圧迫面接と聞くと面接官から追い込まれるような質問をされ、精神的に負担が大きいものとイメージする方も多いでしょう。しかし、企業によってはあえて圧迫面接を行うケースが存在することをご存じでしょうか。
今回は圧迫面接の基本に触れながら、なぜ企業が圧迫面接を実施するのか解説していきます。圧迫面接を乗り越えるための心構えについても触れているので、求職活動の参考にしてください。
圧迫面接とは
求職者に対しあえて高圧的な態度を取ったり、回答に困るような質問を投げかける面接を圧迫面接といいます。コンプライアンスへの意識が企業・求職者双方に高まった昨今では、圧迫面接を実施する企業は減ってきています。しかし、さまざまな目的により、今なお圧迫面接を実施する企業も一部存在します。
圧迫面接に多い傾向やワード
面接官が厳しい態度かつ高圧的な言い回しで求職者側を押さえつけようとすることが圧迫面接の特徴です。また、圧迫面接は、面接官が退屈そうな態度をとることもあります。舌打ちや頬杖など、求職者が不安になるような行動を取ることもあるでしょう。
ほかにも、以下のワードが随所に放たれる場合は圧迫面接に該当すると判断できます。
- 向いていない
- 帰っていい
- いいところがない
- すぐ辞める
- 活躍できない
- どこに行っても一緒
上記以外にも、とにかく否定的なワードで畳み掛けてくることが、圧迫面接の特徴です。
また出生や家庭環境、人生観に関することなど、働くうえで必要のない質問を投げかけてくる場合も圧迫面接に該当します。いわゆるプライベートが大半を占めるような種類の質問は、たとえ口調が穏やかでも圧迫面接だと判断して良いでしょう。
圧迫面接と「厳しい面接」の違い
声が大きく、口調が厳しいだけのものは、圧迫面接とはいえません。圧迫面接に対する不安から、単に厳しいだけの面接を圧迫面接と勘違いしてしまう場合があります。圧迫面接に該当する態度と混同しやすいため判断に困るかもしれませんが、まずは質問の内容から圧迫面接かどうか判断しましょう。質問の内容が働くうえで重要な観点となる場合は、たとえ面接官の態度に不安を覚えても、冷静に対応することをおすすめします。
圧迫面接と混同しやすい質問もあるので注意
面接官によっては、求職者の回答に対して逐一「なぜ?」と疑問を投げかけてくる場合があります。繰り返し聞かれると圧迫面接のように感じてしまいますが、「なぜ?」と問いかける行為は求職者についてより知りたいという気持ちからです。むしろ、より深掘りした質問をしてくれていることは、自分に興味を持ってくれていると解釈しましょう。
企業があえて圧迫面接をする目的
圧迫面接をする企業のほとんどは、何かしらの目的があってあえて実施しています。ここでは、圧迫面接をする企業の目的について解説します。しかし、以下で紹介する目的もなく、単に求職者にプレッシャーを与えるだけの面接を行っている企業もあるので、注意してください。
ストレス耐性のチェック
対人関係やノルマによるストレスが溜まりやすい企業の場合、あえて圧迫面接の形をとることで求職者のストレス耐性を確認します。あえてストレスを感じるような質問や態度で、ストレス耐性の観点で求職者の適性を判断する企業もあるでしょう。
コミュニケーション力・対応力の把握
面接の質問や回答は、どうしても似たようなものになりがちです。企業は、あえて答えづらい質問をすることで、求職者の対応力をチェックしています。また、会話しづらい雰囲気をわざと作り、コミュニケーションのとりにくい相手とどう関わる人材なのか判断する目的で実施する場合もあります。
求職者の本質を見抜く
一般的な質問だけでは、求職者の本質までは見抜けません。事前にしっかり準備する求職者も多いため、面接だけでは本音を聞き出しにくいことも事実です。求職者の本質を見抜くため、あえて厳しい質問をする企業も少なくありません。
圧迫面接を乗り切るための対処法
