アクセンチュアは知名度が高く、転職市場でも人気を集める外資系コンサルティングファームです。しかし「誰でも入れる」といった口コミが見られるなど、転職の実態は正しく伝わっていない傾向にあります。そこでこの記事では、アクセンチュアの会社概要や転職難易度、選考フローなどについて解説しています。アクセンチュアへの転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
アクセンチュアの会社概要
アクセンチュアは1995年に設立された世界最大級の外資系の経営コンサルティングファームです。もともとは米国の監査法人「アーサー・アンダーセン」のコンサルティング部門として誕生し、現在は世界50ヶ所以上に拠点を構えています。ここでは、アクセンチュアの具体的な情報を紹介します。
事業内容
アクセンチュアの主な事業内容は、ビジネス戦略の策定・マネジメント支援・業務プロセスの改善といったコンサルティングサービスです。「ストラテジー & コンサルティング」「 テクノロジー」「オペレーションズ」「インダストリーX」「ソング」の5つの分野で事業を展開しており、世界中の大企業や政府機関に対してサービスを提供しています。
職種
アクセンチュアにはさまざまな職種が存在しており、たとえば以下のようなポジションで人材募集を行っています。
- セキュリティコンサルタント職
- アナリティクス・コンサルタント職
- データサイエンティスト職
- AIアーキテクト職
- コーポレート職
各職種の詳細については、アクセンチュアの採用情報を確認してください。
社風・カルチャー
アクセンチュアは、立場や年齢にかかわらず、社員一人ひとりがお互いの価値観を尊重する社風が特徴的です。オープンな環境のもと、信頼関係を築きながら自分の意見を率直に発信することが受け入れられています。また、経験のない新しい仕事や海外でのプロジェクトに対して意欲的な従業員が多く、企業側も積極的に挑戦を認めるようなカルチャーがあります。
アクセンチュアの平均年収データ
求職者の口コミサイト・ライトハウスによると、アクセンチュアの平均年収は798万円とされています。また、コンサルティング業界全体の平均年収の高さに伴って、アクセンチュアのなかでもコンサルティング職の年収は特に高めに設定されており、ポジションやスキルによっては1,000万円を超えるケースも見られます。
アクセンチュアの給与体系・ボーナス
アクセンチュアでは、毎年定められる年俸を12分割して支給する年俸制を導入しています。スキルや経験に応じてポジションがアナリスト・コンサルタント・マネージャー・シニアマネージャー・マネージングディレクターの5段階に分かれており、上位の職位へ昇進するほど年俸も高くなる点が特徴です。また、年俸制のため原則ボーナスは発生しませんが、企業の業績や個人のプロジェクトへの貢献度を考慮して、年収の3〜5%がインセンティブとして支払われることがあります。
<h2>福利厚生・働き方・研修制度</h2>
ここでは、アクセンチュアの福利厚生や働き方に関する制度などについて解説します。
参考:福利厚生・制度・手当 l 採用情報 | アクセンチュア
福利厚生
アクセンチュアでは、従業員に対して以下のような福利厚生を設定しています。
制度名 | 概要 |
確定拠出年金制度 | 従業員の希望に応じて、前払い退職金として受け取ることも可能。 |
従業員株式購入プラン | アクセンチュアの株式を社員が割引価格で購入できる。 |
長期収入所得補償(LTD) | 病気やケガ等で長期間働けなくなった際に、最大5年間・年収の約60%が補償される(免責期間あり) |
法人会員及び契約施設・ホテル等の割引特典 | ホテル使用におけるアクセンチュア特別レートの適用など、社員が利用できる様々な割引特典がある。 |
ポイント・割引サービス | 健康関連商品の購入やジム利用、旅行などの優待が利用できる。 |
健康サポート | 年1回の健康診断の受診が求められるほか、常駐する産業医や保健師への健康相談、社外のカウンセラーによるカウンセリング支援などが受けられる。 |
