目標達成までの中間的な指標として用いられるものが、マイルストーンです。プロジェクトが中長期にわたる場合などは、マイルストーンの設置が重要視されます。しかし、マイルストーンという言葉は耳にしたことがあっても、その詳細までは把握しきれていない方も多いでしょう。
今回はマイルストーンについて、基本情報や効果、設定手順の観点で解説します。マイルストーンを設置する際の注意点や、コロナ禍における考え方にも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
マイルストーンとは
近年ビジネス用語として注目されるマイルストーンは、もともとは人生の節目となる出来事を意味する言葉です。今回は、マイルストーンがビジネスにおいてどのような意味をもつのか、という観点に着目します。
マイルストーンの語源
マイルストーンは「距離」を表すマイルと、「石」を表すストーンが組み合わさってできた言葉です。欧米で、起点から1マイル進むごとに目標として石を設置していたことが由来とされています。一定の距離感で石を設置し、進んだ距離の測定に活用されていました。
ビジネスにおけるマイルストーン
マイルストーンはビジネスシーンにおいて、中間指標や節目という意味合いで使用されます。プロジェクトを進行するうえで重要となる中間的な目標を、マイルストーンとして設置することでより把握しやすくなります。マイルストーンに該当する中間指標について、新製品の開発で例えると以下のようになります。
- 製品テスト
- 製品の実装・リリース
- 要件定義
- 保守
- 運用
また企業単位ではなく、個人が抱える作業にも設置できる点が特徴です。自身の抱える業務にマイルストーンを設置することで、メリハリのついた業務スケジュールを計画・進行できます。
マイルストーンの関連語を解説
マイルストーンと関連する用語に、スケジュールやタスクが挙げられます。これらの用語は、マイルストーンを活用することで「より明確なものになる」ことが共通点です。
例えば日程・予定を表すスケジュールは、最終的なゴールだったり、予定の名称そのものを書き込んだりします。設定したスケジュールの中にマイルストーンを設置することで、その日の動きが事前に把握しやすくなるでしょう。
プロジェクトを遂行するために重要なタスクの中に、マイルストーンの達成を加えることも可能です。「まずはこの中間指標を達成しよう」と、マイルストーンを前提とした目標を立てることもあるでしょう。
スケジュール・タスクともに、マイルストーンを設置することで目標が明確になります。ただ闇雲にゴールを目指すのではなく、ゴールまでの道筋をはっきりさせておくことでより達成に近づくでしょう。
マイルストーンの導入による効果
マイルストーンの導入には、以下の効果が期待できます。
- 進捗状況を視覚化できる
- タスク漏れを抑制できる
- モチベーションの向上
- 中間目標を把握しやすい
進捗状況を視覚化できる
プロジェクトの進行段階でマイルストーンを設置しておくことで、マイルストーンまでの距離が明確になります。自身はもちろん、チーム全体で進捗状況を把握することも可能です。マイルストーンで目標が視覚化されれば、達成までの道筋がより明確になります。
タスク漏れを抑制できる
マイルストーンを設置しておくことで、中間指標の達成までに設定したタスクも視覚化できます。複数のプロジェクトや業務を兼任していても、視覚化されていることで漏れを防止できるでしょう。またマイルストーンによって、現実的なタスクを設定できる点もメリットです。
モチベーションの向上
マイルストーンで指標が視覚化されると、従業員はそこを目指して日々の業務に勤しむようになります。中間的とはいえ、進むべき場所が明確になっていれば、達成のためにどうすべきかを自然に考えることができます。自身が何をすべきか、マイルストーンの設置により明確になれば、業務に対するモチベーションも向上するでしょう。目標を達成できた際の喜びもひとしおです。
中間目標を把握しやすい
最終的なゴールの達成に何が必要か、把握しやすいのがマイルストーンのメリットです。長期にわたるプロジェクトの場合、中間指標は非常に重要視されます。これは終わりの見えないプロジェクトになり、途中で挫折してしまう事態を防ぐためです。マイルストーンを通じて「節目」を用意しておくことで、従業員のモチベーションもキープできます。
マイルストーンの設定手順
