MOT(技術経営)とは?目的やメリット、導入時のポイントを解説

2023年1月28日

2022年12月25日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

MOT(技術経営)は、適切なコストでより大きな利益を生む製品の開発につながります。MOTの実現には実践できる人材が必要なうえ、戦略性の高い経営計画を立てなければなりません。今回は、MOTの意味や目的、メリットを解説します。また、導入時のポイントやMOT人材に求められるスキルなどについても紹介します。

MOT(技術経営)とは

MOTとは、「Management of Technology」の頭文字から成る言葉で、科学的知識や工学的知識などを経営に役立てる手法です。日本語では「技術経営」を意味します。

ビジネスにおける一般的なMOTの手法は、技術研究の成果を自社製品に落とし込み、経済的な価値を得ることです。独自の技術を経営資源として戦略的に活用し、市場において確固たる地位の確立を目指します。

MOT人材とは

MOTを効率的に進めるのに必要な人材を「MOT人材」と呼びます。MOTによって生まれた技術や研究開発の結果を製品に落とし込み、戦略的に活用する人材のことを指します。課題の設定やマーケティング、開発チームの統率・育成などを行う人材なので、技術者や研究者は含まれません。よりよいMOTの実現には、優秀なMOT人材を確保することが重要です。

MOTの目的

技術力や研究結果を経営に落とし込み、価値を得ることがMOTの目的です。優れた技術を製品・サービスに落とし込むことで、企業の成長や売上アップが期待できます。ただし、優れた製品やサービスも市場のニーズに合わなければ売上アップにつながりません。市場ニーズに応じて、落とし込む技術や研究結果を慎重に選択する必要があります。

MBAとの違い

MBAは「Master of Business Administration」の頭文字から成る言葉で、日本語では「経営学修士」を意味します。経営の知識や技術、リーダーに求められる姿勢などが、一定水準であると判断された場合に与えられる学位です。

一方のMOTは、技術や研究結果を活用して経済的価値を生み出す経営手法です。経営に必要な知識や方法論を包括的に習得していくMBAに対して、MOTは技術に焦点を当て、「いかにして技術を経営に活かすか」「独自の技術を製品・サービスに落とし込むか」を重視する点が異なります。MOTは近年経営における専門領域のひとつとして認識されており、MBAでも取り扱われるようになりました。

MOTを実現するうえでは、MBAで学ぶ知識や技術も欠かせません。MOTとMBAには「学位」と「手法」という違いはあっても、相互関係があることを覚えておきましょう。

MOTが求められるようになった背景

MOTは、AIやIoTをはじめとした技術革新をきっかけに求められるようになりました。いち早く新技術を取り入れて、地位を確立しようとする企業が続出したことが背景に挙げられるでしょう。また、デジタル化や新技術の普及でビジネスモデルが多様化し、企業が成長しにくくなったことも理由のひとつです。企業が成長するためにはMOTについて理解したうえで技術や研究結果を製品やサービスに落とし込み、価値を高める必要があります。

また、MOTが注目される理由は以下の通りです。

欧米型経営に注目が集まったため

グローバル化が急速に進んでいる昨今、世界で通用するレベルの製品・サービスが求められています。優れた技術や画期的な研究の有力な成果を経営に落とし込むことで、世界で戦える製品やサービスの開発につなげることができます。

技術革新のスピードに追いつくため

技術革新は急速なスピードで進んでおり、製品やサービスへの落とし込みも急ぐ必要があります。技術革新への対応が遅れると、市場の製品やサービスが時代背景に合わなくなります。結果として、業界全体の衰退につながる可能性もでてくるため、技術や研究結果を経営に落とし込むMOTが注目されているのです。

MOTのメリット

MOTの実践を検討する際は、MOTを実施するメリットを認識することが大切です。ここでは、MOTにおける主なメリットを紹介します。

新規事業の創出につながる

MOTの視点で製品やサービスの開発に取り組むことで、市場のニーズに合った製品を生み出せます。MOTの実施過程で蓄積されたノウハウや自社チームの開発力を活かせば、新規事業の創出もしやすくなるでしょう。事業開発においては、「自社の技術者や研究者のスキルをサービスに活かすにはどうすればよいか」「競合他社と差別化したうえで勝てる市場はどこか」といった視点で考えることが大切です。唯一無二の技術を製品・サービスに落とし込めれば、それだけ市場に与える影響力も大きくなります。

