クッション言葉は、ビジネスシーンのやりとりで多用される言葉です。対面でのやり取りはもちろん、メールのコミュニケーションでも使われています。クッション言葉は相手に丁寧な印象を与えるため、円滑なコミュニケーションに役立つでしょう。今回は、クッション言葉が使えるシーンや具体例を紹介します。
クッション言葉とは
クッション言葉とは、本題の前に添えて使う言葉のことです。言いたいことを思ったまま伝えると、きつい印象や不快感を与える恐れがあるときに使用します。クッション言葉を使うことで相手に失礼な印象を与えることなく、こちらの意見を伝えることができます。
クッション言葉を使うメリット
クッション言葉は日常的にはもちろん、ビジネスシーンでも役立ちます。ここでは、クッション言葉を使うメリットについて解説します。
柔らかく丁寧な印象を与える
例えばセミナーなどの招待を断る際「参加できません」と伝えると冷たい印象を与えてしまいます。しかしクッション言葉を使って「あいにく予定が入っており、残念ですが参加できません」と伝えることで、申し訳なさや誠実さが示しやすく、丁寧な印象が与えられます。
日常生活において悪気がなくても、言葉が足りないことでぶっきらぼうな印象を与えてしまうことはしばしばあります。特に上司やクライアントとの会話であれば、クッション言葉を積極的に使用するよう注意しましょう。
相手の気持ちを緩和させる
多くの人と関わるビジネスシーンにおいて、相手の意向に逆らって自分の主張を押し通したい場面もあるでしょう。その際、ただ自分の主張を示すだけでは、相手の気持ちをくみ取っていることにはなりません。単に失礼と感じられてしまい、取引などが途絶えてしまう可能性があります。クッション言葉を添えることで、相手に気遣いを伝えることができ、こちらの意見を受け入れてもらえるかもしれません。
クッション言葉が役立つシーンは?
クッション言葉が役立つシーンはひとつではありません。状況にあわせて上手く使い分けることで、物事がスムーズに進みやすくなります。ここでは、クッション言葉が役立つ4つのシーンについて解説します。
依頼したいことを伝えるとき
上司や忙しい相手に頼みごとをするとき、依頼すること自体、恐れ多いと感じるケースもあるでしょう。その際は、本題の前に「お手数をおかけしますが」「お忙しいところ恐縮ですが」といった言葉を添えることがおすすめです。
上記のクッション言葉は相手への配慮を示す言葉です。そのため、不快感を与える可能性も少なくなり、依頼も通りやすくなるでしょう。
相手の要望を断りたいとき
取引先や上司からの依頼・招待を断る場合、相手に気分を害されないか不安になったり、良好だった関係が崩れないか心配になることもあるでしょう。クッション言葉を使えば、断ったことに対する申し訳なさや、招待に対するありがたさを相手に示すことができます。
相手の意見に反論するとき
取引先や上司が相手だと、反論により相手の気分を害さないか不安になるかもしれません。「申し上げにくいのですが」「確かにおっしゃる通りではありますが」といったクッション言葉から入れば、相手が意見を聞く心構えを持ちやすくなります。
何かを尋ねたいとき
打ち合わせなどで相手から情報を聞き出したい時や、提案時などにクッション言葉を使ってみましょう。例えば「もしよろしければ」「ご迷惑でなければ」といった言葉を使うのがおすすめです。ほかにも「恐縮ですが」「恐れ入りますが」といった表現も活用できます。こうしたクッション言葉を用いることで相手に断る余地を残しやすく、押しつける印象を与えることもないでしょう。
職場で使えるクッション言葉の具体例
クッション言葉を上手く使用すれば、良好なコミュニケーションを築くことができます。そのため、コミュニケーションが欠かせないビジネスの現場においては非常に重要です。ここでは職場で活用できるクッション言葉の具体例について解説します。
依頼するときのクッション言葉
依頼するときに使えるクッション言葉には、以下があります。
- ご面倒でなければ
- ご迷惑でなければ
- 恐れ入りますが
- お手数をおかけしますが
- 差し支えなければ
- ご多忙中とは存じますが
相手に何かをお願いをする際は、相手が忙しいケースや、依頼自体に無理があり難色を示される場合もあります。相手に気持ちよく動いてもらうためにも、例に出した言葉をうまく利用していきましょう。
断るときのクッション言葉
断るときのクッション言葉には、以下が挙げられます。
- あいにくですが
- 残念ですが
- お役に立ちたいのですが
- せっかくですが
- 心苦しいのですが
ビジネスシーンでは、上司や取引先などのお願いでも事情があって断らざるを得ない場合があります。断りづらくてもクッション言葉が加われば、相手の気持ちを汲んだ上で断ることができます。
反論するときのクッション言葉
反論するときのクッション言葉は、以下を参考にしてください。
- 確かにおっしゃる通りですが
- 申し上げにくいのですが
- 僭越ながら
- 見解が分かれる点かと存じますが
- 余計なこととは存じますが
反論は、特に相手の気分を害しやすいものです。上記のクッション言葉を用いて、相手に伝える必要があるでしょう。
尋ねるときのクッション言葉
尋ねるときのクッション言葉は、以下の例を参考にしましょう。
- もしよろしければ
- 差し支えなければ
- おうかがいしたいことがあるのですが
- 失礼ですが
例えば打ち合わせで企画内容を詳しく聞きたいときには「差し支えなければ、もう少し詳しくお伺いできますでしょうか」というように、クッション言葉を添えるといいでしょう。
クッション言葉を使う際の注意点
クッション言葉は円滑なコミュニケーションにつながりやすいものの、適切な使い方をしないとかえって悪い印象につながりかねません。ここでは、クッション言葉を使う際の注意点について解説します。
多用し過ぎると誤解を招く
クッション言葉を使うと、相手に丁寧な印象を与えられます。しかし多用すると、機械的な印象を与える恐れがあります。クッション言葉は多用せず、必要な場面に絞って使いましょう。
例えば、飲食店などで従業員がお客様に何かを尋ねる際「恐れ入りますが」を多用すると、お客様からマニュアル的な接客のように思われる可能性があります。相手への配慮が誤解をされる場合もあるため、言葉のバリエーションを増やし、相手にクッション言葉を多用していると思われない工夫が必要です。
適切なクッション言葉を使用する
クッション言葉を使用する際は、適切な使い方を心がけましょう。
例えば「申し訳ございませんが」というクッション言葉には、謝罪の意味が込められています。しかしお客様に書類の記入をお願いするといった謝罪する必要のない場面で「申し訳ございませんが、住所のご記入をお願いいたします」のように発言することは不適切です。
この場合「お手数ですが、住所のご記入をお願いいたします」と伝えましょう。不必要に謝罪されると、相手は違和感を抱きやすくなります。したがって場面に応じて適切なクッション言葉を使う必要があります。
まとめ
クッション言葉は円滑なコミュニケーションに役立ち、ビジネスシーンはもちろん、日常的にも使われています。特に、反論や依頼を断るときなどはクッション言葉が役立ちます。しかし多用したり、場面にそぐわないクッション言葉を使うと、相手へ悪い印象を与えてしまう恐れもあります。相手とのコミュニケーションをスムーズに、かつ良好に行うために、適切なシーンで状況に合ったクッション言葉を使いましょう。