転職が当たり前となった現代において、ブラック企業の求人を見極める力は必要不可欠です。ブラック企業での勤務は心身にストレスが溜まりやすく、最悪の場合、うつ病や自殺に追い込まれるリスクがあります。この記事では、ブラック企業の求人を見抜くポイントなどを解説しています。
ブラック企業とは
ブラック企業とは、長時間労働や残業代や給与の未払い・過剰なノルマ・ハラスメント行為など、コンプライアンスへの意識が低い企業の総称です。ただし、厚生労働省ではブラック企業を明確に定義しておらず、一般的には上記の条件に当てはまる企業が該当すると認識されています。また「ブラック企業大賞」と呼ばれるものがあり、ブラック企業を見極める判断材料のひとつになります。
ブラック企業に多く見られる特徴
ブラック企業といっても、その内情は千差万別です。ここでは、ブラック企業によくある特徴について詳しく解説していきます。
休日が少なく有給が自由に取得できない
ブラック企業によくある傾向として、休日数が少ない点が挙げられます。企業や業種によって異なるものの、年間休日日数は120日以上、少なくとも110日以上が一般的です。一方、年間休日日数が80日を下回るような場合は毎月6日程度しか休日がなく、ブラック企業の可能性が高くなります。
また、有給が自由に取得できないこともブラック企業の特徴のひとつです。有給休暇は労働基準法に定められる権利であり、企業は従業員の有給取得を原則拒否できません。
過酷な残業が常態化している
長時間の過酷な残業が常態化しているのもブラック企業の特徴です。1ヵ月の平均残業時間は25時間といわれていますが、残業が月80時間以上を超えるとブラック企業の可能性が高くなります。
原則として、残業時間は月45時間までと定められています。それ以上労働させる場合は、36協定が必要です。月80時間を超える残業は過労死ラインとも呼ばれており、命にもかかわります。
労働時間に対して給料が安い
労働時間に対して著しく給料が安いのもブラック企業の特徴です。例えば、1日9時間で月24日勤務すると、総勤務時間は216時間となります。仮に月給が15万円の場合、時給換算すると700円を切ることになります。東京都心はもちろんのこと、地方でも最低賃金を下回る時給です。このように、労働時間に対して著しく給料が低い場合はブラック企業であると疑う必要があります。
パワハラ・セクハラが横行している
ブラック企業では、パワハラやセクハラが横行している場合もあります。暴言はもちろんのこと、無視や嫌がらせ、仕事を与えないなどといった行為も立派なパワハラです。パワハラ・セクハラを疑う行為が発覚すると企業イメージを大きく損なう危険もあることから、社内に相談窓口を設ける企業も多く存在しています。しかし、ブラック企業では相談窓口どころか、周囲の人たちも見て見ぬ振りをするような場合も少なくありません。
離職率が異常に高い
前述のとおり、ブラック企業は「休日が少ない」「給料が安い」「過酷な残業が常態している」といった特徴があるため、離職率が異常に高い傾向にあります。入社3年未満の離職率が30%を超える企業は、従業員がすぐやめてしまう原因があると考えられるでしょう。さらに、半年を待たずして退職する社員が多い場合は特に注意が必要です。
ブラック企業の求人を見抜く5つのポイント
ブラック企業への入社を防ぐためには、求人の段階でブラック企業か否かを見極めることが大切です。ここでは、求人の内容からブラック企業を見抜くポイントについて解説します。
相場よりも極端に給与を高く設定していないか
ブラック企業ではすぐに従業員が辞めてしまうため、少しでも多くの人を集めようと相場よりも極端に給与を高く設定しているケースがあります。求人情報に提示されている給与が極端に業界の平均相場を逸脱している場合、離職率や年間休日などもあわせて確認しておきましょう。
応募条件が全体的に緩くないか
応募条件が全体的に緩い求人は、ブラック企業に該当する場合があります。未経験や第二新卒を募集する企業のすべてがブラック企業とは限りません。しかし、慢性的な人手不足により、大勢の人が応募できるような条件を設けているケースも考えられます。
抽象的な言葉が多用されていないか
求人を確認する時は、抽象的な言葉が多用されていないかどうかも注意が必要です。代表的な例として、「やる気」「情熱」「アットホーム」「自己成長」などが挙げられます。
抽象的な言葉を多用する企業は、それ以上にアピールできる実績がない可能性があります。もちろんやる気や情熱は大切な要素ですが、ブラック企業では認識がずれている場合もあるため気をつけましょう。
悪い口コミが多くないか
近年は転職者向けの口コミサイトなどが存在し、元従業員や現役従業員が労働環境・残業時間・福利厚生・社風などを投稿しています。その中に悪い口コミが多くないかをチェックすることも、ブラック企業を判断するために有効的です。これらのサイトを確認し、あまりにも悪い口コミが多い場合はブラック企業である可能性が高くなります。ただし、口コミの内容はすべてが正しいとは限らないため、あくまで参考程度に留めるようにしましょう。
ブラック企業リストに記載がないか
企業に応募する前に、その企業がブラック企業リストに記載されていないか確認しましょう。厚生労働省はブラック企業の定義を明確にしていないものの、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公開しています。「労働基準関係法令違反に係る公表事案」とは、都道府県の労働局が労働基準関係法令に違反する企業を公表したものです。ブラック度の高い全国の企業がまとめられていることから、ブラック企業リストとも呼ばれます。
また、長時間労働やパワハラなど、労働環境に関する問題を多く抱えた企業をあえて賞する「ブラック企業大賞」もブラック企業を判断する参考になります。
ただし、いずれにも記載がないからといってブラック企業でないとは断言できません。これまでに紹介したポイントを活用し、自身で判断することが重要です。
まとめ
ブラック企業の特徴として、休日が少なく有給が自由に取得できない点や、過酷な残業が常態化している点が挙げられます。
ブラック企業を避けるには、求人情報を見極めることが大切です。「応募条件が全体的に緩くないか」「抽象的な言葉が多用されていないか」といった点をしっかり確認してみましょう。さらに、ブラック企業リストやブラック企業大賞を事前に調べることをおすすめします。
転職活動中の方はブラック企業に気をつけましょう。