マイルストーンは、以下の手順による設定が一般的です。
- ガントチャート作成
- 期日とマイルストーンの設置
- タスク設定
- 担当者を配置
それぞれの手順について、詳しく紹介します。
1:ガントチャート作成
ガントチャートとは、時間や作業内容を書き込んでスケジュールを管理する表のことです。一般的に、縦軸に担当者名や作業内容、横軸に時間を記載します。ガントチャートを作成することで、プロジェクトの工程を視覚的に把握しやすくなります。プロジェクト完遂に何が必要かを把握できると、マイルストーンの設置も容易になるでしょう。
2:期日とマイルストーンの設置
マイルストーンを達成するために、各指標ごとの期日を設定します。最終的なゴールから逆算し、現実的な期日の設定がおすすめです。中間指標が複数になる場合は、指標ごとに細かくマイルストーンを設置しましょう。指標の数が多いほど期日の設定は難しくなります。しかし、ゴールまでの道筋が正確に把握しやすくなるメリットもあります。
3:タスク設定
マイルストーンの設置対象となる、タスクを洗い出しましょう。2のステップで明確にした期日にタスクを当てはめることで、プロジェクト進行のイメージが具体的になります。タスク設定がうまくいかない場合は、過去のプロジェクトや他社の事例などを参考にしましょう。また、場合によっては先にタスクを設定し、そのうえで期日を設定することもおすすめです。
4:担当者を配置
各タスクに担当者を配置しておくことで、マイルストーンが活かせているかどうか把握できます。担当者を配置していれば、万が一タスクに漏れがあってもすぐに軌道修正が可能です。タスク別に担当者を配置することで、マイルストーンを意識した行動により責任感が高まる点もメリットです。
マイルストーンを設定するときの注意点
マイルストーンの設定にはいくつか注意点があるため、以下で詳しく解説します。
整合性
マイルストーンを闇雲に設置し、現場の業務と整合性が取れないことは避けましょう。あくまで現場の意見や現状を尊重し、達成可能なマイルストーンを設置することが大切です。
タスク漏れ
タスクが複数になる場合は特に注意しなければなりません。できるだけ具体的にタスクを洗い出すことで、漏れを防止できるでしょう。ただし、細かく設定しすぎるとかえって従業員の負担になるため、適度な数を心がけてください。
担当者の重複
マイルストーンを設置したタスクごとに、担当者を配置することを推奨します。マルチタスクになってしまうと、精度が落ちるばかりか達成できない可能性もあるためです。担当者が不足している場合は、タスク自体を見直しましょう。最小限の人数でプロジェクトを遂行することも想定し、適切にタスクを設定してください。
コロナ禍で変化するマイルストーンの考え方
コロナ禍でテレワークが浸透したことにより、マイルストーンの考え方も変化しています。従業員一人ひとりが自身のタスクを設定・管理するようになったためです。マイルストーンを設置することでタスク設定や管理が容易になるため、テレワークでも目標達成への意識が下がることはないでしょう。マイルストーンを基にした分析も個人で実施できるため、テレワーク環境でも効率よくPDCAを回せるようになります。
評価者にとっても、コロナ禍でマイルストーンが重視されるようになったといえます。日々の業務を管理しづらくなったことで、中間指標であるマイルストーンの達成が評価基準になるためです。
またコロナ禍により、副業のニーズが高まったことでマイルストーンが注目されています。個人が副業をこなすうえでは、本業に支障の出ない範囲での目標設定が重要です。マイルストーンを設定して目標を視覚化することで、副業をこなしながら本業のパフォーマンスも下げずに済むでしょう。
このようにマイルストーンは、コロナ禍によって変化した働き方にも、重要な効果を発揮することがわかります。
まとめ
マイルストーンを設置することで、従業員の業務やプロジェクトの進捗を把握できるようになります。従業員にとっても、目標が明確になることでモチベーションが上がるメリットがあります。マイルストーンは、プロジェクトの達成における重要な中間指標です。コロナ禍によって新たな視点で注目されていることもあり、多くの企業がマイルストーンの概念を取り入れているでしょう。
マイルストーンを取り入れられていない、もしくは思うように活用できていない方は、ぜひ今回紹介した内容を参考にしてください。