転職時に必要な職務経歴書。中でも「自己PR」の欄はあなたの持つスキルや経験、人柄や適性などを企業に売り込める重要な項目です。しかし「アピールできる強みがない」「思いつくがどう書けばよいか分からない」など、書き方に悩む方も多いかもしれません。この記事では職務経歴書の自己PR欄に関して、書くことを思いつかない原因や対策法を解説します。改めて書き方を理解し、企業にあなた自身をしっかり売り込んで転職を成功させましょう。
職務経歴書への自己PRの書き方をおさらい
まずは職務経歴書への自己PRの書き方をおさらいしましょう。以下の2つに分けて解説します。
・基本的な書き方 ・自己PRを書く際のポイント |
これらを押さえたうえで、思いつかない・書けないという事態がどうして起きるのか、考えていきましょう。
基本的な書き方
自己PR欄は、応募する企業に対して自分がどのように貢献できるかを踏まえてアピールする欄です。基本的な流れとして、「結論」「裏付けの根拠(エピソード)」「入社後にどのように貢献するか」の順で書きましょう。
まず、「前職でどんな業務を担当していたか」「アピールしたい内容」を考えてみましょう。次にアピールしたい内容を肉付けするため、具体的な成果や実績を記載しましょう。売上額や契約件数、割合や順位など、数字を明確にできるとより効果的です。最後にそのアピールポイントが入社後にどう活かせるのか、企業側のメリットを明記します。
実績やスキルがはっきりしていればそのまま業務への貢献が期待できますし、例えばアピールポイントが「行動力があること」である場合は、「前職で培った経験・スキルを活かして新規開拓に注力したい」など、関連する業務や職種と絡めて企業に貢献できることをアピールしましょう。
自己PRを書く際のポイント
書く順序が分かったところで、次は意識するポイントも押さえていきましょう。ここでは4つのステップで解説します。
・前職での経験、実績を棚卸し ・応募する企業、職種で求められる能力をもとに厳選 ・厳選した実績や経験をスキルに変換 ・読みやすく簡潔な文章でまとめる |
前職での経験・実績を棚卸し
はじめに過去の自身の経歴や実績を、可能な限り棚卸ししましょう。営業職であれば新規顧客の獲得件数、販売職なら月や年単位の売上金額、企画職であれば新規プロジェクトの立案など、業種によって挙げられる実績はさまざまです。この時数字として明記できるものは数字で表現するのがポイントです。客観的なデータとして分かりやすくなります。
応募する企業・職種で求められる能力をもとに厳選
志望する業界や企業研究は欠かせません。研究した結果、どんな人材が求められる傾向にあるのかが見えてくるため、棚卸しした経験や実績の中から、志望企業へのアピールに使えそうなものだけを厳選しましょう。例えば売上前年比150%という実績を、事務やシステム開発などの職種でアピールしても効果は期待できません。志望企業に活かせそうな関連するものだけを厳選します。
厳選した実績や経験をスキルに変換
次に、厳選した実績をスキルや能力に言い換えましょう。自己PRを書く際のキーワードができ、有効な見出しとなります。前述した売上前年比150%を言い換えると、例えば「行動力がある」や「積極性がある」などが挙げられます。
読みやすく簡潔な文章でまとめる
最後のポイントは文章の基本ですが、パッと見て読みやすく簡潔な文章でまとめることです。文字の大きさが小さくて読みづらい、改行が少ないなど、読みにくいビジュアルにならないように気を付けましょう。目安として文字数は多くても400字以内、行数でいえば10行以内が適当です。
職務経歴書の自己PRが思いつかない主なケース
ここでは自己PRが思いつかない主なケースとして、以下の3つを解説します。
・勤務期間が短い ・ルーティンワークばかり ・所属していた企業の業績が良くない |
それぞれ解決策も提案しているので参考にしてください。
勤務期間が短い
「第二新卒」と呼ばれる人たちによくあるケースで、社会人経験が1年少々しかないうえ、経験した業務も専門的なことがなく、書けることがないというケースです。短い勤務期間の中でも、担当してきた業務で自分なりに工夫していたことがあれば、それを書くことで「主体的に動ける人」「課題を見つけて解決する力がある人」と捉えてもらえます。例えば販売業で簡単な接客・レジしか経験がない場合、「レジ効率の向上のためにレジ周りの配置を変更して客数増加に貢献した」などの記入は可能です。
ルーティンワークばかり
社会人経験自体はそれなりの期間あっても、職種や担当業務によって毎日ルーティンワークばかりの場合、書けるほどの内容がないと感じる方は多いかもしれません。またルーティンワークだと、実績や経験を洗い出す際に数字で表現できるものがないというのも悩んでしまうポイントです。
しかしルーティンワークは企業にとって非常に重要な業務であり、毎日必ず同じだけのことをこなせるというのは十分評価に値します。さらにルーティンワークに関しても、前述の「期間が短い」と同様、自分なりに工夫しているポイントを書き出すことは可能です。
例えば「ルーティンワークに支障をきたすようなイレギュラーが発生しそうな場合に、交渉して納期を調整してもらった」などは、個人の裁量の中でうまく対応したとして評価の対象となるでしょう。
所属していた企業の業績が良くない
書けるだけの実績がないほど、所属していた企業の業績が良くないケースもあります。業界全体が落ち込み仕方ない場合もありますが、それらの背景も踏まえて正直に数値を記載しつつ、苦しい中でも売り上げ回復のために試行錯誤したという経歴は記載が可能です。「新規顧客を増やせない分、既存の顧客を大切にした結果満足度が上がった」など、客観的な評価ができるエピソードは惜しみなく出しましょう。
職務経歴書の自己PRが思いつかないのはなぜ?
