介護業界とは?現状・今後や職種、求められるスキルについて

2024年1月20日

2024年1月8日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

生活環境の改善や医学の進化によって日本人の平均寿命は伸び続けています。2025年にはすべての団塊世代が後期高齢者化する現状も踏まえ、「人生100年時代の到来」や「介護業界は25年の超長期化」と呼ばれています。

介護業界は日本を支える業界として注目される一方で、現状や今後の展開について気になる方もいるでしょう。今回は介護業界の概要と、現状、介護業界の今後、介護業界への転職時に求められるスキルについて解説します。

介護業界との現状と今後とは

結論から述べると、介護業界の今後は可能性に満ちあふれています。「人生100年時代の到来」や「すべての団塊世代が後期高齢者化」といった理由から、介護業界の人材需要は今後も高止まりすると考えられるためです。とはいえ転職を希望する求職者にとっては、介護業界の現状がどのようなものであるかを深く知りたいと考えるでしょう。ここでは、介護業界の現状と今後の展開について紹介します。

現状

厚生労働省の「生命表」によると、1947年には男女ともに50歳代だった平均寿命は、2013年には80歳代と着実に伸びていることがわかっています。医学の進化や暮らしやすい環境改善などに伴って、平均寿命が延びたと考えられています。

高齢者が増加する一方で、1997年に日本は少子社会に移行しました。少子高齢化社会によって増加する高齢者を介護する人が減少し、今では介護業界で働く人材不足が常態化する事態にまで陥っています。

今後

環境改善や医療進化に伴い長生きできる高齢者が増えるなか、さらに後期高齢者も増加するとなれば、日本は介護が必要不可欠な時代に突入したといえます。介護に携わる人材の需要は今後も高まり続けるでしょう。

コロナ禍との関連性

2019年12月のはじめに中国の武漢で感染者が報告されてから、まもなくして日本でも拡大を見せた新型コロナウイルス感染症。4年目を迎える2023年現在はWithコロナとしての生活に移行し、介護業界でも感染予防として窓を開けて換気をしながらの介護が求められています。

しかし窓の開閉によって寒気を感じる、体調不良につながるなどといった懸念から、温度を一定に保つために暖房器具の使用も増加しました。介護施設全体でエアコンを使用すると、毎月莫大な費用が発生します。さらにコロナから身を守るため、介護職員はマスクや防護服を身につける必要もあります。これらの背景から、介護業界の倒産が過去最多を迎えています。

介護業界の職種一覧

時代の変化によって介護業界に従事する人材が求められています。介護業界の職種には、どのようなものがあるのでしょうか。主に介護士やケアマネージャー、ホームヘルパーなどが挙げられます。

介護士

介護士は、介護業界の中でも多くの人に知られる職種のひとつです。介護士の主な業務内容は、生活援助や日常生活を補助する身体介護です。身体介護を安全に遂行するためには、介護職員初任者研修以上の資格が求められます。

なお施設内での調理や洗濯など入居者の体に触れない業務は、無資格でも対応できます。介護施設によっては無資格の職員に対して資格取得支援制度を設けるなど、介護の基本的な知識を実務の中で学びながら、スキルアップを目指せる支援を取り入れるケースもあります。

ケアマネージャー

ケアマネージャーは、利用者それぞれに合わせた介護サービスを提供できるようプランニングする職種です。利用者の家族をはじめ、介護従事者や医療従事者と密な連携を取りながら、連絡調整を進める業務もあります。

ケアマネージャーの資格は難易度が高く、誰でも気軽に取れるものではありません。しかし介護業界は将来性が高く、資格取得が実現すれば介護施設や地域包括支援センターなど広く長く活躍できるでしょう。

ホームヘルパー

ホームヘルパーは、要介護認定を受けた利用者の自宅を訪問しながら生活援助や身体保護を行う職種です。利用者が通院をともなう場合は、通院介助も合わせて行います。利用者とマンツーマンでの業務が多いことから、満遍なく身体介護が実施できるよう介護職員初任者研修以上の資格を取得する必要があります。

利用者の要介護認定度が上がらないよう本人の力を活かし、自立に向けた支援を行うのがホームヘルパーです。

介護事務・受付

介護事務は、利用者の負担額を計算するほか、国、自治体に介護報酬を請求する職種です。介護保険制度を含めた各保険の知識が求められる以外にも、数字や計算に強いといった特徴や受付業務をこなせるコミュニケーション能力も求められます。無資格で働ける職種であるものの、介護事務管理士やケアクラークなどの資格を取得すると即戦力として活躍できます。

