異業種への転職を検討する際に「未経験での転職は可能なのか」と不安に感じる方もいるでしょう。未経験での転職の可否は、企業や業界ごとに異なるため、実情を把握しづらいのが現状です。本記事では、未経験での転職を現実的にするために必要な情報を解説します。未経験者の分類や転職成功のポイント、未経験者を募集する企業の傾向などを理解して、新たなキャリア形成における不安を解消しましょう。
未経験での転職は可能か
結論から述べると、未経験でも転職自体を成功させることは可能です。即戦力を求めている企業や求人の場合は難しいものの、在籍する人材の数や幅を広げたいと考えている企業も存在します。
業種や職種によって差はありますが、未経験だからといって転職できる確率が下がることはありません。また、転職先の選択肢もそこまで狭まることはないでしょう。ただし、社会人経験がまったくない、企業が指定する年齢制限に引っかかる場合などは、受け入れてもらえない可能性があります。
未経験者の分類
転職の未経験者は、業界未経験者と職務未経験者の2種類に分類されます。いずれも未経験での就業を前提としているため、意欲の高い人材が多い傾向にあります。
業界未経験者
業界未経験者とは、転職希望先の業界で働いた経験はないものの、応募職種での職務経験を有している人のことです。職務における経験はあるため、業界知識を身につけることで比較的早い段階で戦力として活躍できるとみなされます。
職種未経験者
職務未経験者とは、応募職種での経験はなくても、同じ業界で就業した経験のある人材のことです。業界に関する知識を有しているため、職務において必要な業界特有のルールなどをスムーズに理解しやすい特徴があります。また、同じ業界にいたことで仕事に関する基礎知識を把握している場合も多いため、職務に関する知識・技術さえ習得できれば、すぐに活躍することが可能です。
未経験者が転職を成功させるうえでのポイント
未経験者が転職を成功させる際は、応募企業の離職率や労働環境、有効求人倍率や年代ごとの傾向を把握しておくことが大切です。ここでは、未経験者でもスムーズに転職するうえでのポイントを紹介するので、転職活動の参考にしてください。
離職率をチェックする
離職率は「未経験者を含めて従業員が定着しやすい企業」かどうかを確かめるうえで重要な指標です。公表していない企業もありますが、以下の3つの方法を活用することで離職率を調べられます。
・ハローワークに問い合わせる
・「企業名 離職率」などでインターネット検索する
・会社四季報を確認する
離職率の低い企業は定着率が高く、未経験でも働きやすい環境であることが多いため、転職活動を進めるうえでの情報源となり得るでしょう。
労働環境を見極める
転職希望先がどのような労働環境なのか、調べておくことも大切です。特に業界・職種いずれも未経験の場合、事前に情報収集しておかなければ、入社後のミスマッチの発生確率が高まります。転職未経験の方が労働環境を把握するには、インターネット上にある口コミや転職エージェントの担当者からの情報を参考にするのが有効です。
有効求人倍率を把握する
有効求職者に対する有効求人数を示す割合のことを、有効求人倍率といいます。ハローワークに登録されている求人情報や求職者の情報を元に算出されるものです。有効求人倍率が高いことは「採用の受け口が広い」ことの証明にもなるため、有効求人倍率が高い業界は、未経験者が受け入れられやすいと判断できるでしょう。有効求人倍率は「有効求人数（件）」を「有効求職者数（人）」で割り、算出します。
年代ごとの傾向を把握する
未経験者の受け入れ体制を、年代ごとに設定している企業もあります。20代であれば未経験でも入社可能だが、40代は難しいというパターンもあるため、注意が必要です。未経験者の年代別入社傾向は、転職サイトのデータや転職エージェントの担当者から情報を仕入れることで把握できます。
未経験の転職希望者を募る企業の傾向
未経験での転職を成功させるには、採用の可否基準や面接対策を把握するだけでなく、募集企業の傾向を理解することが重要です。ここからは、どのような企業が未経験者を募集しているのか、3つの視点から解説します。
人員の母数を増加させたい
入社後の成長を加味し、企業全体の人員数を増加させるのが未経験者を募集する企業の特徴です。経験者のみの募集では応募者が増えないため、まずは未経験者から募集する企業も多くあります。立ち上がったばかりの企業や、新たな事業を展開する企業などが未経験者を多く募集する傾向にあります。
多様なアイデアを取り入れたい
業界・職種に関する経験値よりも、これまでにはなかったアイデアを取り入れるために未経験者を取り入れる企業もあります。既存社員や経験者だけでは、革新的なアイデアが生まれない可能性もあるでしょう。未経験者の考えや行動を自社の改革につなげたいと考える企業が、刺激を生み出す材料として未経験者を採用することがあります。
ポテンシャルのある人材を発掘したい
経験値よりも、今後の成長を見越した採用を重視したい企業が未経験者を受け入れる傾向にあります。たとえ経験がなくても、業務を通じた成長が期待できると判断されれば、採用される可能性があるでしょう。ただし、ポテンシャルがあると判断されなければ採用されないため、応募企業がどのようなポテンシャルを求めているのかを、企業の公式サイトや求人情報などからある程度把握しておくことが大切です。
未経験者を採用する企業側のリスク
企業にとって未経験者を採用することは、早期退職やコスト面でのリスクがあります。ここでは、未経験者を採用する企業側のリスクを解説します。企業目線のリスクを把握したうえで、自身がそのリスクに当てはまらないことをアピールすることが大切です。
入社後のギャップが原因で早期退職される
未経験者は経験者と比べ、入社後に業務内容や企業の雰囲気にギャップを感じやすい傾向にあります。ギャップが強いほど仕事に対して違和感を覚えやすく、早期退職につながりやすくなります。ミスマッチが発生しないように企業研究を進めるのはもちろん、企業側から業務環境などの情報を聞き出しておくことが大切です。
採用・教育にコストと時間がかかる
未経験者の採用する際、入社後のミスマッチを防止するために通常の採用よりも工数をかける企業もあります。面接の回数や採用試験の実施など、採用までに工数がかかると、それだけコストがかかります。また、経験者と同じもしくは近いレベルの基礎を身につけるには、教育に時間がかかってしまうのも事実です。そのため、人員母数の増加やポテンシャル採用に特化していなければ、そもそも未経験者を募集していない場合もあるでしょう。
まとめ
本記事では、未経験での転職の可否や、転職を成功させるうえでのポイントを紹介しました。未経験での転職を成功させるためには、未経験者の分類や企業が未経験者を募集する理由・リスクも把握しておく必要があります。未経験だからといって何も準備せず、ただ面接を受けに行く姿勢では転職活動は成功しません。情報収集や自己分析を徹底し、転職経験者と遜色ない知識の土台を作っておくことが大切です。
