中途採用では即戦力が求められるため、資格よりも経験が優遇される、と言われることがあります。その一方で、同じ経験量であれば無資格者よりも有資格者の方が優遇されるケースもあるようです。本記事では「資格なしは転職に不利になるのか」をテーマに、資格がないことで転職に不利になるケースや影響しないケース、資格以外の選考のポイントなどについて詳しく解説します。
資格なしが転職で不利になるケース
資格なしが転職で不利になるのは、募集要項に資格必須と記載がある場合です。新卒の場合は、会社のサポートのもとで入社後に資格取得を目指せることもあります。しかし中途採用では即戦力を求められるため、あらかじめ求められる資格を取得しておくことが重要です。
資格なしが転職に影響しないケース
業務に資格を必須としない職種への転職では、資格なしが転職に大きな影響を与えることはありません。ただし、同じ時期に同じような経験の人物が選考を受けた場合は、有資格者が優遇される可能性があります。
募集要項に「資格よりも経験や人柄、会社との相性を重視する」との記載がある場合、資格がなくても採用される可能性は高いです。
【年代別】資格以外で注目されるポイント
資格を持っているからといって、必ずしも採用されるわけではありません。企業は長期的な関係構築が可能かどうか、会社に利益をもたらすかどうかなど、複数の視点から採用の可否を判断します。また、求職者の年代に応じて注目されるポイントが異なります。20~40代の年代別に注目されるポイントについて、詳しく見ていきましょう。
20代は人柄や将来性
20代前半では社会経験が少ないため、経験よりも人柄や将来性が重視される傾向があります。企業側もそれを理解しているため、資格や経験がなくとも自信を持ってそれ以外の要素をアピールしましょう。20代後半は数年の社会経験があるため、20代前半の求職者よりも、経験や実績が重要視されます。
30代は知識や経験
30代は一通りの人材教育を受け、ビジネス経験もあるとみなされることから、転職においては、知識や経験、スキルなど結果を出すための要素が重要視されます。自社のどのような場所で活躍できそうかに注目されるため、過去の経験やスキル、実績などの武器を総動員してアピールすることが大切です。
40代以降は今転職する理由
転職は30代までに完了することが一般的なため、なぜ40代で転職に至ったのかを質問される傾向があります。また、未経験の職種の場合には、定年まで20~25年程度しかないことから「長期的なキャリア形成が見込めない」として不利になることもあるでしょう。
転職前に資格を取得する際の注意点
転職を少しでも有利に進めるために資格の取得を目指すのであれば、時間と手間がかかることを認識しておかなくてはいけません。資格は採用の可否を決定づける要素ではないことを理解したうえで、次の2つの注意点を踏まえて、資格取得を目指すかどうかを決めましょう。
資格の有無よりも経験が優先されることもある
採用基準は企業によって異なるため、A社では経験よりも資格が優先、B社では資格よりも経験が優先される場合があります。時間と手間をかけて資格を取得しても、志望する会社においては大きなアドバンテージにならない可能性があることに注意が必要です。
転職活動と資格の勉強の両立は難しい
転職活動は、現職を続けながら隙間時間を利用して行う場合があります。すでに時間の制約が大きい状況の中で資格の勉強までスケジュールに組み込むことになれば、仕事や転職活動に支障をきたす場合もあるでしょう。だからといって、資格を取るまでは転職活動をしないと決めてしまうと、転職のチャンスを逃すおそれもあります。
どうしても取得したい資格がある場合は、取得期限を決めて集中的に勉強するとよいでしょう。
資格なしで転職を成功させるポイント
資格なしで転職を成功させるには、無資格者でも採用している企業に応募することは必須です。資格がないにもかかわらず、有資格者限定の企業に応募しても、書類選考の段階で不採用となるでしょう。資格なしで転職を成功させるために、次の3つのポイントを押さえることが大切です。
能力や経験重視の業界・職種を選ぶ
資格よりも能力や経験重視の業界や職種を選ぶことで、無資格者でも転職に成功する可能性が高まります。例えば編集者やライター、デザイナーなどのクリエイティブ職、営業や販売員、プログラマー、コールセンターなどが挙げられます。
他のアピールポイントを磨く
有資格者が優遇される場合でも、より多くの知識の習得やスキルの向上を目指すことで、転職の成功率を上げることができます。資格を持っていないものの、その欠点を補うだけの知識やスキル、経験があると判断されると、採用の可能性が高まります。企業が求めるのは即戦力になる人材であることを理解したうえで、磨くべきアピールポイントを見極めましょう。
転職エージェントを活用する
転職エージェントを利用すると、知識やスキル、経験、資格、労働環境、社風、待遇などさまざまな条件を満たした企業を探してくれます。また、応募書類の作成から面接対策、年収交渉のテクニックまできめ細かなアドバイスを得られるため、転職の成功率が高まります。
資格なしの人が転職活動を始めるときの流れ
資格なしの人が転職活動を始める際は入念な準備が必要です。やみくもに転職活動をしても、自身の希望の条件を満たす企業への転職は実現できません。次の流れで転職活動を進めましょう。
1:キャリアの棚卸しをする
キャリアの棚卸しとは、これまでに積み重ねてきた経験や実績、スキルなどを整理することです。自身の経験やスキル、知識、実績などをすべて書き出して、自分に向いている企業や活躍できるであろう職場について分析しましょう。例えばMRは営業と医療の両方の知識を持つため、医療機関をサポートする企業への転職で有利になるでしょう。スキルや知識、経験をかけ合わせることで、自身が活躍できる企業の幅が広がります。
2:自身の能力や経験を活かせる業界・職種をピックアップ
キャリアの棚卸しによって把握できた、自身が活躍できるであろう業界や職種をピックアップします。さらに業界研究を行い、どの企業が自分に向いているのか、どのような待遇が平均的なのかなどを確認しましょう。多くの業界・職種を候補にすると志望動機にぶれが生じやすいため、なるべく絞ることが大切です。
3:必要に応じて転職エージェントに相談する
転職エージェントに相談すれば、キャリアの棚卸しのサポートから業界情報の提供、自身に向いているであろう企業のピックアップまで、トータル的なサポートを受けることができます。また、転職エージェントによっては、資格がない弱点をどのようにカバーするかの具体的な対策まで行ってくれる場合もあります。忙しい中で転職活動を行う場合、転職エージェントのサポートを受けることをおすすめします。
まとめ
資格なしで転職する場合は、自身の知識やスキル、経験、実績などを把握することが先決です。そのうえで、自身が活躍できる環境が整っていて、かつ希望の条件を満たしている企業を探すと、転職活動を効率的に進められるでしょう。中途採用では資格の有無よりも経験や実績、スキルなどが優先されるケースがあります。今回解説した無資格者の転職活動の進め方を参考に、自身にとって理想の転職を実現しましょう。