「私たちはモチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」というミッションを掲げる株式会社リンクアンドモチベーション。長年、企業の組織開発や人材開発のコンサルティング事業を手がけ、従業員エンゲージメント市場では「モチベーションクラウド」が9年連続売上シェアNo.1 ※を獲得しています。
※ITR「ITR Market View:ワークプレイス最適化市場2025」
従業員エンゲージメント市場:のベンダー別売上金額およびシェア(2017~2025年度予測)
そんなリンクアンドモチベーションの採用をIzulは支援しています。リンクアンドモチベーションが大事にしている採用軸やIzulとの関係性、期待値について、リンクアンドモチベーションの人事ユニット 段上 真輝さん、松隈 華さんに伺いました。
目次
<プロフィール>

(画像右から)
段上 真輝(だんじょう まさき)さん:株式会社リンクアンドモチベーション グループデザイン室 人事ユニット 企画グループ グループマネジャー
松隈 華(まつくま はな)さん:株式会社リンクアンドモチベーション グループデザイン室 人事ユニット 企画グループ
齊藤 穂奈美(さいとう ほなみ):株式会社Izul コンサルタント
https://izul.co.jp/consultants/saito/
中田 潤一(なかた じゅんいち):株式会社Izul 代表取締役
https://izul.co.jp/consultants/nakata/
診断力と変革力が強み。2025年からはグローバル展開も開始

ーリンクアンドモチベーションの事業内容や特徴について教えてください。
松隈:人や組織を変革する独自技術「モチベーションエンジニアリング」を基盤に、企業や組織の変革を支援するソリューションを提供しています。こうしたソリューションを提供する土台に「モチベーションクラウド」というHRトランスフォーメーションシステムがあり、従業員エンゲージメント市場で9年連続売上シェアNo.1を獲得しています。
その背景には、診断力と変革力という二つの強みが存在します。一つ目の診断力としては、従業員の組織への期待と満足に基づく独自の診断モデルにより、従業員ニーズと現状のギャップを明確に可視化します。このモデルは特許を取得しており、国内最大級の13,130社・554万人 (※2025年6月末現在)のデータベースを基盤としています。
この豊富なデータがあるからこそ、組織の状態を エンゲージメントスコア(偏差値) として算出し、全国平均や業界水準との比較が可能となっています。
二つ目の特徴である変革力は、診断で明らかになった課題をもとに、エンゲージメントを軸とした組織変革を推進します。採用や育成、組織設計、人事制度、組織風土といった多面的なアプローチを通じて、確実に変革を実現します。
段上:エンゲージメント診断という点では、同様のサービスを展開する外資系企業などもありますが、大きな違いはリンクアンドモチベーションでは組織人事のコンサルティングを長年やり続けてきており、お客様の組織の変革へのこだわりと実績を持っているという点です。
正確に診断することができる技術をもっていますが、診断することが目的ではなく、事業の本質は確実に変革できるコンサル技術にあります。
松隈:海外は2025年から展開したばかりですが、モチベーションエンジニアリングの技術は海外でも通用することを実感しています。その理由は、満足度だけでなく期待値も確認できることが背景にあります。海外の場合、従業員は会社に満足していなければ転職する風潮が強いので、満足度だけを聞くと高い評価が出る傾向があります。一方でモチベーションクラウドであれば期待と満足を相対的に測れるため、グローバルにも適応することができています。
齊藤:モチベーションクラウドを活用すれば、お客様自身で組織の状態を認識し、改善していけることも強みですよね。
段上:そうですね。モチベーションクラウドでは、豊富な知見を持つコンサルタントからの支援に加え、AIなどのテクノロジーも積極的に取り入れており、サーベイ結果の分析、自組織の課題の特定、アクションの提案や実行支援もAIによるサポートも可能です。これにより、お客様自身が組織の状態を適切に把握し、目指す姿の実現に活用していけることが大きな特徴の一つです。
中田:蛇足ですが、エンゲージメントサーベイを行う際、評点を適当につけるような社員がどうしても出てきたりすると思うのですが、そういった点はどのように考慮されていますか?
