近年注目され、さまざまな企業が取り入れているSDGs。持続可能な社会を実現するために重要な概念ですが、企業だけでなく個人にとっても身近なものであることを知らない方も多いでしょう。
今回はSDGsの概念に触れながら、SDGsを構成する17の項目ごとに身近な事例を紹介します。SDGsについて、企業の視点でも解説しているのでぜひ参考にしてください。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な開発目標を表す言葉であり、概念です。2015年に開催された国連サミットで採択されて以降、さまざまな観点で企業を中心に取り組まれています。
SDGsは、国連が規定した目標や理念に基づき、17の項目から成り立っています。主に企業が取り組むべき概念として注目されていますが、個人で取り組むことも可能です。
以下の項目ではSDGsを構成する17の項目ごとに、身近な取り組み例を紹介しているので参考にしてください。
SDGコンパスとは
SDGsについて理解するうえでは、どのようにSDGsと向き合うべきかを示す「SDGコンパス」という行動指針について知っておくことも大切です。あくまで企業向けの指針ではあるものの、SDGsの取り組みを正しく実施するために覚えておかなければなりません。SDGコンパスを活用する際は、以下のポイントを把握しておくことが大切です。
- 自社の事業と関連性のある目標を立てる
- 従業員にSDGsの意義を定着させる
- 目標達成に向けた行動を具体的に示す
また、以下に挙げる5つのステップで実施することを前提にしておかなければなりません。
- SDGsについて理解する
- 優先すべき課題を設定する
- 目標を定める
- 経営に落とし込む
- 報告・コミュニケーションを実施する
SDGコンパスの活用ポイントと5つのステップについて把握したうえで、自社で実践するときの指標にしてください。
SDGsの身近な例を17項目別に紹介
ここでは、SDGsを構成する17の項目ごとに、身近な取り組み例を紹介します。SDGsについて企業目線で理解したうえで、個人でも取り組める身近な例も把握しておきましょう。
1:貧困をなくそう
食や教育、住居に関する観点から、生活水準を上げるための項目です。主な取り組み例には、以下が挙げられます。
- 支援団体・子ども食堂などへの寄付
- フェアトレード製品の購入
2:飢餓をゼロに
SDGsにおいて、2030年までに飢餓をゼロにする目標が掲げられています。この項目を達成するために実施できる身近な取り組みは以下の通りです。
- 食品ロスの削減
- フードドライブへの寄付
3:すべての人に健康と福祉を
医療福祉などの観点から、健康寿命を世界的レベルで伸ばすことを目的とした項目です。主な取り組み例には、以下が挙げられます。
- 徒歩・自転車での通勤・通学
- 近隣在住の高齢者の健康に配慮する
4:質の高い教育をみんなに
義務教育制度の整っている日本でも、家庭の事情で学校に通えず、十分な教育を受けられていない人がいます。学習支援ボランティアに参加するなどして教育支援の活動をする団体について知ることで、質の高い教育に対する観点を多方面に広げられるでしょう。
5:ジェンダー平等を実現しよう
近年、男女の性差に対する意識が世界的に変わってきています。育児・家事を男女関係なく分担したり、ジェンダーレスについて発信したりすることで、男女の隔てに対する意識が変わるかもしれません。
6:安全な水とトイレを世界中に
安全な水を利用できていない人口は全世界の約3分の1を占めています。日本では水道水を誰でも手軽に利用できます。しかしこれを持続可能なものにするために、日頃から節水を心がける、生活排水によって水質汚染しないように油の処理をきちんとする、風呂水を再利用することなどを実践しましょう。こういった行動によって、安全な水をより多く確保できるでしょう。
7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
太陽光発電の導入や節電を意識することで、化石燃料で発生する二酸化炭素を削減できます。地球環境に直結する項目でもあるため、日常的に意識したい項目です。
8:働きがいも経済成長も
自分らしく働くことが重視される昨今において、過度な残業などは敬遠されがちです。また、地産地消などを積極的に取り入れることで、経済成長への貢献も実現するでしょう。
