カーブアウトとは?意味や実施するメリット、注意すべきポイントを解説

2023年1月19日

2024年4月26日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

事業を強化する経営手法のひとつとして注目されているカーブアウト。言葉は聞いたことがあっても、実際にどのようなものかわからない方も多いのではないでしょうか。この記事では、カーブアウトの意味やメリットについて解説します。カーブアウトの実施を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

カーブアウトとは

カーブアウトとは、企業が自社の事業の一部を切り出し、新たな会社として独立させる経営手法のことです。カーブアウトという英単語は「切り出す」「分割している」という意味を持っています。将来性はあるものの現状では注力しにくい事業や、ある程度の成長期間を要する不採算事業などをカーブアウトすることで、事業価値の向上や企業全体のさらなる成長が期待できます。

スピンアウト・スピンオフとの違い

「スピンアウト」と「スピンオフ」はどちらも企業から独立した新会社を指しますが、それぞれ親会社との関係が異なります。スピンアウトとは、元の企業とは別の会社として完全に独立させる方法のことです。そのため、カーブアウトのように親会社から資金が支援されることはありません。一方、スピンオフは元の企業の子会社として独立させる方法を指します。スピンオフの場合、決済承認に親会社が携わる必要がある点と、外部から融資を受けられなくなる点がカーブアウトとの違いです。

カーブアウトの分類

カーブアウトは、以下の2種類に分類されます。ここでは、それぞれの詳細について確認します。

会社分割

会社分割とは、元の企業から独立させたい部門を分割し、株式を新会社に譲渡する方法です。親会社の権利関係・契約・認許可などそのまま移動することになるため、手続きが比較的容易になるといった特徴があります。従業員との雇用契約もそのまま引き継げるケースが多く、体制の変化による離職を防ぎやすい特徴があります。

事業譲渡

事業譲渡とは、新たに設立した会社に事業の一部を譲渡する方法です。会社分割と違って親会社の権利関係・契約・認許可が引き継がれないため、取引先などに個別で承認を得る必要が生じます。また、場合によっては従業員との雇用契約を結び直す必要があり、事業方針に納得できない従業員が退職するリスクもあります。事業譲渡は、規模が小さい中小企業で多く採用される傾向にあります。

カーブアウトのメリット

カーブアウトを実施することで、さまざまなメリットが生まれます。ここでは、代表的なカーブアウトのメリットを3つ紹介します。

事業促進を狙える

カーブアウトを実施する大きなメリットは、切り離した事業の促進を狙える点です。元の企業では注力できない事業でも、カーブアウトによって親会社から出資を受けながら集中的に成長させていけるようになります。また、親会社と経営を連携させることで効率的な経営が可能です。

融資を受けやすくなる

カーブアウトを実施することで、融資を受けやすくなる点もメリットです。スピンオフとは異なり、カーブアウトの場合は親会社だけでなく外部からも融資を受けられるようになります。元の企業で将来性が高い事業をカーブアウトし、出資者を募って資金を集めることで、さらなる発展が期待できます。

新たな技術提供を見込める

カーブアウトを実施することで、資金だけでなく技術や人材の提供が見込めるようになります。成長させたい事業に対してカーブアウトを行い、研究・開発に注力させて結果が出た際は、元の会社も高評価を受けやすくなるでしょう。

カーブアウトのデメリット

カーブアウトを成功させるには、デメリットも正しく理解したうえで実行に移すことが大切です。ここでは、カーブアウトの主なデメリットを2つ紹介します。

意思決定が煩雑になる

カーブアウトによって独立した企業は、法律的には親会社とは完全に異なる法人です。経営面では協力体制を敷きやすいとはいえ、それぞれの企業で独自の意思決定を行う必要があります。そのため、組織体制によっては親会社と新会社の方向性が合わず、かえって事業に混乱を招いてしまう可能性があります。

離職率が増加しやすくなる

親会社から従業員を新会社へ異動させる場合、想定したキャリアプランとのズレを感じて会社を離れてしまう人も少なくありません。「なぜカーブアウトを行うのか」「異動によって起こる働き方への影響はどの程度あるのか」「仕事内容や事業方針にどのような変化があるのか」など、従業員が納得する説明をしっかりと行い、モチベーションを高く保って働けるような施策を打つことが求められます。

