アカウンタビリティとは?企業が重視する背景や実現させる方法を解説

2022年12月23日

2024年4月11日

著者

Izul広報チーム

Izul広報チーム

企業活動における社会的責任を意味するアカウンタビリティ。近年では透明性の高い経営体制や情報開示を求められる動きが活発化しており、企業が負うべき責任が以前にも増して大きくなっています。アカウンタビリティの意味を正しく理解することで、適切な企業経営の手法やリスク回避の手段、投資家や従業員を含むステークホルダーから信頼される方法を学べるようになります。

この記事では、アカウンタビリティの意味や重視される背景、社内で実現するための方法について詳しく解説します。

アカウンタビリティとは

アカウンタビリティとは、企業が社会に対して負う責任のことを指します。アカウント(会計)と、レスポンシビリティ(責任)を掛け合わせた言葉ですが、責任の範囲は会計だけでなく、ビジネス・公共事業・政治・教育など、幅広い分野が該当します。

アカウンタビリティの対象となるのは、企業経営における利害関係者を意味する「ステークホルダー」です。株式会社における代表的なステークホルダーは投資家や株主ですが、そのほかにも従業員や採用候補者、サービスの利用者、地域社会など、社内外で多くの人が該当します。

アカウンタビリティはよく「説明責任」と解釈されますが、実際には説明だけでなく、問題に対する具体的な施策の提案や実行までのプロセス、再発防止策の検討など、説明後のアクションプランまで責任の範囲に含まれるのが特徴です。

アカウンタビリティが注目されるようになった背景

日本でアカウンタビリティが注目されるようになった背景には「薬害エイズ事件」が関連しています。事件が発生した1994年、感染の原因となった薬剤の輸入や販売に関わった行政・企業が、社会全体に対する責任を追及されました。

さらに近年、SDGsに対する意識の高まりが世の中に浸透しているのも要因のひとつです。企業は業績を伸ばすだけでなく、環境や働き手に対する配慮に関しても社会的な責任を負う必要が出てきたのです。元々は投資家や株主への説明責任を意味していたアカウンタビリティですが、時代の流れによってその対象は社会全体へと拡大しています。

レスポンシビリティとの違い

アカウンタビリティが「説明責任」を意味するのに対し、レスポンシビリティは「実行責任」を指します。両者の違いは「責任を負うべき対象」です。

アカウンタビリティは、経営者・プロジェクトマネージャー・責任者など、事業のリーダーが負うべきもので、説明責任はもちろん、実行プロセスから結果に至るまでの全責任を指します。情報開示だけではなく、責任者としてどのような対策を施したかまでを含む概念といえます。

一方でレスポンシビリティは、施策を実行するメンバーや従業員が負うべきものです。指示された内容を確実に実行・達成しているかどうかが重要視されます。アカウンタビリティとは異なり、具体的な行動に焦点が当てられるのが特徴です。

アカウンタビリティを重視するメリット

近年では、透明性の高い経営が求められています。アカウンタビリティを重視することによって生まれるいくつかのメリットは、いずれも健全な企業経営に欠かせません。ここでは、メリットごとの詳しい内容について解説します。

社会課題に向き合う企業として認知される

アカウンタビリティによって開示すべき企業情報には、財務・会計など法律で定められたもの以外にも、ステークホルダーが知るべき重要な項目があるといえます。

例えば、社会問題に関する内容やSDGsへの取り組みなど、社会全体の課題に対してどのように向き合っているのかを積極的に開示するなどの項目が挙げられます。ステークホルダーが知りたい情報を先読みして自発的に情報発信することで、社会課題に向き合う企業として認知されやすくなります。

社外のステークホルダーから信頼を集めることができる

投資家や株主などのステークホルダーは、投資に影響する情報開示を企業に求めます。アカウンタビリティによる適切な情報開示を行えば、ステークホルダーからの理解を深め、良好な関係性を構築できるようになるでしょう。

また、これまでは表面化しにくかった企業の内部体制や不祥事なども、口コミサイトやSNSを通じて簡単に拡散されてしまう時代になりました。ネガティブな情報によって社外のステークホルダーからの信頼を損なわないためにも、より透明性の高い企業経営を意識する必要があります。

