転職後、3ヶ月ほどしか経っていないにもかかわらず「辞めたい」「別の企業に転職したい」と感じることがあります。これを「転職3ヶ月の壁」といい、転職後に多い悩みとして知られています。
今回紹介するのは、転職3ヶ月の壁に直面する原因や乗り越え方、乗り越えるうえでの注意点についてです。転職3ヶ月の壁だと誤認しやすい事象も紹介しているので、転職して間もない人はもちろん、転職後の悩みを把握しておきたい人もぜひ参考にしてください。
転職3ヶ月の壁とは
転職3ヶ月の壁とは、転職して3ヶ月ほど経過した段階で、退職したいと悩んでしまう事象のことです。
転職してから1〜2ヶ月後までは、業務を覚え、会社に馴染むことに夢中になるため、退職したいと感じることはあまりありません。しかし、仕事に慣れてきた段階で違和感を覚え「辞めたい」「もう一度転職活動をしたい」と感じるようになるのが、転職3ヶ月の壁の特徴です。
転職3ヶ月の壁に当たることは珍しい?
転職3ヶ月の壁自体は、よくあることです。リクルートエージェントの調査によると、転職後に今の職場を「辞めたい」と感じたことのある人の割合は6割以上でした。
参考:リクルートエージェント
転職後すぐは目の前のことに精一杯になっていても、3ヶ月経過することで冷静に自分と周りを見られるようになります。そのうえで「向いていない」「馴染めない」と感じることは、決して珍しいことではありません。
転職3ヶ月の壁について理解するうえで大切なことは、直面する原因や乗り越え方を知ることです。直面したからといってすぐに転職することを繰り返していては、今後のキャリア形成にも悪影響を及ぼしてしまいます。
本記事で紹介する原因や対策を知ることで、転職3ヶ月の壁を乗り越えてください。
転職3ヶ月の壁に直面する原因
転職3ヶ月の壁に直面する主な原因は、職場環境・転職前後のミスマッチ・業務内容の理解度の3つです。なぜ転職3ヶ月の壁を感じるのか、ここで挙げる原因を転職後のワークライフを充実させるために役立ててください。
職場環境
転職後1〜2ヶ月は自分のことで精一杯でも、3ヶ月ほど経過すれば周りを冷静に見られるようになります。冷静に周りを見た結果、人間関係・社風・働き方などに「馴染めない」と感じることも多いでしょう。職場環境への疑問は、自己解決できるものとそうでないものがあります。自己解決できるものに関しては時間の経過とともに慣れていきます。しかし、自己解決できない疑問はすぐ周囲に相談しないと、そのまま退職する理由になってしまうでしょう。
転職前後のミスマッチ
転職活動は、転職先企業についてリサーチしたうえで行います。その際、転職先企業で得られるメリットや実現できるであろう働き方を期待するのではないでしょうか。しかし、いざ転職しても事前に享受できると考えていたメリットを感じられず、違和感を覚えることがあります。年収やスキルの向上、理想とする人間関係の構築など、事前情報とのミスマッチが多いと、転職してすぐに「辞めたい」と感じてしまうでしょう。
業務内容の理解度
転職して3ヶ月の段階では、まだすべての業務を完璧に遂行できる状態ではありません。そのため、仕事についていくのに必死で、ただ疲弊し続けてしまうこともあります。また、自分の適性と業務内容の相性が悪いと感じることも、転職3ヶ月の壁に直面する原因です。業務内容の理解は時間をかけて解決できる可能性があるものの、根本的な相性面に関しては難しいかもしれません。
転職3ヶ月の壁はどう乗り越える?
