有限会社とは?株式会社との違いや転職するメリット・デメリットを紹介

2023年3月3日

2024年11月13日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

転職活動をしていると「有限会社」というキーワードを見つけることがあります。有限会社という会社の形態など、理解しきれていない方も多いでしょう。

本記事では有限会社について、持分会社や株式会社との違い、転職のメリット・デメリットを含めて紹介します。なお本記事後半では、有限会社に転職する際の注意点も解説しています。

有限会社とは

有限会社とは、2006年5月の会社法の施行以前に存在していた会社形態のことです。

会社法により、2006年5月以前に設立された有限会社は、特例有限会社として存続しています。手続きをすれば、株式会社に変更することも可能です。

なお現在では有限会社という形態は廃止されており、新たに有限会社を設立することはできません。

持分会社との違い

有限会社と似た言葉の一つに、持分会社があります。持分会社とは、株主である社員がそれぞれ持分を持っている会社形態のことです。

持分会社と有限会社の違いは、経営手法と資金調達方法の2点にあります。有限会社は投資家から資金を調達して会社規模を大きくします。会社は株主のものですが、会社経営は社員自ら行うのが特徴です。

対して持分会社は、出資者が経営に関する決定権も保有しています。なお持分会社といっても合同会社・合資会社・合名会社など、それぞれ最低社員数などが異なる3つの会社形態があります。

株式会社との違い

株式会社は発行した株式により資金調達を行い、その資金で経営する会社形態のことです。

株式会社と有限会社(ここでは特例有限会社)の違いは、主に決済の公告義務にあります。しかし会社法の施行により、最低役員数や社員数の違いはなくなりました。

具体的には以下の表の通りです。

特例有限会社株式会社
最低資本金額なし1円以上
最低役員数取締役1人以上取締役1人以上
社員数上限なし上限なし
決済の公告義務なしあり

会社法が施行される以前は、株式会社を設立するためには「資本金1000万円以上」など厳しい制約がありました。しかし会社法が施行されると、資本金1円以上で取締役が1名以上いれば株式会社を設立できるようになり、有限会社と株式会社の違いはほとんどなくなりました。

有限会社と株式会社で働き方の違いはある?

有限会社と株式会社はどちらに転職したとしても、働き方の違いはほとんどありません。

一般的に働き方の違いは社員数に影響します。社員数が少なければ責任のある仕事を任されやすくなるほか、他の社員とも活発に交流できます。

対して社員数が多い企業は、分業制で業務の一部しか任されず、会社内の一部社員としか交流できないといった点が特徴です。

会社法が施行される以前、有限会社は社員数50名以下といった制限がありました。しかし現在では、社員数の上限は撤廃されています。そのため有限会社の時代から社員数を増やしていない企業もあれば、上限撤廃に伴って規模を拡大している企業もあり、社員数は企業によってさまざまです。

また株式会社も同様、大企業もあれば小規模で事業を行っている企業も存在します。

会社法によって有限会社は設立不可能に

前述したように、2006年5月の会社法施行以降、有限会社の設立は不可能になりました。そのため有限会社だった企業は有限株式会社として存続するか、手続きを通して株式会社に変更するかのどちらかを選択しています。

有限会社が設立不可能になった背景には、会社法による最低資本金額の撤廃などにより、起業のハードルが低くなったことが挙げられます。

そもそも有限会社は、小規模な会社を設立するために用意されていた会社形態のひとつでした。しかし制限が撤廃されたことにより株式会社でも小規模に事業を始められるようになったため、有限会社という形態が不必要になりました。

有限会社に転職するメリット

先述したように、有限会社と一言にいってもさまざまな特徴を持つ企業が現われるようになりました。

本章で紹介する有限会社に転職するメリットは、全ての有限会社に該当するものではないことを前提にご覧ください。

会社が小規模で経営者との距離が近い

会社法が施行される以前の風潮を色濃く残し、会社を小規模のまま運営している有限会社は社員数が少なく経営者との距離が近いといった魅力があります。

経営者との距離が近いことで得られるメリットは以下の4つです。

  • 経営者から直接指導してもらえる
  • 経営者のノウハウを吸収できる
  • 実績を出せば評価してもらいやすい
  • 直接経営者に提案できる

異動や転勤の可能性が低い

有限会社は基本的にひとつの事業を続けていることが多いため、転勤や異動の可能性が低い傾向にあります。

転勤や異動が少なければパートナーが仕事を辞めたり、子供を転校させたりする必要もありません。またそのエリアの顧客と長く付き合えるため、信頼関係を築きやすくなります。