採用活動においてアピールになる

アカウンタビリティは、企業の採用活動にも大きな影響を与えます。経営体制や働き手への取り組みを積極的に情報開示していくことで、求職者に対して透明性の高い企業であることをアピールできます。社会的責任を果たす企業であるイメージが浸透すれば応募者の層も厚くなり、結果として優秀な人材を採用・育成しやすくなるでしょう。

アカウンタビリティを果たさないリスク

アカウンタビリティを果たさないことは、企業活動の大きな妨げとなりリスクにつながります。ここでは、アカウンタビリティを果たさない場合のリスクについて解説します。

法律に違反する可能性がある

そもそも企業経営においては、会社法や金融商品取引法などの法令に沿った財務情報の開示が必要になります。法令で定められている説明責任を果たしていない場合は、開示義務違反に抵触する恐れがあります。

上場企業・非上場企業を問わず、決算報告書の提出は義務です。法律を守るコンプライアンスの面においても、アカウンタビリティを果たす必要があります。

資金調達の妨げになる場合が多い

投資家や株主は、開示している情報を基準に投資するか否かを判断しています。開示された情報に透明性がなければ、投資を控えられることがほとんどです。投資の対象外になると、企業は経営や事業拡大に必要な資金を調達できない恐れがあります。

上場企業はもちろん、ベンチャー企業もアカウンタビリティを果たすかどうかで得られる資金が変動することを理解しなければなりません。

上記の観点から、定められた範囲外の情報を自主的に発信する企業も増えてきました。自主的な情報開示はステークホルダーからの信頼を獲得し、資金調達や企業の成長につながります。

メディアやSNSで問題視される機会が増える

適切な情報開示ができていないと、メディアやSNSで問題視されるリスクが高まります。

万が一不祥事が発生してメディアに報道されると、投資家や顧客が離れてしまい、経営の悪化を招く恐れがあります。開示されている情報が少ない場合は、誤情報が拡散されるリスクも想定しておかなければなりません。

アカウンタビリティを実現させる方法

アカウンタビリティを実現させるには、意識だけでなく仕組みの観点からも整備しなければなりません。ここでは、アカウンタビリティの実現につながる方法について解説します。

従業員に意識を浸透させる

まずはアカウンタビリティの重要性について、従業員の意識を高めることが大切です。運用を個人任せにしても長続きしないので、会社全体でアカウンタビリティの実現に取り組めるような体制を作りましょう。

ステークホルダーに対して説明責任を果たさなければならない事案が起きた場合は、原因究明と改善策の報告をセットで行うことで、全社的にアカウンタビリティの仕組みを取り入れやすくなります。

人事評価や内部統制の仕組みを整備する

アカウンタビリティを徹底するには、従業員一人ひとりの意識と、人事評価や内部統制の仕組みを連動させる必要があります。従業員に対して会社側から一方的にアカウンタビリティを求めても、自身にメリットがなければ浸透しないでしょう。

例えば、アカウンタビリティによる報告で成果を出していれば、待遇がよくなるような人事評価を仕組み化するのもひとつの方法です。アカウンタビリティの実行度を評価基準に組み込めば、たとえ成果が出なくても従業員のモチベーションを維持することができます。

明瞭に説明できる人材を育成する

さまざまな説明責任を果たす体制を整えるためには、問題の根本を的確かつ明瞭に説明できる人材を育成することが大切です。

日常業務で失敗したときに叱るだけではなく、失敗の原因や注意すべき点を検証するように指導できる人材を育成しましょう。

実証と検証を繰り返すことで、アカウンタビリティが伴った業務姿勢を構築できる環境が整います。チームリーダーやマネージャーなど、社内の事業運営に関わる人材だけでなく、広報担当者など社外のステークホルダーに対応する人材の育成も重要です。

まとめ

この記事では、アカウンタビリティを実現させる方法やメリット、果たさなかった場合のリスクについて解説しました。従来のアカウンタビリティは、投資家などのステークホルダーに適切な情報を開示することが目的でした。

しかし近年では、顧客から社内に至るまでのあらゆる情報開示が求められています。企業の成長を後押しするためにも、アカウンタビリティの実現をぜひ目指してみてください。

監修者・齊藤 穂奈美

齊藤 穂奈美

株式会社日本アクセスで原料の調達・営業を担当→株式会社ファミリーマートへ出向し中食部門の商品担当として従事→出産を機に会社を退職。WEBクリエイターとして独立し、経営者の集客・広報全般をサポート。 現在はIzulで両面コンサルタントと広報を担当。プライベートでは2人の子を育てる母。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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