社外のリソースに頼らず、自社だけで企画運営を進めることを内製化と呼びます。内製化という言葉を聞いたことはあっても、詳細までは理解しきれていない方も多いでしょう。この記事では、内製化の概要や取り入れるメリット・デメリットについて解説します。内製化を成功させるために重視したいポイントも解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
内製化とは
内製化とは、事業運営に必要とされる業務の改善・改革を自社のみで完結させることを指します。社外のリソースを活用しないことで、さまざまな効果が期待できます。しかし、すべての業務が内製化に適しているわけではありません。内製化を図る際は、適正な業務であるかどうかを事前に見極めることが重要です。
内製化が注目される理由
内製化が注目される理由には、社外のリソースに対する見方が変わったことが挙げられます。業務の外注化が浸透しつつある昨今のビジネスシーンでは、メリットが多い反面、外注化ならではのリスクも存在します。例えば、高額な依頼費用やセキュリティ面での不安が例に挙げられるでしょう。社外のリソースを活用するよりも、自社で完結させたほうがスピーディーかつ的確に業務を遂行できます。また、社外への情報漏洩を防止できるという観点からも、内製化が注目されています。
外注化が悪いわけではない
近年では品質管理の観点から内製化を推奨する企業も増えていますが、外注化ならではのメリットも当然存在します。例えば、コア業務の人手不足を外注化によって解決できる場面もあるでしょう。また、外部が保有する知識や技術を自社に取り入れられるため、業務の幅が広がるのも外注化の特徴です。固定費の節約や人材確保のための時間削減など、外注化にはさまざまなメリットがあります。完全かつスムーズな内製化を目指すうえでは、適材適所で外注化を行う必要があるかもしれません。
部分的に内製化する手法もある
すべての業務を内製化する必要はなく、重要なフローや作業のみを部分的に抜き出して内製化する方法もあります。部分的な内製化を図ることで、自社のリソースを最大限に活かした事業展開が可能になります。特に事業の根幹といえる重要なポイントについては、内製化して品質をコントロールできる状況を作るのが理想です。内製化に適した業務はなるべく自社で完結させ、それ以外の業務はすべて外注化する。双方のメリットを上手く活用することで、業務効率化を確実に実現できるでしょう。
内製化を図るメリット
内製化には、以下の4つのメリットが期待できます。
- 品質を担保しやすい
- 外注費を削減できる
- 経験・技術力が蓄積される
- 機密情報やノウハウが外部に漏れない
ここからは、内製化を図る主なメリットについて解説します。
品質を担保しやすい
内製化は自社のリソースのみを使用するため、各作業のマネジメントがスムーズになります。事業展開に合わせたプロセスの変更やフローなどを、コミュニケーションコストを抑えて構築・修正できるでしょう。自社の業務を理解した人材のみで業務を遂行することで、正確性も担保できます。また、意思伝達も早く、スピーディーな対応が実現できるのも内製化のメリットです。
外注費を削減できる
内製化を推進することは、外注費の削減にもつながります。外注化にもメリットは多いものの、コストやセキュリティ面での不安があります。業務内容に見合わない委託費用や、コミュニケーションコストの増加に頭を抱える企業もあるでしょう。内製化を進めることで、外注費として確保していた予算を別の業務に活用できるようになります。外注費のネックを解消しつつ、品質の担保にも大きく貢献するでしょう。
経験・技術力が蓄積される
自社の人員で業務を完遂させる内製化には、経験や技術力が蓄積されやすいというメリットがあります。製品・サービスに理解のある担当者を中心に内製化を図ることで、細部にまでこだわったクオリティが期待できるのもメリットです。また、自社で培った技術力を新入社員に高いレベルで引き継げる側面もあります。
機密情報やノウハウが外部に漏れない
内製化には、外部の人間に業務の情報を伝えずに済むメリットもあります。業務を外注化するうえで、必要な情報を提供することは避けては通れません。外部の人間に企業の情報を提供することで、情報漏洩などのさまざまなリスクが懸念されます。内製化を図ることで、機密情報やノウハウを自社に留めることが可能になります。情報漏洩のリスクを回避できるだけでなく、外注契約書の作成や運用ルールの共有といったコストも削減できます。
内製化を図るデメリット
数多くのメリットを得られる内製化ですが、実行においてはいくつかのデメリットもあるので覚えておきましょう。内製化のデメリットとして挙げられるのは、人件費や設備コストの発生、採用・育成に時間がかかることです。ここでは、内製化のデメリットについて解説します。
人件費や設備コストが発生する
内製化を図ることで、担当者の人件費が新たに発生する可能性があります。任せる業務によっては、これまでに外注費として活用していた費用だけでは補填できない場合もあるでしょう。また、内製化に伴って新規事業を開始する場合、設備・備品などを用意する必要もあります。初期費用と割り切ってしまえば問題ありませんが、いずれにしろコストが発生することは避けられないでしょう。
担当者の採用・育成に時間がかかる
これまで外注に頼ってきた業務を自社のみで実施する場合は、担当者の採用や育成に時間がかかります。また、新たな業務を立ち上げる場合も同様です。採用コストを抑えて既存の従業員で補うとしても、多少の時間的コストはかかってしまうでしょう。予算よりも時間を重視して業務を進めたい場合は、あえて内製化を図らずに外注化と併用するのがおすすめです。
内製化を行う場合に押さえたいポイント
ここからは、内製化を成功させるうえで重要視されるポイントを4つ紹介します。
内製化にふさわしい中核業務か
内製化の対象となる業務が、自社のコアとなる業務かどうかを適切に判断しましょう。「自社ならではのノウハウが必要か」「今後大きな成長が見込めるか」など、さまざまな視点で分析する必要があります。特に内製化が必要なく、情報漏洩の危険も少ないと判断できる場合は、無理に進める必要はないでしょう。
人的リソースを確保できているか
内製化を図るうえでは、担当者や設備などを事前に確保できるかどうかが重要です。自社のみですべてのリソースを確保できる見通しが立っていない状態だと、内製化はおすすめできません。担当者の作業時間が不足していたり、設備が整っていない状態で内製化を進めると、かえって品質が悪化する恐れがあります。外注化せずにどこまで人的リソースを確保できるかどうか、事前に分析したうえで判断しましょう。
コストと時間は見合っているか
内製化は人件費や設備コストが発生するため、外注化のコストと比較・検討する必要があります。また、内製化を進めるうえでかかる時間が適切かどうかも重要な観点です。内製化にかかるコストや時間によっては、外注化のほうがスムーズに対応できるケースもあります。
業務を推進できる適任者はいるか
内製化を実現するには、業務を推進する担当者を配置できるかどうかも重要です。既存の従業員で補えない場合は、外注化も致し方ないでしょう。また、内製化する業務担当者を育成できる人材の確保も重要です。コア業務への影響などを考えて、人材配置の観点にもアンテナを張っておきましょう。
まとめ
社外のリソースを活用せず、自社のみで業務を推進する内製化。品質の担保や外注費の削減、ノウハウを蓄積できるなどのメリットがあります。一方で、人件費や育成コストがかかりやすいのも特徴です。内製化を効率良く進めるには、メリット・デメリットをきちんと理解し、適切な判断を行う必要があるでしょう。記事の内容を参考に、自社業務の内製化を進めてみてください。