転職時に筆記試験を受ける場合があります。選考の内容は企業が決めるため、筆記試験が苦手だからといって断ることはできません。そのため、あらかじめ筆記試験の内容や対策方法について理解しておくことが大切です。この記事では、転職時に行われる筆記試験の種類や目的、対策などについて詳しく解説します。
転職の選考で行われる筆記試験の種類
転職時の選考で行われる筆記試験の種類は、企業によって異なります。企業で行われる筆記試験は、次のようなものが多く採用されています。
性格適性検査
性格適性検査は、人物像を評価するために行われる試験です。ストレス耐性、責任感、積極性などを測定し、性格特性を確認します。短文の設問に「はい」「いいえ」「どちらでもない」や「あてはまる」「あてはまらない」などの選択肢から回答を選びます。
SPI
SPI(適性検査)は、性格適性検査と能力適性検査を組み合わせた筆記試験です。この試験には、一般常識や基礎学力を測る能力適性検査と、性格や基礎能力を評価する性格適性検査の2つが含まれています。
能力適性検査には「非言語分野」と「言語分野」があります。非言語分野は、数学的な処理や論理思考力を測定し、言語分野では文章の論旨や言葉の意味の理解力を評価します。これにより、思考力、判断力、コミュニケーション力、応用力、新しい知識の吸収力など、実務の遂行に必要な基礎能力が測定できます。
クレペリン検査
クレペリン検査は、性格適性検査や心理テストの一種で、数値の計算を通じて処理能力や性格・行動の傾向を把握する検査です。1列に並べられた1桁の数字を左から順に足し算していきます。そして、合計した数の下1桁の数字を計算した数字の間に記載していきます。これを繰り返すことで、個人の処理能力や性格・行動の特徴を評価します。
例えば、「1、3、5、7、9」の場合は、1と3の間に「4(1+3)」、3と5の間に「8」、5と7の間に「2(12が答えのため)」、7と9の間に「6」を入れていきます。
玉手箱
玉手箱は、日本エス・エイチ・エル社が提供するWebテストで、能力テストと性格テストの2つで構成されています。能力テストでは、「言語」「計数」「英語」といった3つの分野から複数の問題が出題されます。問題の内容は幅広く、企業は業務内容や知りたい情報などに基づいて問題を選ぶことが可能です。
時事問題
時事問題は最新の社会情勢や出来事に関する知識を問われるテストです。その年の国家予算額やノーベル賞の受賞者、直木賞や芥川賞の受賞作品や受賞者など、最新の出来事やニュースに関連した問題が出題されます。
応募者の社会や世界の動向への関心度や、情報をキャッチアップする能力を評価するために実施されます。
専門知識に関する試験
専門知識に関する試験は、ITエンジニア、金融業界、研究開発職などの採用プロセスにおいて、職務遂行能力を評価するために実施される試験です。試験の内容は業界や職種によって異なりますが、専門知識やスキルを確認するための問題が出題されます。
例えば研究開発職の場合は、物理や化学に関する知識が問われるでしょう。ITエンジニアの場合は、プログラミングスキルやデータベースの知識、ネットワーク技術など、IT分野に関する専門知識が問われる傾向があります。
企業独自の試験
企業独自の試験は、特定の要素や能力を評価するために、企業が独自に作成した問題を説く試験です。例えば、「当社の〇〇について説明してください」「入社後はどのような業務を行うか知っていますか?」といった問題が出題されます。
転職の採用で筆記試験を行う目的
転職の採用は書類選考と面接のみで十分に応募者を評価できるものと考えている企業も多いでしょう。なぜ、転職の選考において筆記試験を行うのか、詳しく解説します。
基礎能力の把握
転職の採用プロセスで筆記試験を行う主な目的は、応募者の基礎能力を把握することです。この基礎能力には、一般常識や基礎学力、論理的思考力などが含まれます。
企業は筆記試験の結果から「社会人に必要な最低限の知識を持っているか」を確認します。特に、中途採用では即戦力が求められるため、基礎能力があることは前提条件となるでしょう。
性格・性質の確認
筆記試験は、応募者の性格や性質を確認するために行われます。面接だけでは把握できない応募者の性格や性質を詳しく知ることで、自社の業務に適しているかどうかの判断に役立てます。
ここでいう「業務に適しているかどうか」には、チームの一員として組織に適応し、共通の目標に向かって協力関係を構築できるかどうかという視点が含まれています。
採用者が多い場合のスクリーニング
応募者が多い企業は、選考プロセスを効率的に進めるためにスクリーニングとして筆記試験を行うことがあります。一定基準を満たした人物のみ次の選考プロセスへ進めるようにすることで、採用コストを削減するのです。
転職における筆記試験の重要度は?
転職における筆記試験はそれほど重要ではないと考えている人も多いのではないでしょうか。実際、どの程度の重要性があるのか詳しく見ていきましょう。
面接内容を重視している企業が多い
一般的には筆記試験よりも面接の方が重視される傾向にあります。ただし、筆記試験の結果があまりにも悪い場合、面接の結果が良好でも採用される可能性は低くなるでしょう。また、スクリーニングとして実施されている場合は、面接に進むために筆記試験で一定の結果を出す必要があります。
筆記試験の成績が悪くても合格する場合がある
筆記試験の成績が悪くても合格する場合があります。これは、応募する企業が何を重視しているのか、筆記試験がどのような位置づけなのかによって異なります。例えば、経歴やスキルを重視している場合、筆記試験の成績よりもそれらの要素が優先されるでしょう。
筆記試験の対策方法
筆記試験で良い結果を出すためには、試験の種類別に対策を立てる必要があります。筆記試験の種類別の対策方法について詳しく見ていきましょう。
能力検査
SPIや玉手箱などの能力検査は、問題集を購入して繰り返し問題を説くことで合格率が高まります。問題に慣れると回答スピードも速くなるでしょう。
性格検査
性格検査においては、正直な回答を心がけることが重要です。企業は嘘や矛盾を見抜くために、同じ意味の質問や関連する質問を繰り返すことがあります。応募者が一貫性のない回答をすると、企業はその回答の信頼性に疑問を抱くことになります。
一般常識
一般常識の試験では、高校までの基礎学力が問われます。ニュースを積極的にチェックして、最近の時事問題を把握しておくことが大切です。大体、1年ほど前までの出来事を中心に調べておくと良いでしょう。
専門性の高い試験
専門性の高い試験は論文形式が一般的です。企業や業界に関する研究を行い、基礎的な質問に答えられるようにしておきましょう。
また、企業・業界の情報を的確にまとめ、自分の考えも交えて書くためのトレーニングも必要です。制限時間内に、相手に自分の考えが伝わる、わかりやすい文章を書けるように練習しておくと良いでしょう。
まとめ
転職時の筆記試験は、社会人としての基礎知識がどれくらいあるのかを確認するために行われます。また、スクリーニングとして行われる場合は、一定以上の結果を出さなければ面接に進むことができません。今回、解説した筆記試験の種類と対策法を参考に、次の選考プロセスへ進めるように十分に準備しましょう。