不動産業は給与が高いイメージもあり、就活生からの人気も高い業界です。必然的に競争率も上がるため、印象に残る志望動機でアピールし、ライバルに差をつけておきたいものです。目に留まる志望動機を書くためには業界研究が必須なため、不動産業の仕事内容もしっかり理解しておきましょう。この記事では不動産業の特徴と職種別の仕事内容を押さえつつ、志望動機の書き方をポイントと実例も交えて解説します。
不動産業の特徴
はじめに不動産業の特徴や、求められる人材の傾向を解説します。
不動産業界は、業界全体で見て堅調な業界といえるでしょう。業界規模・業績ともに安定して推移しており、他業界と比較して平均年収がやや高いことも人気のポイントです。もちろん企業によって幅はありますが、インセンティブを導入している企業も多く、結果を出すほど収入面の期待が大きい業界といえます。
そんな不動産業界が求める人材の特徴ですが、主に以下の4点です。
- 数字にこだわる人物
- 信頼されやすい人物
- チームワークを大切にできる人物
- 知識や教養のある人物
実力主義の業界であり、契約数や売上額という実績がものをいうため、年齢や性格などは評価に関係ありません。新入社員や転職後間もない場合でも、結果さえ出せば正当に評価されます。つまりそれだけ、数字を取るための努力や工夫、粘り強さも必要になってくるため、メンタルの強さも重要な要素です。
さらに、人から信頼を得られやすい人物は重宝されます。不動産業は取り扱う商品が非常に高額なため、お客様心理からすれば、契約にあたって少しでも不安要素はなくしたいところです。いくらいい物件だと思っても、信頼できる担当者でなければ契約は難しいでしょう。お客様と気持ちの良いコミュニケーションをとれる、人当たりのいい快活な人物が求められます。
また、不動産業はチームワークも大切です。デベロッパーとして都市開発に取り組む場合は、社内のチームだけでなく他社との共同開発でプロジェクトを進めていくこともあります。そのためコミュニケーション能力や協調性も非常に大切な要素です。
最後に、知識や教養もあればあるほど役に立ちます。お客様や取引業者の担当者など、接する相手の年齢層が幅広いため、彼らと上手くコミュニケーションを取るには、あらゆるジャンルの知識を持ちあわせているに越したことはありません。
【職種別】不動産業の仕事内容
ここでは不動産業の仕事内容を職種別に解説します。一口に不動産業といっても、個人の住宅提供から都市開発などさまざまな仕事があるため、改めて自分がどんな不動産業に就きたいのかを整理しておきましょう。
開発
不動産開発業は「デベロッパー業」とも呼ばれ、不動産業の中でも花形的なポジションです。大規模な宅地造成や街の再開発事業、リゾート・マンション・オフィスビルの開発などに携わります。公的資金で開発を行う「公的デベロッパー」と、民間資金で開発を行う「民間デベロッパー」に分類でき、規模が大きいため取引先は主に法人です。組織としてプロジェクトが動き、多くの企業・人と関わりながら仕事を進めていくため、組織力や協調性が非常に大切となってきます。
流通
おそらく不動産業でもっともイメージしやすいのが流通業でしょう。不動産売買や賃貸の仲介業が流通にあたり、不動産を売りたい人と買いたい人、貸したい人と借りたい人をつなぐ役割です。お客様個人を相手にするため、相手に合ったコミュニケーションや、要望を引き出すヒアリング力が求められます。また多くのお客様を同時に抱えることもあるため、効率的に仕事をさばけないと苦労するでしょう。
賃貸
不動産賃貸業は、分かりやすくいえば「大家さん」です。自らが所有する不動産を借りたい人に貸し出し、賃料を得ることで収益を出します。アパートやマンションなどの貸し出しだけでなく、土地そのものの貸し出しも不動産賃貸で、不動産の所有者がそのまま貸主です。
管理
不動産管理業はその名の通り、貸主の代わりに不動産を管理するのが仕事です。不動産の貸主には、賃貸契約や賃料の回収など、素人では難しい業務が多々発生します。これらの仕事を不動産のプロである管理会社が行ってくれるため、不動産を持て余しているような方にとっては安心できる存在です。
不動産業の志望動機を書くうえでのポイント
不動産業の志望動機を書くうえでのポイントを以下の3つに分けて解説します。
- 不動産業でなければならない理由を明確にする
- 志望先の企業である必要性を記載する
- 入社後に貢献できることを記載する
これらを最低限押さえることで、ライバルたちに引けを取らない志望動機になるはずです。
不動産業でなければならない理由を明確にする
