日本は高齢化先進国として、今後高齢者の比率が増加し、従来の医療や介護が実現困難になる懸念があります。この課題に対応するため、株式会社エス・エム・エスが展開しているのが、「カイポケ」というSaaS事業を軸とした経営支援事業です。
Izulは、株式会社エス・エム・エスの採用をご支援しています。今回はカイポケ事業の特徴や今後の展望、求める人物像についてマーケティング&セールス統括部の責任者である新藤さんにお聞きしました。
目次
- 「カイポケ」は、中小規模の介護事業者の業務効率化を支援するサービス
- データを読み解き、セールスの変数を見つけて戦略を立てる「データドリブン」のセールスを経験できる
- 誠実に仕事に取組み、物事を前向きにとらえられる人に来てほしい
<プロフィール>
新藤 裕介(しんどう ゆうすけ)さん:株式会社エス・エム・エス 介護・障害福祉経営支援事業本部 マーケティング&セールス統括部 部長
齊藤 穂奈美(さいとう ほなみ):株式会社Izul コンサルタント
https://izul.co.jp/consultants/saito/
「カイポケ」は、中小規模の介護事業者の業務効率化を支援するサービス
ーエス・エム・エス様/カイポケの事業内容について教えてください。
新藤:日本は高齢化先進国と言われ、特に高齢化率が高く推移しています。高齢者の方々が増えて現役世代の割合が減っていくと、これまで維持できていた社会的なインフラである医療や介護が立ちいかなくなると予測されています。
私たちエス・エム・エスは「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」というミッションを掲げ、ビジネスを通じて日本社会の課題を解決していきたいと考えています。2003年に創業し21年目を迎えた当社は、20期連続で増収・増益を続けています。
事業内容としては、医療・介護/障害福祉・ヘルスケア・シニアライフという領域と、従事者・事業者・エンドユーザという3つの価値提供先ごとに事業領域を定義しています。今回お話しするカイポケ事業は「介護/障害福祉×事業者」の領域に対してサービスを提供しています。
カイポケ事業は介護/障害福祉事業者の経営改善に貢献することを目指しています。高齢者人口の増加に伴う介護需要が高まる中、介護の現場は慢性的な人手不足となっています。そのような状況でも介護従事者が介護のケア業務に集中出来る環境を作るため、業務を効率化する介護ソフトを提供しています。
介護事業所における基本的な業務はケアの計画書作成、シフトの管理、ケアを実施して記録し、最終的に国に介護報酬を請求するという流れです。
ただ、これらの業務はまだまだアナログな部分が多いです。例えばケアの計画書類を作成した後にやり取りをFAXで行っていたり、従業員のシフトの調整や共有をホワイトボードで行っていたり、報告書作成は紙の記録から転記している事業所も多いです。
こうしたアナログで煩雑な業務が多いことから、介護従事者が直接ケアに充てられる時間は38%に過ぎません。カイポケは、介護事業所の残り62%にあたる煩雑な業務を効率化し、本来の業務に集中できる環境を整えることを目指しています。
また、介護ソフト以外にも介護事業所の経営支援に関連するサービスを提供しています。人事労務領域では求人広告の掲載が可能であり、営業領域ではホームページの作成支援を行っています。また、業務を効率化するために必要となるスマホやタブレットのレンタル事業など、関連サービスを40以上展開しています。カイポケだけで介護領域の中小零細規模の事業所の経営改善を一貫してサポートすることを目指したコンセプトです。