松隈:評点自体は正と捉えて分析を進めます。ただ、その手前で適当な回答を防ぐことが重要だと考えています。私たちの支援はサーベイからスタートするのではなく、その前の設計段階から始まります。サーベイの意図をお客様にきちんとお伝えして、社員の方へのメッセージングについても一緒に考えていきますし、必要に応じて私たちが社員の方にお話しする場を持つこともあります。
中田:そういった点も診断だけを提供している企業との差別化になっているんですね。これまで企業の変革をやり続けてきたノウハウが生かされていると感じます。
ーリンクアンドモチベーションが実現したい社会について教えてください。
松隈:当社のミッションは「私たちはモチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」ことです。意味のあふれる社会とは、一人ひとりが夢や生きがいをもって、たくさんの意味をこの社会から汲み取っている、まさに楽しく前向きに働ける社会を意味しています。
こうした社会を実現するには、組織が「One for All,All for One」の状態で成り立っていることが大事だと考えています。つまり、個人が組織のために行動し、組織も個人のために何かをするという相互の関係性が大事だと考えています。そんな企業組織の実現のために事業展開をしています。
中田:事業を社会起点で考えていらっしゃるんですね。企業によって起点はそれぞれ違っていて、大きく3つほど分類があると私は考えています。自社の最大利益を追求する自社起点、クライアントによりよいサービスを提供するクライアント起点、そして社会のためになる事業をする社会起点の3つです。

段上:そうですね。当社では「視界共有」を大事にしていて、会長の小笹が全社に向けて話す機会が多いです。今考えていることや今後の展望を全社員に伝え、社会の課題はどこにあり、だからリンクアンドモチベーションはこう進んでいこうという話題が多いです。逆に、社員から会長に対して、現在起きている社会の変化をどう捉えているのか、どうアプローチしていくのかという質疑応答をする機会もあります。
中田:視界共有はとてもいい文化ですね。私自身、規模は小さいですがIzulという会社を経営する中で視界共有をする難しさを感じることもあります。リンクアンドモチベーションの規模で定期的に視界共有をされていることがすごいことですし、興味深いです。
組織のコンサルティングを提供されている御社だからこそ、自社の文化醸成にもこだわりを持たれていると感じます。文化をつくっていく上で大切にされていることはなんでしょうか?
段上:やはりコミュニケーションですね。モチベーションエンジニアリングの考え方を医療に例えてお話しすると、医師が身体の診断をするように組織の状態をきちんと診断し、適切な薬を処方するように組織に合った打ち手をご提案します。その中でいえば、コミュニケーションは身体を流れる血流のように組織に欠かせないものです。コミュニケーションを通じて組織の隅々まで共有していくことを大事にしています。
松隈:具体的なコミュニケーションとして、会長からのトップメッセージはオンラインで月に一回程度発信しています。そのほかに3か月に一度の総会で事業や労働市場、資本市場に対する会社としての考えを発信しています。
中田:自社のトップが何を考えているか、社員のみなさんが知っているということなんですね。
個人視点と組織視点の両方をもつ人材が活躍している

ーリンクアンドモチベーションで、営業やコンサルタントとして働く面白さや難しさを教えてください。
松隈:当社の場合、サービス導入前は営業がメインで支援を行い、導入後はコンサルタントが専任で担当します。
営業の面白さは、お客様の期待を広げていくところにあると思います。お客様からみた組織課題は、”人が辞めていく”など表層の課題であることが多いです。こうした顕在化している課題を対処療法的に改善するのではなく、本来作っていきたい組織を見据えて、そのうえで経営層、管理職層、メンバー層がそれぞれどう取り組んでいくべきなのかをお客様と一緒に描いていく点がやりがいです。
一方コンサルタントの仕事の面白さは、お客様の組織が変化していく実感を得られることです。。”お客様の目指す組織の在り方”をお客様の経営層や人事責任者と目線を合わせ、何をしていくべきかを考えてワンチームで実行していくやりがいがあります。さらに、現場の管理職の方と接する中で”組織変革に臨む姿勢が変わる”など、お客様の組織が変わっていく様子を肌で感じることもできます。
齊藤:松隈さん自身も中途採用でご入社されたと思いますが、入社後はどのように経験を積まれたのですか?
