志望企業の入社希望日が合わない場合、内定取り消しの可能性はあるのでしょうか。結論としては、タイミングによって入社日の交渉は可能であり、内定取り消しにつながる心配はありません。
しかし場合によっては、内定取り消しとなるケースがあるため、適切なタイミングや交渉する際のポイントを押さえておくことが大切です。今回は転職先への入社日の交渉について、詳しく解説します。
転職先への入社日は交渉可能なのか
転職先への入社日は交渉可能です。特に在職中の場合、就業規則の関係や引き継ぎ作業などから、入社までに時間を要するケースがあるためです。しかし、タイミングやトラブルによっては一概には言えない場合があるため、注意が必要です。
入社日を交渉するタイミング
入社日の交渉は内定をもらったタイミングでできます。もしくは内定をもらった日から、2〜3か月までの間であれば入社日を交渉できることもあるでしょう。内定をもらってしばらく経った状態で交渉しても、間に合わないこともあるので注意が必要です。
一度決めた入社日を変更することは可能?
企業と相談して決めた入社日であっても、退職交渉の難航や引き継ぎ作業の進捗状況によっては、入社日までの退職が難しいケースがあります。
入社日を変更しなければならない具体的、かつ合理的な理由があれば、その旨を転職先へ相談することで、柔軟に対応してくれる場合があります。しかし、退職交渉が難航すると「本当に難航しているのか」「何か別の理由があるのではないか」といった疑念を転職先企業の担当者に抱かせてしまうため、入社日までは転職先企業の担当者と綿密なコミュニケーションを取り、できるだけ早い時期に入社できるよう努めましょう。
そもそも入社日はどのように決まるのか
入社日はどのような流れで決まるのでしょうか。一般的には、募集開始時点で決まっている場合とそうではない場合があります。
ここでは、入社日が募集時点で決まっている場合のおおまかな流れと合わせて、内定から入社までの期間などを解説します。
募集時点で決まっている場合がある
入社日は、企業が求人募集を出した時点で決まっている場合があります。これは企業によって期の変わり目にのみしか中途採用者を受け入れない決まりがある場合や、採用にまつわる予算が決まっていることが理由です。
企業側独自の事情やルールがある場合、退職や異動によって生まれた欠員募集を行う状況であっても、入社日が決められているケースがあります。
内定から入社までの期間
内定から入社までの期間は、一般的に1~3ヵ月です。現職との兼ね合いを踏まえて調整するときは、この期間をベースにスケジュールを組むと良いでしょう。
まれなケースとして、専門性の高いスキルや経験を有する人材を求める企業だと、6ヵ月や1年など、長期にわたって入社を待つ場合もあります。しかし非常にまれなケースであることから、基本的に内定から入社までの期間は、1~3ヵ月のスケジュールであることを理解しておきましょう。
面接時に入社日を相談されるケースも
面接時に入社日を相談されたときは、現職の就業規則や引き継ぎ作業の進捗状況を踏まえた上で申告しましょう。
求人募集を出した時点で入社日を設定する企業が多いことから、面接時に入社日を相談されるケースを想定しておくことも大切です。
就業規則を確認した後は、引き継ぎ作業に使用する期間を1ヵ月前後確保します。一通りのスケジュールについて予想できたら、余裕をもって入社可能日を採用担当者に伝えましょう。
【パターン別】入社日を交渉する際のポイント
あらかじめ設定された入社日を求職者側の都合で変更する場合は、適切な時期を見極めた上で交渉する必要があります。
ここでは以下の4つのパターン別に見た、入社日を交渉する際のポイントを解説します。
- 面接時に入社日を聞かれた場合
- 早期での入社を求められた場合
- 入社日を伝えられていない場合
- 転職エージェントを活用している場合
面接時に入社日を聞かれた場合
面接時に入社日を聞かれた場合は、具体的な期間を想定した上で回答しましょう。在職中であれば、「引き継ぎが1ヵ月前後かかることを想定し、○月○日以降を予定しています」など、具体的な数字を用いて回答することで、採用担当者もイメージしやすくなります。
内定後早期での入社を求められた場合