齊藤:カイポケ事業は前期比で順調に成長していると思いますが、その背景について教えてください。
新藤:国がICT化を推進し、ICT機器の導入を奨励していることが一つの追い風となっています。それに加えて、対象マーケットとサービスのコンセプトが明確であることが、カイポケ事業が成長している大きなポイントだと考えています。
カイポケは中小零細規模の事業所を対象にしているため、多機能で高スペックの機器を使用することは現実的ではありません。利用しやすい価格帯であり、多くの方が使用しやすいUI・UXのサービスを提供することを心がけています。
データを読み解き、セールスの変数を見つけて戦略を立てる「データドリブン」のセールスを経験できる
ーカイポケ事業のセールスで得られる経験について教えてください。
新藤:得られる経験は二つあります。一つはエス・エム・エスという会社の特徴として、成果の再現性を高める仕組みやオペレーションづくりに強みをもっていることです。そのため、カイポケのセールスを通じて、より戦略や成果の再現性を高めるために、戦略づくりやオペレーションを設計する経験ができます。このようにお話しすると「決められた仕組みを回していくだけの仕事はいやだな」と思うかもしれませんが、そうではありません。課題を見つけて成果を出すための再現性をより高めていくという意識が現場の担当レベルまで浸透しているため、日々最適化が行われていきます。このように「継続して成果を出し続けるために課題を見つけて改善していく能力」は、どんなセールス組織でも通用する力だと考えています。
二つめの経験は、構造化して組織攻略をしていくセールス経験ができることです。カイポケの会員数は、2024年7月1日時点で51,950事業(29,900拠点)(※)いらっしゃいます。いわゆるSMB領域のセールスにあたり、「大規模企業へのセールス経験ができない」と考える人もいるかもしれません。
※参照:2025年3月期 第1四半期 決算及び会社説明資料
しかし、中小零細の介護事業者は組織構造が複雑なので、組織攻略をしていく力が求められます。具体的には、介護ソフトの導入を意思決定する際にトップダウンで決める企業は少なく、代表や管理職、現場の職員の三者に同意を得ながら商談を進めていく必要があるのです。さらに、アプローチする方が経営に特化しているのか、経営と管理をしているか、経営と管理に加え現場の仕事もしているかによって、介護ソフトを導入する際の意思決定プロセスや響くポイントも異なります。
齊藤:貴社の深く顧客に入り込んだセールス経験は他の業界でも十分に生かせると思います。また貴社のカイポケのセールスについて詳しくお話を聞かせていただいたとき、「ここまで突き詰めて戦略をデータを用いながら立てられるのか」と驚きました。
新藤:カイポケの場合は、会社規模だけではなく独自の営業変数を設けています。例えば法人を設立して初めて介護事業を行う企業なのか、すでに介護事業を営んでいる企業なのか等によって業務の状況や介護ソフトに対するニーズが異なるため、セールスアプローチも変える必要があるからです。
このように、セールスに関わる重要な変数を見つけその単位で物事を考えることが習慣になっています。介護業界については事業者数や経営状況など公開されているデータが多いので、データをどう読み解き営業戦略に落とし込むかという思考は、なかなか他の業界では経験できないことです。
ーセールスで入社後、他の職種に異動するようなキャリアパスの事例はありますか?
齊藤:貴社では、セールスから他の職種へのキャリアパスの事例も多いと思います。異動の希望を定期的に吸い上げる機会もあるのでしょうか?