サービス提供責任者

サービス提供責任者はホームヘルパーを管理・指導する職種です。訪問介護サービスの内容やケアマネージャーが作成したケアプランを踏まえながら、訪問介護計画書を作成する役割があります。

ホームヘルパーの対応なども含めて、よりよい介護サービスを提供できるよう改善を図ります。介護施設によっては、サービス提供責任者自らが財務管理や人材確保などの業務を受け持つこともあります。

施設長

施設長は老人ホームなどの責任者として、施設全体の管理を行う職種です。選任は経営母体の社員から選出される傾向にあり、適切な人材であるかを細かくチェックしたうえで着任します。介護士や介護事務職員など、スタッフ全員の配慮も必要です。そのため、コミュニケーション能力の高さやマネジメント能力が欠かせません。

ドライバー

ドライバーは、介護施設と利用者の往来をサポートする職種です。ドライバーは介護をともなう利用者をサポートしながら目的地まで送り届けるため、介護職としての経験や知識が必要です。なお、ドライバーとしての業務がないときは、いち介護士として利用者のサポートをする場合もあります。ドライバーはタクシーのように料金徴収業務がないので、普通自動車第一種免許の取得後であれば誰でもなれる職種です。

調理・清掃・リネンスタッフ

調理・清掃・リネンスタッフは、利用者の生活をサポートする職種です。利用者と直接かかわる機会は少ない一方で、調理や洗濯など生活の裏側をサポートします。これらのスタッフに従事する場合、利用者への身体介護の必要がないので、無資格でもできます。

介護業界での就業で求められるスキル

介護業界はやりがいのある職種が多いので、すぐに転職したいと考える方もいるでしょう。しかし現状のスキルで対応できなければ、働き続けることは困難です。

利用者にとって充実した毎日を提供するためにも、求められるスキルについて押さえておきましょう。

介助の専門知識

介護業界で働くには、介助の専門知識が豊富でなければ務まりません。食事介助や排泄介助のほか、入浴介助や車椅子での移動介助など、細部の知識まで取り込む必要があります。利用者によっては体の扱い方に細かな指示がある場合があるため、さまざまな利用者に順応した働き方となるよう、介助の専門知識は事前にしっかり蓄えておきましょう。

コミュニケーション能力

介護の仕事には、コミュニケーション能力も必要不可欠です。時代と共に高齢者が増加するからこそ、多くの利用者と円滑な関係性を築ける能力は養っておくべきと考えられます。体調や生活スタイル、性格なども細かく考慮しながら、信頼関係を築けるコミュニケーション能力とはどのようなものなのかも学んでおきましょう。

観察力・判断力

利用者の異常や変化にすぐに気付くためには、観察力や判断力も欠かせません。万が一のことがあれば命に関わる重大な事故につながりかねないためです。適切なコミュニケーションに合わせて効率よく進める能力も必要ですが、利用者一人ひとりを細かく見る能力も求められます。

観察力や判断力は、日常生活でも養えるスキルです。家族や友人などを注意深く観察するよう心がけると、日々の経験が経験値となって現場でも活かせるでしょう。

介護業界への転職前にここをチェック

介護業界への転職を検討するうえでは、以下の項目をチェックしてください。

  • 平均年収
  • 将来性
  • 転職に有利な資格
  • 適正
  • 未経験での就業について

入社後のミスマッチを防ぐためにも必ず目を通しておきましょう。

平均年収

介護士の平均年収は、雇用形態によって異なります。求人ボックスのデータによると、正職員での平均年収は約325万円です。ちなみに、厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇等調査結果」によると、正社員雇用の平均月収は約31万円でした。平均月収は平均基本給額である187,180円に81,110円の平均手当額、48,320円の平均一時金額を合わせて算出したもので、令和2年度に比べて給与が上がっていることがわかります。

平均年収平均月収ボーナス
約325万円約31万円円約50万円〜

この平均年収に年間ボーナスが70~100万円ほど支給されるため、年収は約430万円前後となります。

参考:求人ボックス|介護士の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)

参考:厚生労働省|令和3年度介護従事者処遇等調査結果

将来性

日本の介護業界は要介護認定者が増加傾向にあるため、将来性はあると考えられます。2025年には現在の団塊世代がすべて後期高齢者化するといわれている背景も考慮すると、介護業界の人材需要は高まることが予想されるためです。

