企業との情報交換や交流に使えるSNS。転職活動中は気になる企業の情報を効率的に収集したり、自身の強みをアピールできたりと、何かと有効に活用できます。しかし使い方を間違えると、採用担当者に悪い印象を与える可能性もあるので注意が必要です。この記事では、転職活動でSNSを使用する際の注意点や、転職を有利に進めるSNSの使い方、転職におすすめのSNSについて解説します。
転職にSNSを活用するメリットとは?
X(旧Twitter)などのSNSを活用を導入している企業が増えており、転職活動にSNSは欠かせないものとなっています。情報収集ツールとしてだけでなく、SNS経由の求人も行われており、採用担当者との距離が近いのが特徴です。主なメリットは5つあげられます。
- 最新の企業・求人・採用の情報をスピード収集が可能
- 企業や採用担当者に対し、SNSで自分から積極的につながりを持てる
- SNS求人に直接応募ができるため、スケジュール管理しやすい
- カジュアル面接や勉強会、オンラインミーティングなどのイベントに参加できる
- アカウントの発信力や信頼が高まり、スキルや経験によっては企業側から逆オファーもある
SNSでのやりとりは手軽な反面、採用担当者によって細かくチェックされている可能性があります。どのような使用用途だとしても、コミュニケーションマナーなど注意が必要です。まずは注意点をチェックしましょう。
転職時に企業側からSNSをチェックされる恐れがある
転職活動中の情報収集に有効なSNSですが、まずは使用するリスクを把握する必要があります。特に気を付けるべきは、普段SNS上で何気なく行っているやりとりや発言などです。
企業側は求職者・選考候補者のSNSアカウントで問題発言がないかをチェックしている可能性があり、不用意に発言すると悪い印象を与えてしまいます。特にSNS経由で応募・面談・選考に進んだ場合は、この傾向が強くなるでしょう。
たとえ意図的に確認していなくても、SNS上での発言で炎上すれば採用担当者のもとに情報が伝わる可能性もあります。
そのため、転職活動中のSNS利用はいつも以上に慎重に行う必要があります。「企業や個人を名指しで批判しない」「仕事で知り得た情報を書き込まない」など、最低限のネットリテラシーを意識して行動してください。
企業側が求職者のSNSをチェックする理由
企業が求職者のSNSをチェックする主な理由は、以下のようなものが挙げられます。
- 求職者の性格や本質的部分を把握するため
- 採用後に起こりうるトラブルを防止するため
- SNS上の交流や情報発信のマナーをチェックするため
- 適切な情報リテラシーを持っているかを確認するため
採用担当者は面接で可能な限り求職者の素の部分を探ろうとしますが、短い面接時間ではどうしても限界があります。しかしSNS上では求職者の本心・本音が現れている可能性が高いため、求職者の人となりを見抜くためにチェックしています。
また、攻撃的な発言・ネガティブな言動・ネットリテラシーの低さなどを確認した場合、入社後にトラブルを起こす可能性が高いことも予想できます。面接時の発言と矛盾する言動などがあった場合も、リスク回避の観点から選考を取りやめる可能性があります。そのため、情報の正誤が不明なことや批判的な内容は投稿しないでおきましょう。
転職時にSNSを利用する際の注意点
上記で説明した通り、転職活動中は企業側がSNSをチェックしている可能性があります。SNSを利用する際は、企業や個人に対して批判的な発言をしないほか、多方面に影響を与える情報を書き込まないなどのマナーを守る必要があります。具体的な注意点を確認してみましょう。
仕事で知った情報を勝手に書き込まない
仕事で知り得た社内情報は、大抵の場合社外への情報発信が禁止されています。機密性の高い情報は炎上のリスクを高めるだけでなく、企業の採用担当者から情報漏洩の危険があると判断されやすくなります。仕事に関連する投稿を行う場合、特に注意して内容を確認することが大切です。
転職活動や仕事で知った情報を勝手に書き込まない
仕事で知り得た社内情報だけでなく、転職の面接や採用フローに関することは、大抵の場合社外への情報発信が禁止されています。機密性の高い情報は炎上のリスクを高めるだけでなく、企業の採用担当者から情報漏洩の危険があると判断されやすくなります。仕事や転職情報に関連する投稿を行う場合、大きなトラブルに発展する可能性があるので、投稿するかどうかの判断は慎重にしましょう。
攻撃的・ネガティブな内容を書き込まない
攻撃的であったり、ネガティブな内容の投稿を見て、好印象を抱く採用担当者はほとんどいません。特に悪意のある内容やプライバシーに関する
