退職する際、上司や同僚に転職先を聞かれて困った経験がある方は多いのではないでしょうか。転職先を伏せるのは気まずさが生じるものの、正直に伝えるとトラブルに発展するおそれがあるため注意が必要です。この記事では、退職時に転職先を聞かれたときの対処法や注意点について解説しています。転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
退職時に上司や同僚へ転職先を伝えるべき?
退職にあたって、上司や同僚に転職先を報告する義務はありません。もし聞かれた場合は大まかな業種・職種だけ伝え、具体的な会社名は踏めるのが一般的です。ただし、転職先を答えない場合でも、相手に不快感を与えないよう言い方や表現に配慮する必要があります。具体的な伝え方については、このあとの項目で紹介します。
転職先を報告するメリット
上司や同僚に転職先を報告することで、メリットが生じる場合もあります。たとえば転職先に関する人材を紹介してもらえたり、現職の会社が新たな見込み顧客になったりするケースです。ただし、基本的にはリスクのほうが大きいため、お世話になった人や信頼できる人に限定して伝えることが大切です。
転職先を報告することで起こり得るトラブルとは?
上司や同僚に転職先を報告することで、さまざまなトラブルが生じるおそれがあります。ここでは、代表的なトラブルを4つ紹介します。
退職交渉が長期化する
退職する従業員が優秀な場合や人手不足が続く職場の場合、転職先を報告することで強い引き止めに合う場合があります。たとえば転職先のネガティブな情報を吹き込まれたり、より良い条件を提示されたりするケースが考えられます。退職交渉が長引くと転職先に影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。
転職先に迷惑がかかる
転職先が現職と競合にあたる場合、具体的な会社名を伝えてしまうと先方に迷惑をかけるおそれがあります。万一「我が社の従業員を引き抜いた」とクレームを入れられたり、反対に「あの社員はミスが多いから気をつけて」と自分のネガティブな情報を吹き込まれたりすると、転職後に勤務しづらくなってしまいます。また、現職の会社と転職先の会社で大きなトラブルに発展した事例も存在するため、慎重な判断が求められます。
上司や同僚との関係が悪くなる
転職先が現職の競合他社にあたる場合、情報漏洩や持ち出しを警戒されて社内で居心地の悪い思いをする可能性があります。また、現職よりも給与や知名度が高い会社への転職が知れると、上司や同僚から僻みを受けることも考えられます。社内に転職先を報告することで、人間関係が悪化するリスクを考慮しておきましょう。
就業規則違反に該当する恐れがある
現職の競合にあたる会社への転職では、就業規則との兼ね合いにも注意が必要です。会社によっては就業規則で「退職後○年間は競合関係にある同業他社へ就職し、会社と競合する事業または営業行為をしてはならない」といった内容を定めていることが多く、競合会社への転職が伝わると「就業規則に違反した」と捉えられてトラブルに発生するおそれがあります。転職自体に悪影響が生じることも考えられるため、無闇に転職先を話さないことが大切です。
転職先を聞かれたときの対処法
ここでは、転職先を聞かれたときの対処法を解説します。以下の内容を参考に、円満退職につながるような対応を心がけましょう。
全員に同じ説明を行う
転職先について上司や部下に説明を行う際は、全員に対して同じ内容を伝えることが大切です。たとえば「特定の人には具体的な会社名を説明しているのに、ほかの人には大まかな業界しか伝えない」といったように対応に差をつけてしまうと、社内の雰囲気が悪化するリスクがあります。また、社内で中途半端に情報を流した結果、噂話の対象になることも考えられます。
業界・業種のみ伝える
転職先について聞かれた際は、具体的な会社名は答えずに業界や職種のみを簡潔に伝えるのがおすすめです。たとえば「資格を活かして不動産業界に転職します」「Web関連のベンチャー企業で営業を担当します」といった回答です。ただし、さらに踏み込んで追及される可能性があるため注意してください。
キャリアの方向性のみ伝える
転職先について、自分の目指しているキャリアを軸に回答する方法もあります。たとえば「マーケティングスキルを極めたいので広告関連の会社に行きます」「ハードだけでなくソフトの開発スキルを身につけるために転職します」といった回答です。現職と異なる業界・分野に転職する場合におすすめです。
選考中であることを伝える
まだ内定をもらっていない場合は、そのまま選考中の旨を伝えるのもおすすめです。たとえば「複数社に応募しているのですが、まだ選考の段階です」「〇〇業界を中心に検討していますが、まだ確定していません」といった回答です。ただし、すでに転職先が決まっているのに嘘をつくのは避けたほうがよいでしょう。
転職先から口止めされていることを伝える
上司や同僚から転職先についてしつこく追及された場合は、転職先から口止めされていることを伝える方法もあります。たとえば「転職先から会社名を口外しないように言われている」と答えれば、相手にも納得してもらいやすくなるでしょう。信頼できる関係性なら「正式に決まったら報告します」と答えるのもおすすめです。
転職先が決まった場合の注意点
社内でのトラブルを避けるためには、退職までの立ち振る舞いが重要です。ここでは、転職先が決まった場合の注意点を4つ紹介します。
SNSでの安易な投稿は控える
現職の在籍中は、SNSでの転職に関する投稿は控えたほうがよいでしょう。鍵付きの非公開アカウントでも、フォロワーが画面をスクリーンショットすることで投稿内容が拡散される場合があります。自分の知らないところで情報が出回ってトラブルに発展するおそれがあるため、SNSの扱いには十分注意してください。
転職先の話題は自分から出さない
上司や同僚などから聞かれない限り、転職先に関する話題は自分から出さないことが大切です。有名企業に転職できた場合など、たとえ周りに自慢したくなってもわざわざ口に出すとトラブルの原因につながります。転職先について質問があったときのみ、必要最低限の情報を答えるように努めましょう。
角が立たない回答を心がける
転職先について周りに報告したくない場合でも、上司や同僚から聞かれた際はできるだけ角が立たない回答を心がけましょう。たとえば「転職先については答えたくありません」「あなたに報告する義務はありません」といった伝え方をしてしまうと、現職での人間関係に悪影響を及ぼすおそれがあります。ここまでご紹介した内容を参考に、周りへの伝え方を工夫することが大切です。
現職への不満は口に出さない
転職が決まっている状態でも、現職への不満は口に出さないようにしてください。とくに送別会などのお酒の席では気が緩みやすいため、つい愚痴や文句などをこぼしてしまうことがあります。現職への不満が退職理由であっても、最終出勤日までは前向きな姿勢を見せることを心がけましょう。
まとめ
この記事では、上司や同僚から転職先について聞かれた場合の対処法や注意点について解説しました。転職先の会社について現職に具体的な報告を行う義務はないものの、周りから根掘り根掘り追求されることがあります。転職先について回答する際は、角が立たないように気をつけながら当たり触りのない伝え方を意識するとよいでしょう。また、転職先を探す際は転職エージェントを利用するのがおすすめです。Izulの転職エージェントでは、徹底的にヒアリングしたうえで、求職者のキャリア形成を重視した伴走型のサポートを実施しています。まずは相談からでもお気軽にご利用ください。