早めの入社を求められた場合は、企業の意向を配慮した上で、無理のない範囲での最短入社日を回答しましょう。
どうしても企業との折り合いがつかない場合は、内定取り消しにつながる可能性があります。しかし無理をすれば、現職や転職先でトラブルになる恐れがあるでしょう。双方の入社日に折り合いが付かない場合は、縁がなかったと割り切り、次の転職先を探すことをおすすめします。
入社日を伝えられていない場合
転職先から入社日を伝えられていない場合は、企業側の失念の可能性があります。この場合は自分から入社日について訪ね、スケジュールを見ながら交渉しましょう。
転職エージェントを活用している場合
転職エージェントを活用している場合は、入社日を含む企業との交渉はすべて担当のアドバイザーが進めます。企業に直接伝えるのではなく、この場合は担当アドバイザーに相談することをおすすめします。
入社日の交渉に関する注意点
入社日は、求人募集を出す時点で決まっているのが一般的です。退職難航や引き継ぎ作業の進捗状況など、あらゆる事情で変更を交渉する場合は、以下の5つの注意点に留意した上で進めましょう。
- 自己都合にマッチした最短入社日を決めておく
- なぜその入社日なのか明確にしておく
- 企業が掲示する入社日にも配慮する
- 企業の希望に合わせすぎない
- 面接の段階で交渉する
自己都合にマッチした最短入社日を決めておく
在職中の場合、さまざまな理由によって転職先が希望する入社日に間に合わないこともあります。このようなときは、決められた入社日には入社できない具体的な理由と合わせて、適した最短入社日を決めておきましょう。
退職交渉が難航しているときは、上司との話し合いを進めなければならないことを踏まえ、長くても10日~14日程度かかる見込みで最短入社日を決めると良いでしょう。
理由によっては、退職交渉が長期化する恐れもあります。現職・転職先どちらの企業ともトラブルにならないよう、余裕を持たせたスケジュールを転職先へ申し出た上で交渉を進めましょう。
なぜその入社日なのか明確にしておく
企業で決められた入社日よりも前倒ししたい場合や延期したい場合は、具体的な理由を明確にしましょう。今の会社をできるだけ早く辞めたいなど、感情的な理由だとネガティブな印象を与えてしまうため、正当性のある理由を伝えることが大切です。
たとえば現職の就業規則と照らし合わせた結果、転職先が希望する入社日では入社できない場合は、「現職の就業規則により、退職までに1ヵ月必要であるため」などといった理由です。仕事上の責任における理由であれば、正当性のあるものと見なされやすいため、社会人としてのマナーやルールを踏まえた理由を伝えましょう。
企業が掲示する入社日にも配慮する
現職などの都合によって、転職先が希望する入社日に入社できない場合であっても、求職者側の理由だけを一方的に伝えるのは厳禁です。
転職先にも社内承認が済んでいるといった諸事情があります。まずは企業が提示する入社日を聞き、その上で就業規則など求職者側の理由を伝えるよう配慮しましょう。
企業の希望に合わせすぎない
スキルや経験によっては、転職先から入社日を前倒しできないか打診されるケースがあります。この場合も企業の意向に感謝した上で、自身の都合を伝えるなど、無理のないスケジュールを交渉しましょう。
面接時に入社日を相談されるケースも
企業によっては、求人募集を出す段階や内定後に入社日が決まっています。入社日がずれ込む場合は、面接の段階であらかじめ交渉することをおすすめします。
ただし双方の折り合いがつかない場合、その時点で不採用となる可能性があります。しかし、無理にスケジュールを合わせてしまえば、在職中の企業にも転職先にも迷惑がかかります。双方の折り合いがつかない場合は縁がなかったと割り切り、新しい転職先を探しましょう。
まとめ
転職先の入社希望日と、自身の入社希望日が合わない場合、不採用を恐れて無理に合わせてしまう人がいます。しかし自身にとって無理なスケジュールで進めてしまえば、トラブルの原因になりかねないので、避けてください。
転職先の入社日が自身の意向と合わない場合は、まずその背景に配慮し、その上で明確な理由とともに最短入社日を交渉するよう努めましょう。