クラブ活動 | スポーツ部テニス・ゴルフ・野球・サッカー・バスケットボール・フットサル・ダイビング、トライアスロン・スキー・ダンス・バイクなど 文化部芸術・探検・軽音楽・写真・室内楽・実験・手話・茶道・将棋・釣り・ワイン・クルージング・カラオケ・eスポーツなど |
ライフパートナー制度 | 社員のライフパートナー(互いの関係性を証明できる者)にも各種制度や福利厚生が適用され、イベントの同伴なども可能になる |
休暇・手当
アクセンチュアで導入されている休暇や手当は以下のとおりです。
休暇 | 年次有給休暇私傷病休暇(※試用期間終了後から取得可能)結婚・出産・忌引休暇(ライフ・パートナーの場合を含む)リフレッシュ休暇ボランティア休暇 |
手当 | 時間外勤務手当深夜勤務手当出張手当住宅手当交通費支給 |
働き方に関する制度
アクセンチュアでは、多様な働き方をサポートするために以下のような制度を導入しています。
制度名 | 概要 |
フレックス制度 | 毎月1日から末日までにおける標準総労働時間の枠内で、社員が日々の始業および終業の時刻を自主的に決めることのできる制度。 |
在宅勤務制度 | 業務上可能と会社が判断した場合、承認に基づいて利用可能。 |
短日短時間勤務制度 | 週3日以上及び週20時間以上の範囲内で勤務時間を設定できる。制度利用の理由は育児や介護、ボランティア活動への参加も認められる。 |
育児時間 | 子が1歳になるまで、女性社員は休憩時間のほかに1日2回各30分まで(または1日1回1時間)、子を育てるための時間を有給扱いで取得できる。 |
内閣府ベビーシッター割引券の無料配布 | ベビーシッターの利用にあたって、1日4,400円の割引券を利用できる。 |
ベビーシッター法人契約 | 当日のベビーシッター予約が可能。病児保育対応のためお子様の急病や急な仕事が入った場合でもお子様を預けられる。 |
育児コンシェルジェサービス | 育児全般に関する問い合わせに経験豊富な育児コンシェルジェが対応する。 |
制度をうまく活用することで、ワークライフバランスを重視しながら仕事と家庭を両立しやすい環境になるといえるでしょう。
人材育成・研修制度
アクセンチュアでは独自の研修メニューを揃えており、オンライントレーニング・海外研修・部門内の勉強などさまざまな方法で、幅広いスキルを習得できる環境が整備されています。各メニューは専門家が監修しており、必要に応じて定期的にアップデートされる点が特徴です。また、担当中のプロジェクトとは直接関係ない社員が担当する「キャリアカウンセリング制度」も導入しており、キャリアプラン形成をサポートしています。
女性推進・ダイバーシティ
アクセンチュアではダイバーシティ推進に積極的に取り組んでおり、性別・国籍・障がいの有無・ジェンダーにかかわらず多様な人材が活躍できる組織づくりに重きを置いている点が特徴です。また、2006年に経営・人事・現場が一体となって「Gender Diversity Committee」を発足し、女性が活躍できる職場を目指して採用強化・女性リーダーの継続的な輩出支援などにも取り組んでいます。
アクセンチュアの転職難易度
アクセンチュアは人材を大量募集しており積極的な採用を行っているものの、外資系コンサルファームということもあり難易度は非常に高いといえます。また、新卒・第二新卒はポテンシャルで評価されるケースがあるのに対し、中途採用では専門的な知識や豊富な経験が重視されます。転職市場においても人気が高く、通過率は1桁台といわれているため十分な選考対策が必要です。
選考プロセス
アクセンチュアの一般的な選考プロセスは
- 書類選考
- 面接2〜3回
- 内定
という流れになっています。ただし、部門評価や1次面接の評価によってケース面接やフェルミ推定が実施されたり、Webテストや筆記試験が追加されたりするなど、選考フローが変化する可能性があります。
面接でよく聞かれる質問
アクセンチュアの面接でもっとも深く問われるのが「なぜコンサルティングファームを志望するのか」「そのなかでもなぜアクセンチュアなのか」の2つの質問です。自分の転職理由・志望動機・アクセンチュアに入社したあとのキャリアプランなどを論理的に一貫性を持って伝えられるよう準備しておきましょう。また、コンサルティング職として適性があるか判断するために、ケース面接やフェルミ推定などを実施して論理的な思考と説明をチェックすることがあります。
