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転職活動を始めたとき「自分は何が強みで、どこに向かってキャリアを描きたいのか」という問いは、確実にぶつかるものだと思います。特に日々の仕事に追われていると、目の前の数字や成果はあっても、それが何につながるか悩むケースは少なくありません。
今回ご紹介するSさんも、7年連続での営業目標達成という圧倒的な成果を抱えていながら、自身の強みを言語化することに苦戦していました。コンサルタント松崎の言葉によって、自身の経験が自信のあるものになった、と言ってくださったSさん。
Sさんがどのようにして自信を付け、キャリアの方向性を見出していったのか。Sさんの転職活動を、弊社コンサルタントの松崎と振り返ります。

圧倒的な行動量で7年連続目標達成実現!セールスマンとしての原点

―これまでのキャリアについて教えていただけますか?

新卒では外資系メーカーに入社し、約5年半法人営業を担当しました。扱っていたのは家庭用ではなく業務用の製品で、新規開拓や既存顧客営業、代理店営業といった3つの軸で活動しました。
その後は人材紹介会社に転職し、1年8ヶ月ほど両面型のコンサルタントとして、リクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しました。体育会系の社風で厳しい環境でしたね。
―営業系のキャリアを今まで積んできているんですね。そもそも1社目を選んだ理由はどんなものだったのでしょうか。

元々大学までずっと野球を続けており、プロでやっていきたい気持ちもあったほどです。ただ、プロで活躍しているような先輩方のレベルを見て「自分には難しい」と感じました。実際にいくつか声をかけていただいた企業もありましたが、あまり知名度の高いチームではなく、野球は諦めて社会人として一歩を踏み出すことを決断しました。
最終的に外資系メーカーを選んだのも、正直そこまでしっかり考えたわけではないんです。当時教育実習などにも行っておりなかなか時間が取れず、声をかけていただいた中から一番自分の強みが活きそうだと思った企業が外資系メーカーだったという理由でした。
―時間的にも余裕がない中での決断だったんですね。つまり強烈な想いがあって入社したわけではなかったと思うんですが、5年半も勤められていますよね。そんな中で転職を考えたのはなぜだったんですか?

成果に見合った評価が得られないと感じたことです。5年間目標を達成し続け、うち4年間は社内トップ10入りしていました。社内表彰もいただきましたが、任せていただける仕事の幅が広がらず、主体的にキャリアを描けていないと思いました。3年目頃から違和感はありましたが、継続的な実績を残してから区切りをつけようと考え、5年を終えたタイミングで転職を考えました。
―2社目は人材業界ということでそれまでの業種とはかなり方向性を変えていると思いますが、人材業界を選んだ理由を教えてください。

軸は2つありました。1つは営業力をさらに高めたいという思いで、無形商材に挑戦したかったこと。もう1つは経営課題の上流に関わりたいという点です。1社目で清掃機器を販売していた際、多くの経営者の方から「採用が一番の課題」と聞き、自分もその重要性を感じました。
2社目として選んだ企業では、動物病院の採用事業の立ち上げタイミングで、そこを任せてもらえる環境があり、挑戦を決めました。
―1社目では継続的な実績を上げるために5年ほど勤められていた一方で、2社目の人材紹介は1年半ほどで転職を決意されてますよね。これはどんな理由だったのでしょうか?

立ち上げた採用事業が2年ほどでクローズすることになったためです。市場規模や売上の伸びを踏まえ、会社が他事業に投資する判断をしました。私は法人営業を続けたかったのですが、転属先として打診されたのはtoCのハイクラス人材向けヘッドハンティング部門。一からやり直すよりこれまでの経験を活かしたいと思い、異動も希望しましたが叶わず、このタイミングで転職を決めました。
転職活動で立ちはだかった言語化の壁

―松崎から見て初回面談でのSさんの印象はいかがでしたか?

ベースにスポーツで培った経験があり、営業実績も常に達成していると聞いて「しっかり行動量を稼げて成果を出せる人材だ」と感じました。初回面談の時点から「この人なら転職もうまくいくだろう」と思ったくらいです。
転職に向き合う真面目さも最初から伝わってきていましたし、Izulの支援はタスクも多いですが、そこもきちんと対応してくれていました。だからこそ、絶対に転職成功させようと強く思いましたね。
一方で、成果を出しているものの「目先の目標にとらわれている」印象もありました。営業として数字を追えるのは強みですが、それ以上の成長にはつながりにくい。年齢的にも、次のステップに進むタイミングだと感じたので、「視野を広げるために将来的にはマネジメントにも挑戦したらどうか」とお話ししました。

実は、2社目に入った当初は上長の大変そうな様子を見て「マネジメントはやりたくない」と思っていたんです。ただ松崎さんとの自己分析を通じて「挑戦したい」という気持ちを取り戻すことができましたし、今まで見えていなかった将来のキャリアパスなども見えるようになっていきました。
仕事をしながら自分のキャリアを振り返る機会はなかなかないので、Izulで松崎さんと出会って、こうした時間をいただけたのは大きかったなと思っています。
―今のお話だと、割と早い段階でキャリアの方向性が見えていたのかなと思いますが、松崎の頭の中には既に候補となる企業像があったのでしょうか。

はい。自己分析をしている最中から「中小SaaSのフィールドセールス」が出口だなと思っていました。規模感が大きすぎないのでマネジメント経験を早期に積むことができ、かつ現職の人材よりも難易度の高い商材にチャレンジできる場として適していると考えていました。
―自己分析後に方向性が決まり、実際の面接に向けて仕事の棚卸しをしていったかと思うんですが、なにか新しい気付きはありましたか?