自己PRが思いつかないケースをご紹介しましたが、そもそもなぜ思いつかないのでしょう。主な原因として、以下の3つが挙げられます。
・自分に自信がない ・自己分析できていない ・企業の求めることを理解していない |
自分に自信がない
自分に自信がない人は、「私にアピールできるものなんて何もない」と思ってしまうため、なかなか自己PRを思いつけません。よくいえば謙虚ですが、就職や転職においては自分を企業に売り込んでいかなければならないため、非常にもったいない性格です。
どんなに自信がない人でも長所は必ず存在します。他人と比べて自分を卑下することで自信をなくしてしまいがちですが、自分の中でのこだわりや、個人的に続けている習慣などを思い出してみましょう。それは立派なアピールポイントになります。他人との比較をやめて、自分自身に目を向けましょう。
自己分析できていない
自己分析がうまくできていないと、思いつくアピールポイントは少なくなってしまいます。自己PRの書き方でも述べたように、書くにあたって、まずは思いつく限り自身の経験や実績、性格や適性を挙げてみるのが第一歩になります。とにかく手当たり次第に挙げていくことが大切で、次第に自分がどのような人物なのか、客観的に分かるようになります。
企業の求めることを理解していない
企業が応募者に何を求めているか、どんな人材を採用するのかを理解していないと、それに沿った自己PRが分からないため思いつかないというケースもあります。企業は自己PR欄を見て、「自社にどんな貢献ができそうか」「目標達成に向けて粘り強く取り組める人物か」「どれだけ自分自身を正確に理解しているか」などをイメージしています。企業の意図にそぐわない回答は、いい印象を与えません。的を射た回答を分かりやすく簡潔に書くことが大切です。
自己PRの見つけ方
どうしても自己PRが見つけられない人はどうすればいいでしょうか。見つけ方のコツとして以下の4点を解説します。
・各種診断法、ツールを使用してみる ・自身の強みをキーワードから抽出する ・短所から先に考えてみる ・周囲の人に長所、短所を聞いてみる |
強みが一つもない人は存在しません。以下を参考にして、自分の強みを再認識してください。
各種診断法・ツールを使用してみる
各就職支援サイトには、自己分析に有効な自己診断ツールというものがあります。質問に答えていくだけであなたの性格や適性が明らかになるものです。自分では思ってもみなかった性格や、適性の職種などが客観的に分かるため、ぜひ参考にしてください。
自身の強みをキーワードから抽出する
自分のアピールポイントを、頭の中で一から思いつくというのは困難です。そのため目に見えるリストを使って、その中に記載されているさまざまなキーワードから「自分っぽいかな」と思えるものを抜き出していくという方法もあります。以下がリストの一例です。
あなた自身に関する力 | 他人と関わる力 | 問題に対する力 |
・継続力 ・実行力 ・集中力 ・ストレス耐性 ・主体性 ・チャレンジ精神 ・前向き志向 ・感情をコントロールする力 ・精神力、使命感 ・責任感 ・達成意欲 ・情熱 ・好奇心 ・柔軟性 | ・親しみやすさ ・素直さ ・真面目さ ・約束を守る ・協調性 ・指導、育成力 ・巻き込み力 ・傾聴力 ・プレゼン力 ・理解力 ・交渉力 | ・論理的思考力 ・課題発見力 ・企画力 ・想像力 ・提案力 ・分析力 ・視野の広さ ・正確性 ・スピード ・PCスキル ・文章作成力 ・計算能力 |
あくまで一例ですが、キーワードがたくさんあればそれだけ見つけやすくなるはずです。
短所から先に考えてみる
逆転の発想で、まずは短所から考えてみるのも効果的です。人は長所よりも短所の方が見つけやすい傾向にあります。短所と長所は表裏一体で、言い換えてあげることで短所だと思っていたことも立派な長所に変換が可能です。いくつか例を挙げてみます。
短所 | 長所 |
・周囲に流されやすい ・飽きっぽい ・自分の意見を言えない ・上に立つのが苦手 | ・柔軟性がある ・好奇心が強い ・傾聴力がある ・協調性がある |
他にも色々な短所が長所に変換可能です。日頃から意識していると、とっさの会話でもポジティブな言葉が出てくるようになり、コミュニケーションが楽しくなります。
周囲の人に長所・短所を聞いてみる
自分で思いつかないのなら、周りの人に助けてもらうのが一番です。自分の思う強みも周りから見れば違う場合があったり、反対に自分ではできていないと思うことも、周りから見るとできている場合があったり、意外な事実が分かるかもしれません。性格や人柄は友人などから聞けますが、仕事上での強みや弱みを知りたければ同僚や上司に聞いてみましょう。
まとめ
この記事では職務経歴書における自己PR欄の書き方をおさらいし、思いつかないときの原因と対処法を解説しました。確かに、自分で自分のアピールポイントを探すというのは恥ずかしさや謙虚さが邪魔をして思うように見つからないかもしれません。
しかし数多くの応募者の中から採用を勝ち取るには、ライバルに差をつける自己PRが必要不可欠です。丁寧な自己分析が大切なため、時間をかけてゆっくりと、思いつく限り書き出していってください。短所だと思っていることも実は長所です。言い換える癖をつけてアピールポイントを増やしていきましょう。