現在でも多くの高齢者や要介護認定者がおり、介護業界の人材需要は逼迫しています。時代が進むにつれて介護を求める人々がさらに増加することから、介護業界はもちろん日本の社会全体でも介護職を希望する求職者は歓迎されるでしょう。

転職に有利な資格

介護業界に転職を検討するうえで有利な資格は、以下の通りです。

資格概要
介護職員初任者研修無資格でも取得しやすい資格のひとつ。取得しておくと利用者に必要な身体介護が可能。取得期間は約3ヵ月程度、費用は6〜15万円前後。
介護福祉士実務者研修痰吸引、経管栄養など技術面や認知症にまつわる知識が学べる。研修時間は450時間必要。なお、介護初任者研修を取得済の場合130時間分が免除される。
介護福祉士介護資格の中でも唯一の国家資格。実務経験、養成施設、福祉系高校、経済連携協定の4つのルートから取得可能。
社会福祉士福祉や医療にまつわる相談援助のプロとして認められた国家資格。ケアマネージャーとして働きたい方は取得すると有利。取得難易度が極めて高く、厚生労働省によると、合格率は全体の30%前後と少ない。
介護事務利用者の利用料の算出や、国、自治体に介護報酬を請求するための資格。介護事務として働くには介護保険制度について学ぶ必要があることから、取得しておきたい資格のひとつ。

適性

介護業界に転職するなら、適性についても押さえておきましょう。介護業界に向いている人の主な特徴は以下の通りです。

  • 人との関わりを大切にする人
  • 相手を思いやれる人
  • 変化に気付きやすい人
  • 冷静に対処できる人
  • 体力、ストレス耐性がある人
  • 常に学ぶ姿勢がある人

介護業界は利用者のサポートが主な仕事です。自分を仕事の主役として考えるのではなく、利用者を第一に考え、適切にサポートする必要があります。そのため人との関わりを大切にする気持ちがある人や相手を思いやれる人は、介護業界に適した人材であると考えられます。

ただし、入浴や排泄などの介助がともなうため、体力がある人や予測しない事態が起きても冷静に対処できる人、少しの変化にも気づける観察力のある人も適した人材といえます。

未経験での就業について

介護業界の仕事は、未経験であっても転職可能な業種です。その理由は、それだけ介護業界の人材が不足しており、ひとりでも多くの人材を確保したいと考えているためです。経験や有利となる資格がなくても日常的な業務によって経験を積み、そのなかで資格取得支援制度などを設ける施設も多く、やる気や体力があれば誰でもチャレンジできる業種です。

まとめ

時代と共に高齢化が進む日本では、介護業界は将来性のある業種といえます。しかし将来性があるという理由だけで転職を決めてしまうと、介護業界にまつわる情報不足によって入社後のミスマッチを招く可能性があります。

腰を据えて長期の就職を考えるなら、利用者をサポートするために必要な資格や求められる能力、年収や適性などを踏まえながら検討を進めましょう。

監修者・江部 臨太郎

江部 臨太郎

新卒からアパレルショップ「FREAK'S STORE」に4年勤務。顧客売上全国1位を達成し副店長に昇格後、うなぎ屋「のだや」に転職。ホール責任者として2年勤務し、1年間の無職期間を挟み、リクルートに入社。広告メディア「SUUMO」を取り扱う一気通貫型の法人営業に2年間従事し、在籍期間で合計6回の社内表彰を獲得。その後、転職サイトdodaなどを取り扱うパーソルキャリアの新規事業開発室「Innovation Lab.」に転職。サービス業向けのDXを行うバーティカルSaaS「Sync Up」の新規事業立ち上げにBizサイド1人目としてジョイン。SaaS型パイプラインセールスの基盤構築と事業拡大に貢献。その後、パーソルイノベーションに転籍し、同事業部で計2年間、社内スタートアップの "0→1" フェーズに携わり、現職へ。執行役員として人材紹介サービス「Izul」の立ち上げに参画。現在はIzulの事業全体の戦略推進担当を担いながら、キャリアアドバイザーチームのマネジメント、及び自身もプレイヤーとして活動中。同時に個人事業主として、住宅メーカーやインテリアショップなどtoC事業者に向けたコンサルティング業務に従事している。

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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