志望動機というと、動機となる一文を最初に書き、理由、結論でまとめるという書き方をする人が多いことでしょう。しかし、採用担当者の心を惹き付け、書類選考や採用へと結びつける志望動機の多くは、結論となる締めくくりの文章が全く違います。
今回は求職者の方が、志望動機の締めくくりに書くべき内容とポイントについて解説します。本記事の後半では書類作成時に役立つ例文も紹介しています。これから転職活動を始める方や書類作成につまずきがちな方は、ぜひ参考にしてください。
志望動機の締めくくりで書くべき内容
志望動機の締めくくりでは、はじめの結論に対して一貫性のある入社後のビジョンや目標、イメージしている働き方を書きましょう。
採用担当者は志望動機から、自社を選んだ理由と求職者の人柄、どのように貢献する可能性があるかを判断しています。そのため、結論を具体的に書いてまとめるだけでは、応募者の入社後をイメージしにくく、選考につながりにくいのです。
志望動機の締めくくりで書くべき内容としては、企業に貢献できることや入社後に実現したいこと、どのような働き方をイメージしているかを書くよう努めましょう。
志望動機の締めくくりが重要な理由とは
志望動機の締めくくりは、なぜそれほどまでに大切といわれているのでしょうか。ここでは重要とされる理由について2つご紹介します。採用担当者の印象に残る志望動機に仕上げるためにも、具体的な理由を押さえておきましょう。
志望度の高さをアピールできるため
1つ目の理由としては、志望度の高さを強くアピールできることが挙げられます。志望動機の締めくくりは、入社後の働き方をイメージできる内容にまとめることが大切です。
求職者が入社した場合に、どのような目的・目標を持って業務に取り組むと考えているかを伝えられれば、志望度の高さが伝わります。内容が濃ければ濃いほど、濃密な締めくくりに仕上がり、書類に目を通した採用担当者も、入社後のビジョンをイメージしやすくなります。
志望動機の印象を左右するため
2つ目は志望動機の印象を左右することが挙げられます。前半の内容が企業にとって良い印象のあるものでも、締めくくりとなる文章が抽象的だと、どこかぼんやりとした内容に仕上がってしまいます。そのまま提出すれば、前半部分を読んで期待した採用担当者も、「この人は少し不安だな」など、締めくくりの文章でネガティブな印象を抱くでしょう。そのような意味でも、志望動機の締めくくりは、採用担当者が抱いた期待に添う内容にまとめることが大切です。
志望動機の締めくくりを書く際のポイント
志望動機の締めくくりは採用担当者の印象を大きく左右します。最後まで気を抜かず、入社後のビジョンを印象づける内容に仕上げるには、ポイントに沿ってまとめることが大切です。ここではより印象づけるためのポイントを5つ紹介します。志望動機のまとめ方や流れについて悩む方は参考にしてください。
断定的かつ前向きな表現で書く
ポイント1つ目は、断定的かつ前向きな表現で書くことです。志望動機の締めくくりは、採用担当者の印象を左右し、採否を決定づける大切な部分です。そのため、「〜だと思っています」といったふわっとした内容だと、求職者の意思が伝わりにくい締めくくりとなってしまいます。
採用担当者にとっても「結局のところ、入社してどう活躍しようと考えているのかわからない」とネガティブな印象が残るため、「〜といった目標を掲げて活躍いたします」など、前向きな内容を断定的にまとめるよう工夫しましょう。
不要な定型文は避ける
ポイント2つ目は、不要な定型文を避けることです。不要な定型文とは、志望動機の中でも多く見られる「入社後には貴社の社員として貢献できるよう、精一杯精進いたします」といったものです。
採用担当者は数多くの応募書類に目を通した経験から、書類に書かれた一文がオリジナルか定型文かをすぐに見分けられます。そのため、多くの応募者が書くであろう一文を盛り込むと、志望度の高さが感じられず、ネガティブな印象だけを残してしまいます。
文章を書くことが苦手であっても、オリジナリティのある締めくくりに仕上げましょう。
本文から飛躍しすぎない
3つ目のポイントは本文から飛躍しすぎないことです。志望動機は締めくくりの文章だけでなく、はじめに書く結論や理由に添う内容にまとめなければなりません。そのため、結論や理由にねじれのある締めくくりだと、応募そのものに疑念を持たれてしまいます。
志望動機の締めくくりは、結論と理由に対して一貫性のある内容にまとめることが大切です。完成後に不安を感じるときは、家族や友人にチェックを依頼するのがおすすめです。
入社後をイメージしやすいようにする
