有効求人倍率とは?計算方法や参考にする際の注意点を解説

2024年3月31日

2024年3月2日

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Izul広報チーム

Izul広報チーム

転職活動を行う際に、有効求人倍率という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。これは、厚生労働省がハローワークに出している求人と求職者の数をもとに算出した指標です。本記事では、有効求人倍率の意味や計算方法、調べ方、参考にする際の注意点などについて詳しく解説します。

有効求人倍率とは

有効求人倍率は、求職者1人あたりの求人数を示す数値です。厚生労働省がハローワークに出ている有効求人数と有効求職者数をもとに算出します。景気や採用の活発性などに応じて変化するため、転職のタイミングを見極める際の参考になります。

有効求人倍率が1.0倍の場合は、求職者1人あたり1件の求人があります。0.5倍の場合は、求職者2人あたり1件の求人となり、これを求職者が余った状態を意味する「買い手市場」といいます。有効求人倍率2.0倍は求職者1人あたり2件の求人がある状態のことで、「売り手市場」となります。

それでは、有効求人倍率と一緒に季節調整値と2023年時点の有効求人倍率について詳しく見ていきましょう。

季節調整値との違い

季節調整値とは、企業における人事異動の傾向や業界の繁忙期・閑散期など、一時的に影響を受ける要素を差し引いて計算した数値のことです。有効求人倍率のほか、完全失業率においても季節調整値を用います。なお、季節調整値を用いずに単純に有効求人倍率と有効求職者数だけで算出する数値を「原数値」といいます。

2023年時点の有効求人倍率

厚生労働省によると、令和5年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.32倍で、前月を0.02ポイント下回りました。求職者数1人あたり1.32件の求人があることになります。これを正社員の有効求人倍率(季節調整値)に絞って見ると1.02倍のため、売り手市場とも買い手市場とも言えない状況です。

新規求職者に対する新規求人数の割合である「新規求人倍率(季節調整値)」は2.29倍と、新規求職者の2倍以上の新規求人が出ていることがわかります。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」

有効求人倍率からわかること

有効求人倍率からは、景気や雇用の活発性などがわかります。景気がよいときは好待遇で求人を出す傾向があるため、転職のタイミングに適しているでしょう。反対に、景気が悪いときは待遇が悪いばかりか求人数も減る傾向があるため、自身の理想の条件を満たす転職先を見つけることが難しいと考えられます。

それでは、有効求人倍率からわかることについて詳しく見ていきましょう。

景気が良いかどうか

雇用数は、景気が良いときは増加し、景気が悪いときは減少する傾向にあるため、失業者数が増えることで完全失業率が上昇し、求人数が減るために有効求人倍率が低下します。このように、有効求人倍率はそのときの景気を判断する目安になります。

ただし、景気が良い・悪いは日本全体を通した状況を指す言葉です。例えば、順調に利益を増やしている企業もあれば、利益が右肩下がりの企業もあります。そのときの景気だけで転職のタイミングを判断しないことが大切です。

雇用が活発に行われているか

有効求人倍率からは現在の景気がわかると同時に、雇用が活発に行われているかがわかります。雇用が活発に行われていればいるほど、自身の理想の条件を満たす転職先が見つかりやすくなります。なお、雇用が活発に行われるかどうかは景気だけではなく、時期によっても異なります。例えば、1~3月は年末や3月末に退社する人が多いことから、求人数が増加する時期です。

また、8~10月も後期の経営目標の達成に向けて雇用を増やす企業もあり、求人が多いとされています。一方で、年末年始やお盆休みなどの大型連休の時期は企業の動きが遅くなることから、求人が一時的に減少する傾向があります。

有効求人倍率が低くても、翌月には上昇する可能性があることを覚えておきましょう。

有効求人倍率の計算方法

有効求人倍率の計算方法は以下の通りです。

有効求人件数÷有効求職者数

例えば、有効求人数が10,000件で有効求職者数が5,000人の場合は、以下のように算出します。

10,000件÷5,000人=2.0倍

この場合、求職者の2倍の求人数があるため、売り手市場の状態です。

有効求人倍率が高いとどうなる?

