大半の方が円満に退社したいと考えてはいるものの、トラブルを抱えたまま退職を迎える方も少なくありません。円満退社をすることで、退職手続きや転職活動がスムーズになります。また、前職の人脈も転職で活かせるなど、さまざまなメリットを得られます。今回は、円満退社を実現するためのポイントを8つ紹介します。
円満退社のメリットとは
円満退社は転職においてどのようなメリットがあるのでしょうか。円満退社を実現することで得られる具体的なメリットについて解説します。
転職活動や退職手続きがスムーズに進む
退職手続きでトラブルが発生し、気がかりなことがある状態では、転職活動に集中できなくなります。
また、社内の人との関係が悪化したまま退職すると、万が一必要書類に不備があった場合に問い合わせしづらかったり、手続き上必要な連絡を無視されたりと、転職後の仕事にも悪影響が出る可能性があります。
現職の人と良好な関係を築いたまま退職することで、在職中・退職後の転職活動がしやすくなります。
前職の人脈を転職先で活用できる
円満に退職できれば、前職での人脈を転職先でも活用できます。例えば、転職先で発生した課題を専門知識が豊富な前職の同僚に相談したり、前職とのつながりから新しい人材やサービスを紹介してもらえたりと、転職先での事業推進や営業をより円滑に進められます。また転職ではなく、個人で起業する場合でも前職の人脈は活かせます。前職から一部の仕事を引き継げる場合があるほか、逆に一部の業務を協力依頼することも可能になります。
円満退社を実現するための8つのポイント
本章では、円満退社を実現するために必要な8つのポイントを紹介します。
退職希望日の1~2ヵ月前までに退職の意思を伝える
会社の規定にもよりますが、遅くとも退職希望日の1〜2ヵ月前までには退職の意思を伝えましょう。退職の旨を伝えるべき相手は、直属の上司です。通常、スケジュールや業務の管理、指示を仰ぐことの多い上司が直属の上司にあたります。
また退職の意思を伝える際は、メールやLINEではなく直接伝えるのがマナーです。なお直属の上司に伝える前に同僚に話してしまうと、不確定な情報が広がり混乱やトラブルを引き起こす場合もあります。そのため、可能な限り同僚には話を切り出さないようにすることが重要です。
引き留められにくい退職理由を伝える
退職理由によっては、退職を引き止められる場合もあります。退職手続きや転職活動をスムーズに進めるために、できる限り引き留められにくい退職理由を伝えましょう。
- 現職で経験を積む中で、新しくやりたいことが見つかりました
- 現職とは異なる業界の仕事に挑戦し、自分の視野を広げていきたい
- 個人で起業(開業)したいと考えています
上記のようにポジティブな理由であれば、引き留められることも少ないでしょう。職場の人間関係や給料の不満を理由にしてしまうと、「待遇を改善するから残ってほしい」と引き留められる場合があります。ネガティブな理由を伝えるのは極力控え、前向きな退職理由を考えましょう。
なお、体調不良や結婚、転居などのやむを得ない事情も引き留められにくいため、正直に理由を伝えるのもおすすめです。
「退職届」ではなく「退職願」と表題を記載する
「退職届」よりも「退職願」と記載する方が円満に退社しやすくなります。そもそも退職届とは、会社の可否を問わずに退職の意志を伝える書類です。対して退職願は、退職を願い出るための書類を指します。
また、退職願は初めから提出するのではなく、直属の上司に話をした後に提出するのがマナーです。なお退職願は会社によっては提出不要の場合もあるため、まずは会社規定を確認しましょう。
仕事の引継ぎは丁寧に行う
会社を辞めるからといって、引継ぎを適当に済ませるのはNGです。後任が決まった後に時間を確保して細かく仕事内容を共有し、時間に余裕があれば一緒に業務を行います。
また、資料などを残しておくことでスムーズに引き継ぎができます。また、資料として残す際に整理すべき内容は以下の4点です。
- その業務の目的
- 業務内容、手順、優先順位
- よくあるエラーの対処法
- 不明点があった際に相談すべき相手
自分がいなくなってもスムーズに業務が進められるように、丁寧に引き継ぎを行いましょう。
有給消化は余裕を持って申し出る
有給休暇が残っている場合は、会社に迷惑がかからないように余裕を持って申請しましょう。有給休暇の規定は就業規則に記載があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
なお、すでに転職先が決まっている場合は、有給休暇を取得する際に日程を計算し、転職先の希望入社日とうまく調整する必要があります。
提出物の期限を守る
退職する際は、さまざまな書類を提出・返却する必要があります。保険証や社員証、通勤定期券、名刺、会社の備品などは返却しましょう。書類に期限が設けられている場合は、必ず期限内に提出してください。
なお離職票・雇用保険被保険者証・年金手帳・源泉徴収票などは、退職する際に会社から受け取る必要があります。
取引先への挨拶も忘れずに行う
退職する際は、取引先への挨拶も忘れてはなりません。引継ぎの関係上、退職日当日ではなく2〜3週間前に伝えておくと良いでしょう。
可能であれば訪問して直接挨拶をするのが最善ですが、難しい場合はメールで伝えても問題ありません。取引先に挨拶をする際に伝えるべき内容は以下の4点です。
- メールの場合は件名に「退職の挨拶」
- 退職日がすでに決まっている場合は退職日
- 後任者の紹介
- 感謝の言葉
なお、個人的な情報や転職先などを伝える必要はありません。
同僚・上司への挨拶はお礼の言葉を必ず添える
退職日は、お世話になった同僚や上司にお礼の言葉を述べましょう。退職時の挨拶マナーは以下の通りです。
- 会社に対するネガティブな発言は避ける
- 明確な退職理由には触れずに「一身上の都合」と伝える
また会社によっては、最後に社員全員の前で挨拶を求められる場合もあります。あくまで業務中であるため、長々と話しすぎないように注意してください。また、すでに転職先が決まっている場合でも、転職先の企業名をわざわざ公表する必要はありません。
なお、最近ではリモートワークが浸透しているため、対面での挨拶が難しい場合もあるでしょう。その際は以下のポイントを押さえて、気持ちよく退職しましょう。
- メールやチャットツールで退職の挨拶をする場合は、一斉送信用の文章でも問題ない
- メールの場合は、件名で「退職の挨拶」であることを記載する
- 退職理由は細かく記載せず、感謝の気持ちや今後の展望を伝える
- 関係性を維持したい人がいる場合は、退職後の連絡先を記載する
まとめ
円満退職するためにはまず会社規定に従い、遅くとも1〜2ヵ月前に直属の上司に退職の旨を伝えましょう。その際説明する退職理由は、ポジティブな理由や個人都合を説明すると引き止められにくくなります。
また数ヵ月後には会社を辞めるからといって、引継ぎを適当に行ったり、提出物の期限を守らなかったりすると円満退社とは程遠い事態に陥ってしまうでしょう。
退職理由が何であれ、これまでお世話になった会社です。良好な関係を保ったまま退職できるように、本記事で紹介した8つのポイントを参考にしてください。