完全にテンプレート化すべきではないものの、成約につながる営業トークの基本的な流れや話法は、営業として仕事をするにあたって身につけておく必要があります。どのような営業トークが成功しやすいのか、またうまくいかない理由は何か、知りたい人もいるのではないでしょうか。
今回は、営業トークを成功させるためのポイントを紹介します。営業職を目指している人はもちろん、現在営業職として働いていて自身の営業トークに不安がある人は、ぜひ本記事で紹介する内容を参考にしてください。
成功につながる営業トークの流れ
まずは成功しやすい営業トークの流れを紹介します。具体的には以下の9つのステップです。
以下の流れを参考に、アピールする商材や自身の強み、クライアント企業の特性を反映させたオリジナルの営業トークを作成してください。
- 挨拶:できるだけ明るく挨拶する
- 雑談:顧客の信頼を得るため、共通の話題や疑問などを投げかける
- 情報提供:顧客にとって有益な情報を事前に準備しておく
- 現状や課題のヒアリング:顧客の話を掘り下げつつ、自社商材をアピールできるタイミングを図る
- 顧客の課題を解決できそうなことを掲示する:「解決できる」と断定せず掲示することが大切
- 顧客の反応をチェック:顧客が提案に対して関心を持っているか判断し、もし関心を持っていなかったら再度3〜5のいずれかを実施
- 商材の説明:自社商材の強みや、なぜ、どのように「顧客の課題を解決できるのか」を伝える
- 質疑応答:事前にFAQを用意しておく。想定にない質問にも答えられるよう、準備しておくとなお良い
- 次回訪問のアポイント:ここでは「自社が課題の解決に役立てる」ことを明確に伝える
営業トークを成功させる話法
営業トークの基本的な流れを把握したうえで、適宜、以下に挙げる7つの話法を取り入れてください。テンプレート化を防止するのはもちろん、顧客から予期せぬ質問や反応があった場合でも対応しやすくなります。
- 質問話法
- 寄り添い法
- ブーメラン法
- Yes,but法
- Yes,and法
- 否定法
- 例え話法
それぞれの話法がどのようなフェーズで有効なのか、顧客にどのような影響を与えられるのかを、詳しくみていきましょう。
質問話法
顧客に対してさまざまな質問を投げかけながらニーズを聞き出す話法です。質問を適度に繰り返すことで、顧客が気づいていないニーズを発見することも可能です。事前に顧客情報を調査したうえで、質問事項を用意してから実施してください。
寄り添い法
ヒアリングをもとに顧客の悩みを把握し、寄り添いながら話を進める方法です。2回目以降の営業時に有効な手法となります。営業が一方的に話すのではなく「そうですよね」と一度顧客の悩みに共感し、そのうえで解決策を提案します。共感する姿勢を示すことで顧客は心を開きやすくなるため、本音も引き出しやすくなります。
ブーメラン法
顧客の抱くマイナスイメージを、プラスイメージに切り替える話法です。顧客からポジティブな反応を引き出せなかったときに有効な手法です。例えば顧客が「価格が高いから」という理由で、自社商材の導入をためらっているとします。このネガティブな反応に対し「価格が高い分、他社商材よりも品質が高い」と、顧客が感じているネガティブなポイントをポジティブな印象に変えていくのがブーメラン法です。
Yes,but法
顧客の主張を一旦受け止めたうえで、反対意見を伝える話法です。人は否定されると、その後の話を聞こうとしなくなります。その心理を逆手に取り「おっしゃる通りです。ただ〜」といった流れで、顧客の意見に共感し受け止めたうえでの提案になるよう意識することで顧客の話を否定することなく、自分の話を聞いてもらうことができます。
Yes,and法
顧客の主張を受け止めつつ、説明を加えてメリットを伝える話法です。「そうですね。確かに最初は使用感に慣れにくいかもしれません。であれば、今回提案するサービスより既存のサービスを提案させていただきます。」という流れで話を進めます。Yes,but法と比べて後から話す内容のインパクトが弱い傾向にあるものの、特に否定されることを拒みそうな顧客に対して有効です。
否定法
顧客の意見を真っ向から否定する話法です。ただし強気に出るという意味ではなく「心配ありません」など、前向きな言葉で否定してください。前向きな言葉で否定することによって、顧客は否定されたと感じることなく、安心感を得られます。
例え話法
