デジタルデバイドとは、ITの恩恵を受けられないことが原因で発生する経済格差のことです。情報格差とも称されるデジタルデバイドに関して、悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。今回は、デジタルデバイドの特徴や影響、対策について詳しく解説します。
デジタルデバイドとは
デジタルデバイドとは、インターネットを通じた情報収集ができる人・できない人で格差が生じることを指します。デジタル化が進む昨今、スマートフォンなどのモバイル端末も進化を遂げています。しかし、進化したデバイスをうまく活用できず、デジタル化の波に乗れていない人材が増加していることも事実です。
デジタルデバイドが起こりやすい場面
先進国や発展途上国の間で、情報格差が発生することがデジタルデバイドの代表例です。国家予算やインフラ整備など、さまざまな要素でデジタルデバイドが起こります。また、先進国ではグローバル化を意識した企業が増加する反面、発展途上国では情報統制や検閲により、ビジネスをスムーズに展開できていない企業も少なくありません。このことから、国際的な観点でデジタルデバイドが発生しているといえるでしょう。
またデジタルデバイドは、年齢や学歴などの格差が原因で個人・集団の中で発生することもあります。ITに関する技術・知識を十分に身につけていないことを理由に、IT機器を取り扱う業務に影響が出ることなどが、個人や集団におけるデジタルデバイドです。
デジタルデバイドの発生は、国内の地域格差が原因になることもあります。IT化やビジネスの変化などに敏感な都市部と、地方部に格差が生じやすいことが原因です。5G環境の整備などが身近な例に挙げられます。
デジタルデバイドが企業に与える影響
デジタル化が進行する昨今のビジネスシーンにおいて、デジタルデバイドが企業に与える影響は決して小さくありません。ここでは、デジタルデバイドが原因で企業にどのような影響が及ぶかを解説します。
IT知識の有無で差が出る
デジタルデバイドでもっとも顕著になるのが、デジタルデバイスを使える層と使えない層の格差です。昨今のビジネスシーンにおいて、デジタルデバイスは必須ツールといえます。しかし、デジタルに関する知識が不十分な人材は、デジタル化についていけず、孤立してしまいます。業務進行に支障が出るだけではなく、モチベーションや生産性の低下など、あらゆる場面でデメリットがあるでしょう。
人材価値を左右する
デジタルデバイドと密接な関係を持つデジタルデバイスには、ExcelやWordなどの身近なツールも該当します。近年、これらのツールを扱えることが必須条件である業務・企業も増加傾向にあります。したがって、必要なツールを十分に扱えるかどうかが、企業とって有益な人材を決める時代になったといえるでしょう。ITスキルや知識に乏しい人材が活躍しづらい時代になったため、格差が生まれやすくなりました。
セキュリティに関する懸念が増える
デジタルデバイスの使用が当たり前になった昨今、セキュリティに関するトラブルの対策は必須事項です。しかし、デジタルデバイドが顕著な企業はデジタルデバイスの管理が疎かになりやすく、セキュリティ面の危険性が高まります。セキュリティ面の危険性が高まることで、個人情報や機密情報の漏洩、ウイルス感染など、さまざまな影響が懸念されるでしょう。
デジタルデバイドを改善することで企業のセキュリティを強化することにつながります。
情報格差が顕著になる
デジタルデバイドによって、これまで曖昧だった情報格差が明確になります。デジタルデバイドによる情報格差は、企業全体のデジタル化を遅らせる原因といえます。目まぐるしく変化する昨今のビジネスシーンにおいて、デジタル化の遅れは利益を見す見す逃していることと同等です。昨今はデジタルデバイドの影響が大きいほど、市場競争が不利になる時代になったといえるでしょう。
テレワーク環境への対応が遅れる
新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークや非対面式の商談などが増加しています。業務をスムーズに進行させるためにも、一人ひとりのデジタルデバイドを見過ごせない現状です。コロナ禍で対面での教育ができなくなった分、すでに十分なITスキルを所有しているかどうかが今後を大きく左右するでしょう。人材間でデジタルデバイドが発生すると、通常業務にも大きな影響を与えるかもしれません。