カーブアウトの実施手順

ここでは、カーブアウトを実施する手順について解説します。法律に関わってくる要素もあるため、事前にしっかり確認しておきましょう。

1:法的手順を決定する

カーブアウトを実施する前に、会社分割で行うのか、事業譲渡で行うのかといった法的手順について決めなければなりません。一般的に規模が大きい企業は、手続きの負担が少なく事業をスムーズに引き継ぎやすい会社分割を選ぶことが多いです。一方で中小企業は、財務上のリスクが少ない事業譲渡を選択することが多い傾向にあります。財務状況や契約状況などを確認したうえで、会社にとって適切な方法を選びましょう。

2:必要事項を検討する

カーブアウトの法的手順が決定したら、親会社と新会社との関係や譲渡するものについて検討することになります。具体的な検討事項は以下の通りです。

  • 新会社を構成する資産と負債について
  • 取引先との契約関係について
  • 従業員との雇用関係について
  • カーブアウト後の従業員の処遇について

必要事項の検討を怠ってしまうと、カーブアウト後に混乱を招く恐れがあります。状況に合わせたルールや取り組みを適切に決定しましょう。

3:適時開示を行う

上場企業や公開企業がカーブアウトを実施する場合は、適時開示を行います。適時開示とは、投資家の判断に重大な影響を及ぼす事象が発生した際に、企業が決定事項や決算情報などを公開することです。カーブアウトの場合、契約締結の段階で情報を明らかにするのが通例とされています。

4:会計データを調整する

カーブアウトを実施する際は、独立させる事業の会計情報を取り出すことが必要です。親会社の管理会計データから、部門別損益計算書や貸借対照表をもとに「カーブアウト財務諸表」と呼ばれるものを作成します。基になる会計データの質によっては、差異の調整や洗い替えなどの調整が求められることも少なくありません。

カーブアウト実施時の注意点

カーブアウトを実施する際は、いくつかの法的問題に注意しなければいけません。あとからトラブルにならないように、以下の点を理解しておきましょう。

認許可や契約の承継

カーブアウトの法的手順で事業譲渡を選択した場合、元の会社で取得していた許認可は承継されません。さらに、親会社で結んでいた契約を再締結し直す必要があります。また、会社分割を選んだ場合でも、新たに許認可の取得が求められるケースがあるため注意してください。契約についても当事者の無断変更が禁止されている場合も少なくないため、重要な契約がある場合は取引先と協議しておきましょう。

従業員との雇用契約

カーブアウトの実施時には、従業員との雇用契約についても確認が必要です。事業譲渡の場合、現在親会社で結んでいる雇用契約を継続できないケースがあります。また、新会社に人員を送りすぎた結果、元の会社で人手不足になってしまっては本末転倒です。カーブアウトによる退職者が生まれないように、従業員の適性やキャリアプランに応じた配属・組織形成を行いましょう。

知的財産の取り扱い

カーブアウトによる知的財産の取り扱いは、法的手順によって異なります。会社分割の場合は特許をそのまま共有することになり、事業譲渡の場合は新会社にライセンスのみを提供することになります。それぞれの特徴を把握したうえで、自社の経営に合った方法を採用するとよいでしょう。

株主総会に関する手続き

カーブアウトを実施するためは、株主総会を開催して決議を得ることが必要です。ただし、株主の出資割合によっては、株主総会が不要になるケースもあります。スムーズにカーブアウトを進められるように、全体のスケジュールや見通しを立てておくことをおすすめします。

まとめ

この記事では、カーブアウトについて解説しました。カーブアウトは、企業の中の不採算事業を切り離し、成長を促す際に活用されます。しかし、実施する際にはさまざまな手続きや決定が必要になるため、事前に綿密な計画を立てておくことが大切です。M&Aなどほかの手法も視野に入れながら、会社にとって最適な選択を目指しましょう。

監修者・齊藤 穂奈美

齊藤 穂奈美

株式会社日本アクセスで原料の調達・営業を担当→株式会社ファミリーマートへ出向し中食部門の商品担当として従事→出産を機に会社を退職。WEBクリエイターとして独立し、経営者の集客・広報全般をサポート。 現在はIzulで両面コンサルタントと広報を担当。プライベートでは2人の子を育てる母。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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