「例えば、こちらの製品は○○社に導入してもらっており、導入後の実績は〜」と、実際の例をもとに話を進めるのが例え話法です。実際の例を挙げることで顧客は不安を感じにくくなり、自社に当てはめた場合の想定がしやすくなります。
営業トークがうまくいかない主な理由
営業トークの流れや話法を頭ではわかっていても、うまくいかないと感じることもあるでしょう。自身の営業トークが以下の4つの理由に当てはまっていないか、客観的に分析するのがおすすめです。
- 断られることを怖がり、低姿勢になりすぎている
- 上司や同僚に教わった営業トークとほとんど同じ流れになっている
- 沈黙の時間が発生している
- 最初の営業から「成約」を意識している
なぜ営業トークがうまくいかないのか、まずは上記に該当していないか理解したうえで、トークの流れや使用する話法を見直してください。
営業トークに役立つ「さしすせそ」とは
ここでは営業トークで活用すべき「さしすせそ」とは何か、効果や注意点、営業以外での活用の観点から解説します。
「さしすせそ」一覧
営業トークに役立つ「さしすせそ」とは、会話をスムーズに進められるフレーズの頭文字です。
- さ:最高ですね、さすがですね
- し:知らなかったです
- す:素晴らしいですね、すごいですね、素敵ですね
- せ:センスがありますね
- そ:その通りです、そうなんですね
「さしすせそ」の効果
「さしすせそ」を営業トークの中に自然な流れで入れ込めば、会話がスムーズになるだけでなく、顧客から信頼されやすくなります。また本題の営業トークを行う前に場をなごませるアイスブレイク時に意識して使用することで、和やかな雰囲気で営業トークを進めやすいのも「さしすせそ」の効果です。
「さしすせそ」を使う際の注意点
「さしすせそ」には、営業トークをスムーズにする効果があります。しかしただ適当な場所で使用していては、かえって「バカにされているのでは?」と感じさせてしまいます。適度な箇所で、かつ気持ちを込めて使用するのが、営業トークにおける「さしすせそ」のコツです。
「さしすせそ」は営業以外にも使える
「さしすせそ」は営業以外にも、上司との会話でも役立ちます。上司の話に関心を持っているとアピールできるため、今後の業務や評価につながる可能性があります。また、飲み会や会食の場で「さしすせそ」を適切に使用すれば、相手と良い関係を築くことが可能です。
営業トークで使ってはいけない言葉
営業トークでは、以下の5つ言葉を使うべきではありません。なぜ使うべきではないのか、それぞれの言葉ごとに理由を解説します。
- 多分
- 一応
- そこをなんとか
- わかりません
- 機会があれば
多分
普段の会話で何気なく使用してしまう「多分」は、無責任な印象を相手に与えてしまいます。「多分問題ありません」と言われても、相手の不安は拭えません。ただし実際に「多分」が適している場面もあります。その際は未確定な要素を相手に謝罪のうえ伝え、一度持ち帰らせてもらうのがおすすめです。
一応
「多分」と同様、何気なく使用してしまいがちな言葉です。「一応確認します」など、曖昧さを演出してしまうため、使うのは避けるべきです。「一応」を入れないだけで、曖昧さを避けられます。
そこをなんとか
成約につなげることを意識するあまり、使ってしまいがちな言葉です。「そこをなんとか」と引き止めるのではなく、顧客が感じている不安や悩みを解消する糸口を見出したうえで成約に導きましょう。
わかりません
自社商材について話しているのに、営業担当から「わかりません」と言われては、信用できない担当者だと思われるでしょう。仮にわからない質問が来た場合は、一度持ち帰らせてもらうことを伝えるほうが誠実な印象を与えられます。
機会があれば
成約に至らなかった場合には「機会があれば」と伝えてしまいがちです。しかし「機会があれば」は、顧客との距離をかえって遠ざけてしまう結果になります。機会がなければ、顧客を訪問する理由がなくなってしまうからです。「新しい情報が入り次第またお伺いします」と、こちらから再度アクションすることが伝わる言い回しを使用しましょう。
まとめ
今回は、営業活動を円滑化する営業トークの流れや話法を紹介しました。営業を成功させるには、トークの流れや話法を覚えることはもちろん、うまくいかない理由を考えることが大切です。本記事では、営業トークがうまくいかない理由や、より成功につなげやすい「さしすせそ」の使い方、使用してはいけない言葉も紹介しています。自身の営業活動における成約率を高めるため、本記事で紹介した営業トークのポイントを取り入れてみてはいかがでしょうか。