転職活動を進めている方にとって懸念材料となるのが離職期間です。一般的に離職期間が3ヵ月以上あると、選考において不利になると言われています。しかし、面接前にしっかりと対策を練っておくことで、採用担当者に好印象を与えられるようになります。この記事では、離職期間が長いと転職に不利になる理由や、面接時の対策ポイント、離職期間を長引かせない方法について解説します。
離職期間とは
離職期間とは、以前勤めていた会社との雇用契約が解消されてから、次の職に就くまでの期間を指します。離職期間は転職において重要な指標であり、3ヵ月以上職に就いていない期間があると選考に不利になると言われています。離職期間が生じた理由によっては選考に影響を与えない場合もあるので、あくまで目安程度に留めておきましょう。
離職期間が長いと転職に不利になる理由
離職期間が長引くと、転職においてどのような悪影響が出るのでしょうか。不利な評価をされやすい3つの要素について紹介します。
ビジネス感覚やスキルが鈍っていると思われる
離職期間が長くなると、仕事に必要なビジネススキルが鈍くなっていると判断されます。離職期間が長いほど感覚を取り戻すのに時間がかかると判断されるため、同じ条件の求職者と比較された場合、選考に落ちる可能性が高くなります。トレンドの移り変わりが激しい業界であれば、身に付けたスキルが通用しないと判断される場合もあります。
仕事に取り組む意欲を疑われる
離職期間が長引いた理由によっては、仕事への意欲を疑われる可能性もあります。正当な理由があれば採用担当者を納得させられますが、離職期間が長ければ長いほど説明が難しくなるでしょう。面接においては高確率で指摘されるポイントなので、離職期間中の過ごし方や活動内容など、より具体的な説得材料を準備する必要があります。
能力や適性に問題があると思われる
能力や適性が低いため転職活動が上手くいかず、離職期間が長引いてしまったと判断されるケースもあります。前職での実績・スキルなどを深堀りされて聞かれる場合があるので、入念に準備して面接に臨みましょう。
離職期間が長い場合の3つの対策法
離職期間の長さは面接において弱点となり得ますが、事前に対策することで上手く切り返せるようになります。ここでは、具体的な3つの対策を紹介します。
離職期間が空いた理由を明確に伝える
離職期間が長い場合、多くの面接で離職期間の理由を問われます。事前に明確かつ説得力のある回答を用意しておくことで、好印象を与えられる可能性が上がるでしょう。離職期間が空いた理由として代表的な回答は、下記のような例が挙げられます。
- フリーランスとして活動していた
- 家業を手伝っていた
- 家族の介護をしていた
- 資格取得に向けて勉強していた
- 語学やビジネススキルを身に付けるために留学していた
上記の理由に離職期間が長引いた経緯や具体的なエピソードを加えると、より誠実な印象を与えることができます。「働くモチベーションが保てなかった」や「転職活動が上手くいかなかった」などと正直に説明してしまうと、悪い印象や懸念材料を与える可能性があるので注意が必要です。
離職期間で身に付けた経験やスキルをアピールする
離職期間で身に付けたスキルがあれば、その経験を仕事にどう活かせるのかをアピールしましょう。自身のスキルアップが理由であれば離職期間にも妥当性が生まれ、仕事への意欲も伝えられます。ただし、応募職種の仕事内容に直接関係のないスキルを習得したとしても、効果的なアピールになる可能性は低いため注意が必要です。あくまで自然に関連付けられる経験・スキルを選んでアピールしてください。
入社後の未来に向けて熱意をアピールする
離職期間の長さを説明しにくい場合は、転職後の未来に向けた熱意をアピールすると良いでしょう。離職期間についてはある程度正直に話し、その上で働きたい意欲を強くアピールすることで、熱意を評価されて採用に至るケースがあります。
自然な流れで熱意を伝えたい場合は、志望動機の回答に力を入れましょう。回答する際のポイントは以下の3つです。
- これまでの経験(離職期間も含む)を交えて、なぜ働きたいかを明確に伝える
- この会社でなければならない理由を盛り込む
- 配属後のキャリアパスを具体化して伝える
志望動機が会社の方向性にマッチしたものであれば、離職期間の長さを考慮しても採用したいと思って貰える可能性が高まるでしょう。
転職の面接で離職期間について聞かれた場合の回答例
離職期間が長くなる理由はさまざまですが、以下の3つのポイントを押さえましょう。
- やむを得ない理由は正直に伝える
- 言い訳や取り繕いをしない
- 即戦力になることを伝える
面接で取り繕うような回答をしてしまうと不信感を与えかねません。突っ込んだ質問や答えにくい質問をされても適切に答えられるよう、準備しておくと余裕を持って対応できます。さらに再就職につながるよう努力していたことをアピールすると、好印象を与えられるでしょう。ここでは、面接時によく聞かれる質問についての回答例を紹介します。
離職期間の長さについて質問された場合
【OK回答例:資格取得のための場合】 以前から○○の仕事に就きたいと考え、専門知識と資格が必要だと判断し、貯金してから一度退職しました。その後、学校に通いながら専門知識の勉強と資格の取得に専念しました。取得した資格と知識を活かして、貴社の業務に貢献したいと思い応募いたしました。 |
専門性の高い資格にチャレンジする場合、独学が難しいため、離職期間が長くなるのも納得されやすいでしょう。離職期間中に資格を取得することで、即戦力として高く評価される可能性が高くなります。さらに、計画的に取得したことをアピールすれば好印象を与えられるでしょう。
退職理由を質問された場合
【OK回答例:病気で退職した場合】 前職はエンジニアでしたが、激務で体調を崩し退職しました。短時間のアルバイトから始め、今ではフルタイムでの勤務が問題なくなったため、転職活動を始めております。転職活動と並行して、知人の起業を手伝いながらコードを書くなど、社会復帰のリハビリをしています。 |
離職期間が長い場合、退職は自分にとって必要なことであり、働く意欲のあることをアピールすることが大切です。離職期間中の過ごし方や経験から、入社後に活かせそうなエピソードがないか考えてみましょう。体調の状況が改善していることや働く準備をしていることを伝えることで、働く意欲があることをアピールしましょう。
離職期間中の過ごし方を聞かれた場合
【OK回答例:家族の介護をしていた場合】 母の介護をしていましたが、この度施設に入居することが決まり、転職活動を開始いたしました。 即戦力として復帰できるよう前職の業界に関する情報を収集し、業務に役立てるために○○の資格も取得しました。 |
介護でブランクがある場合、第一に伝えるべきことは家族の介護が継続するのかという情報です。入社後の働き方に関わることなので、はっきりと伝えましょう。介護をしながら資格の勉強をするなど、独学でも転職に向けて活動していたことがアピールできると、企業側に好印象を与えます。
転職コンサルタントが答える!離職期間のよくある質問
ここでは、現役の転職コンサルタントが支援中にいただいた、離職期間についてのよくある質問を紹介します。
離職期間が1年以上空いている場合は転職に不利?