松隈:中途入社して1年目で大手流通企業の人的資本経営の推進をお手伝いさせていただきました。人事担当者は人的資本経営のために組織変革が必要であると認識されていたものの、数十万人規模の企業ということもあり、経営層に理解していただくことに時間がかかりました。
その中で私たちは、目先の問題ではなく10年後にどんな企業でありたいかというゴールを、一緒に見据え、伝え続けていきました。創業の想いを大切にして地域密着型の事業を展開している企業だったので、創業の想いに寄り添いながら未来を描く提案を続けたことで、お客様の心を動かすことができたことはすごく印象に残っています。
齊藤:お客様の経営や事業のゴールを見据えて、そのための打ち手の提案をすることは複雑性と難易度が高い仕事だと思います。そのような難易度の高い仕事を、役職者だけではなく若手のメンバーもどんどんチャレンジできる点が、リンクアンドモチベーションだからできることだと思います。
松隈:私たちが仕事に向かう背景にあるのは、リンクアンドモチベーションのコーポレートキャッチでもある「ひとりひとりの本気がこの世界を熱くする 」という想いです。企業組織の変革には数年単位の年月がかかります。外から支援するだけではその変革を成し遂げることは難しく、お客様自らが動き出すためには、本気になっていただくしかありません。
お客様の本気を引き出すためには、私たちはそれ以上の熱量で挑む必要があります。その熱量がお客様と呼応してチームとして一体になれることは得難い経験です。
―リンクアンドモチベーションで働く人の特徴や魅力について教えてください。
松隈:特性はさまざまで、情熱的な人もいれば黙々と思考するのが得意な人もいますが、共通しているのは人や組織、ひいては社会をより良くしたいと考えていることです。
私たちは従業員エンゲージメント市場で売上シェアNo.1を獲得し、企業規模や売上も拡大していますが、企業としてはまだまだ発展途上です。そのため完成された優位性を享受するという考えの方よりも、一緒に会社をつくり成長を実現していくというマインドの方にフィットすると思います。

齊藤:リンクアンドモチベーションでは「賢い」「強い」「熱い」「気持ちいい」の4つの要素を重視して採用をされていますよね。特に、組織を変革するという難易度の高い課題にチャレンジしたいと考える想いの強さ、経営層などの企業トップと対峙できる論理的思考力やコミュニケーション力が必要になると思います。
中田:どんな視点を持っている人なのかも重要ですよね。内定した方や社員の方とお会いした印象として、自分視点で組織の課題を見るのではなく、俯瞰して組織を見る視点も持つ方が多いと感じました。
段上:たしかにそうですね。私たちは「One for All,All for One」が組織の理想形だと考えています。「One」つまり一人ひとりの従業員のモチベーションが高まることと、「All」つまり組織成果が高まることの両方がリンクしていることが重要であり、OneとAllがどちらも高い次元で実現できている状態が理想です。そのため、One、Allどちらかの視点だけを持っていてもフィットしません。
中田:Oneの部分はおそらく御社に興味を持つ多くの方が持っている視点だと思います。だからこそAllの視点を持っているかどうかが、採用の分かれ目になっているのではないかと思っています。
松隈:まさに中途採用ではAllの視点を持っているかは重要です。例えば「営業スキルを高めたい、自分が成長したい」という志望理由だけをお持ちの場合、自分のことにしか目が向いていない=Oneが強すぎるという理由でお見送りになることもあります。もちろんご自身の成長も大事なのですが、それに加えて今の社会にはどんな課題があり、ご自身がリンクアンドモチベーションで働くことによって組織や社会にどんな影響を与えたいかを考えている方かどうかを重視しています。
中田:逆にAllの視点はあっても、Oneの強さがない方もいますよね。
段上:新卒採用で多い傾向がありますが、社会貢献がしたいというAllの気持ちを強く持っている方もいます。他者貢献をして社会で価値を出したいという考えを否定するつもりはないのですが、そのときに大事なことは「なぜあなたがそれを大事にしているか」です。OneとAllの考えがその方の中でどう結びついているのかを重視していますね。
―働く環境についても教えてください。
松隈:コンサルティング会社ということもあり、かつては残業時間が長くハードワークだった時代もありました。しかし、現在では多様な働き方を選択できるようになり変化しています。
段上:これまでも「働く時間で重要なのは長さではなく濃さだ」という考えをもっていましたが、最近はその考えを一層実現できるようになってきました。給与体系としてみなし残業時間が含まれており、基本的にはそれを超えることがないようにしています。直近では生成AIなど仕事を効率化するためのテクノロジーも活用しながら、仕組化して業務を効率化する方向に向かっています。
中田:社員の方の考えは変化していますか?私が以前リクルートに勤めていたときに、残業時間を短くするようにという会社側からの要請があったとき、むしろ「もっと仕事したいのにその権利を奪わないでくれ」と反発する人もいました。つまり、休む自由があるなら働く自由もあるんじゃないかという考えです。リンクアンドモチベーションではどうですか?
