ロジカルシンキングは、企画や戦略の立案、プレゼンなど、あらゆる場面で重要視されている思考方法です。ロジカルシンキングの概要程度の知識はあっても、具体的な方法やクリティカルシンキングとの違いまでは把握していない方が多いのではないでしょうか。ここでは、ロジカルシンキングとは何かを紹介するとともに、活用のメリットや手法、注意点などについて解説します。
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは、根拠に基づいて論理的に結論を出す思考法です。いわゆる論理的思考法のことであり、ビジネスシーンで求められます。ロジカルシンキングができていないと、話の主旨や結論が見えてこなかったり、説得力を持たせることができなかったりします。
ビジネスシーンで注目されている背景
ビジネスシーンでロジカルシンキングが注目され始めたきっかけは、2001年に大きなブームを呼んだ書籍『ロジカル・シンキング(照屋華子・岡田恵子共著) 』だといわれています。企業に対してロジカルシンキングの重要性や手法などを示しており、多くのビジネスパーソンから注目を浴びることになりました。
クリティカルシンキングとの違い
ロジカルシンキングと似た言葉に、クリティカルシンキングがあります。クリティカルシンキングは批判的思考のことで、批判的な目線で問いかけて、本当に正しいのかどうかを模索します。これは、ロジカルシンキングと相反する思考法ではありません。ロジカルシンキングで導き出された結果が本当に正しいのかどうかを考えるための思考法です。
ロジカルシンキングを身に付けるメリット
ロジカルシンキングを身に付けるメリットを確認し、目的意識を持って習得を目指しましょう。ロジカルシンキングを行うことには次のメリットがあります。
発言や文章に説得力が付与される
ロジカルシンキングによって導き出された答えは、物事を順序立てて論理的に説明します。前提条件、置かれている環境など、あらゆる要素を組み合わせて論理的に導き出された答えには説得力があります。発言や文章に説得力が付与されることで、相手に納得してもらいやすくなるでしょう。
トラブルの原因・対策・対処法がわかる
ロジカルシンキングでは、原因と結果の因果関係を理解しながら思考します。ロジカルシンキングを習慣づければ、トラブルが起きた際に原因に注目し、適切な予防策を打ち立てやすくなるでしょう。予期せぬ事態が起きたときも冷静に対処できるようになります。
生産性が高まる
ロジカルシンキングを業務に取り入れると、優先順位や効率的な方法などをスピーディーに理解できるようになります。そのため、生産性が大きく向上するでしょう。生産性が向上すれば、社内での評価も高まり、それが給与に反映されることでモチベーションアップに繋がります。そして、さらに生産性が上がるという好循環が生まれるのです。
ロジカルシンキングの手法
ロジカルシンキングの手法には、ピラミッド構造やロジックツリーがあります。それぞれの手法について詳しく見ていきましょう。
ピラミッド構造
ピラミッド構造とは、頂点に「結論(仮説)」を配置し、「根拠」、「根拠を導き出す根拠」の順に置く構造のことです。根拠が正しいかどうかを考えるために、根拠を導き出すための根拠を配置します。さらに、その根拠が正しいことを導き出すための根拠も下層に配置しなければなりません。
ピラミッド構造において、頂点から下りながら考える手法を「トップダウンアプローチ」といい、仮説を立ててその根拠を導き出し、事実を発見します。また、下から頂点へ上がっていく「ボトムアップアプローチ」もあります。これは、事実に対する根拠を立てて、仮説を構築する手法です。
ロジックツリー
<ロジックツリーは、問題を分解して原因や解決法を見つける手法です。例えば、売上アップを頂点とした場合、売上アップに必要な要素を下層に配置します。この場合は、注文数や製品のアップグレード数、導入数などです。
さらに枝分かれしていき、注文数を上げるために必要な要素を配置します。例えば、コンバージョン率が挙げられます。そしてコンバージョン率を上げるために必要な要素である訪問者数をさらに下層に設定します。このように、ひとつの目標を達成するために必要な要素を分解するのがロジックツリーの特徴です。
問題点の原因を掘り下げて根本的な原因を発見する「WHYツリー」、課題を解決するための方法に優先順位をつける「HOWツリー」、大きな要素を細分化する「WHATツリー」があります。
ロジカルシンキングの種類
ロジカルシンキングには、演繹法(えんえきほう)と帰納法、弁証法があります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
演繹法
演繹法(えんえきほう)は、抽象的な内容から具体的な事象を導き出す考え方です。確定している情報や大きな枠組みの原則から、個別の物事について推論します。いわゆる三段論法で矛盾の無い結論を導きます。具体的には次のように推論をします。
【大前提】一般論:鳥は卵を産む
【小前提】観察事項:ニワトリは鳥
【結論】だからニワトリは卵を産む
上記の場合、「鳥は卵を産む」、「ニワトリは鳥」はどちらも正しい情報になります。よって、導き出される「だからニワトリは卵を産む」という結論も正しくなります。演繹法は段階ごとに情報や問題を整理するため、最後に説得力のある結論を導きます。
帰納法
帰納法は、複数の事実を分析し、一般論を導き出す手法です。例えば、「友人がAという手法を使ったとたん、業績が伸びたと言っていた」、「有名なビジネスパーソンもAは効果があると言っている」などの情報から「Aは業績アップに効果的だ」という一般論を導き出します。ただし、あくまでも傾向や事実をもとに導き出した答えであり、必ずしも正しい結論とは言い切れません。
弁証法
弁証法は、肯定されている物事に対して否定する案を提示し、解決に繋がる統合案を導き出す手法です。例えば、「お腹いっぱいに食べたい(肯定)」、「食べ過ぎは生活習慣病の原因になる(否定)」、「ローカロリーでお腹がふくれるものを食べる(統合案)」となります。
ロジカルシンキングの注意点
ロジカルシンキングのメリットを得るには、次の注意点を押さえる必要があります。
感情を考慮していない
ロジカルシンキングには感情が考慮されていません。論理的には正しくても、相手の感情を考えずに正論だけ押し付けても、受け入れてもらえないこともあります。
裏付けデータの見極めが必要
論理的思考は、裏付けしたデータがなければ活用できません。データの信頼性を十分に確認しましょう。データが間違っている場合、論理的思考で正しく結果を導き出すことができません。
論理展開の主軸がブレると結論も変わる
論理展開の主旨がブレると、当然ながら結論も変わります。例えば、売上をアップする方法を導き出したいのに、いつの間にかモチベーションアップの方法を導き出す内容にすり変わる場合があります。
まとめ
ロジカルシンキングはビジネスシーンで活用したい思考法です。自分の適性や物事の種類に応じて、手法を使い分けてください。今回紹介したロジカルシンキングのメリットや手法、注意点を押さえて、正しく活用しましょう。