攻撃的またはネガティブな発言を自制することは、転職時だけでなくビジネスシーンにおける人間関係を良好にするためにも必要な気遣いです。
どうしても仕事のストレスを交流などで発散したい場合は、信頼する友人グループと話したり、転職活動に影響を及ぼさない非公開アカウントなどで発言するといった対策が有効です。
軽い気持ちで企業を批判しない
現在所属している企業への愚痴や上司への批判など、他人に対する批判的な内容も悪い印象を与えるため発信しないようにしましょう。不特定多数の人が見るSNSは、たとえ自身に悪意がなくても誤解を生む可能性があり、自身の評価を落としてしまうリスクもあります。SNS発信をする際には批判的な内容は避けましょう。
信憑性のない情報は信じ込まない・拡散しない
真偽が疑わしい情報について投稿や拡散をしていると、情報リテラシーの欠如を疑われます。SNSを使って発信する際には以下の点を心がけましょう。
- 受け取った情報をしっかり咀嚼する
- 発信する前に情報ソースを確認する
- 機密や企業・個人のブランドの失墜、誹謗中傷にあたらないかを確認する
- すぐに発信、反応する癖をやめる
正しい情報収集能力は仕事をするうえでも重要なスキルであるため、企業によっては厳しくチェックされます。全ての情報を鵜呑みにせずに、毎回情報の真偽を検証する習慣をつけましょう。
転職でSNSを有効活用するには?
使い方によってはリスクを伴うSNSですが、正しく運用すれば自分の強みをアピールできたり、気になる企業の情報をいち早く入手できたりと、転職に有利に活用できます。ここからは、転職シーンにおけるSNSの主な使い方をおさらいしてみましょう。
自分の強みを投稿でアピールする
自分の強みを押し出せる出来事を投稿すれば、企業側にスキルや経験を持ち合わせた人材であることをアピールできます。以下のような内容であれば、SNS発信の有用性が高いといえます。
- 自己PRにつながる実績をまとめて投稿する
- 前職でMVPを獲得した経験を写真付きで投稿する
- 自身で作成したWebサービスを公開する
機密や開示できる契約に触れない範囲で自身の成功経験や実績があれば、積極的に発信するメリットがあります。
また、具体的な実績やスキルをアピールしにくい方は、仕事への取り組みや前向きな気持ち、嬉しかったことなどを共有するのも有効です。意欲的な姿勢が目に留まれば、経験不足でも選考に進める可能性が高まります。
SNSアカウントの信頼性・権威性を高める
転職活動において、プライベートで使うSNSアカウントに信頼性や権威性がつくと、投稿内容に興味を持った採用担当者からDM(ダイレクトメール)がもらえる場合もあります。他にも以下のようなメリットが生じる可能性が考えられます。
- 商品やサービスに対し積極的な情報発信や意見をていねいに述べることで、信頼性と意欲をアピールできる
- インプレッションやコメント交流、フォロワーなどが多ければ、採用担当者からも評価されやすい(アカウントの発信力も手に入ると考える担当者もいる)
- その業界で有名なアカウントになれば、企業側から逆オファーやDMが来る可能性も
気になる企業をフォローしていち早く情報を掴む
近年ではSNSアカウントを持つ企業が増えています。採用情報は検索すればアクセスできますが、逐一確認している時間がない方も多いでしょう。気になる企業のSNSをフォローしておけば、自動的に興味がある情報のみを収集することができます。
企業のSNSアカウントといえば「Tiwtter」を想起する方が多いですが、最近では「Wantedly」「Instagram」といったSNSを活用する企業が増えているため、アカウントを作成してフォローしておくことを推奨します。プライベートな情報・発信を見られたくない場合は、仕事用のアカウントを作成するか、アカウントを非公開にすると良いでしょう。
気になる求人募集には積極的にコンタクトをとる
最近では企業の求人募集に転職サイトなどを通さず、SNSで求人募集をする場合があります。#ハッシュタグで職種やコミュニティを選ぶことで、求人情報を得られる可能性があるため、まめにチェックしてみましょう。SNSの求人募集には3つの特徴があります。
- 自分から応募しアピールする
- 企業の投稿にコメントする
- DM(ダイレクトメール)を送る
このように能動的にアクションを起こし、採用担当者と直接やりとりできるメリットがあります。
転職者におすすめのビジネスSNS
「X(旧Twitter)」「Facebook」といった身近なSNSだけでなく、「LinkedIn」や「Wantedly」といったビジネス特化型SNSも主流になっています。