圧迫面接は意味をもって実施されるとはいえ、どうしても不安やストレスを感じてしまいます。ここでは、圧迫面接を乗り切るために押さえておきたいコツを紹介します。
相手の発言を一度飲み込んだうえで意見する
「うちには向いていない」などと言われても気負わず、まずは一度「そうかもしれません」と飲み込んでみましょう。そのうえで「しかし」と続け、自身の強みや企業に対する情熱を伝えてください。突き放すような言葉をただ受け入れて引いてしまうのではなく、一度飲み込んだうえで自分の意見を伝えることが大切です。
できるだけ前向きに回答する
高圧的な態度を取られてしまうと「もういいか」と諦めそうになるかもしれません。諦める気持ちが先に来ると、その後の発言も後ろ向きになりがちです。圧迫面接をされても気丈に振る舞い、前向きな発言を意識しましょう。前向きに答えることで、ストレス耐性や熱意などを高く評価されるかもしれません。
自身の発言に矛盾が生じないか意識する
予想だにしない質問をされると、どうしても動揺してしまいます。動揺を取り繕おうとして、矛盾のある発言や嘘をついてしまっては本末転倒です。圧迫面接を受けても自身の気持ちを冷静に保ち、回答に矛盾が生じないよう意識しましょう。
明るい態度を保つ
圧迫面接されても、怒りの感情を露わにすることは避けましょう。感情的になってしまっては、ストレス耐性がない人材と判断されます。たとえ自分の意見に対して否定的なことを言われても、冷静かつ明るい態度を保つことが大切です。
自身に非があった場合は素直に認める
企業によっては、あえて絶対に答えられないような質問をしてくることがあります。答えられないことに落ち込むのではなく、まずは非を認めましょう。そのうえで熱意をアピールできれば、質問に答えられなかったことがマイナス要因になりにくくなります。
どうしてもこの企業で働きたいという熱意を伝える
圧迫面接をされたからという理由で、もうこの企業に入りたくないと思う場合もあります。しかし「採用していただければ、御社にこんなふうに貢献できます」といった自身の価値を提供することで、企業からより高い評価を得られる場合があります。もし圧迫面接を乗り越えてでも働きたい企業である場合は、とにかく熱意を伝えることが大切です。
耐えられないと思ったらその場で帰るのもあり
ここまでは、圧迫面接を受けても乗り越えたい方に向けた対策です。しかし「圧迫面接を受けてまでこの企業に入るつもりはない」と感じる場合もあります。その際は、たとえ面接の途中でも自分から終了させてしまって問題はありません。ただし、黙って席を立つのではなく「ここまでの発言を受けて辞退したいと判断しました」と、ひと声かけてから帰るようにしましょう。
そもそも圧迫面接は受け入れるべき?
上述した項目でも多少触れましたが、どうしてもこの企業で働きたい!という強い熱意がない場合は、圧迫面接を受け入れる必要はないでしょう。また、働きたい企業ではあるものの、入社後も圧迫面接と同じような対応をされるのか?と不安になる場合もあります。不安が熱意を上回ってしまった場合も、圧迫面接は受け入れなくて良いでしょう。
企業が圧迫面接をする理由について把握したうえで、それでも受け入れられるか客観的に考えることが大切です。圧迫面接を越えた先に自身のメリットが待っていると判断できるかどうかで、受け入れるべきかどうかを判断しましょう。
まとめ
今回は圧迫面接の概要や、企業が圧迫面接を実施する理由について解説しました。求職者の熱意や適性を判断するために、あえて圧迫面接をする企業も未だ存在します。
しかし、質問の内容によっては、明らかに不適切な場合もあります。また、熱意を持っていても、どうしても我慢できないほどの圧迫面接を受けることもあるでしょう。今後この企業で働くうえでの不安要素になってしまう場合は、圧迫面接を無理に受け入れる必要はないでしょう。
圧迫面接は、どうしてもストレスに感じてしまいます。自身の気持ちをコントロールしながら、熱意を伝えたうえで乗り越える工夫を考えましょう。