研究開発の体制が整う

技術者や研究者が活躍する場を広げる際は、研究開発の体制を整える必要があります。社内に研究開発専門の組織を置いて育成することで、技術分析・実施・検証・改善など、事業開発のサイクルが滞りなく進められるようになります。MOTを実施することで、結果的に研究開発体制の確立につながるのです。また、社内の開発環境が育つことで、技術や研究結果を製品・サービスに落とし込むのにかかる期間を短縮できるのもメリットです。複数の商品を短期間で市場に投入することも可能になるでしょう。

収益が増える

MOTを実践することで製品やサービスのオリジナル性が向上し、市場で確固たる地位を確立しやすくなります。自社の製品やサービスが他社と似ている場合、ユーザーの取り合いにつながります。他社との差別化が難しい状況では、売上を大きく伸ばすことは困難です。「◯◯といえば△△」といったように業界における知名度を高めることで、収益を継続的に増やすことができるでしょう。

外部ネットワークとの連携が強化される

MOTを効率的に実践するには、技術や研究結果の将来性・有用性を的確に判断できる外部組織との連携が欠かせません。必然的に、大学・研究機関・専門家・ベンチャー企業など、さまざまな外部組織と密接に関わります。外部ネットワークとの連携が強化されれば新たなビジネスの創出につながり、事業推進においても専門家と協力体制を敷きながら実行できるようになります。

MOT人材に必要な能力

MOTを実施するためには、課題解決力・行動力・リーダーシップなどの能力を有した人材が必要です。ここでは、MOT人材に求められる主な能力について解説します。

課題解決力

MOTの実施を通じて技術者や研究者とコミュニケーションを取る際、オリジナル性が高い製品やサービスの開発や収益に関する課題が生じます。発生した課題を的確に分析し、解決できなければ、MOTの正しい実行には至りません。課題に対して最も有効な解決策を見つけ出し、速やかに実行する能力が必要です。

行動力

技術者や研究者と頻繁にコミュニケーションを取り、トライアンドエラーを繰り返しながら最適な形でMOTを実行します。そのためには、短期間でより多くのタスクをこなす行動力が必要です。目標達成に向けて行動するだけでなく、実践結果を踏まえた分析や改善を行い、それらを経営に落とし込んでいくスキルも求められます。

リーダーシップ

技術者や研究者を牽引するためには、リーダーシップを発揮できる人材も必要です。他の部署を巻き込む横断的な事業や、外部ネットワークとの連携、新たな施策の立ち上げ・実行など、MOTの実施においては多岐にわたる業務を推進する必要があります。設定した目標によっては、プロジェクトに最適な人材を集めて統率・育成する組織力も求められるでしょう。

MOTを導入する際に必要な検討事項

MOTを導入する際は、さまざまな準備と検討が必要です。ここでは、MOTの導入における準備や検討すべきことについて紹介します。

人材確保

MOT人材はもちろん、技術者や研究者を新たに採用することが大切です。また、現場から適任者を探す方法や、他社から引き抜きを行う方法も有効です。

外部育成プログラムの確立

独学で専門分野を学ぶことは、間違った認識につながるリスクがあります。そのため、MOTの適任者を育成する際は、大学院のような外部機関を活用することが大切です。

社内体制の調整

MOTの実現に向けた社内体制の調整を実行する際は、各部署との連携や職務の割り振りに目を向けてください。またリソースの確保など、MOTを実行するために必要な環境をさまざまな視点から見直し、整えましょう。

まとめ

MOTは、技術や研究開発を製品・サービスに落とし込み、経営に役立てる手法です。実行するためには、技術者や研究者との連携やMOT人材の確保、外部機関との連携などが欠かせません。万全の準備を整えてから実行しなければ、MOTが失敗するリスクが高まるでしょう。今回解説した内容を参考に、MOTの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

監修者・續 慶一

續 慶一

同志社大学を卒業後、教員兼某大学サッカー部監督を経て、大手外資系金融機関へ転職。その後、国内大手人材会社の人事を経て、起業。現在は人事コンサルティング、採用コンサルティングを自身が経営する会社で行いつつ、株式会社Izulには1人目の社員として入社し、現在は執行役員として従事。また九州大学の起業部にて事務局長を務める。
現在は、急成長のベンチャー企業、第二創業期に入っている企業など、様々な企業の役員や人事責任者とやりとりを行いコネクションを築いており、また自らキャリアセミナーや人事交流会などを積極的に開催しております。

著者プロフィール

Izul広報チーム

Izul広報チーム

株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

Twitter

Facebook

LINE

CATEGORY