ここでは、転職3ヶ月の壁をどう乗り越えるのか、考え方や方法の視点で解説します。
よくあることと割り切る
転職3ヶ月の壁は、決して珍しいことではありません。転職後すぐに退職したいと考える人の割合が6割にのぼることからも、転職3ヶ月の壁を感じる人は一般的に多いのだと考えられます。転職3ヶ月の壁そのものに危機感を抱くのではなく、よくあることと割り切ったうえで乗り越える意識が大切です。
社内の人間とコミュニケーションをとる
同僚や上司など、転職3ヶ月の壁を超えたであろう人たちとコミュニケーションをとってみましょう。一度転職3ヶ月の壁を乗り越えた人であれば、適切なアドバイスをくれることでしょう。自分一人で解消できない悩みも多いため、遠慮せず周囲の人を頼りにしてください。
入社前とのギャップを埋める
転職前後のミスマッチが転職3ヶ月の壁になることがあります。転職3ヶ月の壁が「よくあること」と考えるように、入社前とのギャップも同様に多いことだと割り切ってみましょう。年収や待遇など、求人内容と実際が異なるのはよくあることです。ギャップがあるからと落ち込まず、割り切って仕事をすることで気持ちが楽になります。また、入社前の理想にどう近づくか、前向きに考えることで転職3ヶ月の壁を乗り越えられることもあります。
新たな目標を設定する
転職3ヶ月の壁を乗り越える際は、3ヶ月目以降の目標を再度立てることが大切です。自分が何をすべきかわからなくなることで転職3ヶ月の壁を感じやすいため、新たな目標を立てて対策をとりましょう。新たな目標も「1ヶ月以内に○○を完璧に実施できるようになる」「3ヶ月後までに○件成約する」など、期限も含めて具体的に立てることが大切です。
転職3ヶ月の壁を乗り越えるうえでの注意点
転職3ヶ月の壁は、乗り越えるうえでの方法に付随した注意点も把握しておかなければなりません。
我慢しすぎない
転職3ヶ月の壁は「よくあること」ではあるものの、だからといって我慢しすぎてはいけません。我慢しすぎると心身の不調につながり、就業が困難になってしまいます。
社内の人間に対してストレスをぶつけない
転職3ヶ月程度では、社内での人間関係はまだ構築されていません。転職3ヶ月の壁におけるストレスを、社内の人間にぶつけないようにしましょう。今後の人間関係構築や業務の進めやすさに悪影響を及ぼすため、転職3ヶ月の壁が原因のストレスは社外で発散すべきです。
理想と完璧にマッチする企業は少ないと認識する
自身が抱く企業への理想と完璧にマッチする企業は、そもそも少ないと考えておきましょう。待遇や人間関係など、自分だけでは解決できないことも多いため、完璧を求めすぎるのは避けるべきです。いわゆる「落とし所」や「妥協点」を見つけ出し、そのうえで自分らしく働ける道を模索しましょう。
過去の職場と比較しない
「以前の職場の方が良かった」と、過去と現在を比較すべきではありません。自分には原因がないと、結局逃げているだけになってしまいます。転職3ヶ月の壁を乗り越える際は過去と現在を比較するのではなく、まずは自己分析から行うべきです。
「転職3ヶ月の壁」だと誤解しやすい事象
転職後3ヶ月という時期は、転職してすぐには気づけなかった事象を自覚できる時期でもあります。ここで紹介するいくつかの事象は「転職3ヶ月の壁」だと誤認しやすいものです。転職3ヶ月の壁と誤認したまま働き続けてしまうことは、心身の健康を害する原因になります。そのため、乗り越えるのではなく、転職などを視野に入れる必要があります。
ハラスメントによるストレス
自分以外が発端のストレスは、自分だけでは乗り越えられません。社内でのハラスメントが原因のストレスは我慢せず、上長などに相談してください。
労働条件の相違
年収や残業など、当初と異なる現状になることは珍しくありません。しかし、明らかに業務内容が異なる場合や、あまりに長時間の残業がある場合は、労働条件自体が異なっていると判断できます。この場合も自分で乗り越えようとせず、すぐ上司などに相談すべきです。
精神疾患
業務が原因のストレスが悪化し、精神疾患を抱えてしまうことがあります。精神疾患はれっきとした「病気」であり、転職3ヶ月の壁ではありません。すぐに治療を開始し、場合によっては休職や転職を検討してください。
その他の事情
家族の介護や出産、怪我や精神疾患以外の病気も、乗り越えるのが困難なものです。とはいえ、転職3ヶ月の壁に該当するものではないため、同じく休職や転職、働き方の変更などを視野に入れるべきです。
まとめ
「転職3ヶ月の壁」は、転職後に誰もが感じるものです。よくあることと割り切り、社内の人間とのコミュニケーションや入社前のギャップを埋めるなどして、乗り越えましょう。今回は、転職3ヶ月の壁に直面しやすい原因や対策、誤認しやすい事象について紹介しました。転職を検討している人はもちろん、転職3ヶ月の壁をどう乗り越えるか把握しておきたい人もぜひ参考にしてください。