目次
「SaaSに転職したいです」
この言葉は、転職エージェントであれば非常によく聞く言葉だと思います。転職市場のなかでも人気の高い企業が数多くあり、その理由から転職難易度が高い企業も存在しています。
一方で、未経験からSaaS企業へ転職するケースも少なからずあります。このとき壁になりやすいことは「これまでの経験をSaaSでも通用するようなスキルとして伝える」ことなのではないかと思います。
今回ご紹介するのは、未経験からSaaS企業への転職を決めたOさんです。仕事の棚卸しから面接対策に至るまで、どのようなプロセスで転職成功となったのか、弊社コンサルタントの松崎と共に振り返ります。

新卒5年目、感じた将来への不安

―最初に、これまでのキャリアについて簡単にお伺いさせてください。

新卒から4年半、イベント業界において映像機材のレンタルを行う企業で法人営業を担当していました。主な顧客は、ビジネスカンファレンスや展示会などのイベントを企画・運営されている企業です。
お客様からイベント内容に関するご相談をいただき、要件をヒアリングした上で必要な映像機材の選定やオペレーターを含む人員手配を行います。加えて提案から準備・当日の現場対応まで一貫して関わり、イベント運営を支援する点が特徴です。
―新卒でその会社を選ばれた背景についても教えていただけますか?

就職活動の当時は、「仕事を通じてやりがいを感じられること」を重視していました。その中で自分なりにやりがいの源泉を考えた結果、関心のある分野に携わりながら価値提供ができる環境で働きたいと考えるようになりました。
もともとイベント分野に興味があったこともあり、自身の関心と業務内容が重なる点に魅力を感じ、入社を決めました。
―それなりに長く続けられている印象ですが、今回転職活動を始めようと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

4年半働く中で、仕事として楽しいと感じる部分もあれば、自分にはあまり向いていないと感じる部分も含め、さまざまな経験をしてきました。そうした経験を踏まえて、5年後10年後の自分の姿を考えたときに、今の会社に在籍し続けることで自分が理想とする将来像を具体的に描けるかという点に少し迷いを感じるようになりました。
一方で、その理想像が当時の自分の中で明確に言語化できていたわけではありませんでした。そのため転職活動を通じて自分の方向性や価値観を整理し、キャリアをあらためて見つめ直す機会にしたいと考えたことが転職活動を始めたきっかけです。
未経験異業種転職へ向けた仕事の棚卸し

―Izulの初回面談を受けていただいた際の率直な印象を教えてください。

転職エージェントに対しては、数回の面談の後比較的早い段階で求人紹介に進むものだというイメージを持っていました。なので初回から転職活動全体の進め方や支援方針を丁寧に説明していただき、さらに複数回の面談を前提としたサポート体制であると知ったときは良い意味で想像と違っていました。
時間をかけて伴走してもらえると感じられたことで、準備が整わないまま面接に進む不安が和らぎ、安心して転職活動をスタートできた点が印象に残っています。また松崎さんの距離感も程よく、転職エージェントというより社内の先輩に相談しているような感覚で話ができたことは自分にとって大きな安心材料でした。

Oさんは当初からSaaS志向をお持ちでしたが、これまでのご経験とは業界や商材の面でギャップがあり、正直なところ転職活動は決して簡単ではないだろうという印象を持っていました。
ただ初回面談の時点で非常に素直なお人柄でこちらのアドバイスを前向きに受け止めてくださる姿勢が強く、これまでの業務経験をしっかり棚卸しし強みや再現性のあるスキルを整理できればポテンシャルを評価する中小規模のSaaS企業で十分に可能性があると感じていました。
―転職活動を進める中で、特に難しかった点はどんなところでしたか?

転職活動で最も難しかったのは、これまでの経験を次のキャリアでどう活かせるのかを客観的に整理することでした。イベント業界という比較的特殊な領域で有形商材を扱い既存顧客を中心とした営業を行ってきたため、自分の業務内容や強みを業界前提の異なる企業にどう伝えるべきか悩みました。
志望していたのは無形商材を扱う新規開拓型の営業ポジションだったので、同じ営業職でも求められるスキルや成果の出し方が異なる中でこれまでの経験をどのように再定義し、再現性のある強みとして示すかには苦労しました。
そのため仕事の棚卸しはかなり苦戦しました。自分では評価されるポイントが分からず、どこをアピールすべきか全く見えていませんでしたが、松崎さんに業務内容を丁寧に分解していただき他業界でも通用するスキルやポテンシャルとして整理してもらえたことで、初めて方向性が定まりました。
―どのようなエピソードを引き出し、どのように整理していったのか、もう少し詳しく教えてください。

軸になったのは、展示会における既存顧客向けの案件です。コンペ形式の企画で自分の提案によって受注につながった経験があり、その際にどのような提案を行い結果としてどのような数値成果が生まれたのかをできるだけ定量的に伝えるエピソードとして整理していただきました。
単なる業務説明ではなく、「自分の提案がどう成果に結びついたのか」を明確にすることを意識してまとめてもらったという感覚です。