求められる人物像
アクセンチュアでは、求職者に求める人物像として「未来のアクセンチュアに必要なDNA」を設定しています。
- 背伸びをしてでも目標へ手を伸ばさずにはいられない
- チャレンジに、手加減をしない
- 自分も会社も世の中までも、変えたいと望む
- 常に次のステージを見据え、自らの開拓に貪欲である
- タフな状況も、先頭に立ち楽しめる情熱がある
- あるべき姿を追求するためには、立場や関係性を超えた主張を厭わない
- 信念に基づき、主張し、実際にやりとげる
- チームワークの可能性を信じる
- 多様な文化、相違する意見の中にこそ宝石があると知っている
- 常に誠実さを失わず、言行一致の気概がある
面接などでは、上記の要素を持つ人物であることを具体的な根拠をもとにアピールできるとよいでしょう。また、部門によってはTOEICなどの英語力が求められることがあります。
アクセンチュアに転職する前に知っておくべきこと
ここでは、アクセンチュアに転職する前に知っておくべきポイントを4つ紹介します。これらのポイントを事前に理解しておくことで、入社後のギャップを軽減しやすくなるでしょう。
客先に常駐して勤務することになる
アクセンチュアをはじめとしたコンサルティングファームでは、プロジェクトによって客先に常駐して勤務を行うことがあります。常駐先によって仕事内容や忙しさ、人間関係が大きく異なるため、環境に振り回されやすいといえるでしょう。また、勤務地は都内だけでなく地方も含まれるため、数ヶ月単位での出張が多くなりやすい傾向にあります。
中途入社後は相当な努力が必要
アクセンチュアに転職した場合、ある程度即戦力になることを期待して採用されているケースがほとんどです。しかし、業務において求められるレベルが高いため、自分の実力との差に苦しめられるケースは多く見られます。また、コンサルティングファームでの業務経験がない場合、業界独特の働き方やタスクに困惑することもあるでしょう。ほかの従業員に負けない成果を出し続けるには、転職した後も相当な努力が求められます。
入社後に社内異動しづらい
アクセンチュアでは希望の部署や職種に自ら立候補できる社内公募制度を設けていますが、この制度を利用できるのは入社から1年半以上経過した従業員に限られます。そのため、入社してすぐにミスマッチを感じても、社内異動を目指すにはハードルが高い点に注意が必要です。アクセンチュアでは多様な部署・職種があるため、あらかじめリサーチしたうえで正しく理解しておくことが大切になります。
長時間労働になることがある
コンサルティング業界は激務になりやすい傾向が高く、プロジェクトによっては長時間労働や休日出勤が必要になることがあります。アクセンチュアでは働き方改革に力を入れているものの、必ずしも労働時間が軽減されるとは限りません。アクセンチュアをはじめとするコンサルティング業界に転職する際は、働き方についてある程度覚悟が求められるでしょう。
アクセンチュアは誰でも入れるわけではない
アクセンチュアは人材の大量募集・採用を行っていることから、インターネットなどでは「誰でも入れる」といわれることがあります。しかし、積極的な人材募集は業績好調によるもので、採用において選考基準は高い水準を維持しています。コンサルティング業界の平均離職率が15%前後とされているのに対し、アクセンチュアは2015年から実施している働き方改革の効果で離職率を1桁台まで抑えている点が特徴的です。
まとめ
この記事では、アクセンチュアの企業概要や転職に関するポイントを解説しました。アクセンチュアでは従業員一人ひとりを尊重し、オープンな風土を築いている点が魅力的です。一方、転職市場でも人気が高く、転職するのは難しいとされています。アクセンチュアへの転職を目指すなら、自分で応募するより転職エージェントを経由したほうが効果的です。Izulの転職エージェントでは、ただ転職を目指すだけでなく、求職者のキャリア形成を重視した伴走型のサポートを実施しています。まずは相談からでもお気軽にご利用ください。