QAエンジニアとは、製品やサービスの品質を保証する職種のことです。作業品質は製品やサービスの品質を決めるといえるため重要視されている職種です。またQAエンジニアは、スキルや経験次第ではキャリアアップも可能です。今回はQAエンジニアの役割や将来性、仕事内容や求められるスキルについて詳しく解説します。
QAエンジニアとは
QAエンジニアとは、製品やサービスの品質を一定以上にするため、さまざまな施策を実行する技術者です。主に動作確認や不具合のチェック・修正、耐久テストを実行します。QAは「Quality Assurance」の略称で、「品質保証」を意味します。似ている職種にテストエンジニアがありますが、業務範囲が異なることを覚えておきましょう。
テスターやテストエンジニアが実行するのは、あくまでもテスト・検証作業のみです。対してQAエンジニアは、より広い業務を担当します。以下では、QAエンジニアの役割やテストエンジニアとの違いについて詳しく見ていきましょう。
QAエンジニアの役割
QAエンジニアの役割は、製品やサービスの品質を保証することです。あらかじめ定めた品質基準を上回っているかどうかをチェックし、品質を保証します。人為的なミス・偶発的なバグ・物理的な損傷・製造工程のトラブルにおける損傷など、さまざまなパターンの問題を発見し、改善へとつなげます。また公開後のサービスにおいては、品質の引き上げを求められる場合もあります。そのため、重要性が高い職種といえるでしょう。
QAエンジニアとテストエンジニアの違い
テストエンジニアは、製品の不具合やバグをチェックする職種です。一方QAエンジニアは、テストエンジニアの業務に加えて、製品を実際に使用する人が問題なく使用できるか検証します。また、仕様通りに動作ができるかを確認するのもQAエンジニアの仕事で、提供開始後の品質管理を担当することもあるでしょう。
QAエンジニアの将来性
QAエンジニアは品質を担保するために必要な職種のため、今後も需要が低下する可能性は低いでしょう。ただし、QAエンジニアとして活躍し続けるためには、Web関連の技術を随時向上させる必要があります。またAIやIoTなど、新たに登場した技術も習得しなければなりません。
QAエンジニアの仕事内容
QAエンジニアの主な仕事は、製品やサービスの品質を一定以上に保つためのテスト・検証・評価です。QAエンジニアへの転職・キャリアアップを目指している方は、各業務について把握しておきしましょう。
品質保証テストの設計・計画
製品の品質チェックや動作確認において、品質水準の数値目標やテスト方法、流れやテスト期間を決定します。設計に問題があるとテストに抜け漏れが出たり、テストにクリアしても品質が一定水準以下になることもあるため、最も重要な工程といえるでしょう。
品質保証テストの実行・検証
品質保証テストでは、事前に定めた品質基準をクリアしているかどうかを確認します。処理速度やUIの視認性など、細かな点までチェックします。また、テスターやテストエンジニアと連携する場合は、品質保証テストの計画について共有する必要があります。
品質保証テストの結果分析・フィードバック
品質保証テストで見つかった不具合を分析し、数や内容を開発者へ伝えます。また、受託業務として品質保証テストを実行する場合は、クライアントへのフィードバックが必要です。その際、不具合の対策や改善案について提案することもあります。
QAエンジニアに必要なスキル
QAエンジニアは製品の品質を保証する重要な役割のため、必要なスキルを確実に備えていなければなりません。製品・サービスの品質保証には、その分野における知識や技術のほか、メンバーと円滑にやり取りできるスキルも必要です。ここでは、QAエンジニアに求められるスキルについて紹介します。
プログラミングスキル
QAエンジニアはプログラミング言語の知識がなければ、IT製品・サービスの品質テストを実行することができません。さらに、フィードバックの際も専門用語がわからないといった事態につながります。そのためIT製品やサービスのQAエンジニアには、十分なプログラムスキルの習得が求められます。
ソフトウェア開発スキル
ソフトウェア開発の知識は、品質テストの設計・計画を正しく実行するうえで必要です。また、開発工程の見直しを提案する際も、どのように開発されているか理解できなければなりません。QAエンジニアは、システムエンジニアやプログラマーなどの経験者が担当する傾向があるため、プログラムスキルやソフトウェア開発のスキルについてはあらかじめ所持している人が多いでしょう。
コミュニケーションスキル
QAエンジニアは他部署と関わることが多いため、コミュニケーションスキルが必須です。クライアントに改善策を提案する際も、提案力を活かせるコミュニケーションスキルが求められます。
QAエンジニアの仕事に役立つ資格
QAエンジニアになるための特別な資格は必要ありません。しかし、資格を持っていることでより転職が有利になると考えられます。ただし、あくまでも知識・技術・経験が最優先であることを覚えておいてください。
ここでは、QAエンジニアの仕事に役立つ資格について解説します。
IT検証技術者認定試験（IVEC）
IT検証技術者認定試験（IVEC）は、一般社団法人IT検証産業協会（IVIA）によるテストエンジニアの資格試験です。QAエンジニアに必要なチェック・検証の部分の知識・技術が試されます。7段階のレベルに分かれているのが特徴で、上位レベルに挑戦するには下位レベルの試験をクリアしなければなりません。
ソフトウェア品質技術者資格認定（JCSQE）
ソフトウェア品質技術者資格認定（JCSQE）は、一般財団法人日本科学技術連盟による資格です。ソフトウェア品質の向上に欠かせない能力を認定する資格試験として知られています。
STQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格は、JSTQB（Japan Software Testing Qualifications Board）によるソフトウェア品質のテストに関わる知識・技術を認定する資格試験です。アメリカやイギリス、ドイツなどのテストとの相互認証を行っているため、海外で働く場合を想定している方におすすめの資格といえます。
QC検定
QC検定は、日本規格協会グループ（JSA GROUP）による資格試験です。製品やサービスにおける品質管理の知識を認定する試験で、1〜4級までに分かれているのが特徴です。
QAエンジニアのキャリアパス
QAエンジニアでキャリアアップを目指すのであれば、知識・技術を高めて結果を出す必要があります。QAエンジニアのキャリアパスの選択肢は、以下の通りです。
シニアQAエンジニア
製品テストや設計に関して幅広い知識を持つのがシニアQAエンジニア。品質保証に関する高い技術と豊富な知識を持つ人材になれば、シニアQAエンジニアへの道がひらけます。チームリーダーとしてエンジニアの管理やマネジメントに携わったりと、より幅広い業務を担当できます。
QAコンサルタント
QAコンサルタントは、品質保証テストのみならず、その結果に基づいた改善策を提案します。コミュニケーションスキル、提案力なども身につける必要があるでしょう。
QAマネージャー
QAマネージャーは、品質保証のマネジメント業務をメインで担当します。また、チームメンバーを管理し、品質保証テストの質を維持・向上させる役割も担います。コミュニケーションスキルやマネジメントスキルは必要です。
まとめ
QAエンジニアは、製品やサービスの品質を保証する重要な職種です。システムエンジニアやプログラマーなどが担当することが多く、開発や品質管理に携わりたい方には適したキャリアパスといえるでしょう。製品・サービスが生まれ続ける限りQAエンジニアの需要はなくならないので、今後の将来性も高いと言えます。
QAエンジニアとしてキャリアアップを目指す場合、プログラミング言語や開発スキルに加えて、業界の動向や最新技術をキャッチする高い情報収集能力も必要になります。記事の内容を参考にして、ぜひキャリアの第一歩を踏み出してみてください。