しかし転勤や異動は新しい環境での刺激が仕事の成果につながるほか、社内での人脈が増えるなどデメリットばかりではありません。そのため転勤が少ない点が、本当に自分にとってプラスに作用するかは改めて自分に問いかける必要があります。

有限会社に転職するデメリット

有限会社には経営者との距離が近く転勤や異動の可能性が低いといったメリットがある一方、株式会社よりも信用度が低いと思われ、ワンマン経営になりやすいといったデメリットを持ち合わせています。

本章で紹介するデメリットも、メリット同様全ての有限会社に該当するとは限らないため、あくまで参考程度に確認してください。

ワンマン経営になりやすい

有限会社は小規模に事業を経営している場合が多く、経営者も少ないため社長のワンマン経営に陥りやすい傾向にあります。ワンマン経営で経営者の能力に業績を依存している企業は、経営者が倒れると会社も倒産する可能性があります。

当然ワンマン経営にも意思決定のスピードが速く、責任の所在が分かりやすいといった点がメリットです。しかし、ワンマン経営にはリスクも潜んでいることは理解しておきましょう。

株式会社よりも信用度が低いと思われやすい

有限会社は会社法施行以前、小規模な事業を行うための会社形態としてイメージが定着していました。そのため、有限会社は株式会社よりも信用度が低いと思われることがあります。

しかし有限会社は事業継続年数が多い傾向にあるため、事業規模が小さいからといって必ずしも信用度が低いわけではありません。

あくまで有限会社は信用度が低いと思われる可能性がある、といった程度で認識しておきましょう。

有限会社に転職する際の注意点

有限会社に転職する際、有限会社特有のメリット・デメリットを期待すると、希望通りの転職が実現しない可能性があります。

先述したように会社法が施行されて以降、有限会社独自の特徴はほとんどなくなりました。そのため有限会社であれば「転勤が少ない」「経営者との距離が近い」といった魅力があるとは限りません。

転職活動の際は有限会社と株式会社を気にして企業を探すのではなく、それぞれの企業の社風や働き方、業務内容を調べて自分にマッチした転職先を見つけましょう。

まとめ

2006年5月に会社法が施行されて以降、有限会社の新規設立はできなくなりました。そのため以前の有限会社は現在、株式会社か特例有限会社として事業を続けています。

一般的に有限会社は、異動や転勤が少なく経営者との距離が近いといったメリットがありますが、全ての会社に共通するものではありません。

そのため転職活動の際は有限会社か株式会社かを気にするのではなく、それぞれの企業の社風や働き方を調べて自分に合った企業を見つけましょう。

監修者・江部 臨太郎

江部 臨太郎

新卒からアパレルショップ「FREAK'S STORE」に4年勤務。顧客売上全国1位を達成し副店長に昇格後、うなぎ屋「のだや」に転職。ホール責任者として2年勤務し、1年間の無職期間を挟み、リクルートに入社。広告メディア「SUUMO」を取り扱う一気通貫型の法人営業に2年間従事し、在籍期間で合計6回の社内表彰を獲得。その後、転職サイトdodaなどを取り扱うパーソルキャリアの新規事業開発室「Innovation Lab.」に転職。サービス業向けのDXを行うバーティカルSaaS「Sync Up」の新規事業立ち上げにBizサイド1人目としてジョイン。SaaS型パイプラインセールスの基盤構築と事業拡大に貢献。その後、パーソルイノベーションに転籍し、同事業部で計2年間、社内スタートアップの "0→1" フェーズに携わり、現職へ。執行役員として人材紹介サービス「Izul」の立ち上げに参画。現在はIzulの事業全体の戦略推進担当を担いながら、キャリアアドバイザーチームのマネジメント、及び自身もプレイヤーとして活動中。同時に個人事業主として、住宅メーカーやインテリアショップなどtoC事業者に向けたコンサルティング業務に従事している。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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