9:産業と技術革新の基盤をつくろう
主に、インフラ整備やベンチャー企業への出資を行うことで、産業や技術革新への貢献が可能です。企業の取り組みとして実施されるイメージですが、個人でも取り組むことが可能です。
10:人や国の不平等をなくそう
互いに認め合い、尊重することで不平等をなくせるでしょう。いじめや差別といった、個人として意識しなければならないものが多いといえます。
11:住み続けられるまちづくりを
昨今、さまざまな自然災害で日本を含め世界中で「安全」に対して不安を感じる人が増えています。防災グッズの購入やハザードマップの確認を進めておくことで、ダメージを最小限に抑えることができます。
12:つくる責任 つかう責任
食品や衣料品などは、本当に必要なものを購入し、無駄のないように責任をもって消費するようにしたいものです。買いすぎて食べきれないからといって食品を無駄にしたり、まだ着られる衣料品を捨ててしまうことがないように、購入するときに自分にとってそれが必要なものかをしっかり判断することが大切です。リサイクルやリユースを心がけるようにしましょう。
13:気候変動に具体的な対策を
近年、地球温暖化による気候変動が問題視されています。節電や車移動の削減、クールビズ・ウォームビズなどを実施して対策を行いましょう。
14:海の豊かさを守ろう
プラスチックゴミなどが原因で、海をはじめとした水質資源が汚染されています。マイバッグの持参などを意識し、レジ袋などのプラスチックゴミの発生を防ぐことで対策が取れます。
15:陸の豊かさも守ろう
森林伐採などの影響で、海だけでなく陸地にも環境破壊の危険が及んでいます。植林活動への参加やFSC認証マークの製品を購入することで、森林管理に貢献できるでしょう。
16:平和と公正をすべての人に
現在でも世界中で多くの紛争が起こり、その結果、難民が増え続けています。身近な取り組みとしては、難民支援や保護活動への参加が挙げられます。
17:パートナーシップ
SDGsに対し、すべての人が協力することで実現できる項目です。これまで紹介した16の取り組みをはじめ、SDGsへの意識や取り組みの実践を強化することで達成できます。また、SDGsに取り組む企業を支援することも、パートナーシップの実現につながるでしょう。
個人・企業で取り組めるSDGsの事例
先ほど挙げた身近な取り組み以外にも、個人・企業で取り組めるSDGs項目が多数あります。主な事例について、個人と企業に分けて紹介します。
個人で取り組めるSDGs
個人で取り組めるSDGsの取り組みをまとめると、以下のものが該当します。
- マイバッグ・マイボトルの利用
- 地産地消
- 節水・節電
- 食品ロスの削減
- 積極的なリサイクル
- 公共交通機関の利用
- 家事の分担
- 防災への取り組み
- 認証マーク入り製品・フェアトレード製品の購入
- 持続可能エネルギーの利用
企業で取り組めるSDGs
企業で取り組めるSDGsには、個人での取り組みすべてが該当します。そのほか、以下の取り組みに関しては企業ならではの取り組みといえるでしょう。
- ペーパーレス化
- 環境に配慮した備品への入れ替え
- 地域ボランティアへの参加
- 電気エネルギーの変更・削減
- 働き方の見直し
SDGsに取り組んでいる企業の特徴
SDGsのメリットを理解し、企業としての発展を目的に取り入れようとする特徴があります。SDGsに取り組むことで、企業にはさまざまなメリットがあります。
例えば、企業としてSDGsに取り組むことで、ブランドイメージの向上や従業員のモチベーション向上が期待できます。また、新たなビジネスを生み出すきっかけにもなるため、注目している企業も増えているでしょう。投資家など、社外の人間にアピールできるメリットもあるため、積極的に取り組んでいる企業も多くあります。さまざまなメリットを理解したうえで、自社の発展や従業員の充実に重きを置いていることが、SDGsに取り組む企業の特徴です。
まとめ
持続可能な社会を実現するために重要なSDGs。企業としてだけでなく、身近なところから個人で取り組むことが大切です。今回紹介した身近な取り組みを参考に、個人としてSDGsの実現を心がけてみてはいかがでしょうか。地球環境に配慮し、安心して生き続けられるような社会を実現しましょう。