amazon.co.jpを運営するアマゾンジャパン(以下、Amazon)への転職を検討しているものの、「転職難易度はどれくらいなのか」と気になっている方が多いはず。GAFA企業の一角であるAmazonは採用ハードルが高く、企業風土に合った面接対策を行う必要があります。この記事では、Amazonへの転職の難易度や応募方法、選考プロセス、募集部門・職種などについて詳しく紹介します。
Amazonへの転職は難しいのか
世界最大級のECサービスを展開するAmazonは、2000年11月の開設以来凄まじい勢いで業績を伸ばし、世界各国に物流拠点を持つ大企業へと成長しました。現在では500社以上もの企業が運営に携わっており、最新のIT技術を駆使したサービス展開で常に業界トップの成績を残しています。当然選考の難易度は非常に高く、給与・待遇面が手厚い人気企業であることから、高倍率の採用競争を勝ち抜く必要があります。転職難易度について、ポイントごとに詳しく見ていきましょう。
目指すポジションで異なる
Amazonは目指すポジションによって転職難易度が大きく変わるのが特徴です。卓越したITスキルや発想力を求められると思われがちですが、物流拠点における仕事の実態はむしろ小売業のスタイルに近いです。ECサービスや物流システムの設計に関わる場合は専門的なITスキル、在庫管理・発送業務などは小売業の経験と、職種によって必須スキルが異なるのもポイントです。
求める待遇で異なる
Amazonは積極的に中途採用を行っていますが、採用ポジションや希望する待遇によって、求められるスキルに大きな違いが出てきます。年齢を重ねるほど前職までの経歴・実績を厳しく評価される傾向があるので、「自身のスキルを活かしてどのような価値を提供できるのか」を把握してから対策を立てる必要があります。
応募時期で異なる
4月入社を見込んだ3月、夏のボーナスを受け取ってから退職することを想定した8月は、応募者が多くなる傾向があります。Amazonは1年を通じて中途採用を行っているため、「業界動向を見て良い時期に応募する」「採用が落ち着いたタイミングを狙う」など、あえて応募時期をずらすのもひとつの方法です。
Amazonの応募方法
Amazonは転職エージェントを経由した応募方法のほか、公式サイトから直接応募することも可能です。直接応募する場合の流れは次の通りで、勤務地・部門・職種の3つから応募できます。
・【STEP1】職種・部門のページにある「今すぐご応募ください」をタップ
・【STEP2】オンラインフォームから会員登録、あるいはSNS連携でプロフィールを登録
・【STEP3】応募フォームにレジュメを添付し、入力欄のうち必須とされている項目を入力
・【STEP4】質問に回答し、「Submit」をタップ
Amazonの選考プロセス
Amazonの選考プロセスは次の通りです。
1:書類選考
事前に提出したレジュメやプロフィールだけでは判断が難しい場合、追加情報の提出や電話での回答を求められます。選考に通過した場合にのみ、2週間以内に連絡が入ります。
2:一次面接→ループ面接
一次面接ではPCを使用したテストを実施する場合があり、詳しい内容は事前に通達されます。ループ面接は複数の面接官と個別に面接することに加え、事前に文章提出を求められる場合があります。ポジションによっては英語の読解力・会話力のテストが行われるケースもあります。
3:内定
最終面接の終了後に採用可否の連絡がきます。内定が出れば、入社時期や待遇などの細かい調整に入ります。中途採用の場合は、前職の経験・スキルに応じて給与額を決定します。
Amazonが募集しているエリア・部門・職種
Amazonが募集しているエリア・部門・職種は、時期によって異なります。転職活動を始める前に、希望する条件を満たす募集があるかどうかを確認しておきましょう。現時点(2022.3月)で募集している、あるいは今後募集する可能性があるエリア・部門・職種を紹介します。
エリア
採用募集は日本全国のエリアで行われていますが、物流拠点の中心地である関東エリアは特に募集が多い傾向があります。オフィス勤務はECサービス全体の管理・運営に携わり、フルフィルメントセンター(FC)、デリバリーステーション(DS)勤務では、小売業の特色が強い業務を担当することになります。
エリア | 都道府県 |
北海道・東北エリア | ・札幌オフィス・仙台オフィス・北海道・東北エリアDS |
関東エリア | ・東京オフィス・関東エリアDS・市川FC・八千代FC・流山FC・上尾FC・坂戸FC・久喜FC・川口FC・川越FC・挟山FC・川島FC・府中FC・青梅FC・川崎FC・小田原FC |
中部エリア | ・中部エリアDS・多治見FC |
近畿エリア | ・近畿エリアDS・京田辺FC・堺FC・茨城FC・大東FC・藤井寺FC・尼崎FC |
中国エリア | ・中国エリアDS |
九州エリア | ・福岡オフィス・九州エリアDS・鳥栖FC |
部門
部門ごとの募集は、物流拠点の運営・管理からECサービスの技術開発まで多様に揃っています。採用ポジションの種類が多く、どんな経歴の方でも転職するチャンスがあります。倉庫と本社の勤務は業務内容や評価されるポイント、必要なスキルが異なってくるので、事前に応募するポジションの詳細はしっかり確認しておくことが大切です。
部門 | 業務内容 |
フルフィルメントセンター(FC) | 入荷から出荷までの管理 |
サプライチェーンマネジメント(SCM)・ミドルマイル | 物流拠点から最終配送拠点に引き渡すまでの膨大なデータを分析し、課題解決・計画立案・プロジェクト遂行を行う |
ラストマイル(AMZL) | 配送ネットワークの構築・運用 |
カスタマーサービス | お客様のサポートおよび顧客満足度の向上 |
人事 | 組織・人材開発 |