基本的に長引くほど、一般的に転職が難しくなります。離職期間が長くなると、さまざまな勘繰りやネガティブな予想がされやすくなるでしょう。離職期間が3ヵ月以上になる場合は、納得させられる理由を考えて、どんな質問をされてもスムーズに受け答えできるよう練習する必要があります。
離職期間にフリーランスとして活動していた場合は?
フリーランスとして活動し、利益を上げている場合は、離職期間として判断されません。実績や経験を履歴書や職務経歴書に記載できます。ただし、入社後にフリーランスに戻る可能性を払拭する必要はあるでしょう。フリーランスに転身した理由や、転職活動を選択した理由も聞かれるため、入社後は社員として貢献することをしっかり伝えましょう。
離職期間中にフリーターだった場合は?
離職期間中にフリーターであることは、企業に対して良い印象は持たれにくいでしょう。しかし、1年以上続けたアルバイトの場合は、履歴書や職務経歴書にアルバイト歴を記入しましょう。そうすることで、経験やスキルをアピールできる可能性があります。
離職期間中に何もしていなかった場合の対策は?
離職期間中に何もしていなかった場合は、伝え方に注意する必要があります。「自分と向き合ってスキルの棚卸や自己分析に時間をかけた」「転職活動に集中していた」などといった理由を伝えましょう。しかし、一人では適切な回答ができない場合、転職エージェントを活用してみましょう。Izulの転職サポートであれば、書類選考や面接対策などを支援しています。過去に離職期間が空いていて悩んでいた求職者もサポートしているので、安心してご相談ください。
離職期間を長引かせないためには?
離職期間の長さは面接対策である程度カバーできますが、長期的にキャリアを形成したい場合は、離職期間をできる限り短くすることが大切です。ここからは、離職期間を長引かせないための方法を3つ紹介します。
在職中から将来のビジョンを明確にしておく
離職期間が長引くことを防ぐためには、転職する前段階から将来のビジョンを明確にしておきましょう。将来の目標や理想のキャリアが曖昧だと、勢いで転職を繰り返したり、入社後にミスマッチを起こして早期退職したりと、離職期間を生む要因になってしまいます。
転職活動に入る前から将来像を見据えて、常に正しいキャリアを選択できるように準備しましょう。明確な将来像は短期間で形成されにくいため、常に自己分析を重ねる意識が大切です。
退職する前に転職活動を進める
在職中に転職活動を行うと、離職期間が長引くことはありません。離職期間が空いてしまわないか不安な方は、退職する前から転職活動を始めましょう。
退職後に転職活動を行った場合、全ての時間を企業研究や面接対策に割くことができますが、なかなか転職先が決まらなければ精神的・金銭的な負担を感じやすくなります。現職と並行して転職活動を行うため多忙になりますが、離職期間が長くなるプレッシャーを感じなくて済むことは大きなメリットです。
同時並行で複数社の選考を受ける
1社のみ応募して選考結果を待つことは非効率です。dodaの調査によれば、30代の転職成功者の平均応募者数は20.2社、40代以上は12.9社。多くの方は理想の転職を実現するために10社以上に応募しており、選択肢を増やすためには同時並行で選考を受ける必要があります。
引用:転職成功者の平均応募者数データ一覧(doda)
転職活動を始めたばかりの段階では、3〜5社程度を目処に選考を受けましょう。その後選考に慣れ、選考対策を無理なく進められるペースが掴めてきた段階で、より多くの選考を同時並行で受けることをおすすめします。同時並行で選考に臨む際は、以下の2点に注意しましょう。
- 闇雲に選考を受けない(自分の転職の軸にマッチした会社の選考を受ける)
- 重要メールの取りこぼしがないように、メールは毎日一回以上確認する
離職期間が長くならないために複数社を同時に応募すると、一社に費やす時間が足りず企業研究が中途半端になる、志望動機を使いまわしてしまうなどデメリットが生じます。しかし転職エージェントを活用すれば、スケジューリングから企業との連絡などをすべて任せられるため、限られた期間での転職が可能です。
まとめ
離職期間は長ければ長いほど選考に不利に働くケースが多いものの、事前に対策することで、自身の強みや熱意を伝えられる可能性が高まります。離職期間が長い場合は理由を求められるため、上手く回答するための対策や練習が必要になります。
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