有給休暇とは?取得のルールや方法、注意点などを解説

2022年8月20日

2023年4月25日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

働き方改革関連法が施行され、2020年4月から大企業・中小企業問わず年5日以上の有給取得が義務付けられました。ただし、有給休暇の存在は知っていても、その詳しいルールまでは理解していない方が多いのではないでしょうか。当記事では有給休暇の概要や取得ルール、方法、注意点などを解説しています。企業で働いている方はぜひ参考にしてください。

有給休暇とは

有給休暇とは年次有給休暇とも呼び、従業員のリフレッシュを目的に休暇を与える制度です。有給休暇は労働基準法で定められている労働者の権利のひとつであり、基準を満たしていれば雇用形態に関係なく付与されます。
通常、従業員が仕事を休むとその日の分の給与は支払われません。しかし、有給休暇を使用して休んだ場合は、働いていなくても給与を得られます。あらかじめ取得するケースや病欠した日を有給休暇とするケースなど、利用方法はさまざまです。

有給休暇の取得に関するルール

有給休暇の意味について知っていても、詳しいルールを正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。労働者の権利である有給休暇について理解を深めるためにも、取得に関するルールを把握しておくことが大切です。

年に5日以上の取得が義務付けられている

有給休暇は働き方改革関連法が施行される以前から存在する制度です。元々、有給休暇の取得義務については設けられていませんでした。
しかし、現在では、大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月以降、年10日以上の有給休暇を付与している従業員に対して、年に5日以上の有給休暇取得が義務付けられています。

労使協定を締結すれば時間単位でも取得できる

有給休暇は原則、1日単位で取得するものです。しかし労使協定を締結すれば、年5日という制限はあるものの「時間単位年休」として時間単位で有給休暇を取得できます。
また、有給休暇を半日取得する「半日単位年休」と呼ばれる制度があります。半日単位年休を取得する場合は労使協定の締結は不要で、時間単位年休のような日数の上限もありません。

有給休暇における付与日数の違い

雇用形態に関係なく付与される有給休暇ですが、同じ基準で一律に付与されるわけではありません。ここでは、付与日数の違いについてそれぞれ詳しくみていきましょう。

正社員の付与日数

正社員の有給休暇は、入社してから半年経過した段階で10日付与されます。ただし、有給休暇が付与されるためには労働基準法に定められる次の基準を満たさなければいけません。

  • 所定労働日数が週5日以上、所定労働時間が週30時間以上の従業員
  • 年間所定労働日数が217日以上の従業員

入社から半年経過して10日の有給休暇が付与された後は、1年が経過して基準日を迎える度に、前回よりも多い日数の有給休暇が付与されていく仕組みになっています。付与日数は労働基準法で次のとおりに定められています。

  • 半年:10日
  • 1年半:11日
  • 2年半:12日
  • 3年半:14日
  • 4年半:16日
  • 5年半:18日
  • 6年半以上:20日

勤務年数が6年半を超えると、有給休暇は毎年20日ずつ付与されていきます。しかし、これらはあくまでも労働基準法が定めた最低限のルールであり、これよりも多くの有給休暇を付与しても問題ありません。

パートやアルバイトの付与日数

労働基準法では、半年以上同じ企業で勤務し、なおかつ全労働日の8割以上出勤していれば有給休暇の付与対象となると定められています。
しかし、パートやアルバイトでこれらの条件に該当するケースはほとんどありません。そこで、週の所定労働時間や1年の所定労働日数に応じて有給休暇を与える「比例付与」が採用されています。

有給休暇の取得方法

ほとんどの企業では、有給休暇を当日に急遽取得することは困難です。正しい手順に沿って、事前に申請を行う必要があります。ここでは、3パターンの取得方法を解説します。

個人が希望するタイミングで申請する

一般的な取得方法として挙げられるのが、個人が希望するタイミングでの申請です。個人が任意のタイミングで自由に有給休暇を取得します。ただし、企業側は従業員ごとに有給休暇を年間5日間以上取得しているか管理しなければなりません。また、GWや年末年始などに申請が集中することが多く、その時期に人員を確保できないなどの懸念があります。

企業側から時期を指定される

有給休暇の取得を個人の裁量に任せていると、5日分を消化できない従業員が出てくる場合があります。その解決策として、企業側から有給休暇を取得する時期を指定する方法が採用されています。ただし、企業側から取得時期を指定する場合は、できる限り従業員の希望に沿う必要があります。また、5日分の消化を終えている従業員に対して企業側から時期を指定することはできません。

計画年休で定める

有給休暇を確実に取得するために、計画年休で定めるのもひとつの方法です。計画年休とは、全従業員が有給休暇の取得日を前もって決めることを指します。年末年始やお盆、GW、閑散期などに分散して有給休暇を設定することで、特定の時期に人手不足になることを防げる点がメリットです。また、あらかじめ取得日を決定しておくことで、企業側の管理の手間を減らせます。ただし、計画年休で有給休暇を取得するには、労働者と使用者間で労使協定の締結が必要です。

有給休暇について知っておきたい注意点

有給休暇の取得においては、年間取得日数の義務以外にも押さえておかなければならないポイントがあります。ここでは有給休暇に関する注意点について解説します。

従業員からの取得請求は拒否できない

労働基準法では、従業員からの有給休暇取得請求は原則拒否できないと定められています。従業員は希望する日時に有給休暇を取得できるうえに、取得理由の制限もありません。
ただし、有給休暇が企業運営に支障をきたす場合は「時季変更権」の行使が認められています。時季変更権とは「有給休暇の取得を認めるものの、希望日に休まれると運営に支障をきたすため別の日に変更してほしい」といった要請を行う権利です。しかし、従業員が希望する日に有給休暇を取得させることが原則であるため、時季変更権を受け入れるかは従業員次第となっています。

余った有給休暇は翌年に繰り越せる

有給休暇の有効期限は最大で2年間です。そのため、付与された有給休暇を年内に使い切れなかったとしても、余った有給休暇を翌年に繰り越せます。
ただし、2年目に有給休暇を消化する際、新しく付与された有給休暇を使用するか、前年から繰り越された有給休暇を使用するかは就業規則によって決まります。就業規則に記載がない場合は、上司や管理職との話し合いが必要です。

有給休暇の買取は原則できない

消化しきれなかった有給休暇を企業が買い取ることは原則できません。ただし、企業が労働基準法に定められる日数よりも多い有給休暇を従業員に付与している場合は、法定日数を超えた分の有給休暇を企業が買い取ることは可能です。

まとめ

有給休暇とは従業員のリフレッシュを目的に用意される制度で、労働基準法に定められる労働者の権利です。労働基準法に記載されている基準を満たしていれば、雇用形態に関係なく付与されます。有給休暇は働き方改革関連法によって年5日以上の取得が義務付けられており、企業も従業員が確実に5日分消化するように管理する必要があります。また、従業員からの取得請求を企業側は拒否できません。
有給休暇について正しい知識を持つことで、自分の権利を守りましょう。

監修者・押目 隆之介

押目 隆之介

日本郵船グループにて3年間国際物流業務に従事。
リクルートに転職し、約5年間住宅・不動産領域のメディア営業およびマネジメントを経験後、前職のAbemaTV(サイバーエージェントより出向)にてコンテンツ戦略プロデューサーとして約4年間勤務しておりました。

現在は、自身の事業の経営も行いながら、リクルート時代の同僚であった中田の立ち上げたIzulにて、20~30代の方々を中心としたキャリア支援のお手伝いもさせていただいております。

著者プロフィール

Izul広報チーム

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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