転職活動がうまく進まない、在籍している企業に不満があるといった場合は、出戻り転職を目指すことも方法の1つです。ただし出戻り転職は必ずしも成功するとは限らないうえに、メリット・デメリットを理解して自身に適しているかどうかを判断する必要があります。この記事では、出戻り転職の意味やメリット・デメリット、成功させるポイントについて詳しく解説します。
出戻り転職とは
出戻り転職とは、過去に勤めていた企業で再び働くことです。転職活動がうまく進まないため、前に勤めていた会社に転職したい、独立のために必要なスキルを習得することを目的に前職の会社で学び直したいなど、さまざまな理由が挙げられます。
出戻り転職のメリット
出戻り転職は、他の会社への転職と比べて良い結果になりやすい傾向があります。出戻り転職のメリットについて詳しくみていきましょう。
即戦力になれる
出戻り転職の場合、過去に在籍した会社に勤めることになるため、これまでに習得した知識やスキルを活かすことができます。即戦力を求めている企業であれば、出戻り転職は歓迎されやすいでしょう。少子高齢化で1人あたりの労働生産性が重視されている昨今では、即戦力人材は優先的に採用される傾向があります。
選考なしまたは短縮される
通常の選考は書類選考から始まり、面接を経て内定が決まります。出戻り転職では、知識やスキル、人柄、会社との相性などがあらかじめわかっているため、選考なしか少ない選考回数で採用の可否が決まることがあります。
社風を理解したうえで働ける
出戻り転職の場合は社風を理解しているため、企業文化や慣習の理解に必要な時間や労力などを削減できます。転職後に社風がなかなか理解できず、精神的なストレスを抱えるケースもありますが、出戻り転職であれば、社風になじめないといった心配なく就業を開始できます。
より良い働き方を見つけやすい
これまでに得た経験を出戻り先の企業で活かすことで、より良い働き方を実現できる可能性があります。フレックスタイム制は自分に合わなかったため選択しない、リモートワークが向いているから選択するなど、自分に合った働き方を模索しやすいでしょう。
出戻り転職のデメリット
出戻り転職は即戦力として重宝されるうえに、快適に働くことができる傾向があります。その一方で、待遇や環境に満足できないリスクがあることに注意が必要です。出戻り転職のデメリットについて詳しくみていきましょう。
待遇や役職は前回同様とは限らない
出戻り転職の場合、以前と同様の待遇・役職になるとは限りません。例えば以前は課長だったのに役職なしの従業員になる可能性もあります。待遇や役職に不満を抱えたまま働くと、短期間で退職することになるかもしれません。事前に確認したうえで、出戻り転職すべきかどうか考えることが大切です。
全従業員に歓迎されるとは限らない
出戻り転職は、すべての従業員から歓迎されるとは限りません。一度退職したのに自分の都合で出戻ることをよく思わない人もいるでしょう。また過去に部下だった人が今度は上司になる場合、相手がやりにくいと感じる可能性もあります。
出戻り転職に成功しやすい人
出戻り転職に成功するかどうかは、在籍時の評価や人間関係、退職の理由・状況などに左右されます。ここからは出戻り転職に成功しやすい人の特徴を3つ、紹介します。
- 在籍時に高評価を得ていた
- 在籍時に人間関係が良好だった
- 退職時が円満退社だった
在籍時に高評価を得ていた
在職時に高評価を得ていた人物は、出戻り転職でも歓迎される傾向があります。他の会社で習得した知識やスキル、経験などに対する評価も高い場合は、より歓迎されるでしょう。自身が業績やコミュニケーション能力など、どの部分が高く評価されていたか思い返すことで、出戻り転職が成功するかどうかをイメージしやすくなります。
在籍時に人間関係が良好だった
上司や部下、同期から親しまれており、退職を惜しまれるような人物は、出戻り転職に成功しやすいでしょう。一方でどれだけ優れた業績を残していても、人間関係が悪ければ出戻りを歓迎されない可能性があります。
退職時が円満退社だった
円満退社かどうかも、出戻り転職が成功するかどうかに関係します。退職時にトラブルがあった場合、出戻り転職したくても断られたり、従業員から敬遠される恐れがあります。自身は円満退社だと思っていても実際は違っていた可能性もあるため、当時を思い返してみましょう。
出戻り転職が難しい人
出戻り転職はすべての人が成功するとは限りません。次の3つに該当する人は出戻り転職を断られたり、早々に退職するリスクが高いでしょう。
- 退社から長期間が経過している
- 在籍時と会社の状況が大きく変わっている
- 在籍期間が短かった
退社から長期間が経過している
退社から長期間が経過している場合、当時の評価に対する印象が薄くなっているため、高評価を得ていたとしても出戻り転職にが難しくなるかもしれません。当時と知識やスキルが大きく変動している可能性を踏まえ、通常の選考と同じ流れで採用の可否を判断されるでしょう。
在籍時と会社の状況が大きく変わっている
在籍時と現在の会社の状況が大きく変わっている場合、在籍時に高評価を得ていたとしても今の会社の基準では評価が高くない可能性があります。また従業員も大きく変わっており、働きにくく感じることも予想されます。
在籍期間が短かった
在籍期間が短かった場合、即戦力人材と見なされない可能性が高いでしょう。出戻り転職後に、またすぐ退職してしまうと思われ、採用に二の足を踏まれる恐れもあります。特に、数ヶ月程度で退職した企業は、出戻り転職先の候補にすることは難しいと考えられます。
出戻り転職を成功させるためのポイント
出戻り転職したものの、短期間で退職したり思っていた働き方ができなかったりするといった事態を防ぐには、次の3つのポイントを押さえる必要があります。それぞれ詳しく解説します。
- 辞めた理由を明確化する
- 会社に貢献できる確信を持てた場合にのみ実行する
- 安易な気持ちで戻らない
辞めた理由を明確化する
退職理由を思い返し、明確化することが大切です。例えば上司が嫌だったという理由の場合、具体的に何が嫌だったのか、なぜ嫌だったのかなどを深掘りしましょう。同じ状況になったとき、再び退職してしまわないか、自問自答してみることが大切です。
会社に貢献できる確信を持てた場合にのみ実行する
出戻り転職では、会社に貢献できることを証明する必要があります。貢献できない人物は即戦力人材として重宝されず、自身としても働きにくさを感じるでしょう。自身の知識やスキルを棚卸しして、会社に貢献できることを確信した場合にのみ、出戻り転職を実行するべきです。
安易な気持ちで戻らない
「転職活動に疲れたから、とりあえず前に勤めていた企業に戻ろう」「最終手段にしよう」などと安易な気持ちで戻ると、会社に貢献できないうえに働きにくさを感じ、双方にとって良い結果にはなりません。安易な気持ちで戻ることは考えず、慎重に検討しましょう。
まとめ
出戻り転職は転職希望者にとってメリットが大きいものの、成功するかどうかは在籍時の評価や退職理由などが大きく影響します。また、出戻りの人物を採用することにはリスクがあるため、選考過程を省略しないケースもあります。本記事で解説した出戻り転職のメリット・デメリット、成功のポイントなどを参考に、出戻り転職が自身に合っているかどうかをしっかり見極めましょう。