自分では「大したことがない」と思っていた経験も、アピールできるポイントだったということは大きな気付きだったなと感じます。
僕自身は「自分は底辺の営業」くらいに思っていたのですが、あるとき松崎さんから「新卒から売上目標の未達成が一度もない7年連続達成は、世の中でも稀」と言われ、自信につながりました。些細な言葉でしたが、僕にはとても刺さりましたね。

最初はご自身の実績を言語化するのに苦戦されていたなかで、棚卸しを深めると2つの強みが見えてきました。1つはソリューション要素を含んだ営業経験。もう1つは、エンタープライズへのターゲット拡大やパートナーセールス強化といった取り組みです。これらはSaaS営業にも直結する部分なので意識しながらエピソードを構成していきました。
特に、SaaS企業の中でも中小企業をメインターゲットにしていたことから、顧客単価の向上や販路拡大に積極的に取り組まれているフェーズの企業が多いため、必ず刺さると確信していました。
1社目の清掃機器メーカーに関しては、とにかく「なぜ高い実績を残せたのか?」「他の営業メンバーがやっていなくてSさんがやっていたことは何か?」という部分を何度も聞いていきましたね。ターゲット顧客や商流についても深ぼって行った時に「代理店の活用は他の営業メンバーより工夫していた」「顧客単価向上のためにエンタープライズ企業の開拓に注力していた」という話を引き出すことができました。
その後SaaS営業で必須となるソリューション提案に繋げられるような経験がないかと探っていきました。2社目の人材会社の仕事の棚卸しで、実はよくある人材エージェントの紹介→入社による成果報酬型ではなく、Sさんの前職は3ヶ月契約の月額制としてプライシングされていたということがわかり、この経験から採用課題に対するソリューション提案を行った経験として棚卸ししていきました。
指摘してくれるからこそ信頼できた

―アピールするエピソードなどは整理していったあとは面接対策に入っていくと思うのですが、苦労した部分はありましたか?

松崎さんから「自分の言葉で噛み砕くこと」を指導いただいたのですが、これが一番難しかったですね。また、既に知り合っている人とロープレをするのも昔からとても苦手なので、松崎さんとのロープレはそこまで回数は重ねてないと思います。
結局は数をこなして時間をかければ乗り越えられると思い、項目ごとに質問を作り、自分で答える形式で練習を繰り返しました。夜中の2時や3時まで続けることもありましたが、「やるべきこと」だという気持ちでやっていたので苦にはなりませんでした。

改めて振り返ると、確かにご支援の中で面接が一番苦労したかもしれませんね。SaaSに初挑戦するにあたり、基礎的な知識はインプットしながら自分の言葉で話せるように落とし込む必要がありました。正直ここに関しては万全の対策をしたというよりは本人の努力に委ねる部分が大きくて、Sさんの努力の賜物だと思います。
―経歴面だけでみると「1社目が5年半勤務の後、2社目を1年半で退職」という部分では、2社目の期間の短さについて切り込む企業もあるのではと思います。その整理はどうされたのでしょうか。

Sさんの場合は何よりも事業撤退が背景にあったので、そこは素直に伝える形で整理しましたね。法人営業でキャリアを築きたいという意思が一貫していることを土台にして、異動希望も出しましたが叶いませんでしたという部分もありのまま伝えてもらいました。
無理に理由付けを行わずに素直に伝えたからこそ「これまでの成果を土台に、より難しい商材で挑戦したい」という転職理由が揺らがないものになったかと思います。
―最終的には7〜8社の選考を経て3社から内定を得られました。当初の松崎の想定通りSaaSのフィールドセールスに着地したと思いますが、今回転職する企業の決め手はどんなところだったんですか?

内定をいただいた企業に自分の中で点数をつけて比較し、最も高得点だった会社を選びました。待遇も良く、マネジメントや難易度の高い商材に挑戦できる点が、自分の転職軸と一致していました。給与も魅力でしたが、それ以上に「ここで成長できる」と思えたのが大きな理由です。

Sさんは非常に優秀な方なので、どの会社でもSさんなら活躍できると思っていましたが、この会社は評価も高く、グレードもマネージャー1歩手前での採用でした。現場で成果を出せばすぐにマネジメントの役割を担える点も大きかったですね。
―Izulの支援で印象的だったことはありますか?

言いづらいことをはっきり伝えてくれるところですね。私自身キャリアアドバイザーをしていたので分かるのですが、お客様でもある候補者に対して厳しいことを言うのは難しい場面も多いと思います。ですが松崎さんはズバズバ指摘してくれる。だからこそ信頼できました。
面接練習でも「これはダメ」と正直に言ってくれましたし、時には怒っていただくこともありました。大人になるとそういう機会は減りますが、それだけ本気で向き合っていただいた証拠だと感じました。そういった指摘をいただけたことはすごく印象に残っていますね。
―最後にIzulの支援を振り返ってみて、いかがですか?

本当に最高の支援でした。企業から高い評価をいただいたのは松崎さんのサポートがあったからだと思いますし、Izulのように親身になって伴走してくれる人材紹介会社がもっと増えてほしいですね。今回、年収は基本給ベースで150万円ほど上がりました。ここまでのオファー額は、松崎さんの知識やインプットがあったからこそ実現したと感じています。

正直、Sさんは僕でなくても転職は成功させることができたと思います。
ただ、私のこれまでの知識や経験をエッセンスとして加えられたことで、SaaSへのキャリアチェンジをスムーズに導けた部分はあるのではないかと感じています。
今回の転職活動で整理していった通り、Sさんならきっとすぐにマネジメントに挑戦していけると思うので、がんばってくださいね。次のキャリアも応援しています!
―Sさん自身の努力と松崎のサポートがあっての転職だったことがすごく伝わりました。お話聞かせていただきありがとうございました!