ワークエンゲージメントとは?言葉の意味や注目される背景、有効活用するポイントなどを解説

2022年10月15日

2024年3月8日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

従業員の仕事に対する心の健康状態を表すワークエンゲージメント。ワークエンゲージメントを高めることは生産性向上につながり、働きがいを持って仕事に取り組めるようになります。しかし、具体的にどのように高めていけばよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、ワークエンゲージメントの意味や注目される背景、高め方などについて解説します。

ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事に対してポジティブで充実した感情を抱いている状態のことです。オランダのユトレヒト大学のウィルマ―・B・シャウフェリ教授によって、いわゆる「燃え尽き症候群」と対になる概念として提唱されました。ワークエンゲージメントを高めることで、従業員は愛着や思い入れを感じて働けるようになり、精神的な健康の維持につながります。

ワークエンゲージメントの3要素

シャウフェリ教授の定義によると、ワークエンゲージメントは「活力」「熱意」「没頭」の3要素によって特徴づけられます。「活力」は仕事をしていることで活力がみなぎり、いきいきとしている状態、「熱意」は自分の仕事に誇りとやりがいを持って取り組んでいる状態、「没頭」は仕事に熱中している状態のことです。ワークエンゲージメントはこの3つが揃った状態を指します。

ワーカーホリックとの違い

ワークエンゲージメントと似た状態として、ワーカーホリックが挙げられます。一番の違いは、仕事に対する精神状態が大きく異なる点です。ワークエンゲージメントは仕事を楽しいと感じ、前向きな気持ちで取り組んでいる状態。一方でワーカーホリックは、「仕事をしなければいけない」と脅迫的に働く状態を指します。常に追い立てられているような精神状態になるため、長期間ワーカーホリックに陥ると心身に悪影響を及ぼす危険があります。

海外と日本の労働環境を比較

日本人のワークエンゲージメントは、海外と比べて非常に低くなっています。その背景には、日本の労働環境が影響しています。日本人の働き方は昔から「真面目で勤勉」という特徴があり、その名残から長時間の残業や休日労働が常態化している企業も少なくありません。一方、海外では日本と比べて労働時間が短い傾向にあり、在宅ワークのような柔軟な働き方を認めているケースが多く存在しているのです。

ワークエンゲージメントの測定方法

従業員のワークエンゲージメントを向上させるには、現状を把握することが必要不可欠です。ここでは、ワークエンゲージメントの測定方法をいくつか紹介します。

MBI-GS

「MBI-GS」は、ワークエンゲージメントではなく、反対の概念であるバーンアウト(燃え尽き症候群)を測定する手法です。MBI-GSの結果が高いほどバーンアウトの可能性が高く、ワークエンゲージメントが低いと推測できます。一方、結果が低ければワークエンゲージメントが高いと結論づけることができます。

OLBI

MBI-GSと同様、「OLBI」はバーンアウトを測定する手法です。OLBIの質問は「疲弊」と「離脱」の2つで構成されています。測定結果が低いほどバーンアウトの可能性が低く、ワークエンゲージメントが高いことになります。

UWES

「UWES(Utrecht Work Engagement Scale)」は、オランダのユトレヒト大学で提唱されたワークエンゲージメントを測る尺度のことで、世界でも最も多く使用されており、日本の厚生労働省も労働経済を分析する際に用いています。「活力」「熱意」「没頭」の3要素に関する17問の質問で構成され、選択肢の中から自分の状況に当てはまるものを選んで回答します。UWESを活用することで、職業・年齢ごとに分類された労働者が、働きがいについてどのように考えているかを分析することができます。

ワークエンゲージメントを高めるメリット

ワークエンゲージメントを高めることで、仕事においてさまざまなメリットを得ることができます。ここからは、職場で期待できる具体的な効果について紹介します。

メンタルヘルスの安定

従業員のワークエンゲージメントを高めることで仕事における心理的苦痛が少なくなり、メンタルヘルスが安定しやすくなります。ストレスが軽減されると睡眠の質も向上しやすくなり、心だけでなく身体の健康維持にも役立ちます。

組織・職務に対するコミットメント

ワークエンゲージメントが向上することで、組織・職務に対するコミットメントが高まりやすくなるのもメリットです。仕事に対する責任の強さや目標を達成する力を育てることで、周囲にも良い影響を与えてくれるでしょう。コミットメントが高い従業員は、仕事に前向きに取り組めるだけでなく、同僚や組織全体に愛着を感じやすくなります。

