サプライチェーンとは?バリューチェーンとの違いや具体例を紹介

2022年10月30日

2024年3月12日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

サプライチェーンとは、消費サイクルにまつわる経営用語のひとつです。SDGsや環境意識の高まりを受け、環境に配慮したサプライチェーンの構築が大きく取り上げられており、ニュースでもよく目にするようになりました。しかし、サプライチェーンの詳しい内容については、正しく理解できていないという方も多いでしょう。
この記事では、サプライチェーンの概要やバリューチェーンとの違い、導入の具体例などを紹介します。

サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、原料調達から消費までの一連の流れを指す経営用語です。我々が普段目にする商品や食材は、さまざまな原材料や部品、肥料などを組み合わせて製造もしくは収穫し、小売店などを介して手元に届きます。つまり、生産者から消費者へ届くまでには、調達や製造、配送、販売といった複数の商流・物流が間にあることで成り立っています。この流れや取引のサイクルを鎖(チェーン)に見立て、サプライチェーンと呼ばれるようになりました。

バリューチェーンとの違い

バリューチェーンとは、原材料などの調達や商品の製造、配送、顧客への販売など、それぞれのプロセスが生み出す価値に着目した思想です。バリューチェーン分析を行えば、自社と競合他社が行っている活動を機能ごとにカテゴライズできます。分類ごとに強み・弱みを把握することで、自社の課題点の洗い出しに役立てることができ、課題点を把握して重要度の高いものから改善することで、競合優位性を高められるでしょう。
サプライチェーンとバリューチェーンには共通する部分もあるものの、内容は異なります。ただし、バリューチェーン分析の土台となるのはサプライチェーンであり、分析の際はサプライチェーンの考え方を取り入れる必要があります。

サプライチェーン導入の具体例

一口にサプライチェーンといっても、流れは業種や業態によってさまざまです。
例えば自動車の場合は、金属やガラスといった原材料を調達し、自動車工場で製造されます。製造後、自動車販売店へ輸送されて新車を注文したい消費者のもとに届きます。
また、家電の場合も原材料を調達してメーカー工場で製造するという点は自動車と変わりません。しかし、家電は製造されたらメーカーや委託先の物流センター、さらに家電量販店の物流センターなどを経由して店舗に届けられる特徴があります。在庫として一時的にストックされた後に消費者が購入する点に大きな違いがあります。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、サプライチェーン全体の供給を最適化する取り組みのことです。具体例からも分かるように、サプライチェーンは複数のプロセスやプレイヤーが複雑に絡み合って構成されます。
消費者へ効率的かつ適切に商品を届けるには、企業間取引だけでなく、生産部門と販売部門の連携といった企業内で要するやり取りの最適化も欠かせません。サプライチェーンマネジメントによってサプライチェーン全体の意思決定が最適化されることで、適切な供給速度と在庫管理を実現できるようになり、収益性の向上も期待できます。

サプライチェーンマネジメントが求められる3つの背景

ここからは、サプライチェーンマネジメントが必要とされる背景について改めて確認してみましょう。

企業のグローバル化

グローバル化が進んだ現代においては、商品の流れを構築・把握することは企業の重要課題のひとつです。製造業を中心に多くの企業が国をまたいで商品を生産し、複数の原材料や部品を輸入しています。
しかし、世界的なパンデミックや戦争がひとたび起きてしまうと輸出入が停止し、供給が滞ります。最悪の場合は企業の倒産を招く可能性もあるため、サプライチェーンの定期的な見直しが必須です。
サプライチェーンの把握や管理ができていない企業は、今後生き残れないといっても過言ではありません。サプライチェーンマネジメントの必要性は、今後さらに高まると考えられます。

情報技術の革新

情報技術の革新によってさまざまな情報がオンライン化され、データとして取り扱えるようになりました。これらは「ビッグデータ」とも呼ばれ、ビッグデータを収集・分析すれば、商品開発やマーケティングなどに役立てることができます。
もちろん、サプライチェーンの構築・見直しにも活用できますが、ビッグデータには顧客データなども含まれていることから、統括的かつ適切に管理を行う必要があります。

少子高齢化による人手不足

少子高齢化による労働人口の減少によって人手不足が懸念されています。特に製造業や物流業は慢性的な人手不足に陥っており、今後もさらに深刻化すると予想されます。
しかし、サプライチェーン全体が最適化されれば無駄が減り、効率的に省人化を図ることができます。少人数でも稼働できるシステムを構築できるため、人手不足の対策としてもサプライチェーンマネジメントが注目されているのです。

企業がサプライチェーンマネジメントに取り組む4つのメリット

サプライチェーンマネジメントを行うことで、一連の経済サイクルに良い効果が生まれやすくなります。ここからは、企業がサプライチェーンマネジメントに取り組んだ際のメリットについてみていきましょう。

1:リードタイムの短縮

リードタイムとは、物事に着手してから完了するまでの時間のことです。サプライチェーンにおけるリードタイムとは、原材料の調達から消費者の手元に届くまでの全体的な時間を指します。サプライチェーンマネジメントによって供給プロセスを最適化することにより、業務効率化や情報共有不足が解消されるため、結果としてリードタイムの短縮につながります。

2:在庫量の適正化

さまざまな情報や業務がオンライン化されたことで、在庫状況や消費者の購買情報をタイムリーに把握できるようになりました。サプライチェーンマネジメントを行えば、需要の増減予測によって原材料の調達量を適切に調整できるようになり、在庫量の適正化を図ることができます。過剰在庫や需要発生時の機会損失を未然に防ぐためにも、サプライチェーンマネジメントによる在庫量の適正化は重要なポイントです。

3:コストの削減

需要の増減状況を予測できれば、仕入れの数量を適正化するだけでなく、小売店舗に対してベストなタイミングで商品を配送できます。つまり、サプライチェーンマネジメントで供給プロセスを最適化できれば、物流に関連するコストも削減できるのです。また、一元管理によって最適な人数でプロセスを管理できるようになるため、人件費の削減も期待できます

4:売上の最大化

リードタイムの短縮や在庫量の適正化によって機会損失を防ぎ、コスト削減によって支出を抑えることができれば、キャッシュフローが改善されて売上の最大化を図れます。サプライチェーンマネジメントに継続的に取り組むことで、これらのメリットを連鎖的に得られる点も大きな特徴です。

まとめ

グローバル化や少子高齢化による人手不足に企業が対応するためには、サプライチェーンの把握が欠かせません。しかし、把握しただけでは大きな効果は期待できないでしょう。
サプライチェーンは技術水準や時代、世界情勢などによって刻一刻と変化するからです。厳しい市場環境の中で企業が生き残るためには、供給全体の最適化を図るサプライチェーンマネジメントに取り組み、時代の変化に対応していく姿勢が求められます。
サプライチェーンの仕組みを正しく理解し、まずは自社におけるプロセスの最適化につなげていきましょう。

監修者・髙木 香奈恵

髙木 香奈恵

新卒でリクルートの求人広告営業に従事。高い顧客満足度とリピート率をキープした業績が評価され、その後事業部の数字管理やシステム改善業務に従事。
2社目に当時創業3年のファッションテック系ITベンチャーに転職し社長室に所属。秘書業務全般から、新規事業としての法人立ち上げ、人事部への事業推進や社内教育の企画実行、エンゲージメント施策の運営など、経営者に近い目線で幅広い業務に従事。それらの経験から、仕事は辛いものでも収入のためでもなく人生を豊かにするための手段に過ぎないと考え、キャリアアドバイザーとしてIzulにジョイン。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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