原料・加工品・サービスなど、あらゆる商材を取り扱い、売り手と買い手を結びつける仲介の役割を果たすのが商社です。人と人をつなぐ役割を担えるやりがいがある商社へ、思い切って転職したい人もいるでしょう。
商社へ転職する際は業界としての特徴や仕事内容を把握したうえで、採用担当者の心に残る志望動機を考える必要があります。今回は商社向けの志望動機をどう書くか、書き方のポイントや例文を交えて紹介します。新たなキャリア形成の場として商社を検討している人は、ぜひ本記事の内容を転職活動にお役立てください。
商社業界の特徴
あらゆる商材を用いて売り手と買い手を結びつけるのが、商社業界の仕事です。商材を売り出すために、物流ネットワークや販売チャネルを考案するのも商社の役割です。
商社には多種多様なサービスを取り扱う「総合商社」と、特定の分野に特化して事業を展開する「専門商社」があります。
総合商社とは、取り扱っているサービスが多岐に渡る商社のことです。商社について調べていると耳にすることの多い「五大商社」も、総合商社に分類されます。いわば「何でもやる商社」と覚えておくと良いでしょう。五大商社についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
「五大商社に転職したい!目指す際の対策や適性を各社の特徴とあわせて解説」
対して専門商社とは特定の分野における事業投資やトレードを行う商社のことです。総合商社と比べて関わる領域の範囲は狭まるものの、より専門的な知見を持って活躍できる商社といえます。
商社への転職を検討する際はそれぞれの特性を理解したうえで、自身にマッチする商社の種類を選ぶことが大切です。
【職種別】商社業界の仕事内容
商社業界には、主に以下の3つの職種があります。
- 営業
- 企画
- 事務
志望動機を書くうえでは、職種別の仕事内容を覚えておくことも大切です。ここで紹介する各職種の特徴を把握し、自身の理想とするキャリアなどと擦り合わせてから志望動機を考えてください。
営業
他業種の営業職と同様、クライアント企業に商材を売り込む仕事です。また事業や企画を作ることも求められます。自身が獲得した人脈や情報網を活用し、複数の企業間における事業をつなぎ合わせるのも商社の営業職が行う仕事です。
企画
企業として今後実施していくべき事業を企画する仕事です。もしくは投資する企業を設定したうえで事業計画を立てることもあります。また、クライアント企業の経営方針立案に関わることもあるため、他社の支援にまつわる企画も担当する仕事といえます。
事務
営業担当のサポート職として活動するのが、商社における事務職です。電話応対や書類整理など、営業担当が円滑に仕事できる環境を構築します。また原料や製品の輸出入に関わる、通関に必要な手続きを担当する場合もあります。
商社への志望動機を書くうえでのポイント
ここまで触れてきた商社の基本情報に触れたうえで、志望動機を考えてください。また以下に挙げる3つのポイントを意識することで、採用担当者に響く志望動機を作成できます。
- 商社業界に求められている課題を把握しておく
- 求められているスキルと自身の特徴を照らし合わせる
- 商社を希望する理由やキャリアステップを明確にしておく
商社向けの志望動機を書く際は、業界・企業として求められていることをしっかり把握しておくことが大切です。また自分自身を客観視したうえで、後悔のない転職実現に向けた志望動機を意識する必要があります。
商社業界に求められている課題を把握しておく
商社業界には、資源価格の高騰という重大な課題があります。資源分野は、価格の急落・需要減・事業トラブルが原因のリスクをはらんでいます。よりリスクを抑えつつ安定した収益を得るため、資源分野に頼らない「非資源分野」の拡大が現状の課題です。ウクライナ戦争といった資源価格が大きく変化する出来事が起こることもあるため、ロシア・ウクライナに関わる商社は、特にこの課題が注目されているといえます。
企業としての利益を上げるため、事業ポートフォリオの見直しを課題としている商社もあります。非資源分野の拡大も含め、既存事業の再考を課題とする企業が多いことを事前に把握しておきましょう。
テクノロジーの急速な進化を受け、ITを取り入れた事業推進に切り替えようとする商社もあります。IT技術を用いた発展・再構築を意識し、改革のフェーズにいる商社が多いことも理解しておきましょう。
このように商社業界はさまざまな課題を抱えています。商社に向けた志望動機を考える際は、課題に対するアプローチや自身の考えをしっかりまとめておくことが大切です。
求められているスキルと自身の特徴を照らし合わせる
商社業界が求めるスキルに、自身の特徴がマッチしているか客観的に分析することが大切です。主に求められるスキルには、以下の3つが挙げられます。
- コミュニケーション能力
- 好奇心
- チャレンジ精神
商社は自社だけでなく、他社の課題を解決することも求められます。そのためクライアント企業と関わるためのコミュニケーション能力が必要不可欠です。また課題解決に対する好奇心や、実現の難しい施策でも挑戦したい、と考えられるチャレンジ精神も重要です。商社への志望動機を考える前に、まず自身が商社で働く適性があるか考えてみましょう。
商社を希望する理由やキャリアステップを明確にしておく
なぜ商社を希望するのか、なぜ「その商社」なのかを明確にしておかないと、テンプレートのような志望動機しか作成できません。就業後に自分がどのような成果を上げられるか、どのような形で貢献できるのかもアピールしましょう。
また商社での勤務を通じ、自分がどのようなキャリアを積んでいきたいのか明確にしておくことも大切です。特定の分野での仕事を極めたいのか、汎用性の高いスキルを持ってキャリアを積んでいきたいのか、自分の商社におけるキャリアプランを明確にしないと説得力のある志望動機は作成できません。
商社業界の志望動機を例文で紹介
ここからは商社業界に向けた志望動機の例文を、OK例とNG例に分けて紹介します。ここで紹介する例文を参考に、自身のスキルや志望先の特性に合わせた文章を作成してください。
OK例
商社向けの志望動機を作成する際は、以下に挙げるフレーズを参考にしてください。
個人間や企業間をつなぎ合わせる役割を通じ、経済を活性化させたい不況による追い風を、貴社の業務を通じて解決していきたい貴社での業務を通じ、地域活性化に貢献したい貴社で数多くのクライアントと関わり、さまざまな課題解決を通じたスキルアップを望んでいる過去のアルバイト経験から、人と人がつながることにやりがいを感じた顧客との関わりを大切に、自社にも貢献できる働き方を実現したい |
なぜ商社に勤務したいのか、業界としての課題や傾向を把握した内容を書くことが大切です。
NG例
以下に挙げるフレーズは、商社向けの志望動機として適さないでしょう。
商社で働きたいと考えたトップクラスの業績を誇る貴社に身を置きたい自身が活躍できると考えている自身の理想とする収入を得られると感じた体力には自信があります |
漠然としすぎている内容や、自分のことを優先した内容は志望動機として書くべきではありません。
まとめ
今回は商社への転職に活用できる志望動機の書き方について、解説しました。商社向けの志望動機を考える際は、書き方のポイントや例文を自身の知識として落とし込んでおくことが大切です。また、業界としての特徴や職種を把握しておくことも求められます。本記事を商社への今後の転職活動にお役立てください。