企業や経営の多様化が進むなかでは、リーダーシップのあり方も徐々に変化していきます。近年注目を集めているオーセンティックリーダーシップは、従来のリーダー像とは異なり自分らしさを大切にする点が特徴です。この記事では、オーセンティックリーダーシップの概要や必要な素質、実践するメリットについて解説します。組織のリーダーになる方はぜひ参考にしてください。
オーセンティックリーダーシップとは
オーセンティックリーダーシップとは、自分らしさを大切にするリーダー像のことを指します。オーセンティック(authentic)はもともと「本物の」「真正の」という意味を持つ言葉です。従来のリーダーシップ像といえば、上司や先輩を参考にしながら、カリスマ性を持ってチームを率いていく姿が一般的でした。しかしオーセンティックリーダーシップでは、自分の価値観や信条に従ってマネジメントを進めていくことを提唱しています。
オーセンティックリーダーシップが求められる理由
オーセンティックリーダーシップが求められる理由として、時代の目まぐるしい変化に伴って、これまでのリーダー像が通用しなくなりつつあることが挙げられます。グローバル化が進む現在、企業のあり方が多様化し、単純にトップダウンを行うだけでは組織をまとめて成長させていくことは難しくなりました。そこでリーダーの個性を尊重し、強みを活かしてマネジメントを行うリーダーシップに注目が集まっています。
オーセンティックリーダーシップに必要な5つの素質
オーセンティックリーダーシップを発揮するには、5つの素質が必要とされています。ここでは、それぞれの内容について具体的に解説します。
自身の信念や価値観を明確化できる
オーセンティックリーダーシップではリーダーそれぞれの自分らしさが求められるため、組織において大切にしたい価値観や譲れない信念を明らかにすることが必要です。この軸が定まっていないと、いざというときに的確な判断ができなくなってしまいます。自分の思いを言語化し、常に発信していくことで、メンバーも安心して協力しやすくなるでしょう。
信念に従って決断・行動できる
オーセンティックリーダーは自分の信念を明確にするだけでなく、どのような場面でもその信念に従って決断することが求められます。また、自分の行動を常に振り返り、モラルに沿っているか・価値観からブレていないか・適切な対応ができているかを見つめ直すことが大切です。
真心と情熱を持ってチームを牽引できる
オーセンティックリーダーは、権力をかざして組織を強引に引っ張るのではなく、真心を持ってメンバーをまとめていくことが必要です。ここでいう真心とは、自分の思いを積極的に発信しながら、メンバーに対して敬意を払って接することを指します。また、強い情熱を持つリーダーがいる組織は、全体的な士気も上がりやすくなります。
メンバーと価値観を共有して信頼関係を構築できる
自分らしさを持って組織を導くためには、メンバーとの信頼関係を築くことが必要不可欠です。自分の価値観を押し付けるのではなく共有しあい、お互いの思いや考え方を受け入れることで、よい関係の維持につながります。また、メンバーの業務を応援し、時には頼ることで、「自分は必要とされているんだ」という感覚を持ってもらえるようになります。
自己分析して常に学び続けられる
オーセンティックリーダーシップを成功させるには、自分の強み・弱みや特性を理解する自己認識能力が重要です。自分の足りない点を分析し、改善に向けて学び続けられる人材は、リーダーにふさわしいといえるでしょう。また、自分自身を深く知ることで、自分の価値観や信念の確立にもつながります。
オーセンティックリーダーシップを実践するメリット
ここでは、オーセンティックリーダーシップを実践するメリットを3つ紹介します。オーセンティックリーダーシップを取り入れたい方はぜひチェックしてください。
時代の変化や多様性に応じたリーダーシップを発揮できる
オーセンティックリーダーシップは従来のリーダー像にとらわれる必要がないことから、時代の変化に合わせた柔軟なマネジメントを行うことが可能です。どのようなシーンでもリーダーの信念に基づいて判断を行うため、トレンドや経済情勢に影響を受けない安定した経営につながります。
信念に共感してくれる仲間と一緒に働ける可能性が高い
オーセンティックリーダーシップでは自分の価値観や信念、モラルなどを発信する機会が多いため、思いに共感してくれる仲間が集まりやすくなります。同じ信念を持つメンバーと働くことでモチベーションが向上し、目標に向かって一致団結することが可能です。また、組織のチームワークが高くなるといったメリットも生まれます。
メンバー間に強い信頼関係が生まれる
これまでのリーダー像では、上司が部下を従え、効果的に指導することが重視されていました。しかし、オーセンティックリーダーシップでは価値観を共有しあうため、お互いの考えや意見を認め合う風土が育ちやすくなります。その結果、メンバーと主従関係ではなく強い信頼関係を結ぶことが可能です。
オーセンティックリーダーシップの注意点
オーセンティックリーダーシップでは自分らしさを大切にすることが求められますが、自分の価値観や信念にこだわりすぎるあまり、柔軟性が損なわれないように注意が必要です。また、考え方によっては「現状のままでいい」と自己研鑽を止めてしまうリスクがあります。組織を成長させるためには、リーダーが率先して自分を高めていく姿勢を見せることが大切です。
まとめ
この記事では、オーセンティックリーダーシップについて解説しました。オーセンティックリーダーシップは、自分の価値観や信念を大切にする新しいリーダーの形です。カリスマ性や才能を持つ人だけでなく、すべての人がリーダーになる機会が増えるため、組織に新しい風を吹かせる可能性があります。組織を強化し、さらなる成長を目指したい方は、本記事を参考にぜひ導入を検討してみてください。