顧客企業の抱える課題を、事業計画・新規事業立案に関する視点からコンサルティングするのが「戦略コンサルタント」です。今回は、戦略コンサルタントの業務内容やキャリア、種類について解説します。
戦略コンサルタントを実際に目指そうと思っても、自身に必要なスキル・知識が備わっているのかわからないという人も多いでしょう。今回は戦略コンサルタントのへの転職につながるポイントなども含めて紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
戦略コンサルタントとは
ここでは、戦略コンサルタントの業務内容や職位、種類や経営コンサルタントの違いについて解説します。
業務内容
顧客企業の経営層に対し、事業計画・新規事業立案に関する提案を行うのが、戦略コンサルタントの主な仕事です。実際に顧客企業へインタビューし、最適な提案を用意するための仮説立て・検証を行います。中長期的な戦略立案やマーケティング戦略など、さまざまな領域で経営層の抱える課題を解決するのが戦略コンサルタントの役割です。そのため、幅広くかつ専門的な知見が求められる仕事といえます。
職位・キャリア
戦略コンサルタントに限らず、いわゆる「コンサルティングファーム」の職位は以下の通りです。
- アナリスト
- コンサルタント
- マネージャー
- プリンシパル
- パートナー
アナリストから戦略コンサルタントの道を進み、最終的にパートナーを目指すというのが戦略コンサルタントのキャリアです。また、戦略コンサルタントとしての経験を活かし、別のファームや異業種に転職するパターンもあります。
戦略コンサルティングファームの種類
戦略コンサルティングファームの代表として挙げられる企業は、以下の通りです。
- ベイン・アンド・カンパニー
- アクセンチュア(戦略グループ)
- A.T. カーニー
- アーサー・D・リトル
- ボストン コンサルティング グループ
- ローランド・ベルガー
- コーポレイト ディレクション
- プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー
- マッキンゼー・アンド・カンパニー
- ドリームインキュベータ
- マッキンゼー・アンド・カンパニー
戦略コンサルタントとして籍を置く候補先を決める際は、ここで紹介したファームを参考にしてください。
経営コンサルとの相違点
戦略コンサルタントと経営コンサルタントの相違点は、手がける領域にあります。戦略コンサルタントが全社的な戦略立案や新規事業の立ち上げに関わるのに対し、経営コンサルタントはIT戦略やシステム導入などの「ミドル領域」に関わります。
また、直接やりとりする役職が異なるのも、両者の相違点です。戦略コンサルタントが意思決定権を持つ役員クラスとやりとするのに対し、経営コンサルタントは、部長や課長と言ったミドルクラスの役職です。
さらに、役員を中心とした少人数のプロジェクトに携わる戦略コンサルタントに対し、経営コンサルタントは大人数のプロジェクトに携わるのが特徴です。
戦略コンサルタントへの転職を成功させるには?
戦略コンサルタントは、役員クラスと関わる重要なポジションであるため、非常に狭き門です。そのため、後ほど紹介する必須スキルや活躍するための知識を、しっかり身につけることが大切です。
専門的な知見が重視されることから、自分だけで転職を成功させる難易度も非常に高くなっています。ひとりで転職活動を進めるのに限界を感じたら、転職エージェントの利用も視野に入れてください。
転職エージェントであれば、現状のスキルや市場の状況を加味し、最適な提案をしてくれます。より確実なキャリア形成も現実的になるため、ぜひ利用してみましょう。
戦略コンサルタントに必要なスキル
戦略コンサルタントを目指すうえでは、自分に以下のスキルが備わっているか客観的に分析してみましょう。
- 論理的思考力
- ヒアリング力
- 提案力
- コミュニケーション能力
また、以下に挙げる資格を取得しておくと、戦略コンサルタントへの転職が有利になります。
- MBA
- 公認会計士
- 中小企業診断士
先に紹介したスキルの会得とあわせて、資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
戦略コンサルタントとして活躍するための知識
戦略コンサルタントとして活躍するためには、適性や年収、労働環境やキャリアパスを把握しておくことが大切です。仕事としてのやりがいや厳しさもあわせて、事前知識として身につけておくといいでしょう。
戦略コンサルに向いている人の特徴
戦略コンサルタントを目指すのであれば、顧客企業の期待に対し、常にハイレベルで応え続ける「プロフェッショナルマインド」が重要です。社運を左右する経営課題に向き合う必要も出てくるため、責任感・職業倫理観を高い基準で持てる人も、戦略コンサルタントに向いています。
また、先ほども触れた論理的思考力・ヒアリング力・提案力に自信があり、高いコミュニケーション能力をもってこれらを発揮できることも重要です。クライアントはもちろん、一緒にプロジェクトを進めるメンバーの動きにも気を配れる「視野の広さ」があることも、戦略コンサルタントに向いている人の特徴です。
年収の傾向
戦略コンサルタントの平均年収は、職位ごとに異なります。
- アナリスト:500〜800万円
- コンサルタント:900〜1,300万円
- マネージャー:1,400〜2,000万円
- プリンシパル:1,700〜2,400万円
- パートナー:2,500万円〜
経営層と関わる専門的な仕事である戦略コンサルタントは、年収が高い傾向にあります。ただし、高収入を実現するには、膨大な努力と実績が必要不可欠です。
労働環境
昨今の「ワークライフバランス」を重視する市場の動きから、戦略コンサルタントの働き方にも変化が見え始めています。休日出勤や過度の残業を減らす傾向にあるファームも多いため、働きやすさも確保されつつあります。とはいえ、クライアントと設定した仕事の納期を守るためには、イレギュラーでの出勤や残業もあるでしょう。
仕事のやりがいと厳しさ
戦略コンサルタントのやりがいは、企業や市場に与える影響の大きいプロジェクトに携われることです。経営層と直接関わり合う仕事であることから、各企業の意思決定に関われるのも戦略コンサルタントならではのやりがいといえます。
一方で、クライアントの経営層や自社からのプレッシャーが大きい点は戦略コンサルタントの厳しいところです。多忙な時期も多く、常に学びの姿勢を持ち続ける必要があるのも、戦略コンサルタントの厳しさといえます。
キャリアパス
先ほども紹介した、アナリストからパートナーを目指すというのが、戦略コンサルタントの一般的なキャリアパスです。もしくは、別のファームで自身の経験を活かし、新たな戦略コンサルタントとしての生き方を形成する選択肢もあります。戦略コンサルタントとして独立し、独自のサービスを展開していくキャリアパスも選択できます。
コンサルタントが提供する「価値」とは
クライアントにとって「自社を成長させてくれるパートナーかどうか」が、コンサルタントの提供すべき「価値」です。自社が抱える課題を、自社以上の知識をもって解決してくれるコンサルタントであることに、クライアントは価値を感じます。戦略コンサルタントを目指すうえでは、コンサルタントが提供すべき「価値が何なのか」を把握することが大切です。
まとめ
今回は、戦略コンサルタントの業務内容や職位、転職のポイントや求められるスキルについて解説しました。顧客企業の経営層と関わる重要なポジションであることから、一般的なコンサルタントよりも専門性が求められます。戦略コンサルタントは、企業への貢献度や収入面でのメリットが多い職種でもあります。今後のキャリアにおけるレベルアップを狙うのであれば、本記事の内容を参考にしながら戦略コンサルタントを目指してみてはいかがでしょうか。