コンサルタントとして意識していたことは二点ありました。一つは、既存顧客向けの営業であっても、新規開拓に近い要素を含む提案や案件がなかったかという視点です。もう一つは、SaaSに通じる課題解決型のエピソードとして語れるかどうかでした。
OさんはSaaS業界の経験があるわけではないため、最初から「これが強みです」と言えるエピソードが明確にあったわけではありません。そこで、例えば既存顧客の中でもリプレイスされかけてコンペに近い形になった案件はなかったか、毎年同じようなイベントを担当する中でも提案に苦労したケースはなかったか、顧客の課題を分解し自分なりに工夫して提案した経験があるか、といった形で角度を変えながら質問を重ねていきました。
そうしたやり取りを繰り返す中で、SaaSでもアピールができるエピソードを絞り出していきました。エピソードを探すこと自体に1回の面談(約1時間)を使ってようやく一つの軸となるエピソードを言語化できた、というプロセスだったと思います。
―そこから面接対策に入ったと思いますが、ここも大変だったと伺っています。特に苦戦した点はどこでしたか。

面接対策で最も苦労したのは、「自分の言葉で話すこと」でした。当初はアドリブでの受け答えが元々得意ではなかったため、想定質問への回答を細かく用意し暗記する形で準備を進めていました。その結果インプットに時間をかけ過ぎてしまい、実際に声に出して話すアウトプットの練習が不足していたと振り返って思います。
松崎さんとの面談を重ねる中で徐々に話せるようにはなりましたが、もっと早い段階から一人で話す練習やAIを用いた模擬練習などアウトプット中心の準備をしておくべきだったと感じています。
―面接対策は、どのくらいの回数で進められたのでしょうか。

全体で5回ほどだったと思います。話す内容自体を整理するために面接練習とは別に時間を取っていただき、その軸が固まってから4〜5回目でロールプレイ形式の面接練習に入った流れです。
面接練習の甲斐があり、選考をスタートするタイミングではある程度自信を持てる状態になっていたと思います。その後実際に面接を重ねる中で、話し方や伝え方への手応えが積み上がり、自信がより深まっていった感覚がありました。
自分らしいキャリアを創っていくために

―転職活動全般を振り返って、特に印象に残っているやり取りやエピソードがあれば教えてください。

印象に残っているのは、面接に落ちたときのやり取りです。自分は割と気にしてしまうタイプなので、面接後に松崎さんへ連絡するのも少し気が重くなることがありました。
ただそのたびに松崎さんから「大丈夫。次があるよ」「そこはあまり気にしなくていいポイントだよ」と前向きな言葉をかけていただきました。その声掛けがあったことで気持ちを切り替えることができましたし、転職活動を一人で進めているのではなく、伴走してくれる人がいるという安心感はとても大きかったと感じています。

私の中で印象に残っているのは、自己分析の時間です。Oさんはご自身でも話されていましたが、非常に真面目で「きちんとしよう」という意識が強い方です。その分、周囲からの期待や目線を意識し過ぎて、自分で自分を追い込んでしまう一面もあると感じていました。
なのでOさんとは「周りを気にし過ぎず、Oさんらしく働ける環境の方が力を発揮できるのではないか」という話をよくしていました。その上で、自由と責任を両立させるためにはどのように生産性を高め、信頼される存在になる必要があるのか。その手段の一つとして、SaaS業界で求められる役割や考え方について話した記憶があります。

そのときの松崎さんの言葉は私もよく覚えています。当時自分の中で漠然と感じていたモヤモヤや、なんとなく目指したいと思っていた方向性を言葉として整理してもらえた感覚がありました。「なるほど」と腹落ちしましたし、長期的に目指す姿と、そのために短期・中期で取り組むべきことが明確になりました。
その話を早い段階でしていただけたことで、転職活動の中で自分が何を意識し何に取り組むべきかがはっきりしたと感じています。
―2月から次の職場にご入社とのことですが、今後の展望やキャリアについてお聞かせください。

ご期待をいただいて内定をいただいていると思っているので、そのご期待に応えられるよう、まずはしっかりと結果を出すことを第一に考えています。
現時点では「こうなりたい」というイメージはまだ漠然としていますが、実際に現場で経験を積む中で任された役割を担いながら、自分の目指す姿をより具体的にしていきたいと考えています。働く中で解像度を高めながら、自分なりのキャリアの軸を明確にしていけたらと思っています。
―最後に、Izulの支援について率直なご感想をお聞かせください。

正直なところ、Izulさんの支援なしでこの転職活動を進めることは考えられなかったと思っています。自分一人では気づけなかった視点や考え方を、松崎さんから本当に多く与えていただきました。その一つ一つが転職活動を進める上での判断軸になっていたと感じています。
最後まで一緒に走っていただいたことに心から感謝していますし、もしまたキャリアについて考える機会があればぜひ松崎さんにお願いしたいと思えるほど信頼しています。

ありがたい言葉をもらいましたが、Oさんは「こうなりたい」という方向性は持っているものの、現時点でやりたいことが明確に固まっているタイプではないと思っています。それ自体は全く問題ではないと考えていて、次の職場でさまざまな経験を積む中で、やりたいことや目指したい姿が自然と見えてくればそれでいいと思います。
そのときには、今とはまた違った景色が見えていて選択肢も広がっているはずです。もし次に転職を考えるタイミングが来たときには、また支援できたら嬉しいですね。

