ITシステムを円滑に、かつ安全に運営するためにはセキュリティへの配慮が必要不可欠です。さまざまな企業にとって非常にニーズの高い「セキュリティエンジニア」を目指す人も多いでしょう。
今回は、セキュリティエンジニアの仕事内容や求められるスキル、未経験から目指す方法について紹介します。セキュリティエンジニアの適性も紹介しているので、今後のキャリアを形成するうえでの参考にしてください。
セキュリティエンジニアとは
セキュリティエンジニアとは名称の通り、「セキュリティに特化したエンジニア」のことです。システム設計や構築、運用やサイバー攻撃の防止など、セキュリティに配慮した領域に関わります。ここでは、セキュリティエンジニアの仕事内容や将来性、求められている理由について解説します。
仕事内容
セキュリティエンジニアの主な仕事内容は、以下の通りです。
- セキュリティシステムの企画・提案
- セキュリティに配慮したシステムの設計
- セキュリティシステムの実装
- 脆弱性のテスト・対策
- 導入後の運用・保守業務
エンジニアが関わることの多い領域を、セキュリティの観点に特化して行うのが、セキュリティエンジニアの特徴です。
年収と将来性
求人ボックスによる2023年5月時点のデータでは、セキュリティエンジニアの平均年収は約597万円でした。IT業界の中では比較的低い部類に入るため、「将来性がないのでは?」と不安に思うかもしれません。
しかし昨今は、IT業界の人材不足が懸念されています。多くの企業がエンジニアを求めているため、採用後の成長度合いや実績によっては、平均年収以上を得ることも可能です。業界そのものの成長が見込まれることも加味し、セキュリティエンジニアは将来性の高い仕事といえます。
参考:求人ボックス|セキュリティエンジニアの仕事の平均年収は597万円
なぜセキュリティエンジニアが求められているのか
昨今の市場は、ITの普及により情報資産の価値が向上しています。その一方で、悪質な攻撃のリスクが高まっているのも事実です。個人情報の漏洩やウイルス感染など、ITシステムの天敵に対する体制をより厳重なものにしたいと考える企業も増えています。そのため、より高いレベルでのセキュリティを導入できる、セキュリティエンジニアの需要が高まっています。
セキュリティエンジニアが「やめとけ」といわれる理由
インターネットで検索をかけると、セキュリティエンジニアには「やめとけ」という意見が多いこともわかります。「やめとけ」と言われる主な理由は、以下の通りです。
- 責任・プレッシャーが大きい
- 迅速な対応が求められるためプライベートの時間を確保しにくい
- アクシデントの原因究明に時間・労力がかかる
- セキュリティ対策の実装が困難
- 顧客への説明・説得が大変
セキュリティエンジニアを目指すうえで「仕事の大変さ」として認識しておくべき実態です。
セキュリティエンジニアに必要なスキル
セキュリティエンジニアを目指すうえでは、以下のスキルが必要です。
- プログラミングスキル
- ロジカルシンキング
- コミュニケーション能力
- モラル・柔軟性
- ITに関する幅広い知識
プログラミングスキル
セキュリティエンジニアは、システム開発に関わることも多いため、実装段階で十分なセキュリティを確保するためにプログラミングスキルが求められます。基本的なプログラミング言語とあわせて、所属する企業・プロジェクトが取り扱う言語の知識を得ておきましょう。
ロジカルシンキング
複雑なITシステムの構造を理解し、より効率的なフローを提案できるよう、ロジカルシンキングが重視されます。ロジカルシンキングがないと、システムの根幹を担うことになるセキュリティエンジニアとしては活躍しづらいでしょう。システムエンジニア・プログラマーの大半は、ロジカルシンキングの能力を有しています。プログラムの開発言語を扱うには、要素を分解して論理的に正しい道筋を構築するスキルが必要になるため、そもそもロジカルシンキングの能力がなければ務まりません。
コミュニケーション能力
