転職の選考で卒業証明書の提出を求められる場合があります。誤って卒業証書を提出したり、期日に間に合わなかったりすることがないように、基礎知識を身につけておくことが大切です。卒業証明書はすぐには入手できないため、準備する時期も確認しておきましょう。
この記事では、転職の選考で卒業証明書を求められるのか、また求められた場合の入手方法や費用などについて詳しく解説します。
卒業証明書とは
卒業証明書とは、学校を卒業したことを証明する書類です。転職の際に提出する履歴書には、学歴を記載する項目があります。場合によっては最終学歴を証明する書類として、卒業証明書の提出を求められます。卒業証明書と似たものに卒業証書がありますが、内容が大きく異なります。卒業証明書と卒業証書の違いや、代用が可能かどうかについて詳しく解説します。
卒業証書との違い
卒業証書とは、卒業式で受け取る証書です。卒業式で授与された後、黒い筒に入れて保管します。卒業証書は、卒業したことを証明する書類ではあるものの、企業に提出する書類としては相応しくありません。
卒業証書は偽造リスクも高いため、卒業証明書でなければ最終学歴の証明とならないことが一般的です。卒業証明書は学校が「この人物は確かに本校を卒業した元生徒である」と証明する書類のため、学校が企業に向けて発行する必要があります。
卒業証書で代用できる?
卒業証書は手元にあるものの、卒業証明書は持っていない方がほとんどでしょう。卒業証書は卒業証明書の代わりにはならないことが一般的のため、卒業証明書を学校に発行してもらう必要があります。
ただし、学校が遠くにあるうえに対面での発行手続きしか認めないような特殊なケースでは、企業に相談すると特例を認めてもらえる可能性もあります。とはいえ、現在、卒業証明書はほとんどの学校が郵送での手続きに対応しているため、このような事態はほとんど起こり得ないといえます。
転職で卒業証明書を求められるケースは稀
そもそも、転職の選考において卒業証明書の提出を求められるケースは稀です。卒業証明書はあくまで、学歴詐称を防ぐための書類として使用されます。そのため、学歴よりも実力や経験を重視される傾向がある中途採用においては、それほど重要視されません。ただし、学歴詐称が発覚し、世間に知られることになれば、本人はもとより雇用主である企業もバッシングを受ける恐れがあります。
このようなリスクを避けたい企業からは、卒業証明書の提出を求められるでしょう。
卒業証明書を提出するタイミング
卒業証明書を提出するのは、入社時が多いでしょう。年金手帳や給与の振込先情報などを提出する際に卒業証明書も求められます。つまり、学歴詐称をしていた場合は、入社が決まってから会社に発覚します。学歴詐称が発覚した場合は内定取り消しの可能性が高いため、求職者と企業の双方が大きなダメージを受けるでしょう。卒業証明書が必要かどうかは内定が出てからわかるため、卒業証明書が不要な企業に絞って応募することは不可能といえます。
卒業証明書を提出するときのマナー
卒業証明書は、コピーではなく原本を提出しましょう。入社後すぐに退職し、再び転職活動を始める場合に備えてコピーを取っておく方法もありますが、コピーしたものは容易に偽造できるため、原本以外は認めない企業もあります。
また、卒業証明書に有効期限はありませんが、なるべく発行から3ヶ月以内のものを提出しましょう。何年も前に発行した卒業証明書だと、印象が悪くなる可能性も否定できません。また、年月が経過すると紙が劣化するため、古びた見た目になる場合があります。年月の経過した書類を企業へ提出するのはマナー違反にあたるため、やはり発行から3ヶ月以内のものを提出した方がよいでしょう。
また、学校が発行してから封筒を誰も開けていないことを証明できる「厳封」で提出することも大切です。誰かが開けた時点で改ざんの可能性が出てくるため、企業側から厳封を指示される場合もあります。
卒業証明書の発行方法
卒業証明書は、卒業した学校が発行します。卒業証明書を必要とするケースがあることを学校側も理解しているため、発行を依頼すれば比較的速やかに対応してくれるでしょう。ここでは、卒業証明書の発行方法について詳しく解説します。
1:卒業校へ問い合わせる
まずは、卒業した学校へ卒業証明書の申請について問い合わせます。学校が統合されている場合は、統合先の学校に問い合わせましょう。統合先がわからない場合は、所在地を管轄する教育委員会に問い合わせます。
2:写真付きの身分証明書を用意する
卒業証明書の申請には、本人確認できる身分証明書の提出が必要です。身分証明書には、写真付きと写真なしのものがあります。最も信頼性が高い次のような写真付きの身分証明書を用意しましょう。
- 運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード
ただし、学校によって指定の身分証明書が異なるため、問い合わせ時に確認しておくことが大切です。なお、卒業証明書は以下の書類を用意すると、代理申請ができる場合があります。
- 委任状
- 本人および代理人の身分証明書
- 卒業証明書の申請書
委任が可能かどうかを含め、詳しい申請方法や申請書類は学校に問い合わせましょう。
3:郵送もしくは来校で受け取る
卒業証明書は、郵送あるいは来校で受け取ります。遠方の場合は郵送を依頼しましょう。企業から厳封を指示されている場合は、その旨を伝えておくことが大切です。厳封は、封筒に「開封無効」「開封厳禁」などと記載されています。
卒業証明書の発行にかかる費用
卒業証明書の発行にかかる費用は学校によって異なりますが、500円程度が一般的です。いずれにしても、あらかじめ預金口座から現金をおろしておくような準備は必要ないでしょう。
卒業証明書の発行にかかる期間
卒業証明書の発行にかかる期間は、来校での申請であれば即日発行してもらえる可能性があります。多くは2~3日はかかるため、余裕をもって申請しましょう。また、発行までにどのようなトラブルが起きても期日に間に合うように、1~2週間ほどの余裕を持って申請すると安心です。
まとめ
卒業証明書は、転職が決まって入社するタイミングで提出を求められる場合があります。コピーは容易に改ざんできてしまうため、原本を厳封で提出しましょう。卒業証明書は最終学歴を証明するための書類であり、学歴詐称による不正入社を防ぐ対策の1つです。企業に提出を求められた際は、適切な形式で用意して、期日までに提出しましょう。