使用するSNSによっては、自分が情報を発信・受信するだけでなく、企業側からスカウトメールを受け取ることも可能です。ここからは、転職に有効活用できるビジネスSNSを5つ紹介します。
「LinkedIn」は、約7.7億人の登録メンバーを誇る世界最大規模のビジネスSNSです。実名登録が特徴で、職歴やスキル、業務内容、アピールポイントなどを掲載してプロフィールを作れるので、デジタル履歴書や名刺としても活用できます。LinkedInでは第三者からの紹介文も掲載できるため、信憑性を担保しながら自身のスキルをアピールできるでしょう。
日本での登録は現在200万人程度と高くありませんが、外国企業の登録が多いため一定のチャンスがあります。スキルによってはプロフィールを見た採用担当者から連絡が来る可能性もあり、ビジネス上の繋がりをストックしやすいのも利点です。
Wantedly
「Wantedly」は、“はたらくを面白く”をモットーにしたビジネス特化型SNSです。登録は個人・企業共に簡単に行うことができ、300万人のプロフィール、37,000社の企業情報や求人募集に即座にアクセスできます。企業発の最新情報や採用ページ、コラム記事が豊富に揃っており、企業の雰囲気を事前に把握しやすい特徴があります。
職歴・学歴・実績・スキル・この先やってみたいことなど、さまざまな情報をプロフィールに掲載できます。ボタンひとつで企業側にコンタクトできる機能も充実しており、効率的に転職活動を進められるでしょう。
Facebookは世界最大のSNSです。ほかのSNSと比べてビジネスに特化した機能は少ないですが、日本人の利用率はかなり高いです。知り合った人に友達申請するだけで、自然に人脈を拡大できるメリットがあります。仕事上で知り合った人と友達になれば、思わぬビジネスチャンスに恵まれる可能性もあります。
個人間のやりとりだけでなく、企業公式ページでの情報発信や交流も盛んに行われています。アカウントは無料ですぐに作成できるため、登録しておいて損はないでしょう。
X(旧Twitter)
「X(旧Twitter)」はテキストでの発信に強みのあるSNSです。個人的なつぶやきやフォロー・フォロワー間での交流が盛んなSNSというイメージが強いですが、近年では多くの企業が公式アカウントを開設しています。興味がある企業のアカウントをフォローすることで、常に最新の情報を収集できるでしょう。
採用募集などの情報がX(旧Twitter)上に投稿されるケースも多く、募集要件によっては企業側とコンタクトをとることも可能です。DM(ダイレクトメール)や投稿のお気に入り機能など、情報収集・交流に適した機能もあり、気軽に活用しやすい点も魅力です。また、企業側から候補者を探してスカウトすることもあります。企業にとってはスキルや経験を持っている人材を探しやすく、直接アプローチしやすいためです。そのため、#ハッシュタグを適切に使って発信することで、自身のスキルなどをアピールするのも良いでしょう。
「Instagram」は、写真・画像・動画での発信に強みのあるSNSです。X(旧Twitter)などのSNSと比べてビジネス色は薄いですが、動画や写真コンテンツで企業の魅力をアピールしやすいため、参入している企業が多くいます。求職者側の視点でも情報発信しやすいSNSであり、文字だけでは伝わりにくい人となりや魅力をアピールしたい場合は、Instagramが有効です。
また、SNSのフォロワー数が多い場合、IT・マーケティング業界の会社から評価されやすくなる傾向もあります。転職希望の業界・職種によっては、Instagramを有効に活用できるでしょう。
SNSと転職エージェントを併用するメリット
SNSの活用は企業との接点を持つ方法として利用するとともに、企業の内情に詳しい転職エージェントも併用すると、求人に関する情報を網羅できるメリットがあります。SNSを積極的に使った採用活動を行う企業はIT系に強い企業に多く、転職市場全体で見るとまだ少ないのが現状です。そのため、SNSだけでの転職活動では情報不足になる可能性があります。またSNSで採用担当者からメッセージを待つ間も、転職エージェントで自身にあった転職先を紹介してもらえるため、同時に活用すると転職活動の行動量がアップするでしょう。
まとめ
今回は転職シーンでSNSを有効活用する方法や注意点について解説しました。企業や個人に対するネガティブな情報を書き込まないなどのマナーを守れば、SNSが転職にマイナスに働くことは少ないです。情報収集や企業との交流においては、有効に活用できる場合のほうが多いので、気になる情報はSNSで積極的に取りに行きましょう。