セキュリティエンジニアはクライアントと打ち合わせすることが多いため、優れたコミュニケーション能力が必要です。クライアントと円滑にやりとりすることで、重要な課題を発見しやすくなります。コミュニケーション能力の重要性も理解しておきましょう。
モラル・柔軟性
セキュリティエンジニアは、個人情報保護や法令遵守に対する高い意識の必要な仕事であるため、モラルに対する意識も高く持っておく必要があります。また、年々悪質化するサイバー攻撃に対応できるよう、柔軟性があることも大切です。
ITに関する幅広い知識
セキュリティエンジニアは、ITシステムの企画や提案だけでなく、運用や保守まですべての領域に関わります。そのため、業務内容ごとの知識を幅広く得ておく必要があります。サーバーやOS、ネットワークやITに関連する法令など、セキュリティに基づく知識は最低限身につけておきましょう。
未経験からセキュリティエンジニアを目指す方法
セキュリティエンジニアは、事前準備をしっかり行うことで未経験でも就業可能です。ここでは、未経験からセキュリティエンジニアを目指すための方法について解説します。
ITエンジニアとして経験・実績を積む
未経験から就業できるとはいえ、セキュリティエンジニアは基本的なITエンジニアとしての経験・実績が求められます。セキュリティエンジニアの知識・経験がなくても目指せますが、まずはITエンジニアとして勤務し、ある程度の経験・実績を身につけておく必要があります。
未経験可の求人を探す
企業によっては、未経験でも就業可能な求人を掲載していることもあります。仮にITエンジニアとしての知識や経験が皆無でも、就業後に経験を重ねることを前提にアプローチすれば転職も可能です。とはいえ、完全未経験で応募する場合は就業後の努力が重要であることも覚えておきましょう。
実務に役立つ資格を取得する
以下の資格を取得しておけば、未経験でもセキュリティエンジニアとして就業できる可能性があります。
- 基本情報技術者:情報処理技術に関する基本的な知識・技能を証明する資格
- 応用情報技術者:基本情報技術者よりも応用的な知識・技能を証明する資格
- シスコ技術者認定:Ciscoシステムズ社が認定するネットワークスキルを証明できる資格
これらの資格を取得することは、セキュリティエンジニアとしての事前知識があるという証明になります。セキュリティエンジニアの経験がない場合は、資格取得で対策するのもおすすめです。
セキュリティエンジニアの適性
ここでは、セキュリティエンジニアに向いている人・向いていない人の特徴をそれぞれまとめています。自分にセキュリティエンジニアの適性があるのか、判断材料にしてください。
向いている人の特徴
セキュリティエンジニアに向いている人の特徴は、以下の通りです。
- 新しい技術・知識を身につけることが好き
- 困難に対して最後まで向き合える
- 自分のスキル・技術をクライアントの課題解決に活かしたい
- 仮説を立てて課題解決の手段を考案できる
- 責任感が強い
- プレッシャー耐性がある
セキュリティエンジニアの厳しさ
一方で、「セキュリティエンジニアはやめとけ」と言われる理由に該当する人は、セキュリティエンジニアに向いていない可能性があると判断できます。
- 責任・プレッシャーが大きい
- 迅速な対応が求められるためプライベートの時間を確保しにくい
- アクシデントの原因究明に時間・労力がかかる
- セキュリティ対策の実装が困難
- 顧客への説明・説得が大変
セキュリティエンジニアの辛さを理解し、受け入れられなければセキュリティエンジニアを目指すことは難しいかもしれません。
まとめ
今回は、セキュリティエンジニアの仕事内容や求められるスキル、未経験からの目指し方や適性について紹介しました。ITシステムにおけるセキュリティを担う重要な役割であるため、やりがいがある反面、辛いと感じることも多くあります。自身の経験や知識を活かし、クライアントの課題解決に尽力したい人は、本記事の内容を参考にセキュリティエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。