転職の際、職歴証明書の提出を求められる場合があります。職歴証明書が必要かどうかは企業によって異なりますが、発行方法について事前に確認しておくことが大切です。この記事では、職歴証明書の役割や在籍証明書との違いから発行方法、書き方や発行を断られたときの対処法まで詳しく解説します。
職歴証明書とは
職歴証明書とは、会社に勤めていたことを証明する書類です。一般企業から一般企業への転職時はもちろん、一般企業から公務員に移るときや国家試験の受験時にも求められます。フォーマットは企業によって異なりますが、転職先の企業から記入項目が指定される場合もあります。
ここでは、職歴証明書と在籍証明書の違いや提出を求められるケース、発行方法について詳しくみていきましょう。
在籍証明書との違い
在籍証明書と職歴証明書に違いはほとんどありません。ただし、職歴証明書が「以前にその会社に在籍していたことを証明する書類」であるのに対し、在籍証明書は「今その会社に在籍していることを証明する書類」です。
そのため、複数の会社に在籍していた場合に職歴証明書を求められたのであれば、すべての会社に発行を求める必要があります。ただし、時間的都合や負担の観点から、最後に勤めた会社の職歴証明書のみで良いとされる場合もあるなど、会社によって運用方法が異なります。
提出を求められるケース
職歴証明書の提出を求められるのは、次のようなケースです。
- 一般企業から一般企業へ転職するとき
- 一般企業から公務員に移るとき
- 国家試験を受験するとき
職歴証明書の提出を求めるかどうかは企業によって異なるため、事前に作成しておく必要はありません。
発行方法
職歴証明書は、会社の総務部や人事部などに発行を依頼します。在職中に発行を依頼する場合は、担当者に直接伝えましょう。ただし、転職を検討していると疑われる可能性があるため注意が必要です。また、提出先の会社がフォーマットや記入事項を指定した場合は、その旨も伝えてください。
退職後は、職歴証明書の発行をメールで依頼し、直接受け取るか郵送のどちらかを選択しましょう。郵送の場合は、返信用封筒を会社に送るのがマナーです。メールで依頼する場合は、会社指定のフォーマットに従うことが基本ですが、指定がない場合は次のような書面を送りましょう。
○○株式会社○○部 ○○ ○○様 拝啓 貴社益々ご発展のこととお慶び申し上げます。◯年◯月まで貴社に在籍していた◯◯と申します。他企業への就職時に職歴証明書が必要となりましたので、ご連絡いたしました。 ご多忙のところ大変恐縮ですが、職歴証明書の発行をお願いできますでしょうか。期限を◯月◯日とさせていただけますと幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。 敬具 氏名住所電話番号メールアドレス |
職歴証明書の記載項目
職歴証明書には、必須項目と必須ではない項目、企業によっては求められる項目があります。それぞれ詳しくみていきましょう。
必須項目
職歴証明書の必須項目は次の通りです。
- 発行年月日
- 氏名
- 在籍期間
- 会社名
- 社印
上記の項目が欠けている場合は無効になる可能性が高いため、事前に確認しましょう。
転職先によっては必要な項目
転職先企業によっては、次の項目を求められます。
- 業種
- 在籍中の地位、役職
- 賃金
- 退職理由(解雇の場合はその理由も必要)
職歴証明書の発行を依頼する際に、別途必要な項目について伝えましょう。ただし、企業の方針で職歴証明書への記載を断られる場合があります。その際は、転職先企業にその旨を伝えましょう。対応は企業によって異なりますが、不足した項目の情報を補填する別の証明書類を提出すれば、認められる可能性があります。
職歴証明書に記載する必要がない項目
職歴証明書に記載する必要がない項目もあります。ただし、企業から記載を求められた場合は、備考欄に記載することが一般的です。ここでは、職歴証明書への記載が不要な項目について解説します。
休職期間
職歴証明書に休職期間の記載は不要です。ただし、転職先企業としてはブランクや休職の理由を知りたいと考えることが多いため、記載を求められるケースもあるでしょう。なお、休職の理由を伝える必要もありませんが、質問される可能性があります。
アルバイト期間
アルバイト期間についても記載は不要です。ただし、公務員の場合はアルバイトの職歴証明書の提出を求められる可能性があります。自治体によって運用が異なるため、事前に確認しておきましょう。なお、アルバイトの給与や退職理由なども記載は不要です。
職歴証明書の発行を断られた場合の対応方法
職務経歴書の発行を企業から断られた場合は、法律で義務付けられている旨を伝えたり、代替え手段を検討しましょう。職歴証明書の発行を断られた際の対応方法について詳しく解説します。
法律で義務付けられている旨を伝える
労働基準法(第二十二条:退職時等の証明)では、労働者が職歴証明書の提出を求めた際に、応じる必要があることが定められています。そのため、職歴証明書の発行は法律で定められている義務であることを伝えるとよいでしょう。
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。 引用:e-GOV法令検索|労働基準法 |
ただし、解雇理由の証明書の発行は退職日以降は拒否できます。そのため、解雇を言い渡された場合は、退職日までに解雇理由の証明書を請求しておくことが大切です。なお、職歴証明書は退職後でも請求できます。
マイナンバーカードで代用できないか打診してみる
マイナンバーカードでマイナポータルにログインすると、雇用保険の加入履歴を確認できます。加入履歴には過去に所属していた企業名と所属期間が掲載されているため、職歴証明書の代わりになる可能性があります。マイナンバーカードを用いて取得した雇用保険の加入履歴で代用できないか、転職先企業に相談してみましょう。
雇用保険の加入履歴をハローワークで確認する
雇用保険の加入履歴は、ハローワークに申請することで入手できます。そのため、マイナンバーカードを持っていなくても、雇用保険の加入履歴の入手が可能です。本人確認書類と「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」を所轄のハローワークに提出しましょう。
まとめ
職歴証明書は、転職の際に転職先企業から提出を求められる場合があります。その際は前職・現職の企業に職歴証明書の発行を依頼しましょう。職歴証明書の発行は労働基準法で定められた義務であり企業は断ることができないため、もし断られた場合は法律で義務付けられている旨を伝えましょう。それでも職歴証明書を発行してもらえない場合は、雇用保険の加入履歴で代用できないか転職先企業に確認してみてください。