保育士として培ったスキルや経験はさまざまな職種で活かすことが可能ですが、慎重な検討が必要です。少なからず、子どもに関わる業種の方がそうではない業種よりもスキルや経験を活かしやすいでしょう。保育士の経験によって優遇されることも期待できます。この記事では、保育士から転職する際におすすめの業種や経験の活かし方について解説します。
保育士から異業種への転職は難しい?
保育士から異業種への転職には、一定のハードルが存在します。ビジネススキルが求められる職種では、保育士としての経験だけでは即戦力とはみなされないでしょう。保育士として培ったスキルや経験を活かせる業種に絞り込み、転職活動をすることが大切です。
ただし、保育士の仕事では、一般企業でも活用できるスキルを習得できます。
たとえば、コミュニケーション能力やチームワーク、問題解決能力などが挙げられます。子どもや保護者との関わりの中で身につけた人間関係を構築するスキルは、販売員やカウンセラー、営業職などさまざまな職種で役立つでしょう。
保育士の資格を活かせる転職先
保育士の資格は、子どもに関わるさまざまな業種で役立ちます。保育士の資格を活かせる転職先について、詳しく見ていきましょう。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障がいのある児童を対象とした福祉サービスで、発達支援や保護者の支援を行います。児童発達支援管理責任者や児童指導員・保育士の配置が義務付けられています。
児童発達支援管理責任者は個別支援計画に基づき、児童の発達支援を行うとともに、送迎サービスや保護者対応などを行います。児童の個性や発達の状況、保護者の希望などに応じた支援を行う必要があるため、一律での対応では利用者のニーズを満たせません。
保育士として放課後等デイサービスに携わることで、児童の自立や成長の過程を見守ることにやりがいを感じられるでしょう。
認定こども園
認定こども園は、0~6歳までの子どもを対象に教育・保育を一体的に行う施設です。子どもや職員の数が保育園と比べて多いため、チームワークや個々の子どもへの個別の対応力などが求められます。
認定こども園は将来的に増えることが見込まれており、中にはこれから施設を立ち上げる応募先もあります。園を作り上げる過程で、やりがいや成長を実感できるでしょう。
なお、認定こども園で働くためには、保育士資格に加えて幼稚園教諭免許も必要です。ただし、幼保連携型認定こども園は、令和6年度末までに限り、保育士資格か幼稚園教諭免許のいずれかのみを保有していれば勤務が可能です。
企業内保育所
企業内保育所は、企業のオフィスや周辺に設けられた保育・託児施設です。企業の従業員が子どもを預けられる保育所で、地域の保育園や幼稚園に入れなかった場合に預けられたり、なるべく近くで子どもを見守りたい人が利用したりします。
大規模な保育園とは異なり、スタッフや保護者との距離感が近く、より深いコミュニケーションを取ることができます。
児童館
児童館は対象年齢を0~18歳としており、健全な遊びを通して健康増進や情操を豊かにすることを目指す児童福祉施設です。クラス分けがないため、連絡帳をはじめとする事務作業がほとんどありません。それだけ子どもへの対応に専念できるため、これまで事務作業に追われて持ち帰り残業に悩まされていた人にとって、有力な選択肢となるでしょう。
介護福祉士
介護福祉士は、高齢者施設で高齢者に対して生活介助を行う職種です。子どもとの関わりを通して身につけたコミュニケーション能力や思いやりの気持ちなどは、高齢者の介護にも役立ちます。
また、介護福祉士は心身に重度の障がいを持つ子どもの介護も行います。
児童発達支援事業所
児童発達支援事業所は、0歳から未就学児の障がいを持つ子どもを対象として、成長を支援する施設です。発達支援計画に基づいて、日常生活の支援やコミュニケーションの促進、遊びを通した成長支援などを行います。
少人数のグループで、1人ひとりの子供と向き合うとともに、それぞれの特性に応じたきめ細かな対応を求められます。また、保護者や専門家との連携により、さらなる良い対応を目指すことも重要です。
商業施設の子ども預かり所
ショッピングセンター内に設けられた子ども預かり所も、保育士資格を持つ人が優遇されます。子どもを預けている間に保護者はゆっくりとショッピングを楽しむことができます。
施設内には、おもちゃや本、遊具などがあり、子どもが安全に楽しく過ごせるようにサポートすることが主な業務です。
ベビーシッター
ベビーシッターは、親が不在の際に自宅に入り、子どもを保育する仕事です。派遣会社に登録して仕事を受ける方法や、個人事業主として独立して活動する方法があります。
ベビーシッターの対象年齢は乳児から小学生まで幅広く、利用者からの要望に応じて個別の対応が求められます。排せつや着替えなどの世話、連絡帳の記入など、細かな対応が必要です。
ベビーシッターに特別な資格は必要ありませんが、保育士資格を持っていることは大きなアピールポイントとなります。
保育士のスキルや経験を活かせる転職先
保育士のコミュニケーションスキルや子どもの感性への理解などは、次のような職種で活かすことができます。
イベントプランナー
保育士のスキルや経験は、イベントプランナーとしても活かせます。特に子どもの興味や関心を引きつけるプログラムやイベントを企画する際に、保育士としての経験が役立ちます。
アートやクラフト、ワークショップ、ミニスポーツイベントなど、子どもたちが創造性を発揮し、楽しい時間を過ごせるプログラムを立案できるでしょう。
販売職
販売職では、保育士として培ったコミュニケーション能力や子どもとの関係構築スキルが大きな武器となります。例えば、おもちゃ店や子ども服の店舗での販売員として、子どもたちやその保護者との円滑なコミュニケーションを図りながら、商品の案内や販売が行えます。
保育士としての経験を活かした販売職では、子どもたちの好みや興味を理解し、彼らが喜ぶ商品を提案することが重要です。例えば、子どもの成長段階や興味関心に合わせて適切なおもちゃや服を選び、その商品の特徴や使い方を丁寧に説明することで、お客様との信頼関係を築けるでしょう。
自己分析したうえで応募先を決めよう
保育士から異業種への転職を考える際には、自己分析を行い、自身のスキルや志向性を明確にすることが重要です。
まず、自分の保育士としての経験やスキルを振り返ります。保育士としての業務経験や子どもとの関わり方、コミュニケーション能力、問題解決能力などを整理しましょう。また、保育士としての仕事で得た喜びややりがい、ストレスや課題も把握します。
次に、自身の興味や関心、キャリア目標を考えます。例えば、保育士としての経験を活かしつつ、新たな業界や職種での挑戦を目指す場合、自分の興味や関心がどこにあるかを明確にします。
最後に、自己分析の結果を踏まえて、転職先を選定しましょう。例えば、保育士の経験を活かしつつも、コミュニケーションや人間関係構築のスキルを生かせる営業職やカスタマーサポート、イベントプランナーなどの職種が考えられます。
まとめ
保育士から異業種への転職は可能ですが、自己分析が必要です。子どもに関わる業種ならスキルや経験を活かしやすく、優遇されることもあります。転職先を選ぶ際には、自身のスキルや志向性を考慮し、転職先を検討しましょう。今回、解説した内容を参考に、自身に合った転職先を見つけてください。
保育士から異業種への転職を検討している方は、Izulのエージェントがサポートいたします。自身のスキルや経験をどのように活かせばよいのかわからない、方針が決まっていないといった方もまずはお気軽にご相談ください。