4つ目のポイントは入社後をイメージしやすい内容にまとめることです。結論と理由で志望動機を書き進めたら、最後はそれらを踏まえてどのように働こうと考えているかを伝える内容にまとめましょう。
たとえば、「入社後は知識や資格を活かして年間売上率を20%アップしたいと考えています」などです。このような締めくくりだと、「スキルを活かしながら自社に貢献する目標をすでに立てている」など、採用担当者も入社後のイメージが湧きやすく、期待度も高まります。結論や理由につながるような入社後のイメージを考え、最後の一押しとなる一文にまとめましょう。
具体的に書く
5つ目のポイントは具体的に書くことです。どんな書類でも、抽象的な内容は相手の心に響きません。告白の手紙を受け取ったときに「ずっとあなたのことが気になっていました」だけだと、何を伝えたいのかがピンときません。「ずっとあなたのことが気になっていました。好きです。付き合ってください」と具体的に書くと心に響き、いつまでも記憶に残る手紙になります。
志望動機の締めくくりも同じです。「貴社では即戦力になるよう精一杯頑張ります」といった内容だと、「どのように頑張ろうとしているのだろう」といった疑問が湧きます。「入社後はこれまでの経験と積極的な姿勢を用いて、年間売上20%アップにつながるよう努力いたします」といったように一文に具体性を盛り込むと、志望度の高さがうかがえるほか、前向きな姿勢が伝わります。
志望動機の締めくくりは必ず具体性を盛り込み、採用担当者が求職者に期待したいと感じる内容にまとめましょう。
【パターン別】志望動機の締めくくり例文
志望動機の締めくくりは、将来性、熱意、入社後のイメージ、個性を出したい場合などさまざまなパターンにわけてまとめるのがおすすめです。ここでは、4つのパターンに合わせた例文をご紹介します。志望度の高さやアピールポイントを盛り込み、採用担当者の心に響く内容に仕上げましょう。
将来性を盛り込んだパターン
将来性を盛り込む締めくくりにまとめるときは、以下の例文を参考にしましょう。
(理由) 貴社では人事部の即戦力として活躍できるよう、社会保険労務士の資格を取得しました。 (締めくくり) 今後は貴社の人事部社員として社員全員のサポート、フォローができるよう精一杯精進して参ります。 |
熱意を盛り込んだパターン
志望した熱意を盛り込むときは以下の例文を参考にしましょう。
(理由) スマートフォンやタブレットなどでいつでもニュースが読めるようになった2011年頃から、貴社で取り扱う記事をいつも楽しく拝読しており、いつか私も貢献できればと考えていました。 (締めくくり) 世界中の人が心待ちにするような記事を制作し、少しでも前向きな気持ちになれるようなメディア作りを目指し、これまでの経験を活かして戦略や記事制作に尽力して参ります。 |
入社後のイメージを盛り込んだパターン
入社後のイメージを盛り込むときは以下の例文を参考にしましょう。
(理由) 貴社に入社後は、前職で養った経理の知識を活かしたいと考えています。 (締めくくり) 企業全体をサポートする立場として貢献できるよう、さらなる資格取得などにも取り組みながら精一杯精進して参ります。 |
個性を盛り込んだパターン
個性を盛り込むときは以下の例文を参考にしましょう。
(理由) 貴社の説明会に参加した際、「一人ひとりに寄り添う」という企業理念のひとつに、深く感動いたしました。大きく変化する時代だからこそ、人とのつながりが大切だと再認識したきっかけとなりました。 (締めくくり) 入社後は貴社の企業理念を踏まえ、持ち前のコミュニケーション能力を活かした提案を実施したいと考えています。 |
志望動機の締めくくりNG例
前半の内容がどれだけ良くても、締めくくりの文章が悪ければ採用担当者からの印象も悪くなります。特にNGとされる例文は以下のとおりです。
NG例 貴社に入社した後は、与えられた仕事を全うしたいと思います。私の持ち味はコミュニケーション能力の高さだと思っているので、多くの人と仲良くしながら働けそうです。 |
採否を決める書類であるのに敬語が使えていないほか、表現も稚拙で抽象的な内容であるため、入社後のビジョンがイメージできません。
志望動機はビジネスシーンの対応を判断する書類でもあります。敬語は正しく使い、結論と理由に対して一貫性のある前向きな締めくくりに工夫しましょう。
まとめ
今回は志望動機の締めくくりの重要性と書き方についてご紹介しました。最終的な締めくくりが稚拙な内容だと、入社後の働き方に不安を与えてしまいます。志望動機の締めくくりは、前半部分の結論と理由に対して一貫性のある内容にまとめることが重要です。採用担当者が抱く期待を無駄にしないよう、最後まで気を抜かずに仕上げるよう心がけましょう。