世の中に数多くの仕事がある中で、「なぜ不動産業なのか」という点を明確に示しましょう。個人や法人への営業や販売という点など、似た仕事ができる業種はさまざまです。それでいて不動産業だから実現できること、不動産業でしか味わえないやりがいなどをアピールすることで、印象に残る志望動機が出来上がります。建物や土地という、わたしたちの暮らしに欠かせないものを扱う分野であるため、「不動産に携わることでよりよい街づくりに貢献したい」「安心して暮らせるお手伝いをしたい」など、不動産業ならではのポイントを盛り込みましょう。
志望先の企業である必要性を記載する
不動産業である理由を明確にしたら、次は「なぜその企業を選ぶのか」を記載しましょう。不動産業を扱う企業は数多くあり、業種によって仕事内容もさまざまです。競合他社に負けないよう、各社がさまざまな差別化に取り組んでいます。志望する会社と他社との違い、このような特徴があるから志望したということを明確にすることで、熱意が伝わりやすくなるでしょう。企業研究をどれだけしたかが如実に表れると同時に、入社意欲の高さをアピールできるポイントであるため、志望度の高い企業ほどしっかり取り組んでください。
入社後に貢献できることを記載する
あなたがその企業でどれだけ貢献できるかも、忘れずアピールしましょう。企業研究の成果と入社意欲は、前述の要素を踏まえればしっかり伝わります。しかしいくら熱意が伝わっても、実際に会社に貢献できる人材かどうか分からなければ採用してくれません。企業が求人を出す理由は、より売上を伸ばして成長するためです。人柄がいくら良くても売上を取れなければ、会社にメリットはありません。あなたの性格やエピソードが業務にどう活かされ、その結果これだけ貢献できるというアピールも忘れずに記載しましょう。
不動産業の志望動機を例文で紹介
最後に、不動産業への志望動機をOK例とNG例に分けてそれぞれご紹介します。例文を参考にして、あなたの性格やエピソードを上手く取り入れながら作ってみてください。
OK例
まずはOK例からです。
私は住宅の提供を通じて、人々がより安心できる生活を提案したいと思っています。大学生の頃に初めて一人暮らしをしたのですが、契約前は部屋の間取りや月々の支払いなど、さまざまな不安でいっぱいでした。しかしその時の不動産会社の担当者の方がとても優しく、親身になって相談に乗ってくれたことで、安心して新生活をスタートできました。
貴社は一人暮らし世帯向けの賃貸に強みがあると考えております。当時の私のように不安を抱えたお客様に対して、より安心して暮らせる生活を提供できるように活躍したいです。大学時代は法学部に通うほか、宅建士資格の勉強にも励み、土地に関する法律などを身に付けました。この知識を活かして、一日でも早く貴社の不動産営業として活躍し、多くの人に安心できる生活を提供したいです。
「住宅提案で安心できる生活を支えたい」というのは不動産業ならではの志望動機です。そこにつなげるために、自らの一人暮らし時の不安と、それを解消してくれた担当者というエピソードを出すことで、より根拠のある志望動機となり意欲がアピールできています。法学部での授業と宅建士資格の勉強ですでに知識があるという点も、会社にすぐ貢献できる理由として十分です。
NG例
こちらはNG例です。
私は大学時代、野球部に所属しキャプテンを務めていました。試合に勝つためには個人の能力以上にチーム力が大切なため、日々チームメイトとコミュニケーションを取ることを意識していました。部員一人ひとりと誠実に向き合い、自主練習に付き合ったり相談に乗るなど、さまざまな取り組みをすることでチームメイトから信頼を得られたと自負しています。ここで培ったコミュニケーション能力やヒアリング力は、必ず貴社でも活かされ売上に貢献できると考えています。お客様の話を丁寧に聞くことで営業として活躍したく、貴社を志望しました。
人柄はよく伝わり、実際にコミュニケーション能力などは高いことが伺えますが、不動産業で働きたい理由、この企業だからという理由が含まれていないため採用担当者には刺さらないでしょう。営業職への志望理由としてはよくアピールできていますが、業界・企業への志望動機がないため不十分です。業界研究・企業研究をしていないと受け取られる可能性があります。
まとめ
不動産業は人気の職種であり、競争率も高い業界です。多くの志望者の中から目に留まる志望動機を書けるように、業界研究と企業研究は丁寧に行いましょう。そして志望動機を裏付けるためには具体的なエピソードも必須です。あなたの人柄と、不動産業を志望する動機を根拠づけるために、過去の経験を振り返り、相手がイメージしやすいエピソードを盛り込んでください。