IT人材の採用・育成で対策
デジタルデバイドを防ぐためには、ITに関する知識を身に付けるための教育体制が必要です。ITツールの活用方法やセキュリティリスクなど、デジタルデバイドを発生させないためのスキルを全従業員が身につけられる環境・体制を整えましょう。
また、IT知識に精通していることを前提とした採用活動もおすすめです。即戦力を採用することで、育成コストの削減にもつながります。
ITに関する観点で格差が生じるデジタルデバイドは、人材の採用や育成で対策を取りましょう。
デジタルデバイドと高齢者の関係
デジタルデバイドは、デジタル機器と触れ合う機会の少ない高齢者に与える影響が大きいといえます。ここでは、デジタルデバイドと高齢者の関係性について解説します。
デジタルデバイドが高齢者に与える影響とは
若手が当たり前に使えるデジタル機器を十分に活用できないことで、業務生産性の低下や社会的な孤立につながります。特に高齢化が進んでいる企業の場合、デジタルデバイドの対策を取れる環境も整備しづらいといえるでしょう。
また近年では、災害・緊急時のライフラインとしてデジタルデバイスが活用されます。デジタルデバイドが発生することで、命に危険が及ぶ可能性もあります。
なぜ高齢者にデジタルデバイドが発生するのか
高齢者のデジタルデバイドは、やはりデジタル機器の多様化や操作がわかりにくいことが原因で発生するといえるでしょう。
また、Webサイトのデザインが高齢者に適していないこともデジタルデバイドにつながる要素です。さらにWebサイトやSNSに使い慣れていない高齢者は、そこに掲載されている情報が正しいかどうかの判別が難しいという問題点もあります。迷惑メールや悪質なサイトの見極めや、どのような対処が必要なのかわからないことで、結果的にデジタルデバイスの利用を躊躇してしまいます。
高齢者のデジタルデバイド対策は?
企業全体での対策と同様、ITに関する教育を充実させることが対策として挙げられます。高齢者の教育に特化した勉強会の実施も有効でしょう。また、デジタルデバイスを活用したコミュニケーションの提案も重要な観点です。高齢者向けを意識したWebサイトを設計することも、高齢者のデジタルデバイド対策に挙げられるでしょう。
若者にも影響を与えるデジタルデバイド
高齢者に顕著というイメージのあるデジタルデバイドですが、若者にも大きな影響を与えています。ここでは、デジタルデバイドと若者の関係性について解説します。
なぜ若者にデジタルデバイドが関係しているのか
現代の若年層は、PCではなくスマートフォンを主に活用しています。スマートフォンだけであらゆることを完結できてしまう反面、ビジネスシーンで活用することの多いPC離れが深刻化しています。
また、先進国に比べてIT教育が遅れていることも、若者のデジタルデバイドを発生させる原因です。若者のデジタルデバイドは、情報格差やITリテラシーの低下、IT人材の不足などを引き起こします。
若者のデジタルデバイドを解決するには?
家庭や学校の中で、積極的にPCに触れる機会を設けることがデジタルデバイド対策につながります。
企業においては、可能な限り業務のデジタル化を推進し、最新のツール・サービスを導入した業務フローの設計が得策です。ITリテラシーが低い若者に対しては、PC操作に関する基礎的な研修制度を設けることもおすすめです。
また、ITスキルの重要性に気付くような採用活動もデジタルデバイド対策につながります。ITに特化した人材の採用を強化することで、求職活動にITスキルが必要だという意識が芽生えるでしょう。
若者のデジタルデバイド対策で期待できる効果
若者のデジタルデバイド対策を実施することは、企業全体のITリテラシーを向上させることにつながります。企業の今後を担う人材がITスキルを身に付けることで、市場競争を勝ち抜ける企業へと成長する可能性があります。また若者のデジタルデバイドを防止することは、企業全体のITスキルに対する意識を変える効果もあるでしょう。
まとめ
デジタル化が急速に進む昨今において、高齢者だけでなく若者にもデジタルデバイドの影響が懸念されています。デジタルデバイドは企業としての生産性を低下させる原因になるため、早急な対策が必要です。今回の記事を参考に、デジタルデバイドを防止する体制を整えましょう。