、月45時間・年360時間の枠を超えていいわけではありません。月100時間未満・年720時間以内に上限を引き上げる場合は、限度時間を超えた残業を臨時的に認める「特別条項付き36協定」の締結が必要です。

残業時間が多い・少ないの判断基準

残業時間が多いと感じるかは、企業や人によって異なります。そのため「何時間が多く・何時間が少ない」と、はっきり言い切ることはできません。ただし、上限規制に該当する45時間に近い残業時間であれば、一般的に見ても多いと判断できるでしょう。また、特別条項が適用されていれば問題はないものの、80時間や100時間に近い残業があると、残業時間が多い企業だと判断されるでしょう。

何時間から違法になる?

一般的には、月45時間・年360時間未満の残業時間であれば違法にはなりません。また、特別条項を適用していれば、月100時間未満・年720時間以内であれば違法と判断されないでしょう。ただし、月の残業時間が80時間を超えると健康障害のリスクが高まるといわれています。違法にはならないものの労災認定されやすくなるため、注意しなければなりません。

残業時間が多い職種の傾向

お客様の都合でスケジュールが変動する営業職やコンサルタントなどは、残業時間が多い傾向にあるでしょう。また、時間ではなく案件単位で仕事を進める編集職なども、残業時間の多い職種に該当します。
一方で、受付業務やアシスタント業務など、いわゆるバックオフィス業務中心の職種は、残業時間が少ない傾向にあります。バックオフィス業務は自分でスケジュールを立てやすいため、残業せず定時で帰宅できることも多いでしょう。

残業時間を減らすための対策

残業時間を減らすために有効な対策は、以下の通りです。

  • 業務効率化を図る
  • 残業に関する不満がないかヒアリングする
  • 残業の少ない業者・企業の傾向を調査する
  • 終業時刻を想定した業務量・指示を用意する

上記の通り、残業時間を減らすためには企業の「意識」が何より大切です。従業員から不満が出る前に、残業時間を減らす対策を取りましょう。残業時間を減らして従業員が働きやすい環境を整えることで、業績アップやモチベーション向上につながるかもしれません。

残業時間の上限規制法とは

月45時間・年360時間を残業時間の上限とする規制のことです。「時間外労働の上限規制」ともいわれます。臨時的な事情があれば上限を緩和できるものの、月100時間未満・年720時間を超える場合は違反対象です。

法改正前後の違い

上限規制法が改正される前は、残業時間の上限は法律上定められておらず、行政指導の対象になる程度でした。しかし法改正後は残業時間の上限が設定されたため、違反した場合は罰則の対象になります。違反してしまうと、30万円以下の罰金・6ヶ月以下の懲役が科せられます。

対象・非対象の業種

残業時間の上限規制は、対象・非対象の業種が異なります。対象となる業種は以下の通りです。

  • サービス業
  • 小売業
  • 製造業
  • 建設業
  • 運輸業
  • 卸売業

上限規制の対象は、資本金額・出資総額・労働者の数いずれかが、厚生労働省が定めている条件に当てはまるかで決められます。また、以下の業種は上限規制の対象にならないことが多いため、覚えておきましょう。

  • 医師
  • 自動車運転
  • 砂糖製造業(鹿児島・沖縄)
  • 新商品もしくは新技術の研究・開発事業

自社が残業時間の上限規制に当てはまるかどうか、把握したうえで残業時間に関する違反がないか改めて確認しておきましょう。

残業時間の上限規制対策

ここでは、残業時間の上限規制における有効な対策を紹介します。

労働時間の管理方法を見直す

自社の残業時間や労働時間が、法令に則った方法で管理されているか確認しておきましょう。管理方法の見直しは、時間外労働の多発や超過を防ぐことにつながります。また、労働時間の現状を把握するうえでも効果的であるため、必ず実施しましょう。

労働環境の現状を把握・改善する

残業が発生する原因を調査し、発覚した原因に対処できる手段を実施しましょう。過剰な業務量か、仕事が一人の従業員に集中しているのか、残業時間が長くなる理由は企業ごとに異なります。従業員ごとの残業時間を調べ直し、差が出ていないかも確認しておきましょう。残業時間に関する現状を把握することで、改善策が見つけやすくなります。

まとめ

残業時間に関する違反がないかどうかは、上限規制や36協定の締結について把握したうえで判断する必要があります。法定労働時間と所定労働時間の違いについても把握しておく必要があるでしょう。残業時間が長くなりがちな企業は、労働時間の管理や労働環境の見直しなどを実施することが急務です。残業時間が上限規制を超えてしまうと、罰則や従業員の健康被害につながる可能性があります。
今回紹介した内容を参考に、残業時間における自社の現状を見直しましょう。

監修者・江部 臨太郎

江部 臨太郎

新卒からアパレルショップ「FREAK'S STORE」に4年勤務。顧客売上全国1位を達成し副店長に昇格後、うなぎ屋「のだや」に転職。ホール責任者として2年勤務し、1年間の無職期間を挟み、リクルートに入社。広告メディア「SUUMO」を取り扱う一気通貫型の法人営業に2年間従事し、在籍期間で合計6回の社内表彰を獲得。その後、転職サイトdodaなどを取り扱うパーソルキャリアの新規事業開発室「Innovation Lab.」に転職。サービス業向けのDXを行うバーティカルSaaS「Sync Up」の新規事業立ち上げにBizサイド1人目としてジョイン。SaaS型パイプラインセールスの基盤構築と事業拡大に貢献。その後、パーソルイノベーションに転籍し、同事業部で計2年間、社内スタートアップの "0→1" フェーズに携わり、現職へ。執行役員として人材紹介サービス「Izul」の立ち上げに参画。現在はIzulの事業全体の戦略推進担当を担いながら、キャリアアドバイザーチームのマネジメント、及び自身もプレイヤーとして活動中。同時に個人事業主として、住宅メーカーやインテリアショップなどtoC事業者に向けたコンサルティング業務に従事している。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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