社員の定着率が向上する

ワークエンゲージメントが高まることで仕事に対する満足度を感じやすくなるため、社員定着率の向上が期待できます。従業員が長く勤める企業は中長期的な育成計画を立てやすく、採用や教育に関するコストを抑えることが可能です。チームワークの向上にも効果が高いでしょう。

パフォーマンスを発揮しやすい

ワークエンゲージメントが高い従業員は、自身のスキルアップに対して積極的に取り組む姿勢があります。業務においてより高いパフォーマンスを目指し、仕事に関する技術・知識を身につけようと全力で取り組みます。成長性が高いので、どんな仕事を任せても常に安定して高いパフォーマンスを発揮できます。さまざまな業務に前向きに取り組む姿勢は、組織全体の活性化にもつながることになるでしょう。

ワークエンゲージメントを高める手段

ワークエンゲージメントを高めるには、さまざまな視点から労働環境をより良くする対策を講じる必要があります。ここからは、ワークエンゲージメントを高める具体的な手段を見ていきましょう。

仕事量などの負荷を減らす

一部の従業員に仕事や業務の責任が集中している場合は、仕事量などの負荷を減らし、従業員のモチベーションを高めてあげましょう。適切な仕事量と着実に成長できる仕組みがあれば、ワークエンゲージメントを高めながら働けるようになります。具体的な施策としては、「上司や同僚とサポートしあえる体制を整える」「研修・勉強会でスキル向上の機会を設ける」などがあります。

心理的なストレスを軽減する

仕事に対する心理的なストレスを取り除いてあげることも大切です。成長には適度なストレスも必要ですが、過重労働や人間関係の悩みなどが重なると、パフォーマンスの著しい低下にも繋がります従業員同士で積極的にコミュニケーションを取り合える環境を作ったり、定期的にカウンセリングを行って従業員の悩み・不満を解消することも重要です。

チームビルディング

ワークエンゲージメントを高めるには、従業員同士が一致団結し、互いに信頼しあえるようなチームを作ることも必要といえます。組織・部署・チーム単位でそれぞれミッションを設定し、同じ目標に向かって協力できるようなチームビルディングを行いましょう。チームの連携力を高めれば孤独を感じにくくなり、従業員が相互にモチベーションを高められる環境が完成します。

1on1の活用

1on1とは、上司と従業員が1対1で面談を行うことを指します。ワークエンゲージメントの向上において、1on1の活用は有効な手段のひとつです。業務についての内容や進捗ではなく、仕事や人間関係に関する悩みをヒアリングし、適切な対処をすることで、燃え尽き症候群に陥る原因を排除できます。より効果を高めるには、上司・従業員のそれぞれが1on1の目的を正しく理解しておく必要があります。

オフィスやテレワーク環境の整備

オフィス設備の見直しやテレワーク制度の導入など、労働環境を整えることでワークエンゲージメントの向上が期待できます。より柔軟で働きやすい環境が構築されれば、従業員の仕事に対するモチベーションアップにつながるでしょう。

まとめ

この記事では、ワークエンゲージメントの特徴や高め方について解説しました。従業員のワークエンゲージメントを高めれば、チームワークの向上・離職率の低下・生産性アップなど、さまざまな効果が期待できます。UWESなどの測定方法で現状を把握し、ワークエンゲージメント向上のために適切な対策を講じるとよいでしょう。個人で仕事のパフォーマンスを上げたい方や、企業の人事担当者はぜひ参考にしてください。

監修者・髙木 香奈恵

髙木 香奈恵

新卒でリクルートの求人広告営業に従事。高い顧客満足度とリピート率をキープした業績が評価され、その後事業部の数字管理やシステム改善業務に従事。
2社目に当時創業3年のファッションテック系ITベンチャーに転職し社長室に所属。秘書業務全般から、新規事業としての法人立ち上げ、人事部への事業推進や社内教育の企画実行、エンゲージメント施策の運営など、経営者に近い目線で幅広い業務に従事。それらの経験から、仕事は辛いものでも収入のためでもなく人生を豊かにするための手段に過ぎないと考え、キャリアアドバイザーとしてIzulにジョイン。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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