有効求人倍率が高いと、求職者にとっては転職先候補が増え、より多くの求人の中から理想的な企業を探すことができます。これは、企業にとっては採用の難易度が上がることを指します。多くの求人があればそれだけ選考を行う数が増えるうえに、企業に適した人物を見極めることも難しくなります。結果として採用者を慎重に選ぶケースが多くなるため、有効求人倍率が高いからといって転職が容易になるとは限らないのです。

有効求人倍率が低いとどうなる?

有効求人倍率が低い状況では、求人数に対して求職者が多いため、求職者にとっては競争率が上昇します。それだけ転職が難しくなると言えるでしょう。ただし、業種によって有効求人倍率には差があるため、全業種を通して転職が難しくなるわけではありません。

有効求人倍率が高い職業

厚生労働省のデータによれば、有効求人倍率が高い業種は以下の3業種です。

1位:建設・採掘の職業  5.16倍

2位:サービスの職業  2.98倍

3位:輸送・機械運転の職業  2.15倍

建設業界は慢性的な人材不足といわれているように、有効求人倍率は高値で推移しています。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況[実数](含パート)」

有効求人倍率が低い職業

続いて、有効求人倍率が低い職業を1~3位まで紹介します。

1位:事務的職業 0.51倍

2位:運搬・清掃・包装等の職業 0.82倍

3位:管理的職業 1.23倍

事務職は大企業ではない限り多く配置する必要がないため、それだけ有効求人倍率が低いと考えられます。管理職も同様に、チームや課、部署をまとめる存在のため、役職を持たない人物よりも求人数が少なくなる傾向があります。

有効求人倍率を見るときの注意点

有効求人倍率は、その数値から転職のタイミングを決定づけることはできません。判断材料として正しく活用するために、次の注意点を押さえておきましょう。

対象はハローワークでの求人のみ

有効求人倍率の計算のもとになる有効求職者数と有効求人数は、ハローワークにおける数値です。一般の転職サイトに掲載されている求人数やサイトへの登録者数などは含まれていません。しかしながら、ハローワークへの求人掲載料は無料であることから多くの企業が掲載していると考えられるため、実情に近い数値と言えるでしょう。

非正規雇用の求人も含まれる

有効求人倍率の計算のもとになる有効求職者数と有効求人数には、正社員だけではなく非正規社員も含まれています。そのため、正社員限定で求人を探している人にとっては、有効求人倍率は正しい数値ではないと言えます。

非正規雇用の求人数は一時的に増加し、有効求人倍率に大きな影響を与える場合もあります。

まとめ

有効求人倍率からは、景気や雇用の活発性などがわかるものの、非正規雇用の求人数も計算に含まれるうえにハローワークにおける数値が対象です。そのため、有効求人倍率はあくまでも目安と考え、自身にとって最適な転職のタイミングを見極める必要があります。今回、解説した有効求人倍率の計算方法や注意点などを転職活動にぜひ役立ててください。

監修者・水口 香央里

水口 香央里

WEBマーケ ベンチャー⇒LINE株式会社⇒株式会社ユーザベース⇒株式会社Izul
新卒でWEBマーケ ベンチャー企業へ入社。入社後4ヶ月の最短記録でサブマネージャーへ昇格、新人賞を受賞。 退社後はWEB制作・運用業にてフリーで活動。 その後、LINE株式会社へ転職。LINE@サービスの九州拠点立ち上げの第一メンバーとして福岡に拠点を移し、アカウントエグゼクティブとしてLINE法人サービス全般に従事。 2021年にizulの支援を受けてUZABASE、スタートアップ情報プラットフォームINITIAL事業に参画。投資家・大手事業会社向けに導入提案を担当。 ベンチャー・スタートアップの採用支援をより強化すべく、株式会社Izulへ。

著者プロフィール

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株式会社Izulの広報チームが運用。20代〜30代の若手ハイクラス層から、圧倒的支持を獲得中。働き方や転職のコツなど、キャリアに役立つ情報を発信していきます。

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