段上:一部ではそういった声もあります。ただ、私たちは「三市場適応」という考えを大事にしているんです。三市場とはお客様から見た商品市場、投資家から見た資本市場、そして働き手から見た労働市場です。この三市場に適応していくことが会社のあるべき姿だと考えています。
こうした理想を自社でも実現してこそ、お客様に対する説得力がありますので、もっと働きたいという声はありながらも、企業として今の社会に適応していく必要があるという考えですり合わせていますね。また、新卒採用の比率がある程度高いので、若い価値観をもつ層が組織の中にも増えています。働き方や時間に対する組織全体の考えも徐々に変化していると実感しています。
松隈:働き方に関連して制度面で、当社では「人材は最大・最強の資本」という考えをもっているため、社員が創出した利益は人材にしっかりと還元しています。具体的には、直近5年で給与のベースアップを7回実施し、結婚祝い金や出産祝い金の増額も行いました。制度の面からも、社員が快適に長く働き続けられるための拡充を続けています。
コミュニケーションが取りやすく、候補者理解と企業理解の両方が深い

―Izulと取り組みをする中で感じるIzulの特徴や強みについて教えてください。
松隈:エージェント企業の皆様には、候補者の志向性を理解したうえで、リンクアンドモチベーションに合う方を紹介いただきたいと思っています。候補者の方に最適なキャリアとして当社を紹介いただけることも大事です。
当社の採用基準は先ほどお話していたように個人視点と組織視点をもっていることですが、この点は書類選考で判断することが難しいです。だからこそ直接候補者の方と接している転職エージェントからの紹介が大事になってきます。
こうした背景を踏まえて、候補者の方への理解が深いことにIzulの強みを感じています。当社に紹介いただく時点で候補者の方と複数回面談をしているので、自己分析が深まっている方も多いです。また、転職だけをゴールとせず、入社後を見据えて候補者の方が活躍できるかを重視されていることも感じます。Izul経由の方は入社後もIzulとの関係が続いていて、良好な関係を築かれていますよね。
段上:支援企業への理解が深い点もIzulの特徴です。正直なところ、リンクアンドモチベーションはエージェントにとって理解しやすい顧客ではないと思います。今回インタビューの機会をいただいたことも含めて、当社をより深く理解して支援したいと思ってくださっていると感じます。
中田:うれしいお言葉をありがとうございます。理解が深い転職エージェントはやはり決定率も違うのでしょうか。
松隈:全然違いますね。少ない紹介数でも非常に高い確率で決定しています。当社としては紹介数の多さではなく、少ない数でも合う方を紹介いただけることが大事だと思っています。
また、Izulの方々はコミュニケーションをよく取ってくださるので、すり合わせもとてもしやすいですね。
中田:Izulが決定数を伸ばせる企業には傾向があり、スキルマッチではなくスタンスマッチ、つまり定性の採用基準を大切にされていることが多いです。こうした基準は書類だけでは判断ができず、私たちが候補者の志向を深堀りする中で、マッチングできる要素だからです。
こうした企業の場合は応募要件のスペックから少し外れていても、スタンスが合っていれば内定が出ることもあります。御社についても書類ではわからない部分を大事にされているので、今後入社される方を増やしていけるのではないかと思っています。
松隈:スペックマッチでよいなら企業側でスカウトを送ればいいので、転職エージェントに求めたいのはスタンスマッチの部分なんですよね。
中田:社員の育成や成長を意識していらっしゃる企業はスペックマッチに陥らないですよね。定性面がマッチングすれば、入社後に育成していくことを踏まえて、候補者の伸びしろの部分を評価していただけるからです。ただ、リンクアンドモチベーションの場合は伸びしろがどれだけあるかもなかなか重視されていると感じています。
松隈:まさに仰る通りだと思います。今後も理解を深めていただきながら、ぜひ当社に合う方を紹介いただけたら嬉しいです。
―ありがとうございました!