経営管理・ファイナンス | 予算管理・キャッシュフロー管理・オペレーション全体の経営戦略の立案 |
オペレーション技術開発 | 物流プロセスの設計・導入・改善 |
職種
職種ごとの募集を見ると、物流ビジネスの上流工程に携われる職種が多く求められています。ECサービスに直接関わる開発・分析系の職種は、外資系IT企業特有の風土が色濃く反映されやすい特徴があります。
職種 | 業務内容 |
オペレーション | 入荷・品質管理・出荷・返品対応電話・メール・チャット・SNSなどのお問い合わせ対応 |
メンテナンス | 設備・装置を安定的に稼働させるためのメンテナンス作業・保全・生産性改善 |
セーフティ / セキュリティ / ファシリティ | 従業員の環境・安全・健康のマネジメント |
IT | 各拠点でのITサポートやヘルプデスク業務・物流システムのインフラネットワークサポート・設備・環境関連サポートなど |
事業企画・プランニング | 事業計画の策定・実行 |
プロジェクトマネジメント | 新しい物流拠点の立ち上げ・新しい商材の取り扱い開始をはじめとしたプロジェクト立案 |
エンジニア | お客様が期待するフルフィルメントサービスを満たす技術を戦略的に開発・実現 |
データエンジニア/データアナリスト | データベース分析・提案を行うデータの収集・蓄積・分析を効率化するシステムの運用 |
購買・調達 | 商品の調達 |
その他 | 秘書・アシスタント職・薬剤師・営業系職種・コンプライアンス関連職種・トレーナなど |
Amazonのキャリア事例
Amazonの技術部門では、フルフィルメントセンターによって取扱商品や設備が異なるため、別のセンターへ転勤することでさまざまな経験を積めます。さらに、「インターナルトランスファー制度(キャリアアップを目指す社員を後押しする転属制度)」の利用により、別の技術部門への異動も可能です。ここからは、Amazonが公開しているキャリア事例を2つ紹介します。
入社8年目:セントラルマネージャー
セントラルマネージャーは、設備の導入・維持技術の開発、保全費用、人員計画などを立案・実行するポジションです。入社8年目のセントラルマネージャーのキャリア事例は次の通り。物流拠点の仕事に携わりながら、徐々に管理職ポジションへとキャリアアップできることが分かります。
2012年入社:鳥栖FCシニアテクニシャン
2015年:鳥栖FCエリアマネージャー
2017年:鳥栖FCファンクションマネージャー
2018年:茨木FCセントラルマネージャー
入社10年目:セントラルスペシャリスト
セントラルスペシャリストは、全国のフルフィルメントセンターへ新技術を展開するポジションです。入社10年目のセントラルスペシャリストのキャリア事例は次の通り。同じ物流拠点でキャリアアップできるのはもちろん、制度を利用して別拠点・別業種にチャレンジするなど、柔軟なキャリアパスを形成できるのが強みです。
2010年入社:市川FCシニアテクニシャン
2015年:市川FCエリアマネージャー
2017年:市川FCセントラルスペシャリスト
Amazonの福利厚生
Amazonは福利厚生が手厚く、働く社員の生産性の向上と社員の幸福度を上げるために、従業員はもちろんのこと、その家庭内パートナーや子どもを含む家族をサポートするために様々な福利厚生が導入されています。Amazonのユニークな福利厚生の一部を紹介していきます。
福利厚生 | 内容 |
Amazon.com従業員割引 | Amazon.comを使用する場合、社員は10%の割引が適用されます。(ただし、割引額の上限は16,000円) |
キャリア選択 | 授業料、教科書代、関連費用の95%を前納することで、従業員は費用に気を取られずに勉強に集中することができる制度です。 |
出産・育児休暇 | 子どもの出産または養子縁組前後において、「休暇シェア」オプションや、職場復帰ができる「ランプバック」があります。 (出産または養子の制度を使用するには、1年間継続的に勤務している必要があります。) |
制限付き株式 (RSU) | 制限付き株式の付与やべスティングを通して会社の所有者になることができます。 |
健康 | 従業員と対象家族にとって適切な医療保障を柔軟に選択することができます。(例:医療貯蓄口座、歯科および眼科プランや健康および扶養者ケア用の医療費支出口座への加入も可能です。 |
Amazonへの転職を成功させるコツ
Amazonは、「Our Leadership Principles」という14項目の信条を持っています。これは世界各国に存在するAmazon組織共通の“求める人物像”を明文化したものであり、公式サイトの採用ページにもきちんと開示されています。全員がリーダーであるという考えに基づき、「Our Leadership Principles」に従って行動することを理想としています。そのため、人任せや受け身の姿勢では、選考に通過することは極めて難しいでしょう。
選考での質問内容は非公開ですが、質問の内容に対して「自分がリーダーと自覚していることを示すにはどのように回答すればよいか」を考えることが重要です。選考では14項目の信条に関連した質問をされる可能性が高いため、あらかじめ前職までの経歴・経験・スキルを整理し、具体的な数字や成果を絡めながらアピールできるかが成功のカギを握っています。
まとめ
世界最大手のECサイトを運営するAmazonの成長性は極めて高く、日本においても今後多くのポジションを募集することが予想されます。ただし採用のハードルはかなり高いため、戦略なしで選考に通過することは困難です。開示情報の多さから面接対策は比較的しやすいので、Amazonが求める「全員がリーダー」を意識し、質問に対して最適な回答を用意できるかがポイントになります。