新藤:今後のキャリアに対する話をする機会は、現場では定期的に直属の上司と目標設定や評価の話をする機会があり、今後のキャリアをどうしていきたいかという話ができます。目指す仕事をするために、どんな能力を開発していくべきなのかという話をします。
また、人事で行っている施策も二つあります。一つはキャリアアンケートで、今後自身がチャレンジしたい業務や希望の部署を書くことができる取り組みです 。二つめは公募制度です。新規事業の立ち上げ時や既存部署でも公募が行われ、社員が挑戦できる場を提供しています。
キャリアパスの事例を紹介すると、例えば第二新卒でインサイドセールスとして入社し、マネージャー職を経験した後にマーケティング組織の責任者となり、現在は新規事業の事業責任者を務めている方がいます。また、第二新卒でインサイドセールスとして入社後、カスタマーサクセスに異動してマネージャー職となり、現在は経営企画にて活躍する方もいます。
特に直近の好事例を紹介しましたが、セールスからマーケティングやカスタマーサクセスに異動するという事例もあり、セールス以外へのキャリアパスの可能性もあります。
誠実に仕事に取組み、物事を前向きにとらえられる人に来てほしい
―採用への想い、どんな方に仲間になっていただきたいか教えてください。
新藤:自身の成長やキャリアを真剣に考えている人に来てほしいと思っています。大きな社会課題をテーマにしたビジネスに対して、どのように成り立ち、仕組み化されて成長しているかに興味を持っていただけると嬉しいです。
現時点で、介護に対する思いを強く持っている必要はありません。実際、入社時に介護業界を変えたいなどの想いを持っていた人は10~20%ほどではないでしょうか。実際に仕事をしていくことで、介護業界に対する関心や考えが後天的に育まれることも多いです。
当社では、日本の未来予想として人口動態に注目し、介護・医療業界のサービスの質が低下することを社会課題として捉え、ビジネスをスタートしました。エス・エム・エスがビジネスを成り立たせることによって、介護・医療業界の未来をより明るいものにできる可能性があると考えています。私たちのビジネスは現在介護業界に関わる人やサービスを受けている人だけでなく、将来の自分や子供たちが大変な想いをする世の中にしないことにもつながっています。
齊藤:社会の負や課題に対して、ビジネスとして必要なものを提供されているということですね。実際に働いているメンバーの方に特徴はありますか?
新藤:誠実で物事を前向きに捉えられる人が多いですね。営業組織に多い体育会系の雰囲気はあまりなく、論理的でオペレーション志向が強いメンバーが多いと思います。ただ、論理性が高いことの裏返しとしてドライなわけではなく、誠実なキャラクターのメンバーが多いです。
齊藤:エス・エム・エスさんは、成長したい想い×組織・顧客・社会への貢献意欲のバランスがある方がマッチする印象を持っています。実際貴社に支援させていただいた方々から入社後の感想についてお話しを聞いているのですが、みなさん共通して「優秀で優しくて誠実な人が多い」と教えてくれます。
―実際にIzulをご利用いただきよかった点、期待していることはありますか?
新藤:カイポケのセールスの採用で、もっとも実績を出しているエージェントがIzulさんです。紹介される候補者さんはキャリアコンサルタントの方と何度も面談を重ねているので、ご自身のキャリアの軸を言語化できている方が多い印象があります。
齊藤:候補者さんと話す中では、価値観や目指すキャリア、今回の転職活動の軸は何かをじっくりと話して整理しています。社会人のことはもちろんですが、幼少期や学生時代まで過去のことを深堀り、ご本人が自分自身のことをしっかりと理解し、考えをしっかり話していただけるようになってからご推薦しております。
新藤:カイポケのセールスは営業未経験でポテンシャル採用している方も多いので、ご自身の価値観や強みを認識されているかは大事にしています。そういった質問をしたとき、Izulさんの候補者の方はフィットするお話をしてもらえることが多く、実績に繋がっています。
齊藤:エス・エム・エスさんの場合、スキル面がフィットしていても価値観やキャリア観が合わないとお見送りになるケースもあると思っています。だからこそマッチする方や入社後に活躍できるポテンシャルを秘めた方を紹介できることが、私たちにとっても醍醐味です。
また、エス・エム・エスさんは候補者の入社後の満足度が高いため、継続的で積極的な支援につながっています。改めて、いつもありがとうございます。
―最後に、今後の事業展望について教えてください。
新藤:カイポケは2030年までに介護ソフト業界でナンバーワンを目指すという目標を掲げています。介護業界には在宅領域と施設領域があり、現在カイポケは在宅領域を中心にサービスを提供していますが、施設領域についてもサービスを拡張していきたいと考えています。また、領域としては介護だけでなく障害福祉の領域にも力を入れていきます。
―ありがとうございました!